台本概要

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タイトル ゼロ・クロイツ
作者名 てくす  (@daihooon)
ジャンル ファンタジー
演者人数 2人用台本(男2)
時間 30 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 クリスタル・メモリア
という、一つの世界の中のお話。
剣と魔法の世界、ナギア。
神、ラトラが創り出した原初の精霊たちは、自身の国を作り、ヒトを造った。
原初の精霊が作らず、ヒトが造った国の闇の部分。そんな失われた街、ロストで二人は出会う。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
ゼロ 115 自分に関する記憶等が一切ないことから、ゼロと名付けられる。闇の属性に適性を持っていた。
レニクス 113 ハーフエルフであるが、人の血が濃く、見た目は人。だが、見た目に反して、歳はとっているらしい。火の属性の適性を持っている。兄貴肌。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
0:クリスタル・メモリア 0:0の章 0:ゼロ・クロイツ 0: レニクス:ここがロスト…ね レニクス:確かに"何も無い"… レニクス:失われた町としては申し分ないな 0:【レニクスに後ろから誰かがぶつかる】 ゼロ:っ… レニクス:痛っ…おい、気をつけろ レニクス:前向いて歩けよ ゼロ:…… レニクス:待て ゼロ:ッッ! レニクス:少し…話そうぜ 0: レニクス:俺は優しいんだ、分かるか? レニクス:盗ったもん出してみろ ゼロ:いつ… レニクス:ん? ゼロ:いつ分かったの? レニクス:ぶつかった時から…最初からだな レニクス:まぁ、そのままソレはお前にやってよかったが レニクス:ちょっと気分が変わった ゼロ:え…なんで?くれようとしたの? レニクス:お前、親は? ゼロ:…… レニクス:名前は? ゼロ:…… レニクス:親も名前も無い…か レニクス:ははっ!流石ロスト レニクス:住んでる奴も何もないんだな ゼロ:思い出も… レニクス:ん? ゼロ:僕には何もない ゼロ:親って人も、名前も、住む場所も ゼロ:ここに来るまでの思い出も レニクス:じゃあ俺がお前にやるよ ゼロ:…え? レニクス:名前だ レニクス:お前には何も無い、だから レニクス:"ゼロ" ゼロ:ゼロ… レニクス:ゼロ、一緒に来るか? レニクス:なにせ俺は今日初めてここに来たんだ レニクス:どこに何があるかもわからねぇ レニクス:だから案内しろ、ゼロ ゼロ:あっ…えっと レニクス:ん?…あぁ、俺か レニクス:俺はレニクス、よろしくな ゼロ:(それが、俺が初めてアイツに出会った思い出 ゼロ:何も無かった俺が、初めて何かを手に入れた思い出) 0: レニクス:本当にその日暮らしってやつだな レニクス:ここ奴らは皆んなそうなのか? ゼロ:大人はお金を持ってる ゼロ:だから住む場所がある レニクス:子どものお前はお金がないから レニクス:住む場所がないって? ゼロ:お金があれば宿に泊まれる ゼロ:なかったらそこら辺で寝る レニクス:お前、歳は? ゼロ:わからない… レニクス:ふーん…推定10歳くらいか? レニクス:いつからここにいるんだ? ゼロ:多分2、3年前から レニクス:なるほどな レニクス:ここが宿だな? ゼロ:レニクスは余所者だから ゼロ:お金いっぱい取られるよ ゼロ:宿って言ってもここはそういう場所だから レニクス:ははっ!任せとけ 0: ゼロ:凄い、さっきの何? レニクス:長く生きてりゃ、色んなものを見るんだよ レニクス:そんで、さっきのは魔法だ ゼロ:魔法は知ってる ゼロ:けど、レニクスの魔法は見たことない レニクス:ほー、お前、良い目を持ってるな ゼロ:良い目? レニクス:普通はどんな魔法であれ、変化はないんだよ レニクス:それを見たことないと言うお前は レニクス:普通じゃ見えないものが見えてる ゼロ:普通じゃ見みえないもの? レニクス:あぁ、魔力の流れ レニクス:魔法の真髄だな ゼロ:だけど僕は魔法得意じゃないし ゼロ:何もできないよ レニクス:お前の属性加護は何だ? ゼロ:わからない… レニクス:…そうだった、お前には何も無いんだった レニクス:じゃあ、いつも使う魔法は? ゼロ:基本の魔法しか使わない ゼロ:けど全然出来ない レニクス:基本の魔法?…あぁ、五大属性か レニクス:じゃあ、こんなのはどうだ? レニクス:『ダーク』 ゼロ:えっ!?暗くなった! レニクス:これは闇魔法だ レニクス:ついでに『ライト』 ゼロ:今度は明るくなった レニクス:これは光魔法だ レニクス:これは初歩中の初歩 レニクス:誰にでも使えるが、属性加護が闇と光はほとんどいない レニクス:本来なら神殿で見てもらうのが早いが レニクス:ここに居たらそれもできないだろうな ゼロ:…『ダーク』 レニクス:!?