台本概要
615 views
タイトル | キミはボクのヒカリ |
---|---|
作者名 | きいろ* (@kiiro83) |
ジャンル | 童話 |
演者人数 | 2人用台本(不問2) |
時間 | 10 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
公園の灯りと夜光虫の話。 615 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
公園の灯り | 不問 | 15 | 小さな公園に立つ、今にも消えそうな外灯。 |
夜光虫 | 不問 | 12 | こわがりな夜光虫。 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
公園の灯り(M):ボクは小さな公園に立っている。
公園の灯り(M):とても暗い道の途中にある、とても暗い公園だ。
公園の灯り(M):ボクの仕事はずっと同じ場所に立って、この公園を照らすこと。
公園の灯り(M):あまり人は通らないけれど、それがボクの仕事なんだ。
公園の灯り(M):ボクはこの公園でたった1本の”あかり”だから。
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公園の灯り(M):ボクがこの場所に立てられたのは、もうずいぶん前のこと。
公園の灯り(M):ボクが来てから確かにこの公園は明るくなった。
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公園の灯り(M):でも、ボクはがんばりすぎたのかもしれない。
公園の灯り(M):長い長い間に、だんだんボクのヒカリは弱くなっていった。
公園の灯り(M):公園は少しずつ、真っ暗に近づいていく。
公園の灯り(M):気がつけばボクが照らしているのは自分の足下だけ。
公園の灯り(M):ボクは…役立たずになってしまった。
公園の灯り(M):今はもう、ここに立っている意味はほとんどなかった。それがすごくすごく悲しかった。
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公園の灯り(M):ボクがキミと出会ったのは、そんなある夜のことだった。
公園の灯り(M):ボクの小さなヒカリの輪の中に、一匹の小さな小さな虫がふと姿を現した。
公園の灯り(M):そして心から安心したように”ふぅ”と息をついて言ったんだ。
0:
夜光虫:「やっと見つけた」
公園の灯り(M):ボクは小さなお客さんにたずねた。
公園の灯り:「なにを見つけたの?」
公園の灯り(M):客人はうれしそうにニコニコ笑って答えた。
夜光虫:「キミをだよ」
公園の灯り:「ボク!?」
公園の灯り(M):ボクはとてもびっくりして、白いヒカリをチカチカ点滅させた。
公園の灯り:「どうしてボクを探していたの?」
夜光虫:「こわかったからだよ」
夜光虫:「ボク、暗いところが大きらいなんだ。だからいつも夜になったら明るい場所に行くんだけど…」
夜光虫:「昼間ひらひら飛んでいるうちに道に迷っちゃって、気がついたら辺りが真っ暗だったんだ。」
夜光虫:「この辺にはちっとも明るい場所がなくて、こわくて、こわくて、こわくて…やっとキミを見つけたんだ」
公園の灯り:「そっか…ごめんね。こわかったよね。こんなに暗くて長い道を、たった一人で飛んできたんだもんね。」
公園の灯り:「ボクがもっとがんばれたら、ずっとずっと遠くまでヒカリを届けられたら、キミにこわい思いをさせずにすんだのに」
公園の灯り:「やっぱり、ボクは役立たずだ」
公園の灯り(M):キミは羽をブンブン鳴らして否定した。
夜光虫:「そんなことない、そんなことないよ!キミがいてくれてよかった」
公園の灯り:「ほんとに?」
夜光虫:「ほんとに」
公園の灯り:「ほんとにほんとに?」
夜光虫:「ほんとにほんとに。だからこれからは、夜になったらキミに会いにきてもいいかな?明日もあさっても、その次の日も」
公園の灯り:「もちろんだよ!明日もあさっても、その次の日も、いつの夜も、この場所でキミを待つよ。せいいっぱいに光りながら」
公園の灯り(M):それからキミは毎晩ボクに会いにきた。一晩中おしゃべりをして、ボクらは一緒に朝を迎えた。
公園の灯り(M):キミはいつも、とても楽しそうに笑っていた。
夜光虫:「キミと出会えてうれしいよ」
公園の灯り(M):でもね、きっとボクの方が、キミよりもっともっとうれしかったよ。
公園の灯り(M):キミはボクのヒカリが大好きだといった。毎日言った。
公園の灯り(M):日ごと弱々しくなっていくボクのヒカリを、役立たずなヒカリを、大好きだと言った。何度も言った。ボクはとてもうれしかった。
公園の灯り(M):ここに立っている意味をキミがくれたから。涙が出るほどうれしかったんだ。
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公園の灯り(M):そんな楽しい夜が続いたある日の夕暮れ。
公園の灯り(M):いつも日が沈む少し前に灯るボクの明かりが、その日は日が沈んでも灯らなかった。
公園の灯り(M):ついにこの日が来てしまったんだ。
公園の灯り(M):ボクはもう、光れない。
公園の灯り(M):どんなに力を入れてみても、どんなに願ってみても、ほんの少しの明かりさえ灯らない。
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公園の灯り(M):そして、いつも日が沈む少し前にボクのもとにやってくるキミが、その日は日が沈んでも来なかった。
公園の灯り(M):辺りはもう真っ暗だ。今までにないくらい真っ暗だ。なにも、なにも、なにも見えない。
公園の灯り(M):どうしてキミは来ないの?なにも見えないから、また道に迷っちゃった?
