台本概要
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タイトル | ロボットに足りない部品 |
---|---|
作者名 | きいろ* (@kiiro83) |
ジャンル | 童話 |
演者人数 | 1人用台本(不問1) |
時間 | 10 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
ロボットにも心はできるかな?
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キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
語り手 | 不問 | 40 | 物語の語り手。 ロボット、少年、いじめっこも演じてください。 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
語り手:ロボットは何でもできる。
語り手:勉強も、スポーツも、君たちが大好きなイチゴのショートケーキをつくることも、
語り手:なんだって簡単!おちゃのこさいさい、ちょちょいのちょいさ。
語り手:それはどうしてだと思う?頭がよくなる部品、足が速くなる部品、ケーキの材料をとっても早く混ぜるための部品、
語り手:それらを完璧に組み合わせてつくるのがロボットだからさ。
0:
語り手:でも、ロボットには足りないものが一つだけあった。
語り手:「ココロ」という部品だ。
0:
語り手:人間というのはロボットに比べてとても不完全な生きものだ。
語り手:頭がいいけれど目が悪い人、足が速いけれど手先が不器用な人。
語り手:アレはできるけれどコレはできない。コレは持っているけれどアレは持っていない。
語り手:でも不思議なことに、ロボットが絶対に手に入れることのできない「心」だけは、必ずもっていた。
0:
0:
0:
語り手:ある日あるとき、あるハカセがココロをもったロボットをつくろうとした。
語り手:ココロをつくるためにたくさんの部品を組み合わせた。
語り手:そうしてできたハート型のパーツを、ロボットの胸に埋め込んだ。
語り手:でもやっぱりダメだった。ハート型のパーツの中身はカラッポ。
語り手:ココロはどんな道具や部品を使ってもつくれなかった。
語り手:ロボットは自分の胸に埋め込まれたカラッポのパーツを見て、いつも考えていた。
ロボット:ココロ ッテ ナンダロウ?
語り手:もしもこのカラッポのハートを満杯にできたら…
ロボット:ドンナコトガ オキルンダロウ?
語り手:そしてこんなことを思いついた。
ロボット:ニンゲン ニ ココロ ヲ カシテ モラオウ。
語り手:ロボットは心を貸してくれそうな人間を探しはじめた。
0:
0:
0:
語り手:しばらく歩いていくと、子どもをたくさん見つけた。
語り手:みんなで輪になって一人の少年を囲み、蹴ったり悪口を言ったりしながら笑っているところだった。
語り手:真ん中の少年の目には水がたまっていた。
0:
語り手:ロボットは子どもたちに近寄っていった。
ロボット:「ボク ニ ココロ ヲ カシテ クレマセンカ?」
いじめっこ:「なんだよ!ロボットのくせに邪魔するな!」
いじめっこ:「おまえもいじめてやる~!」
語り手:いじめっこたちはロボットを思いっきり蹴りとばした。
語り手:…でもね、ロボットはこんなの痛くも痒くもないのさ。
語り手:とってもかた~い金属でできているんだから。
語り手:いじめっこたちの足の方が、真っ赤に腫れあがってしまった。
いじめっこ:「いって~っ!!」
いじめっこ:「くそぉ!覚えてろよ!」
語り手:いじめっこたちは走って逃げていった。
語り手:少年はロボットに言った。
少年:「助けてくれてありがとう!」
ロボット:「ボク ニ ココロ ヲ カシテ クダサイ」
少年:「心?いいけど…どうやって貸してあげればいいのかな」
語り手:ロボットは胸の蓋を開けてハートのパーツを取り出した。
ロボット:「コレニ イレテ クダサイ」
少年:「わかった、やってみる!」
語り手:少年はハートのパーツを持って楽しいことを考えた。
語り手:すると「楽しい」心がハートの中に入っていった。
語り手:次に悲しいことを考えると、「悲しい」心もハートの中に入っていった。
語り手:「うれしい」心、「さみしい」心、「くやしい」心、