これは… ゼロ:レニクスの時より…暗い? レニクス:なるほどな、お前の属性加護は闇だな ゼロ:闇… レニクス:この町を案内する代金代わりだ レニクス:俺がお前に魔法を教えてやる ゼロ:(それが、俺が初めて魔法を知った思い出) 0: 0:【6年後】 ゼロ:その程度で俺に喧嘩を売ったのか?お前ら ゼロ:目障りだな、消えろ ゼロ:『ダークネス・スピア』 0: レニクス:また喧嘩か? ゼロ:相手の実力も、自分の実力もわからない奴らだよ レニクス:俺のおかげで強くなれた奴がよく言うよ ゼロ:うるせぇ ゼロ:それで?手かがりは見つけたのかよ? レニクス:いいや、全然だな レニクス:ここに6年もいるのに全く謎だ ゼロ:6年…全然老けないなレニクスは レニクス:あぁ、言ってなかったか? レニクス:俺はエルフとのハーフ レニクス:ハーフエルフだ レニクス:人間の血を濃く受け継いだから レニクス:見た目は人間だがな レニクス:これでも老けと寿命には自信があるぜ ゼロ:便利な身体だな レニクス:あぁ、だからこそ6年も無駄にできる ゼロ:無駄なのかよ レニクス:無駄じゃ無いかもしれないが レニクス:ここまで手がかりがないとな レニクス:けどまぁ、魔原書以外にも色々やってるし レニクス:そう簡単でもないのはわかっていた レニクス:10年はかかると見ていたからな ゼロ:…… ゼロ:本当にこんな所にあるのかよ ゼロ:その…魔原書ってやつは レニクス:ある、だから俺がここにいる ゼロ:そんなモン手に入れてどうすんだよ レニクス:……いい機会だ レニクス:お前も触れてこなかった魔原書について レニクス:教えてやるよ、俺の目的も ゼロ:目的? レニクス:五大属性はもう分かるな? レニクス:火、水、風、雷、土 レニクス:この世界が神によって生み出され レニクス:その最初の礎になった精霊がいる レニクス:土が世界を形造り、水が大地を潤し レニクス:風が世界を平にし、雷が天を創り レニクス:火が生命を誕生させた ゼロ:また勉強会か?それは魔法を教えてもらった時 ゼロ:何回も聞いた話だ レニクス:あぁ、そうだ レニクス:ここからが本題だ レニクス:そんな原初の精霊を五大精霊と言う レニクス:全員が仲良く一つの場所で暮らすことはなかった レニクス:だから世界が落ち着いた頃 レニクス:この五大精霊は自分たちの国を創った ゼロ:国? レニクス:お前は外に興味がなかったから レニクス:今まで言わなかったが レニクス:このロストの外には レニクス:五つの国があった ゼロ:なるほどな ゼロ:その精霊たちが創った国に ゼロ:俺たち以外の誰かがいるわけだ レニクス:火のシュテンが創ったコクヨウ レニクス:水のエヴァが創ったルーアン レニクス:風のヴァーが創ったハルモニア レニクス:土のオルタが創ったゼルメトア レニクス:雷のセイクーが創ったトールゥ ゼロ:聞いたことも無かった ゼロ:そうか、この外に… レニクス:だが、神の悪戯か レニクス:精霊以外の命が生まれた少し後に レニクス:この五大精霊たちは封印された ゼロ:神に封印された? レニクス:あぁ、そうだ レニクス:神がこの世界で力を付けすぎた精霊を恐れたのか レニクス:また別の何かか… レニクス:その封印したものが魔原書 レニクス:五大精霊になぞられ、五大魔原書と言われている ゼロ:つまり、その魔原書には五大精霊が眠っている? ゼロ:それを手に入れれば精霊の力を使役して レニクス:ははっ!察しがいいな レニクス:その通りだ レニクス:魔原書に認められれば レニクス:封印を解くことができる レニクス:俺はそれをしなくてはいけない ゼロ:それが目的ってやつか レニクス:いいや、それはただの前段階 レニクス:俺の目的は 0: レニクス:世界を壊すことだ ゼロ:世界を壊す…? レニクス:あぁ、言っただろ? レニクス:この外には五つの国があった、と レニクス:昔は偉大な精霊が創った国を保持し レニクス:互いに不可侵であり、国独自に発展した ゼロ:なるほどな ゼロ:外の世界もここと変わらないわけだ ゼロ:その後に奪い合いが始まった レニクス:あぁ、意思ある命は傲慢で強欲だ レニクス:自分の国に無いものを欲しがり レニクス:他の国を侵略するようになった レニクス:だが、中には素晴らしい人間もいた レニクス:そして創ったんだ ゼロ:創る? レニクス:6個目の国 レニクス:人間の創った国、エデンガーデン ゼロ:人間の国… レニクス:他の国を侵略するということは戦争だ レニクス:死者も出れば難民も出た レニクス:だから、エデンガーデンは全国に対し レニクス:中立であり不可侵を決め レニクス:全ての難民を受け入れた ゼロ:はっ、なんともまぁ素晴らしい話じゃねーか ゼロ:美しい人間もいるってわけだ レニクス:ただ、それも昔の話だ ゼロ:てことは、エデンガーデンも攻めたのか レニクス:いいや、違う レニクス:あくまで中立で不可侵だ レニクス:だが、それで上手くいくとは思えない レニクス:それでもあの国は発展を続けている レニクス:難民たちが自国の技術を流したとも レニクス:言われているが、どうもきな臭い