台本概要

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タイトル 魔法屋マホ
作者名 てくす  (@daihooon)
ジャンル ファンタジー
演者人数 3人用台本(女2、不問1)
時間 50 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 この世界には、魔法がある。
ある路地裏にカフェのような店が佇んでいる。
だけど、そこは魔法使いが魔法を作る『魔法屋』というお店だった。

※元々10分6話構成のものを纏めたので、セリフ量にばらつきがありますが、ご了承ください。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
156 まゆむら ゆず。女子高生。あることから、魔法屋の存在を知り、出入りすることになる。
マホ 不問 127 魔法屋に住む魔法使い。色に込められた意味を魔法にし、その力を引き出す。魔法屋では、その魔法をお香に混ぜ、渡している。
京子 24 女子高生。不良グループ所属!夜露死苦!って感じではないけど、気の強い子。セリフ量少なめ。だけど、一番重要な役。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
柚:この世界には魔法がある 0:一人の高校生が路地を裏に抜けて歩いていく 0:路地裏、本来彼女はそんなところに似つかわしくない 0:そして、その顔は笑っていた マホ:いらっしゃいませ…あぁ、君か 柚:来ちゃいました マホ:それじゃあ今日の話を マホ:聞かせてくれるかい? 柚:はい! 柚:(ここは"魔法屋" 柚:表向きはカフェっぽいんだけど 柚:その実、名前の通り"魔法"を売る不思議なお店 柚:私は、このお店のマホさんと仲良くなって 柚:毎日通ってる、そして今日1日の出来事を話す 柚:その間にマホさんは魔法を"作る"…) 0: 柚:それでね! 柚:先生が男子に注意したんだけど 柚:その時、噛んじゃって!もう笑った笑った! マホ:キミはいつも無邪気に笑うねぇ マホ:良いことだ 柚:うーん…… 柚:それって、褒められてます? マホ:もちろん マホ:さて、こっちも出来たよ 柚:わぁ!綺麗な色! マホ:ターコイズか マホ:うーん、私がイメージしてたものと少し違うかなぁ… マホ:まぁ今回は、あの子の話と感情のスパイスが マホ:そっち寄りだったと考えるべきか 柚:マホさん、また一人でぶつぶつ言ってる マホ:ん?あぁ、すまない マホ:これはターコイズ色でね マホ:効果は" "制圧" マホ:そうだね…不安とか悩みがある人には良いかもね マホ:それらを制圧してくれる 柚:へぇ… マホ:さ、瓶詰めするよ マホ:手伝うかい? 柚:もちろん! 0: 0: 柚:マホさん 柚:なんで魔法を作る時、私の話を聞くの? マホ:研究の為、と言ったら冷たいかな? 柚:ちょっとだけ マホ:いつもの話のお礼として マホ:今日は私の話をしよう マホ:私は魔法が使える… マホ:所謂、魔法使い、魔女と言った類で マホ:母親の家系がそうだった マホ:だけど、キミと同じ人間でもある 柚:マホさん格好も普通だもん マホ:私の母は魔法が使えなかった マホ:適性が無かったらしい マホ:だから祖母に習った、だけど マホ:私が初めて魔法を使ったのは7歳 マホ:祖母が亡くなったのは10歳だったかな 柚:お婆ちゃん、そんなにすぐ亡くなったんですね 柚:魔法とかで不老不死ー!とかできないものなのかな? マホ:ははっ、まぁ、やろうと思えば マホ:できるかもしれないね マホ:でも、その3年の中で マホ:大切なことも教えてもらった マホ:昔は魔法が使える家系は マホ:いくつかあったみたいでね マホ:力を買われたこともあったけど マホ:迫害されたこともあったらしい マホ:結局、残った家系が私たち マホ:他は多分、残っていないって 柚:なんだか可哀想…ですね 柚:迫害って悪いことしたんですか?