語り手:少年はロボットのハートに一つずつ心を込めていき、やがてハートのパーツは満杯になった。
語り手:ロボットはそれを受け取って自分の胸にしまった。
0:
語り手:ロボットは空を見た。大きくて青かった。
ロボット:「キレイダナ」
語り手:風が吹いた。
ロボット:「キモチイイナ」
語り手:ノラネコが通った。
ロボット:「カワイイナ」
語り手:すべて初めて感じることだった。
語り手:今までなんとも思わなかったものが、とても素晴らしいもののように感じた。
ロボット:「コレガ ココロ カ」
語り手:ロボットは心を返したくなくなった。
ロボット:「ネェ、コレ カエサナクテモ イイ?」
少年:「いいよ」
語り手:少年は無表情で答えた。
語り手:ロボットは少年からココロを奪ったみたいで、申し訳ない気持ちになった。
ロボット:「…ホントニ イイノ?」
少年:「うん」
語り手:少年は何も感じない。ロボットに心を貸してしまっているからだ。
語り手:でもロボットはそのことに気がつかなかった。
ロボット:「アリガトウ!」
語り手:ロボットはうれしくて、何かお礼がしたくなった。
ロボット:「ソウダ イチゴノショートケーキ ヲ ツクッテアゲルヨ」
語り手:ロボットは、子どもは甘いおやつが大好きだということを知っていた。
語り手:ココロがあるとケーキを作ることも楽しかった。
ロボット:「オイシイ?」
語り手:ロボットはワクワクしながら聞いた。
少年:「べつに」
語り手:少年が喜ぶと思っていたロボットはガッカリした。
ロボット:「ネェ ミテ。オハナ ガ キレイダヨ」
ロボット:「ホラ トリ ガ トンデルヨ」
語り手:ロボットが何を言っても、少年は笑ってくれなかった。
語り手:そんな少年を見て、ロボットは寂しくなった。
0:
語り手:ロボットは気づいた。ココロは一つだけだと、少しも「おもしろくない」。
0:
語り手:ロボットはココロを少年に返した。ロボットのハートから少年の心がすべて戻っていった。
少年:「もういいの?」
ロボット:「ハイ。アリガトウ ゴザイマシタ」
少年:「そっか」
語り手:少年はロボットを見てニッコリ笑った。ロボットはなにも感じなかった。
語り手:でももしも自分にココロがあったら、今どんな気持ちになっているか、ロボットはもう知っていた。
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0:
語り手:そのとき、さっきのいじめっこたちが野球のバットを持って戻ってきた。
いじめっこ:「これでもくらえ!!」
語り手:いじめっこたちは金属でできたバットで、ロボットを叩き始めた。
語り手:大きな音を立てて激しくぶつかると、ロボットの固い金属に次々と傷がついた。
少年:「やめてよ!!」
語り手:少年はロボットを助けようとしたが、まったく歯が立たなかった。
語り手:蹴り飛ばされた少年の目には、また水がたまっていた。
0:
語り手:ロボットは痛みを感じていない。
語り手:でも少年は違う。
語り手:ロボットは知っていた。少年が今どんな気持ちになっているのかを。
語り手:胸がしめつけられるように痛くなっていることを。
語り手:だからいじめっこたちを振り払って、大きな声で言った。
ロボット:「ヤメテクダサイ」
語り手:ロボットは少年を抱きかかえるようにしていじめっこたちから守った。
ロボット:「ヤメテクダサイ ヤメテクダサイ」
語り手:いじめっこたちはロボットを叩き続けた。
語り手:でもロボットは少しもどこうとしなかった。
語り手:そして振り下ろされたバットをついに掴んで、遠くに放り投げた。
いじめっこ:「あぁ!俺のバットがー!!」
語り手:いじめっこたちはバットを追って、そのままいなくなった。
0:
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0:
0:
ロボット:「ダイジョウブ デスカ」
少年:「キミのほうこそ、どこも壊れていない?」
ロボット:「ダイジョウブ デス」
少年:「よかった」
語り手:少年は笑った。
語り手:ロボットは何も感じなかったが、もしもココロがあったら今どんな気持ちになっているか知っていた。
語り手:すると少年は不思議なことを言い出した。
少年:「キミも笑えるんだね」
ロボット:「ボク ワラエテイマスカ?」
少年:「うん!」
語り手:ロボットはうれしくなった。
ロボット:…アレ?