ゼロ:技術を流してるんだろ? ゼロ:そこから発展してもおかしくない ゼロ:難民と言えど全国の人間が集まっているんだ ゼロ:技術力が高くなったのも納得はいくが? レニクス:…俺がな、不審に思っているのは レニクス:此処なんだよ、ゼロ ゼロ:…ロスト レニクス:あぁ、もしエデンガーデンが光の国だとすれば レニクス:ここ、ロストは闇の国だ レニクス:ゴミ溜め、廃棄場 レニクス:そんな呼ばれ方もしているんだ ゼロ:確かにここはそう言う場所だ ゼロ:だが、なぜロストが出てくる レニクス:ロストを創ったのがエデンガーデンだ ゼロ:…何? レニクス:最初は国内で犯罪を犯した者を レニクス:島流し的にここを創り集めたのが始まり レニクス:今ではお前みたいな育児放棄のガキや レニクス:何も持たないモノが集まる国になった レニクス:エデンガーデンも手が出せないほどに レニクス:ここは闇に堕ちてしまったんだよ ゼロ:…… レニクス:世界から断絶された場所、ロスト レニクス:光の国といえど闇に手を差し伸べる光は レニクス:もう無いらしい レニクス:それにこの場所を創った奴らは死に レニクス:その意思を受け継いだやつらも レニクス:今やエデンガーデンの奥深く、老人共の巣窟だ ゼロ:そうか ゼロ:実権を握っているわけではないが ゼロ:裏に根付いた何かがあるわけか レニクス:だからだ レニクス:戦争だの、ゴミ溜めだの レニクス:この腐った世界を一度壊す レニクス:そしてまた作り上げるんだ レニクス:精霊の国を ゼロ:その為の魔原書 レニクス:俺の属性加護は火 レニクス:そしてここ、ロストに眠るのが レニクス:火の魔原書シュテンだ ゼロ:本当にあるのかよ ゼロ:6年も何も見つけられないのに レニクス:ある ゼロ:たとえ魔原書を見つけてもレニクスだけで ゼロ:国なんか作れるのかよ レニクス:俺だけじゃない レニクス:俺の他にも魔原書を探している レニクス:俺たちは世界を壊す者だ ゼロ:明日 レニクス:ん? ゼロ:明日から俺も手伝う ゼロ:いいだろ? レニクス:魔原書はやらんぞ ゼロ:はっ、この国では取ったモン勝ちなんだよ レニクス:ははっ!だったら俺も本気にならないとな 0: 0:【共に探し始めて数日経った頃】 ゼロ:と言っても6年も探した場所だ ゼロ:そう簡単には見つからないよな ゼロ:今日はここまでか ゼロ:…?…なんだ? レニクス:どうしたゼロ? ゼロ:呼んでいる…? ゼロ:…ッ!レニクス! レニクス:何か見つけたか? ゼロ:見えるぞ、魔力の流れが レニクス:…何? レニクス:俺には全く見えないな ゼロ:俺だけに見える流れ…? ゼロ:辿ろう 0: ゼロ:ここで途切れている… ゼロ:なんだ?何もないぞ レニクス:ははっ!なるほどな レニクス:ここからは俺の番だな ゼロ:何をするんだ? レニクス:超高等隠蔽魔法だな レニクス:"ここにある"と言われない限り レニクス:見つけるのは無理だ レニクス:だが、あるのがわかれば一瞬だ ゼロ:ッ…これは、地下迷宮? レニクス:いいじゃねーか レニクス:魔原書がある場所に相応しい レニクス:いくぞ、ゼロ ゼロ:あぁ ゼロ:(それから俺たちはこの迷宮を歩いた ゼロ:不思議な魔力に満ちたその場所は ゼロ:色んな感覚を狂わせた… ゼロ:もう何年も歩いたような錯覚 ゼロ:道中には魔物も襲いかかる) レニクス:『フレア・ガンマ』 レニクス:…気を抜くなよゼロ ゼロ:『ダークネス・アロー』 ゼロ:段々強くなってきているな… レニクス:近い証拠かもな…行くぞ ゼロ:はぁ…はぁ… レニクス:体力ないな、お前 ゼロ:感覚が狂うんだよ、目が良い分 ゼロ:酔った気もする レニクス:高濃度の魔力がそこら中に充満している レニクス:自分の魔力を合わせて中和しろ ゼロ:軽く言いやがって… レニクス:ははっ!まだまだだな 0: レニクス:ここが最下層っぽいな ゼロ:分かるのか?…いや、この質問は不要だな レニクス:お前も解るようになってきたな レニクス:この地下迷宮、お前の特訓には役に立ったな レニクス:噂には聞いていたが、ここが レニクス:"ラトラ"を冠する迷宮か ゼロ:ラトラ? レニクス:ラトラはこの世界を創った神だ レニクス:つまりは五大精霊を封印した本人だな レニクス:そして、ラトラの名を冠する迷宮、塔、遺跡 レニクス:そんなモノがどこかにあるらしい、という話は聞いていた レニクス:もちろんその中にあるであろう宝も レニクス:神的な力を持つ…とな ゼロ:蓋を開けてみたら五大精霊ってわけだな レニクス:あぁ、報酬は魔原書 レニクス:申し分ない ゼロ:神が創ったものでも ゼロ:レニクスには敵わないってか? レニクス:普通の奴らならそこらで死んでるさ レニクス:俺は魔原書の為に鍛えてるからな ゼロ:認めさせる…だったか レニクス:あぁ、手に入れただけじゃ使えない レニクス:魔原書に認められるほどの力がいる レニクス:それに俺には時間はあるからな ゼロ:ハーフエルフってのも便利な身体だな レニクス:そうでもないさ レニクス:…ここが最後の扉だ レニクス:いいか、ゼロ レニクス:ここからは助けられない ゼロ:余裕なしって感じだな レニクス:死んだらそれで終わりだ ゼロ:死ぬわけないだろ ゼロ:俺にだってやりたいことはある レニクス:へぇ…何も無いお前にやりたいことね ゼロ:行くぞ レニクス:後でじっくり聞かせてもらうかな 0: ゼロ:(くっ…そ…魔導ゴーレムに高レベルの魔獣… ゼロ:それに今まで以上の高濃度の魔力… ゼロ:感覚が狂うどころの話じゃねぇ…) レニクス:素晴らしいな レニクス:ここを突破できなければ レニクス:そもそも魔原書にすら触れられない…か レニクス:ゼロの奴は…ま、大丈夫だろ レニクス:『メテオ・デルタ』 レニクス:さぁ、デク共!