台本概要

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タイトル キミはボクのヒカリ
作者名 きいろ*  (@kiiro83)
ジャンル 童話
演者人数 2人用台本(不問2)
時間 10 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 公園の灯りと夜光虫の話。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
公園の灯り 不問 15 小さな公園に立つ、今にも消えそうな外灯。
夜光虫 不問 12 こわがりな夜光虫。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
公園の灯り(M):ボクは小さな公園に立っている。 公園の灯り(M):とても暗い道の途中にある、とても暗い公園だ。 公園の灯り(M):ボクの仕事はずっと同じ場所に立って、この公園を照らすこと。 公園の灯り(M):あまり人は通らないけれど、それがボクの仕事なんだ。 公園の灯り(M):ボクはこの公園でたった1本の”あかり”だから。 0: 0: 0: 公園の灯り(M):ボクがこの場所に立てられたのは、もうずいぶん前のこと。 公園の灯り(M):ボクが来てから確かにこの公園は明るくなった。 0: 公園の灯り(M):でも、ボクはがんばりすぎたのかもしれない。 公園の灯り(M):長い長い間に、だんだんボクのヒカリは弱くなっていった。 公園の灯り(M):公園は少しずつ、真っ暗に近づいていく。 公園の灯り(M):気がつけばボクが照らしているのは自分の足下だけ。 公園の灯り(M):ボクは…役立たずになってしまった。 公園の灯り(M):今はもう、ここに立っている意味はほとんどなかった。それがすごくすごく悲しかった。 0: 0: 0: 公園の灯り(M):ボクがキミと出会ったのは、そんなある夜のことだった。 公園の灯り(M):ボクの小さなヒカリの輪の中に、一匹の小さな小さな虫がふと姿を現した。 公園の灯り(M):そして心から安心したように”ふぅ”と息をついて言ったんだ。 0: 夜光虫:「やっと見つけた」 公園の灯り(M):ボクは小さなお客さんにたずねた。 公園の灯り:「なにを見つけたの?」 公園の灯り(M):客人はうれしそうにニコニコ笑って答えた。 夜光虫:「キミをだよ」 公園の灯り:「ボク!?」 公園の灯り(M):ボクはとてもびっくりして、白いヒカリをチカチカ点滅させた。 公園の灯り:「どうしてボクを探していたの?」 夜光虫:「こわかったからだよ」 夜光虫:「ボク、暗いところが大きらいなんだ。だからいつも夜になったら明るい場所に行くんだけど…」 夜光虫:「昼間ひらひら飛んでいるうちに道に迷っちゃって、気がついたら辺りが真っ暗だったんだ。」 夜光虫:「この辺にはちっとも明るい場所がなくて、こわくて、こわくて、こわくて…やっとキミを見つけたんだ」 公園の灯り:「そっか…ごめんね。こわかったよね。こんなに暗くて長い道を、たった一人で飛んできたんだもんね。」 公園の灯り:「ボクがもっとがんばれたら、ずっとずっと遠くまでヒカリを届けられたら、キミにこわい思いをさせずにすんだのに」 公園の灯り:「やっぱり、ボクは役立たずだ」 公園の灯り(M):キミは羽をブンブン鳴らして否定した。 夜光虫:「そんなことない、そんなことないよ!キミがいてくれてよかった」 公園の灯り:「ほんとに?」 夜光虫:「ほんとに」 公園の灯り:「ほんとにほんとに?」 夜光虫:「ほんとにほんとに。だからこれからは、夜になったらキミに会いにきてもいいかな?明日もあさっても、その次の日も」 公園の灯り:「もちろんだよ!明日もあさっても、その次の日も、いつの夜も、この場所でキミを待つよ。せいいっぱいに光りながら」 公園の灯り(M):それからキミは毎晩ボクに会いにきた。一晩中おしゃべりをして、ボクらは一緒に朝を迎えた。 公園の灯り(M):キミはいつも、とても楽しそうに笑っていた。 