0:
語り手:いつのまにかロボットのハートのパーツは、少しだけカラッポではなくなっていた。
語り手:そしてロボットはやっとわかった。
語り手:ココロをつくることができるのは、人の心だけなのだと。
0:
語り手:ロボットは少年に言った。
ロボット:「コレカラ ハ イジメッコ ガ キテモ ボクガイルヨ」
少年:「うん、ありがとう」
語り手:つないだてのひらが温かく感じた。
少年:「ねぇ、またいちごのショートケーキ、つくってくれる?」
ロボット:「ヨロコンデ!」
0:おわり
語り手:ロボットは何でもできる。
語り手:勉強も、スポーツも、君たちが大好きなイチゴのショートケーキをつくることも、
語り手:なんだって簡単!おちゃのこさいさい、ちょちょいのちょいさ。
語り手:それはどうしてだと思う?頭がよくなる部品、足が速くなる部品、ケーキの材料をとっても早く混ぜるための部品、
語り手:それらを完璧に組み合わせてつくるのがロボットだからさ。
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語り手:でも、ロボットには足りないものが一つだけあった。
語り手:「ココロ」という部品だ。
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語り手:人間というのはロボットに比べてとても不完全な生きものだ。
語り手:頭がいいけれど目が悪い人、足が速いけれど手先が不器用な人。
語り手:アレはできるけれどコレはできない。コレは持っているけれどアレは持っていない。
語り手:でも不思議なことに、ロボットが絶対に手に入れることのできない「心」だけは、必ずもっていた。
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語り手:ある日あるとき、あるハカセがココロをもったロボットをつくろうとした。
語り手:ココロをつくるためにたくさんの部品を組み合わせた。
語り手:そうしてできたハート型のパーツを、ロボットの胸に埋め込んだ。
語り手:でもやっぱりダメだった。ハート型のパーツの中身はカラッポ。
語り手:ココロはどんな道具や部品を使ってもつくれなかった。
語り手:ロボットは自分の胸に埋め込まれたカラッポのパーツを見て、いつも考えていた。
ロボット:ココロ ッテ ナンダロウ?
語り手:もしもこのカラッポのハートを満杯にできたら…
ロボット:ドンナコトガ オキルンダロウ?
語り手:そしてこんなことを思いついた。
ロボット:ニンゲン ニ ココロ ヲ カシテ モラオウ。
語り手:ロボットは心を貸してくれそうな人間を探しはじめた。
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語り手:しばらく歩いていくと、子どもをたくさん見つけた。
語り手:みんなで輪になって一人の少年を囲み、蹴ったり悪口を言ったりしながら笑っているところだった。
語り手:真ん中の少年の目には水がたまっていた。
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語り手:ロボットは子どもたちに近寄っていった。
ロボット:「ボク ニ ココロ ヲ カシテ クレマセンカ?」
いじめっこ:「なんだよ!ロボットのくせに邪魔するな!」
いじめっこ:「おまえもいじめてやる~!」
語り手:いじめっこたちはロボットを思いっきり蹴りとばした。
語り手:…でもね、ロボットはこんなの痛くも痒くもないのさ。
語り手:とってもかた~い金属でできているんだから。
語り手:いじめっこたちの足の方が、真っ赤に腫れあがってしまった。
いじめっこ:「いって~っ!!」
いじめっこ:「くそぉ!覚えてろよ!」
語り手:いじめっこたちは走って逃げていった。
語り手:少年はロボットに言った。
少年:「助けてくれてありがとう!」
ロボット:「ボク ニ ココロ ヲ カシテ クダサイ」
少年:「心?いいけど…どうやって貸してあげればいいのかな」
語り手:ロボットは胸の蓋を開けてハートのパーツを取り出した。
ロボット:「コレニ イレテ クダサイ」
少年:「わかった、やってみる!」
語り手:少年はハートのパーツを持って楽しいことを考えた。
語り手:すると「楽しい」心がハートの中に入っていった。
語り手:次に悲しいことを考えると、「悲しい」心もハートの中に入っていった。
語り手:「うれしい」心、「さみしい」心、「くやしい」心、
語り手:少年はロボットのハートに一つずつ心を込めていき、やがてハートのパーツは満杯になった。
語り手:ロボットはそれを受け取って自分の胸にしまった。
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語り手:ロボットは空を見た。大きくて青かった。
ロボット:「キレイダナ」
語り手:風が吹いた。
ロボット:「キモチイイナ」
語り手:ノラネコが通った。
ロボット:「カワイイナ」
語り手:すべて初めて感じることだった。