誰から死にたい? ゼロ:魔力で中和…それを意識すれば戦闘が遅れる ゼロ:実力が足りねぇ…この濃度の中でアイツは戦ってる… ゼロ:いつも以上の強さでッッ! ゼロ:(越えられないほどに高い壁…それでも) ゼロ:俺は強くならなきゃいけねぇんだよ! ゼロ:『アビス・ランス』 0: ゼロ:(ダメだ…もう魔力を維持できない…) ゼロ:く…そっ… レニクス:はっ、ははっ、 レニクス:ハハハハハ!! レニクス:ここまで追い詰められたのはいつぶりだ? レニクス:…なぁ、魔原書 レニクス:俺はお前を従える器か? レニクス:お前は俺を満足させられるのか? ゼロ:レニクス…あいつ… レニクス:見せてみろよ レニクス:代償ならいくらでも払ってやる レニクス:…全てを0(ゼロ)に レニクス:『炎獄・イフリート』 ゼロ:なっ…一瞬で…! ゼロ:なんだ…この得体の知れない魔力は レニクス:ははっ!これが魔原書か! ゼロ:魔力の流れが異質すぎる… ゼロ:これが五大精霊の魔力… レニクス:…ん? レニクス:そうか…なるほどな… レニクス:よく生きてたな、ゼロ ゼロ:なんとかな ゼロ:それが魔原書の力か レニクス:いいや レニクス:どうやら面白いヤツみたいだなシュテンは レニクス:俺を完全には認めていない レニクス:使えた力はほんの一部だ ゼロ:そうか レニクス:早い者の取ったモン勝ち レニクス:魔原書は俺のモノだな ゼロ:嫌と言うほどわかった ゼロ:俺にはまだ力が足りない レニクス:そんなお前にプレゼントだ ゼロ:っ…これは レニクス:属性加護が闇のお前が レニクス:シュテンの声を聞くなんてありえない レニクス:お前を呼んだのはコイツだな ゼロ:これは…魔原書…? レニクス:五大精霊の後に生まれた精霊 レニクス:それらも同じく力をもっていたが レニクス:国は作らず何処かに消えたと言われていた レニクス:二極精霊だ ゼロ:二極精霊…? レニクス:闇と光の精霊 レニクス:光のクウォンと闇の ゼロ:クロイツ レニクス:知ってたのか? ゼロ:いや、教えてくれた レニクス:…なるほどな レニクス:まさか同じ場所に二冊あるとはな レニクス:ま、五大魔原書とまでは言われないが レニクス:それも原初の精霊を宿している レニクス:認められるほどに強くなれよ ゼロ:レニクス…俺は レニクス:じゃあな、ゼロ レニクス:目的も果たした、俺は戻る ゼロ:ッ…、あぁ レニクス:お前も目的ができたんだろ? ゼロ:…あぁ レニクス:それだけ聞いといてやるよ ゼロ:(俺も一緒に連れて行って欲しい…なんて ゼロ:子どもだった俺ならそう答えていただろう ゼロ:俺には何も無いから) ゼロ:俺は外を知る必要がある ゼロ:それを見て俺は、俺の存在する理由を見つける レニクス:それが目的か? ゼロ:今は…な レニクス:だったら仲間を見つけろ レニクス:お前に賛同し、ともに歩んでいける仲間 レニクス:お前には何もない、昔も、今も ゼロ:はっ、今はお前との思い出と、力はあるぜ? レニクス:いいや、それは俺の思い出だ、俺が貸した力だ レニクス:お前のモノじゃない レニクス:これは俺の物語なんだよ、ゼロ レニクス:気まぐれで窃盗をしたガキを拾い レニクス:気まぐれで戦い方、生き方を教え レニクス:自分が欲していた物を手に入れる レニクス:そしてこれからも物語は続いていく ゼロ:…なんだよ、それ レニクス:お前は、ただ俺に言われた通り動き レニクス:俺の目的の手助けをするように レニクス:俺の物語の一部になってたんだよ ゼロ:じゃあ!この感情も、思い出も ゼロ:全部嘘なのかよ! レニクス:だから、これからはお前の物語だ レニクス:俺がいなくなった後、自分で描け レニクス:ゼロ、何も無い者 レニクス:何も無いなら詰め込め レニクス:0を満たせ ゼロ:…… レニクス:何も無いから見えるものもあるだろ レニクス:もし、お前の物語が、これから歩む道が レニクス:また俺と重なったなら…見せてみろよ ゼロ:…あぁ、期待しとけよ ゼロ:お前を越える存在として ゼロ:目の前に来てやるよ レニクス:ははっ!それは楽しみだな 0:【2年後】 ゼロ:これから俺たちは世界を知る ゼロ:ここに居るお前らは俺の仲間だ、家族だ ゼロ:お前たちもそうだろ? ゼロ:家族に手ェ出すヤツには容赦はしねぇ ゼロ:家族が困ってるなら手を貸す ゼロ:このゴミ溜めから俺たちは外へ行く ゼロ:この世界を見極めろ 0: ゼロ:『深淵・ロストオーバー』 ゼロ:……本当に腐ってんだな、世界は ゼロ:ロストだけじゃねぇ ゼロ:どの国もゴミ溜めだ… ゼロ:昔は犯罪者の国か ゼロ:だが、今はどうだ?あの場所は ゼロ:俺たちは…何か世界に仇なしたのか? ゼロ:だったら俺は…俺たちは レニクス:よぉ レニクス:俺は世界を壊す者 レニクス:五大魔原書を従える、黙示録の従者が一人 レニクス:炎獄のレニクスだ レニクス:お前は? ゼロ:俺は… ゼロ:(俺には何も無い…だが、目的はできた) ゼロ:俺はゼロ ゼロ:この世界を…解放する者だ 0:第0章ゼロ・クロイツ 完