魔法で マホ:いいや、怖かったんだろうね マホ:自分と違う、自分と同じ形をした生き物が マホ:そんなことがあって祖母から マホ:こんな掟を出された 柚:掟、ですか? マホ:他人に魔法を見せない マホ:私利私欲の為に魔法は使わない 柚:二つ目はなんで? マホ:迫害を受けてから マホ:人間に対して悪意を持つ家系が生まれたけど マホ:結局のところ、人を呪わば穴二つってわけだ マホ:では、自分たちの欲を満たそう マホ:そう考えるん家系がいた 柚:なるほど 柚:人に魔法が使えないなら 柚:自分のためにって思ったのか マホ:しかし、それもまた破滅の道 マホ:私利私欲は満たせず、死んでいったそうだ マホ:つまり、魔法は私怨や私欲で使うものじゃない マホ:使っちゃいけないんだ 柚:それをお婆ちゃんが、教えてくれたってこと? マホ:そういうこと マホ:だけど、こうも言っていた マホ:もし魔法を使うなら マホ:自分のためじゃなくて マホ:人のためになる魔法を使いなさい マホ:ってね 柚:それで始めたのが魔法屋さん? マホ:そう マホ:ここには色んな人が来る マホ:大抵は何か悩みを持った人や マホ:自分の力でどうにもできない人 マホ:そんな人たちの、一つの手助けとして マホ:魔法を贈っているんだよ マホ:瓶の中のお香に、魔法を混ぜてね 柚:そういえばこの前来てた人! 柚:前は死にそうな顔してたのに 柚:凄い爽やかになってた マホ:助けになったのならいいね マホ:そして、私が掟を破って マホ:キミに魔法を見せていることは マホ:キミは話をする時、漫画やアニメのように マホ:表情をコロコロと変えて マホ:話の中にもう一度入り込んでいるみたいだ 柚:え!?…そ、そうですか…? マホ:感情がスパイスになる、魔法のね マホ:私もまだ理解しているわけじゃないけど マホ:魔法とはそういうものでね マホ:キミは私が思った以上の隠し味 マホ:私一人で作る時より、違う変化が起こるんだ マホ:だから研究も兼ねて、キミの話を聞きながら マホ:魔法を作ってみたいと思ったんだ マホ:出会い方は最あ… 柚:ぁぁぁあ! 柚:そのことは言わないでください! 柚:今でも思い出すだけで恥ずかしいんですから! マホ:また話を聞かせてくれ 柚:今日はマホさんの話が聞けて嬉しかったです 柚:なんだかまた仲良くなれた気が マホ:はいはい、それとコレを 柚:青色?のこれは? マホ:"幸運の青い鳥" マホ:とも言うだろう? マホ:幸運が舞い込むといいね 柚:えへへ、ありがとうございます 柚:大事に使いますね! 柚:それじゃ、また来ます 柚:マホさん! マホ:ああ、気をつけて帰るんだよ、柚 0:柚は、店を後にする マホ:……ラピスラズリ、邪気払い マホ:その無邪気な笑顔の中にある マホ:キミの本当の悩み マホ:聞かせてくれるといいな マホ:キミの手助けなら惜しまないから 0: 0: 0: 0:ある夢の話ーー。 京子:そんな格好で帰ったら風邪引くよ 0: 京子:今日、財布忘れちゃってさ 0: 京子:柚ちゃん 京子:授業終わって一人で離れた 京子:トイレに行ってたけど、大丈夫? 0: 京子:ゆーずーちゃん 0: 0: 0:目が醒める、柚 柚:……今の、夢……? 0: 0:魔法屋にて マホ:ありがとうございました 柚:マホさん、さっきの瓶… マホ:この前のやつだね 柚:制圧?だっけ マホ:お客様の情報は話せません マホ:なので、この話はここでおしまい 柚:はーい マホ: :さて、一息ついたけど マホ:そうだ…キミ、甘いモノは好きかな? 柚:え?好き!好きだよ! マホ: :それは良かった マホ:では、お茶にしようか 0: 柚:んー!美味しい! 