夜光虫:「キミと出会えてうれしいよ」 公園の灯り(M):でもね、きっとボクの方が、キミよりもっともっとうれしかったよ。 公園の灯り(M):キミはボクのヒカリが大好きだといった。毎日言った。 公園の灯り(M):日ごと弱々しくなっていくボクのヒカリを、役立たずなヒカリを、大好きだと言った。何度も言った。ボクはとてもうれしかった。 公園の灯り(M):ここに立っている意味をキミがくれたから。涙が出るほどうれしかったんだ。 0: 0: 0: 公園の灯り(M):そんな楽しい夜が続いたある日の夕暮れ。 公園の灯り(M):いつも日が沈む少し前に灯るボクの明かりが、その日は日が沈んでも灯らなかった。 公園の灯り(M):ついにこの日が来てしまったんだ。 公園の灯り(M):ボクはもう、光れない。 公園の灯り(M):どんなに力を入れてみても、どんなに願ってみても、ほんの少しの明かりさえ灯らない。 0: 公園の灯り(M):そして、いつも日が沈む少し前にボクのもとにやってくるキミが、その日は日が沈んでも来なかった。 公園の灯り(M):辺りはもう真っ暗だ。今までにないくらい真っ暗だ。なにも、なにも、なにも見えない。 公園の灯り(M):どうしてキミは来ないの?なにも見えないから、また道に迷っちゃった? 公園の灯り(M):ボクはここにいるのに…キミはまた、たったひとりで怯えているの? 公園の灯り:「ここだよ!」 公園の灯り(M):ボクは叫んだ。 公園の灯り:「ボクはここにいるよ!」 公園の灯り(M):声の限りに叫んだ。 公園の灯り:「ここだよ!ボクはここにいるんだよ!見えないかもしれないけれど…いつもと同じようにこの場所に立っているんだ。」 公園の灯り:「この場所でキミを待っているんだよ!!」 公園の灯り(M):怖がらなくていいよ。キミにはいつだってボクがいる。たとえ光れなくなっても。 0: 0: 0: 公園の灯り(M):暗い道の向こうに、ちいさな影が見えた。影はふらふらこっちに向かって飛んできた。 公園の灯り(M):ボクにはすぐにキミだと分かった。 公園の灯り:「ここだよ!ボクはここだよ!」 夜光虫:「…うん。遅くなっちゃって、ごめんね。心配かけちゃったね」 公園の灯り:「いいんだよ、そんなこと。」 夜光虫:「…ボクね、ここに来るまで、ちっともこわくなかったよ。何も見えなかったけれど、キミの声、ずっと遠くにいても聞こえてた。」 夜光虫:「今だって、すぐそばにキミがいるのが分かる。だから真っ暗だって、全然こわくないよ。」 夜光虫:「キミはボクのヒカリだから」 公園の灯り(M):その言葉で、ボクは今まで生きてきた中でいちばん幸せなキモチになった。 公園の灯り(M):だけどなにか様子がおかしかった。キミはなぜかとても元気がなかった。 公園の灯り:「キミ、どうしたの?」 夜光虫:「ボクね…お星さまになるんだ」 公園の灯り(M):キミは力無く答えた。でも顔は笑っているようだった。 夜光虫:「今日がね、ボクが地球(ここ)で生きていられる最後の日だったんだ。」 夜光虫:「変えたくても変えられない。どの生き物にも最後の日が決められているんだよ。だからしょうがないんだ」 公園の灯り:「それって、死んじゃうってこと…?」 公園の灯り(M):キミは黙ってうなずいた。 公園の灯り:「そんな…そんなのイヤだ。こんな急に、さよならなんてイヤだよ!」 夜光虫:「泣かないで。ボクだってキミと離れたくないよ。」 夜光虫:「だからね…お空には行きたくない。ボクをキミの中にかくしてほしいんだ。」 夜光虫:「もう顔を合わすことはできなくなるけれど、おしゃべりもできなくなるけれど、ずっとそばにいる。」 夜光虫:「ボクも…キミのヒカリになりたいんだ…」 公園の灯り(M):それが、ボクが聞いたキミの最後の言葉だった。 0: 0: 0: 0: 0: 0: 公園の灯り(M):ボクは小さな公園に立っている。 公園の灯り(M):今までと同じ場所。でも、もう一人じゃない。 公園の灯り(M):ボクはもう自分の力で光ることはできないけれど、ボクの中で眠る小さな星のヒカリが、仄かに灯っている。 公園の灯り(M):公園は優しいヒカリに照らされている。 0: 0: 公園の灯り(M):これからもずっと、この場所にいるよ。ボクたちはこの公園でたった1本の”あかり”だから。 公園の灯り(M):そして、 公園の灯り(M):ボクはキミのヒカリで 公園の灯り(M):キミはボクのヒカリだから。 0: 0: 0: 0:おわり