0:クリスタル・メモリア 0:0の章 0:ゼロ・クロイツ 0: レニクス:ここがロスト…ね レニクス:確かに"何も無い"… レニクス:失われた町としては申し分ないな 0:【レニクスに後ろから誰かがぶつかる】 ゼロ:っ… レニクス:痛っ…おい、気をつけろ レニクス:前向いて歩けよ ゼロ:…… レニクス:待て ゼロ:ッッ! レニクス:少し…話そうぜ 0: レニクス:俺は優しいんだ、分かるか? レニクス:盗ったもん出してみろ ゼロ:いつ… レニクス:ん? ゼロ:いつ分かったの? レニクス:ぶつかった時から…最初からだな レニクス:まぁ、そのままソレはお前にやってよかったが レニクス:ちょっと気分が変わった ゼロ:え…なんで?くれようとしたの? レニクス:お前、親は? ゼロ:…… レニクス:名前は? ゼロ:…… レニクス:親も名前も無い…か レニクス:ははっ!流石ロスト レニクス:住んでる奴も何もないんだな ゼロ:思い出も… レニクス:ん? ゼロ:僕には何もない ゼロ:親って人も、名前も、住む場所も ゼロ:ここに来るまでの思い出も レニクス:じゃあ俺がお前にやるよ ゼロ:…え? レニクス:名前だ レニクス:お前には何も無い、だから レニクス:"ゼロ" ゼロ:ゼロ… レニクス:ゼロ、一緒に来るか? レニクス:なにせ俺は今日初めてここに来たんだ レニクス:どこに何があるかもわからねぇ レニクス:だから案内しろ、ゼロ ゼロ:あっ…えっと レニクス:ん?…あぁ、俺か レニクス:俺はレニクス、よろしくな ゼロ:(それが、俺が初めてアイツに出会った思い出 ゼロ:何も無かった俺が、初めて何かを手に入れた思い出) 0: レニクス:本当にその日暮らしってやつだな レニクス:ここ奴らは皆んなそうなのか? ゼロ:大人はお金を持ってる ゼロ:だから住む場所がある レニクス:子どものお前はお金がないから レニクス:住む場所がないって? ゼロ:お金があれば宿に泊まれる ゼロ:なかったらそこら辺で寝る レニクス:お前、歳は? ゼロ:わからない… レニクス:ふーん…推定10歳くらいか? レニクス:いつからここにいるんだ? ゼロ:多分2、3年前から レニクス:なるほどな レニクス:ここが宿だな? ゼロ:レニクスは余所者だから ゼロ:お金いっぱい取られるよ ゼロ:宿って言ってもここはそういう場所だから レニクス:ははっ!任せとけ 0: ゼロ:凄い、さっきの何? レニクス:長く生きてりゃ、色んなものを見るんだよ レニクス:そんで、さっきのは魔法だ ゼロ:魔法は知ってる ゼロ:けど、レニクスの魔法は見たことない レニクス:ほー、お前、良い目を持ってるな ゼロ:良い目? レニクス:普通はどんな魔法であれ、変化はないんだよ レニクス:それを見たことないと言うお前は レニクス:普通じゃ見えないものが見えてる ゼロ:普通じゃ見みえないもの? レニクス:あぁ、魔力の流れ レニクス:魔法の真髄だな ゼロ:だけど僕は魔法得意じゃないし ゼロ:何もできないよ レニクス:お前の属性加護は何だ? ゼロ:わからない… レニクス:…そうだった、お前には何も無いんだった レニクス:じゃあ、いつも使う魔法は? ゼロ:基本の魔法しか使わない ゼロ:けど全然出来ない レニクス:基本の魔法?…あぁ、五大属性か レニクス:じゃあ、こんなのはどうだ? レニクス:『ダーク』 ゼロ:えっ!?暗くなった! レニクス:これは闇魔法だ レニクス:ついでに『ライト』 ゼロ:今度は明るくなった レニクス:これは光魔法だ レニクス:これは初歩中の初歩 レニクス:誰にでも使えるが、属性加護が闇と光はほとんどいない レニクス:本来なら神殿で見てもらうのが早いが レニクス:ここに居たらそれもできないだろうな ゼロ:…『ダーク』 レニクス:!?これは… ゼロ:レニクスの時より…暗い? レニクス:なるほどな、お前の属性加護は闇だな ゼロ:闇… レニクス:この町を案内する代金代わりだ レニクス:俺がお前に魔法を教えてやる ゼロ:(それが、俺が初めて魔法を知った思い出) 0: 0:【6年後】 ゼロ:その程度で俺に喧嘩を売ったのか?お前ら ゼロ:目障りだな、消えろ ゼロ:『ダークネス・スピア』 0: レニクス:また喧嘩か? ゼロ:相手の実力も、自分の実力もわからない奴らだよ レニクス:俺のおかげで強くなれた奴がよく言うよ ゼロ:うるせぇ ゼロ:それで?