公園の灯り(M):ボクはここにいるのに…キミはまた、たったひとりで怯えているの?
公園の灯り:「ここだよ!」
公園の灯り(M):ボクは叫んだ。
公園の灯り:「ボクはここにいるよ!」
公園の灯り(M):声の限りに叫んだ。
公園の灯り:「ここだよ!ボクはここにいるんだよ!見えないかもしれないけれど…いつもと同じようにこの場所に立っているんだ。」
公園の灯り:「この場所でキミを待っているんだよ!!」
公園の灯り(M):怖がらなくていいよ。キミにはいつだってボクがいる。たとえ光れなくなっても。
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公園の灯り(M):暗い道の向こうに、ちいさな影が見えた。影はふらふらこっちに向かって飛んできた。
公園の灯り(M):ボクにはすぐにキミだと分かった。
公園の灯り:「ここだよ!ボクはここだよ!」
夜光虫:「…うん。遅くなっちゃって、ごめんね。心配かけちゃったね」
公園の灯り:「いいんだよ、そんなこと。」
夜光虫:「…ボクね、ここに来るまで、ちっともこわくなかったよ。何も見えなかったけれど、キミの声、ずっと遠くにいても聞こえてた。」
夜光虫:「今だって、すぐそばにキミがいるのが分かる。だから真っ暗だって、全然こわくないよ。」
夜光虫:「キミはボクのヒカリだから」
公園の灯り(M):その言葉で、ボクは今まで生きてきた中でいちばん幸せなキモチになった。
公園の灯り(M):だけどなにか様子がおかしかった。キミはなぜかとても元気がなかった。
公園の灯り:「キミ、どうしたの?」
夜光虫:「ボクね…お星さまになるんだ」
公園の灯り(M):キミは力無く答えた。でも顔は笑っているようだった。
夜光虫:「今日がね、ボクが地球(ここ)で生きていられる最後の日だったんだ。」
夜光虫:「変えたくても変えられない。どの生き物にも最後の日が決められているんだよ。だからしょうがないんだ」
公園の灯り:「それって、死んじゃうってこと…?」
公園の灯り(M):キミは黙ってうなずいた。
公園の灯り:「そんな…そんなのイヤだ。こんな急に、さよならなんてイヤだよ!」
夜光虫:「泣かないで。ボクだってキミと離れたくないよ。」
夜光虫:「だからね…お空には行きたくない。ボクをキミの中にかくしてほしいんだ。」
夜光虫:「もう顔を合わすことはできなくなるけれど、おしゃべりもできなくなるけれど、ずっとそばにいる。」
夜光虫:「ボクも…キミのヒカリになりたいんだ…」
公園の灯り(M):それが、ボクが聞いたキミの最後の言葉だった。
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公園の灯り(M):ボクは小さな公園に立っている。
公園の灯り(M):今までと同じ場所。でも、もう一人じゃない。
公園の灯り(M):ボクはもう自分の力で光ることはできないけれど、ボクの中で眠る小さな星のヒカリが、仄かに灯っている。
公園の灯り(M):公園は優しいヒカリに照らされている。
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公園の灯り(M):これからもずっと、この場所にいるよ。ボクたちはこの公園でたった1本の”あかり”だから。
公園の灯り(M):そして、
公園の灯り(M):ボクはキミのヒカリで
公園の灯り(M):キミはボクのヒカリだから。
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0:
0:おわり
公園の灯り(M):ボクは小さな公園に立っている。
公園の灯り(M):とても暗い道の途中にある、とても暗い公園だ。
公園の灯り(M):ボクの仕事はずっと同じ場所に立って、この公園を照らすこと。
公園の灯り(M):あまり人は通らないけれど、それがボクの仕事なんだ。
公園の灯り(M):ボクはこの公園でたった1本の”あかり”だから。
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公園の灯り(M):ボクがこの場所に立てられたのは、もうずいぶん前のこと。
公園の灯り(M):ボクが来てから確かにこの公園は明るくなった。
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公園の灯り(M):でも、ボクはがんばりすぎたのかもしれない。