公園の灯り(M):ボクは小さな公園に立っている。 公園の灯り(M):とても暗い道の途中にある、とても暗い公園だ。 公園の灯り(M):ボクの仕事はずっと同じ場所に立って、この公園を照らすこと。 公園の灯り(M):あまり人は通らないけれど、それがボクの仕事なんだ。 公園の灯り(M):ボクはこの公園でたった1本の”あかり”だから。 0: 0: 0: 公園の灯り(M):ボクがこの場所に立てられたのは、もうずいぶん前のこと。 公園の灯り(M):ボクが来てから確かにこの公園は明るくなった。 0: 公園の灯り(M):でも、ボクはがんばりすぎたのかもしれない。 公園の灯り(M):長い長い間に、だんだんボクのヒカリは弱くなっていった。 公園の灯り(M):公園は少しずつ、真っ暗に近づいていく。 公園の灯り(M):気がつけばボクが照らしているのは自分の足下だけ。 公園の灯り(M):ボクは…役立たずになってしまった。 公園の灯り(M):今はもう、ここに立っている意味はほとんどなかった。それがすごくすごく悲しかった。 0: 0: 0: 公園の灯り(M):ボクがキミと出会ったのは、そんなある夜のことだった。 公園の灯り(M):ボクの小さなヒカリの輪の中に、一匹の小さな小さな虫がふと姿を現した。 公園の灯り(M):そして心から安心したように”ふぅ”と息をついて言ったんだ。 0: 夜光虫:「やっと見つけた」 公園の灯り(M):ボクは小さなお客さんにたずねた。 公園の灯り:「なにを見つけたの?」 公園の灯り(M):客人はうれしそうにニコニコ笑って答えた。 夜光虫:「キミをだよ」 公園の灯り:「ボク!?」 公園の灯り(M):ボクはとてもびっくりして、白いヒカリをチカチカ点滅させた。 公園の灯り:「どうしてボクを探していたの?」 夜光虫:「こわかったからだよ」 夜光虫:「ボク、暗いところが大きらいなんだ。だからいつも夜になったら明るい場所に行くんだけど…」 夜光虫:「昼間ひらひら飛んでいるうちに道に迷っちゃって、気がついたら辺りが真っ暗だったんだ。」 夜光虫:「この辺にはちっとも明るい場所がなくて、こわくて、こわくて、こわくて…やっとキミを見つけたんだ」 公園の灯り:「そっか…ごめんね。こわかったよね。こんなに暗くて長い道を、たった一人で飛んできたんだもんね。」 公園の灯り:「ボクがもっとがんばれたら、ずっとずっと遠くまでヒカリを届けられたら、キミにこわい思いをさせずにすんだのに」 公園の灯り:「やっぱり、ボクは役立たずだ」 公園の灯り(M):キミは羽をブンブン鳴らして否定した。 夜光虫:「そんなことない、そんなことないよ!キミがいてくれてよかった」 公園の灯り:「ほんとに?」 夜光虫:「ほんとに」 公園の灯り:「ほんとにほんとに?」 夜光虫:「ほんとにほんとに。だからこれからは、夜になったらキミに会いにきてもいいかな?明日もあさっても、その次の日も」 公園の灯り:「もちろんだよ!明日もあさっても、その次の日も、いつの夜も、この場所でキミを待つよ。せいいっぱいに光りながら」 公園の灯り(M):それからキミは毎晩ボクに会いにきた。一晩中おしゃべりをして、ボクらは一緒に朝を迎えた。 公園の灯り(M):キミはいつも、とても楽しそうに笑っていた。 夜光虫:「キミと出会えてうれしいよ」 公園の灯り(M):でもね、きっとボクの方が、キミよりもっともっとうれしかったよ。 公園の灯り(M):キミはボクのヒカリが大好きだといった。毎日言った。 公園の灯り(M):日ごと弱々しくなっていくボクのヒカリを、役立たずなヒカリを、大好きだと言った。何度も言った。ボクはとてもうれしかった。 