手かがりは見つけたのかよ? レニクス:いいや、全然だな レニクス:ここに6年もいるのに全く謎だ ゼロ:6年…全然老けないなレニクスは レニクス:あぁ、言ってなかったか? レニクス:俺はエルフとのハーフ レニクス:ハーフエルフだ レニクス:人間の血を濃く受け継いだから レニクス:見た目は人間だがな レニクス:これでも老けと寿命には自信があるぜ ゼロ:便利な身体だな レニクス:あぁ、だからこそ6年も無駄にできる ゼロ:無駄なのかよ レニクス:無駄じゃ無いかもしれないが レニクス:ここまで手がかりがないとな レニクス:けどまぁ、魔原書以外にも色々やってるし レニクス:そう簡単でもないのはわかっていた レニクス:10年はかかると見ていたからな ゼロ:…… ゼロ:本当にこんな所にあるのかよ ゼロ:その…魔原書ってやつは レニクス:ある、だから俺がここにいる ゼロ:そんなモン手に入れてどうすんだよ レニクス:……いい機会だ レニクス:お前も触れてこなかった魔原書について レニクス:教えてやるよ、俺の目的も ゼロ:目的? レニクス:五大属性はもう分かるな? レニクス:火、水、風、雷、土 レニクス:この世界が神によって生み出され レニクス:その最初の礎になった精霊がいる レニクス:土が世界を形造り、水が大地を潤し レニクス:風が世界を平にし、雷が天を創り レニクス:火が生命を誕生させた ゼロ:また勉強会か?それは魔法を教えてもらった時 ゼロ:何回も聞いた話だ レニクス:あぁ、そうだ レニクス:ここからが本題だ レニクス:そんな原初の精霊を五大精霊と言う レニクス:全員が仲良く一つの場所で暮らすことはなかった レニクス:だから世界が落ち着いた頃 レニクス:この五大精霊は自分たちの国を創った ゼロ:国? レニクス:お前は外に興味がなかったから レニクス:今まで言わなかったが レニクス:このロストの外には レニクス:五つの国があった ゼロ:なるほどな ゼロ:その精霊たちが創った国に ゼロ:俺たち以外の誰かがいるわけだ レニクス:火のシュテンが創ったコクヨウ レニクス:水のエヴァが創ったルーアン レニクス:風のヴァーが創ったハルモニア レニクス:土のオルタが創ったゼルメトア レニクス:雷のセイクーが創ったトールゥ ゼロ:聞いたことも無かった ゼロ:そうか、この外に… レニクス:だが、神の悪戯か レニクス:精霊以外の命が生まれた少し後に レニクス:この五大精霊たちは封印された ゼロ:神に封印された? レニクス:あぁ、そうだ レニクス:神がこの世界で力を付けすぎた精霊を恐れたのか レニクス:また別の何かか… レニクス:その封印したものが魔原書 レニクス:五大精霊になぞられ、五大魔原書と言われている ゼロ:つまり、その魔原書には五大精霊が眠っている? ゼロ:それを手に入れれば精霊の力を使役して レニクス:ははっ!察しがいいな レニクス:その通りだ レニクス:魔原書に認められれば レニクス:封印を解くことができる レニクス:俺はそれをしなくてはいけない ゼロ:それが目的ってやつか レニクス:いいや、それはただの前段階 レニクス:俺の目的は 0: レニクス:世界を壊すことだ ゼロ:世界を壊す…? レニクス:あぁ、言っただろ? レニクス:この外には五つの国があった、と レニクス:昔は偉大な精霊が創った国を保持し レニクス:互いに不可侵であり、国独自に発展した ゼロ:なるほどな ゼロ:外の世界もここと変わらないわけだ ゼロ:その後に奪い合いが始まった レニクス:あぁ、意思ある命は傲慢で強欲だ レニクス:自分の国に無いものを欲しがり レニクス:他の国を侵略するようになった レニクス:だが、中には素晴らしい人間もいた レニクス:そして創ったんだ ゼロ:創る? レニクス:6個目の国 レニクス:人間の創った国、エデンガーデン ゼロ:人間の国… レニクス:他の国を侵略するということは戦争だ レニクス:死者も出れば難民も出た レニクス:だから、エデンガーデンは全国に対し レニクス:中立であり不可侵を決め レニクス:全ての難民を受け入れた ゼロ:はっ、なんともまぁ素晴らしい話じゃねーか ゼロ:美しい人間もいるってわけだ レニクス:ただ、それも昔の話だ ゼロ:てことは、エデンガーデンも攻めたのか レニクス:いいや、違う レニクス:あくまで中立で不可侵だ レニクス:だが、それで上手くいくとは思えない レニクス:それでもあの国は発展を続けている レニクス:難民たちが自国の技術を流したとも レニクス:言われているが、どうもきな臭い ゼロ:技術を流してるんだろ? ゼロ:そこから発展してもおかしくない ゼロ:難民と言えど全国の人間が集まっているんだ ゼロ:技術力が高くなったのも納得はいくが? レニクス:…俺がな、不審に思っているのは レニクス:此処なんだよ、ゼロ ゼロ:…ロスト レニクス:あぁ、もしエデンガーデンが光の国だとすれば レニクス:ここ、ロストは闇の国だ レニクス:ゴミ溜め、廃棄場 レニクス:そんな呼ばれ方もしているんだ ゼロ:確かにここはそう言う場所だ ゼロ:だが、なぜロストが出てくる レニクス:ロストを創ったのがエデンガーデンだ ゼロ:…何? レニクス:最初は国内で犯罪を犯した者を