公園の灯り(M):長い長い間に、だんだんボクのヒカリは弱くなっていった。
公園の灯り(M):公園は少しずつ、真っ暗に近づいていく。
公園の灯り(M):気がつけばボクが照らしているのは自分の足下だけ。
公園の灯り(M):ボクは…役立たずになってしまった。
公園の灯り(M):今はもう、ここに立っている意味はほとんどなかった。それがすごくすごく悲しかった。
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公園の灯り(M):ボクがキミと出会ったのは、そんなある夜のことだった。
公園の灯り(M):ボクの小さなヒカリの輪の中に、一匹の小さな小さな虫がふと姿を現した。
公園の灯り(M):そして心から安心したように”ふぅ”と息をついて言ったんだ。
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夜光虫:「やっと見つけた」
公園の灯り(M):ボクは小さなお客さんにたずねた。
公園の灯り:「なにを見つけたの?」
公園の灯り(M):客人はうれしそうにニコニコ笑って答えた。
夜光虫:「キミをだよ」
公園の灯り:「ボク!?」
公園の灯り(M):ボクはとてもびっくりして、白いヒカリをチカチカ点滅させた。
公園の灯り:「どうしてボクを探していたの?」
夜光虫:「こわかったからだよ」
夜光虫:「ボク、暗いところが大きらいなんだ。だからいつも夜になったら明るい場所に行くんだけど…」
夜光虫:「昼間ひらひら飛んでいるうちに道に迷っちゃって、気がついたら辺りが真っ暗だったんだ。」
夜光虫:「この辺にはちっとも明るい場所がなくて、こわくて、こわくて、こわくて…やっとキミを見つけたんだ」
公園の灯り:「そっか…ごめんね。こわかったよね。こんなに暗くて長い道を、たった一人で飛んできたんだもんね。」
公園の灯り:「ボクがもっとがんばれたら、ずっとずっと遠くまでヒカリを届けられたら、キミにこわい思いをさせずにすんだのに」
公園の灯り:「やっぱり、ボクは役立たずだ」
公園の灯り(M):キミは羽をブンブン鳴らして否定した。
夜光虫:「そんなことない、そんなことないよ!キミがいてくれてよかった」
公園の灯り:「ほんとに?」
夜光虫:「ほんとに」
公園の灯り:「ほんとにほんとに?」
夜光虫:「ほんとにほんとに。だからこれからは、夜になったらキミに会いにきてもいいかな?明日もあさっても、その次の日も」
公園の灯り:「もちろんだよ!明日もあさっても、その次の日も、いつの夜も、この場所でキミを待つよ。せいいっぱいに光りながら」
公園の灯り(M):それからキミは毎晩ボクに会いにきた。一晩中おしゃべりをして、ボクらは一緒に朝を迎えた。
公園の灯り(M):キミはいつも、とても楽しそうに笑っていた。
夜光虫:「キミと出会えてうれしいよ」
公園の灯り(M):でもね、きっとボクの方が、キミよりもっともっとうれしかったよ。
公園の灯り(M):キミはボクのヒカリが大好きだといった。毎日言った。
公園の灯り(M):日ごと弱々しくなっていくボクのヒカリを、役立たずなヒカリを、大好きだと言った。何度も言った。ボクはとてもうれしかった。
公園の灯り(M):ここに立っている意味をキミがくれたから。涙が出るほどうれしかったんだ。
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公園の灯り(M):そんな楽しい夜が続いたある日の夕暮れ。
公園の灯り(M):いつも日が沈む少し前に灯るボクの明かりが、その日は日が沈んでも灯らなかった。
公園の灯り(M):ついにこの日が来てしまったんだ。
公園の灯り(M):ボクはもう、光れない。
公園の灯り(M):どんなに力を入れてみても、どんなに願ってみても、ほんの少しの明かりさえ灯らない。
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公園の灯り(M):そして、いつも日が沈む少し前にボクのもとにやってくるキミが、その日は日が沈んでも来なかった。
公園の灯り(M):辺りはもう真っ暗だ。今までにないくらい真っ暗だ。なにも、なにも、なにも見えない。
公園の灯り(M):どうしてキミは来ないの?なにも見えないから、また道に迷っちゃった?