公園の灯り(M):ここに立っている意味をキミがくれたから。涙が出るほどうれしかったんだ。 0: 0: 0: 公園の灯り(M):そんな楽しい夜が続いたある日の夕暮れ。 公園の灯り(M):いつも日が沈む少し前に灯るボクの明かりが、その日は日が沈んでも灯らなかった。 公園の灯り(M):ついにこの日が来てしまったんだ。 公園の灯り(M):ボクはもう、光れない。 公園の灯り(M):どんなに力を入れてみても、どんなに願ってみても、ほんの少しの明かりさえ灯らない。 0: 公園の灯り(M):そして、いつも日が沈む少し前にボクのもとにやってくるキミが、その日は日が沈んでも来なかった。 公園の灯り(M):辺りはもう真っ暗だ。今までにないくらい真っ暗だ。なにも、なにも、なにも見えない。 公園の灯り(M):どうしてキミは来ないの?なにも見えないから、また道に迷っちゃった? 公園の灯り(M):ボクはここにいるのに…キミはまた、たったひとりで怯えているの? 公園の灯り:「ここだよ!」 公園の灯り(M):ボクは叫んだ。 公園の灯り:「ボクはここにいるよ!」 公園の灯り(M):声の限りに叫んだ。 公園の灯り:「ここだよ!ボクはここにいるんだよ!見えないかもしれないけれど…いつもと同じようにこの場所に立っているんだ。」 公園の灯り:「この場所でキミを待っているんだよ!!」 公園の灯り(M):怖がらなくていいよ。キミにはいつだってボクがいる。たとえ光れなくなっても。 0: 0: 0: 公園の灯り(M):暗い道の向こうに、ちいさな影が見えた。影はふらふらこっちに向かって飛んできた。 公園の灯り(M):ボクにはすぐにキミだと分かった。 公園の灯り:「ここだよ!ボクはここだよ!」 夜光虫:「…うん。遅くなっちゃって、ごめんね。心配かけちゃったね」 公園の灯り:「いいんだよ、そんなこと。」 夜光虫:「…ボクね、ここに来るまで、ちっともこわくなかったよ。何も見えなかったけれど、キミの声、ずっと遠くにいても聞こえてた。」 夜光虫:「今だって、すぐそばにキミがいるのが分かる。だから真っ暗だって、全然こわくないよ。」 夜光虫:「キミはボクのヒカリだから」 公園の灯り(M):その言葉で、ボクは今まで生きてきた中でいちばん幸せなキモチになった。 公園の灯り(M):だけどなにか様子がおかしかった。キミはなぜかとても元気がなかった。 公園の灯り:「キミ、どうしたの?」 夜光虫:「ボクね…お星さまになるんだ」 公園の灯り(M):キミは力無く答えた。でも顔は笑っているようだった。 夜光虫:「今日がね、ボクが地球(ここ)で生きていられる最後の日だったんだ。」 夜光虫:「変えたくても変えられない。どの生き物にも最後の日が決められているんだよ。だからしょうがないんだ」 公園の灯り:「それって、死んじゃうってこと…?」 公園の灯り(M):キミは黙ってうなずいた。 公園の灯り:「そんな…そんなのイヤだ。こんな急に、さよならなんてイヤだよ!」 夜光虫:「泣かないで。ボクだってキミと離れたくないよ。」 夜光虫:「だからね…お空には行きたくない。ボクをキミの中にかくしてほしいんだ。」 夜光虫:「もう顔を合わすことはできなくなるけれど、おしゃべりもできなくなるけれど、ずっとそばにいる。」 夜光虫:「ボクも…キミのヒカリになりたいんだ…」 公園の灯り(M):それが、ボクが聞いたキミの最後の言葉だった。 0: 0: 0: 0: 0: 0: 公園の灯り(M):ボクは小さな公園に立っている。 公園の灯り(M):今までと同じ場所。でも、もう一人じゃない。 公園の灯り(M):ボクはもう自分の力で光ることはできないけれど、ボクの中で眠る小さな星のヒカリが、仄かに灯っている。 公園の灯り(M):公園は優しいヒカリに照らされている。 0: 0: 公園の灯り(M):これからもずっと、この場所にいるよ。ボクたちはこの公園でたった1本の”あかり”だから。 公園の灯り(M):そして、 公園の灯り(M):ボクはキミのヒカリで 公園の灯り(M):キミはボクのヒカリだから。 0: 0: 0: 0:おわり