レニクス:島流し的にここを創り集めたのが始まり レニクス:今ではお前みたいな育児放棄のガキや レニクス:何も持たないモノが集まる国になった レニクス:エデンガーデンも手が出せないほどに レニクス:ここは闇に堕ちてしまったんだよ ゼロ:…… レニクス:世界から断絶された場所、ロスト レニクス:光の国といえど闇に手を差し伸べる光は レニクス:もう無いらしい レニクス:それにこの場所を創った奴らは死に レニクス:その意思を受け継いだやつらも レニクス:今やエデンガーデンの奥深く、老人共の巣窟だ ゼロ:そうか ゼロ:実権を握っているわけではないが ゼロ:裏に根付いた何かがあるわけか レニクス:だからだ レニクス:戦争だの、ゴミ溜めだの レニクス:この腐った世界を一度壊す レニクス:そしてまた作り上げるんだ レニクス:精霊の国を ゼロ:その為の魔原書 レニクス:俺の属性加護は火 レニクス:そしてここ、ロストに眠るのが レニクス:火の魔原書シュテンだ ゼロ:本当にあるのかよ ゼロ:6年も何も見つけられないのに レニクス:ある ゼロ:たとえ魔原書を見つけてもレニクスだけで ゼロ:国なんか作れるのかよ レニクス:俺だけじゃない レニクス:俺の他にも魔原書を探している レニクス:俺たちは世界を壊す者だ ゼロ:明日 レニクス:ん? ゼロ:明日から俺も手伝う ゼロ:いいだろ? レニクス:魔原書はやらんぞ ゼロ:はっ、この国では取ったモン勝ちなんだよ レニクス:ははっ!だったら俺も本気にならないとな 0: 0:【共に探し始めて数日経った頃】 ゼロ:と言っても6年も探した場所だ ゼロ:そう簡単には見つからないよな ゼロ:今日はここまでか ゼロ:…?…なんだ? レニクス:どうしたゼロ? ゼロ:呼んでいる…? ゼロ:…ッ!レニクス! レニクス:何か見つけたか? ゼロ:見えるぞ、魔力の流れが レニクス:…何? レニクス:俺には全く見えないな ゼロ:俺だけに見える流れ…? ゼロ:辿ろう 0: ゼロ:ここで途切れている… ゼロ:なんだ?何もないぞ レニクス:ははっ!なるほどな レニクス:ここからは俺の番だな ゼロ:何をするんだ? レニクス:超高等隠蔽魔法だな レニクス:"ここにある"と言われない限り レニクス:見つけるのは無理だ レニクス:だが、あるのがわかれば一瞬だ ゼロ:ッ…これは、地下迷宮? レニクス:いいじゃねーか レニクス:魔原書がある場所に相応しい レニクス:いくぞ、ゼロ ゼロ:あぁ ゼロ:(それから俺たちはこの迷宮を歩いた ゼロ:不思議な魔力に満ちたその場所は ゼロ:色んな感覚を狂わせた… ゼロ:もう何年も歩いたような錯覚 ゼロ:道中には魔物も襲いかかる) レニクス:『フレア・ガンマ』 レニクス:…気を抜くなよゼロ ゼロ:『ダークネス・アロー』 ゼロ:段々強くなってきているな… レニクス:近い証拠かもな…行くぞ ゼロ:はぁ…はぁ… レニクス:体力ないな、お前 ゼロ:感覚が狂うんだよ、目が良い分 ゼロ:酔った気もする レニクス:高濃度の魔力がそこら中に充満している レニクス:自分の魔力を合わせて中和しろ ゼロ:軽く言いやがって… レニクス:ははっ!まだまだだな 0: レニクス:ここが最下層っぽいな ゼロ:分かるのか?…いや、この質問は不要だな レニクス:お前も解るようになってきたな レニクス:この地下迷宮、お前の特訓には役に立ったな レニクス:噂には聞いていたが、ここが レニクス:"ラトラ"を冠する迷宮か ゼロ:ラトラ? レニクス:ラトラはこの世界を創った神だ レニクス:つまりは五大精霊を封印した本人だな レニクス:そして、ラトラの名を冠する迷宮、塔、遺跡 レニクス:そんなモノがどこかにあるらしい、という話は聞いていた レニクス:もちろんその中にあるであろう宝も レニクス:神的な力を持つ…とな ゼロ:蓋を開けてみたら五大精霊ってわけだな レニクス:あぁ、報酬は魔原書 レニクス:申し分ない ゼロ:神が創ったものでも ゼロ:レニクスには敵わないってか? レニクス:普通の奴らならそこらで死んでるさ レニクス:俺は魔原書の為に鍛えてるからな ゼロ:認めさせる…だったか レニクス:あぁ、手に入れただけじゃ使えない レニクス:魔原書に認められるほどの力がいる レニクス:それに俺には時間はあるからな ゼロ:ハーフエルフってのも便利な身体だな レニクス:そうでもないさ レニクス:…ここが最後の扉だ レニクス:いいか、ゼロ レニクス:ここからは助けられない ゼロ:余裕なしって感じだな レニクス:死んだらそれで終わりだ ゼロ:死ぬわけないだろ ゼロ:俺にだってやりたいことはある レニクス:へぇ…何も無いお前にやりたいことね ゼロ:行くぞ レニクス:後でじっくり聞かせてもらうかな 0: ゼロ:(くっ…そ…魔導ゴーレムに高レベルの魔獣… ゼロ:それに今まで以上の高濃度の魔力… ゼロ:感覚が狂うどころの話じゃねぇ…) レニクス:素晴らしいな レニクス:ここを突破できなければ レニクス:そもそも魔原書にすら触れられない…か レニクス:ゼロの奴は…ま、大丈夫だろ レニクス:『メテオ・デルタ』 レニクス:さぁ、デク共!