語り手:今までなんとも思わなかったものが、とても素晴らしいもののように感じた。
ロボット:「コレガ ココロ カ」
語り手:ロボットは心を返したくなくなった。
ロボット:「ネェ、コレ カエサナクテモ イイ?」
少年:「いいよ」
語り手:少年は無表情で答えた。
語り手:ロボットは少年からココロを奪ったみたいで、申し訳ない気持ちになった。
ロボット:「…ホントニ イイノ?」
少年:「うん」
語り手:少年は何も感じない。ロボットに心を貸してしまっているからだ。
語り手:でもロボットはそのことに気がつかなかった。
ロボット:「アリガトウ!」
語り手:ロボットはうれしくて、何かお礼がしたくなった。
ロボット:「ソウダ イチゴノショートケーキ ヲ ツクッテアゲルヨ」
語り手:ロボットは、子どもは甘いおやつが大好きだということを知っていた。
語り手:ココロがあるとケーキを作ることも楽しかった。
ロボット:「オイシイ?」
語り手:ロボットはワクワクしながら聞いた。
少年:「べつに」
語り手:少年が喜ぶと思っていたロボットはガッカリした。
ロボット:「ネェ ミテ。オハナ ガ キレイダヨ」
ロボット:「ホラ トリ ガ トンデルヨ」
語り手:ロボットが何を言っても、少年は笑ってくれなかった。
語り手:そんな少年を見て、ロボットは寂しくなった。
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語り手:ロボットは気づいた。ココロは一つだけだと、少しも「おもしろくない」。
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語り手:ロボットはココロを少年に返した。ロボットのハートから少年の心がすべて戻っていった。
少年:「もういいの?」
ロボット:「ハイ。アリガトウ ゴザイマシタ」
少年:「そっか」
語り手:少年はロボットを見てニッコリ笑った。ロボットはなにも感じなかった。
語り手:でももしも自分にココロがあったら、今どんな気持ちになっているか、ロボットはもう知っていた。
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語り手:そのとき、さっきのいじめっこたちが野球のバットを持って戻ってきた。
いじめっこ:「これでもくらえ!!」
語り手:いじめっこたちは金属でできたバットで、ロボットを叩き始めた。
語り手:大きな音を立てて激しくぶつかると、ロボットの固い金属に次々と傷がついた。
少年:「やめてよ!!」
語り手:少年はロボットを助けようとしたが、まったく歯が立たなかった。
語り手:蹴り飛ばされた少年の目には、また水がたまっていた。
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語り手:ロボットは痛みを感じていない。
語り手:でも少年は違う。
語り手:ロボットは知っていた。少年が今どんな気持ちになっているのかを。
語り手:胸がしめつけられるように痛くなっていることを。
語り手:だからいじめっこたちを振り払って、大きな声で言った。
ロボット:「ヤメテクダサイ」
語り手:ロボットは少年を抱きかかえるようにしていじめっこたちから守った。
ロボット:「ヤメテクダサイ ヤメテクダサイ」
語り手:いじめっこたちはロボットを叩き続けた。
語り手:でもロボットは少しもどこうとしなかった。
語り手:そして振り下ろされたバットをついに掴んで、遠くに放り投げた。
いじめっこ:「あぁ!俺のバットがー!!」
語り手:いじめっこたちはバットを追って、そのままいなくなった。
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ロボット:「ダイジョウブ デスカ」
少年:「キミのほうこそ、どこも壊れていない?」
ロボット:「ダイジョウブ デス」
少年:「よかった」
語り手:少年は笑った。
語り手:ロボットは何も感じなかったが、もしもココロがあったら今どんな気持ちになっているか知っていた。
語り手:すると少年は不思議なことを言い出した。
少年:「キミも笑えるんだね」
ロボット:「ボク ワラエテイマスカ?」
少年:「うん!」
語り手:ロボットはうれしくなった。
ロボット:…アレ?
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語り手:いつのまにかロボットのハートのパーツは、少しだけカラッポではなくなっていた。
語り手:そしてロボットはやっとわかった。
語り手:ココロをつくることができるのは、人の心だけなのだと。
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語り手:ロボットは少年に言った。
ロボット:「コレカラ ハ イジメッコ ガ キテモ ボクガイルヨ」
少年:「うん、ありがとう」
語り手:つないだてのひらが温かく感じた。
少年:「ねぇ、またいちごのショートケーキ、つくってくれる?」
ロボット:「ヨロコンデ!」
0:おわり