公園の灯り(M):ボクはここにいるのに…キミはまた、たったひとりで怯えているの?
公園の灯り:「ここだよ!」
公園の灯り(M):ボクは叫んだ。
公園の灯り:「ボクはここにいるよ!」
公園の灯り(M):声の限りに叫んだ。
公園の灯り:「ここだよ!ボクはここにいるんだよ!見えないかもしれないけれど…いつもと同じようにこの場所に立っているんだ。」
公園の灯り:「この場所でキミを待っているんだよ!!」
公園の灯り(M):怖がらなくていいよ。キミにはいつだってボクがいる。たとえ光れなくなっても。
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公園の灯り(M):暗い道の向こうに、ちいさな影が見えた。影はふらふらこっちに向かって飛んできた。
公園の灯り(M):ボクにはすぐにキミだと分かった。
公園の灯り:「ここだよ!ボクはここだよ!」
夜光虫:「…うん。遅くなっちゃって、ごめんね。心配かけちゃったね」
公園の灯り:「いいんだよ、そんなこと。」
夜光虫:「…ボクね、ここに来るまで、ちっともこわくなかったよ。何も見えなかったけれど、キミの声、ずっと遠くにいても聞こえてた。」
夜光虫:「今だって、すぐそばにキミがいるのが分かる。だから真っ暗だって、全然こわくないよ。」
夜光虫:「キミはボクのヒカリだから」
公園の灯り(M):その言葉で、ボクは今まで生きてきた中でいちばん幸せなキモチになった。
公園の灯り(M):だけどなにか様子がおかしかった。キミはなぜかとても元気がなかった。
公園の灯り:「キミ、どうしたの?」
夜光虫:「ボクね…お星さまになるんだ」
公園の灯り(M):キミは力無く答えた。でも顔は笑っているようだった。
夜光虫:「今日がね、ボクが地球(ここ)で生きていられる最後の日だったんだ。」
夜光虫:「変えたくても変えられない。どの生き物にも最後の日が決められているんだよ。だからしょうがないんだ」
公園の灯り:「それって、死んじゃうってこと…?」
公園の灯り(M):キミは黙ってうなずいた。
公園の灯り:「そんな…そんなのイヤだ。こんな急に、さよならなんてイヤだよ!」
夜光虫:「泣かないで。ボクだってキミと離れたくないよ。」
夜光虫:「だからね…お空には行きたくない。ボクをキミの中にかくしてほしいんだ。」
夜光虫:「もう顔を合わすことはできなくなるけれど、おしゃべりもできなくなるけれど、ずっとそばにいる。」
夜光虫:「ボクも…キミのヒカリになりたいんだ…」
公園の灯り(M):それが、ボクが聞いたキミの最後の言葉だった。
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公園の灯り(M):ボクは小さな公園に立っている。
公園の灯り(M):今までと同じ場所。でも、もう一人じゃない。
公園の灯り(M):ボクはもう自分の力で光ることはできないけれど、ボクの中で眠る小さな星のヒカリが、仄かに灯っている。
公園の灯り(M):公園は優しいヒカリに照らされている。
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公園の灯り(M):これからもずっと、この場所にいるよ。ボクたちはこの公園でたった1本の”あかり”だから。
公園の灯り(M):そして、
公園の灯り(M):ボクはキミのヒカリで
公園の灯り(M):キミはボクのヒカリだから。
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