誰から死にたい? ゼロ:魔力で中和…それを意識すれば戦闘が遅れる ゼロ:実力が足りねぇ…この濃度の中でアイツは戦ってる… ゼロ:いつも以上の強さでッッ! ゼロ:(越えられないほどに高い壁…それでも) ゼロ:俺は強くならなきゃいけねぇんだよ! ゼロ:『アビス・ランス』 0: ゼロ:(ダメだ…もう魔力を維持できない…) ゼロ:く…そっ… レニクス:はっ、ははっ、 レニクス:ハハハハハ!! レニクス:ここまで追い詰められたのはいつぶりだ? レニクス:…なぁ、魔原書 レニクス:俺はお前を従える器か? レニクス:お前は俺を満足させられるのか? ゼロ:レニクス…あいつ… レニクス:見せてみろよ レニクス:代償ならいくらでも払ってやる レニクス:…全てを0(ゼロ)に レニクス:『炎獄・イフリート』 ゼロ:なっ…一瞬で…! ゼロ:なんだ…この得体の知れない魔力は レニクス:ははっ!これが魔原書か! ゼロ:魔力の流れが異質すぎる… ゼロ:これが五大精霊の魔力… レニクス:…ん? レニクス:そうか…なるほどな… レニクス:よく生きてたな、ゼロ ゼロ:なんとかな ゼロ:それが魔原書の力か レニクス:いいや レニクス:どうやら面白いヤツみたいだなシュテンは レニクス:俺を完全には認めていない レニクス:使えた力はほんの一部だ ゼロ:そうか レニクス:早い者の取ったモン勝ち レニクス:魔原書は俺のモノだな ゼロ:嫌と言うほどわかった ゼロ:俺にはまだ力が足りない レニクス:そんなお前にプレゼントだ ゼロ:っ…これは レニクス:属性加護が闇のお前が レニクス:シュテンの声を聞くなんてありえない レニクス:お前を呼んだのはコイツだな ゼロ:これは…魔原書…? レニクス:五大精霊の後に生まれた精霊 レニクス:それらも同じく力をもっていたが レニクス:国は作らず何処かに消えたと言われていた レニクス:二極精霊だ ゼロ:二極精霊…? レニクス:闇と光の精霊 レニクス:光のクウォンと闇の ゼロ:クロイツ レニクス:知ってたのか? ゼロ:いや、教えてくれた レニクス:…なるほどな レニクス:まさか同じ場所に二冊あるとはな レニクス:ま、五大魔原書とまでは言われないが レニクス:それも原初の精霊を宿している レニクス:認められるほどに強くなれよ ゼロ:レニクス…俺は レニクス:じゃあな、ゼロ レニクス:目的も果たした、俺は戻る ゼロ:ッ…、あぁ レニクス:お前も目的ができたんだろ? ゼロ:…あぁ レニクス:それだけ聞いといてやるよ ゼロ:(俺も一緒に連れて行って欲しい…なんて ゼロ:子どもだった俺ならそう答えていただろう ゼロ:俺には何も無いから) ゼロ:俺は外を知る必要がある ゼロ:それを見て俺は、俺の存在する理由を見つける レニクス:それが目的か? ゼロ:今は…な レニクス:だったら仲間を見つけろ レニクス:お前に賛同し、ともに歩んでいける仲間 レニクス:お前には何もない、昔も、今も ゼロ:はっ、今はお前との思い出と、力はあるぜ? レニクス:いいや、それは俺の思い出だ、俺が貸した力だ レニクス:お前のモノじゃない レニクス:これは俺の物語なんだよ、ゼロ レニクス:気まぐれで窃盗をしたガキを拾い レニクス:気まぐれで戦い方、生き方を教え レニクス:自分が欲していた物を手に入れる レニクス:そしてこれからも物語は続いていく ゼロ:…なんだよ、それ レニクス:お前は、ただ俺に言われた通り動き レニクス:俺の目的の手助けをするように レニクス:俺の物語の一部になってたんだよ ゼロ:じゃあ!この感情も、思い出も ゼロ:全部嘘なのかよ! レニクス:だから、これからはお前の物語だ レニクス:俺がいなくなった後、自分で描け レニクス:ゼロ、何も無い者 レニクス:何も無いなら詰め込め レニクス:0を満たせ ゼロ:…… レニクス:何も無いから見えるものもあるだろ レニクス:もし、お前の物語が、これから歩む道が レニクス:また俺と重なったなら…見せてみろよ ゼロ:…あぁ、期待しとけよ ゼロ:お前を越える存在として ゼロ:目の前に来てやるよ レニクス:ははっ!それは楽しみだな 0:【2年後】 ゼロ:これから俺たちは世界を知る ゼロ:ここに居るお前らは俺の仲間だ、家族だ ゼロ:お前たちもそうだろ? ゼロ:家族に手ェ出すヤツには容赦はしねぇ ゼロ:家族が困ってるなら手を貸す ゼロ:このゴミ溜めから俺たちは外へ行く ゼロ:この世界を見極めろ 0: ゼロ:『深淵・ロストオーバー』 ゼロ:……本当に腐ってんだな、世界は ゼロ:ロストだけじゃねぇ ゼロ:どの国もゴミ溜めだ… ゼロ:昔は犯罪者の国か ゼロ:だが、今はどうだ?あの場所は ゼロ:俺たちは…何か世界に仇なしたのか? ゼロ:だったら俺は…俺たちは レニクス:よぉ レニクス:俺は世界を壊す者 レニクス:五大魔原書を従える、黙示録の従者が一人 レニクス:炎獄のレニクスだ レニクス:お前は? ゼロ:俺は… ゼロ:(俺には何も無い…だが、目的はできた) ゼロ:俺はゼロ ゼロ:この世界を…解放する者だ 0:第0章ゼロ・クロイツ 完