柚:これ、もしかしてマホさん手作り? マホ:ん、よくわかったね 柚: :それで今は何してるんですか? マホ:今日はキミの美味しそうな マホ:表情をスパイスに魔法を作る マホ:そのまま食べていてくれ 柚:太らせようとしてます? マホ:ハハ!変なことを気にするね 柚:いや!女子高生ですから! 柚:気にしますから! 0: マホ:できた 柚:わぁ…これが 柚:私の美味しい表情の魔法… マホ:違うけど マホ:何を言っているんだい? 柚:ちょっとボケただけです! マホ:からかっただけです 柚: :そういうとこだよ!マホさん! マホ:うーん琥珀…か マホ:使い辛いかな 柚:話を逸らした!…って、使い辛いんですか? マホ:琥珀ってパワーストーン知ってるかな? マホ:アレと同じで生命力とか マホ:精神安定の効果があるんだけど マホ:パワーストーンと違って マホ:こっちは魔法だからね マホ:使い方とか量を間違えると マホ:本当に不老不死とか、逆に廃人になったりするかも 柚:え…怖い 柚:強力な魔法なんですか? マホ:普通なら大丈夫だけど マホ:やっぱり、キミは思った以上のスパイスだ 柚:喜んでいい…のかな? マホ:これはキミの力だよ マホ:キミが今日お菓子を食べて幸せを感じた マホ:おいしいと表情に出した マホ:それがここまでの魔法を作り上げた マホ:キミの笑顔には、それほどの力があるんだよ 柚:そこまで言われると…んー!ダメダメ! 柚:なんか恥ずかしい!ってあれ!? 柚:もうこんな時間!? 柚:ごめん、マホさん!今日早く帰らなきゃだった マホ:うん、またおいで 柚:それじゃ、マホさん 柚:また来ます! マホ:あぁ、気をつけて…待って、柚 柚:はい?え、今、名前 マホ:明日は時間あるかい? 柚:え?別に予定はないですよ マホ:では、明日この店は休みにする マホ:だから好きな時にきてもらえるかな 柚:わ、わかりました マホ:ん、じゃあ気をつけて 0: 0: 柚:マホさんなんだったんだろ? 柚:ていうか!名前! 柚:絶対名前呼んだよね! 柚:いっつもキミ、キミしか言わないのに… 柚:……明日何かするのかな 0:翌日 マホ:やぁ、待ってたよ 柚:あの、何かするんですか? マホ:前に話したこと覚えているかな マホ:私利私欲のために魔法は使えない 柚:はい、覚えてますけど マホ:だから、私から何かをする マホ:というのはやめようと思った マホ:私は助けを求められてからじゃないと動けないから マホ:私はね、キミに助けてと言ってほしいんだ 柚:マホさん? 柚:何言ってるの?別に私困って マホ:私は魔法使いだよ、柚 柚:ッ! マホ:この店はね マホ:普通の人は見つけることはできないんだよ マホ:そういう魔法をかけている マホ:誰かの手助けが、自分じゃ マホ:どうにもできない悩みがある人 マホ:そんな人にしかこの店は見えない 柚:それは… マホ:だからね、柚 マホ:最初からキミに何かあることはわかっていた マホ:青色の瓶、使ったかい? 柚:はい… マホ:あれはラピスラズリ マホ:邪気を祓う効果がある マホ:さっきから腕を気にしているね? 柚:いや!これは! マホ:気にしなくていい マホ:邪気を祓う、私の考えだと マホ:減った、もしくは、しなくなった マホ:そうじゃないのかな? 柚:……マホさんのお店に行くようになって 柚:瓶を話のお礼って貰うようになってから 柚:そういう考えが消えて… マホ:ラピスラズリ以外にも、抑制や安心感 マホ:色々試していたんだけど マホ:よかった、効いたみたいだ 柚:あの…知ってるんですか 柚:私のこと マホ:知らないよ マホ:さっきも言ったけど マホ:私は言われないと動けない マホ:だからキミのこと、魔法でなんでも知ってる マホ:なんてことはない マホ:何も知らない、何も知らないけど マホ:何かあることは知っていた マホ:だから少しだけズルをしていた 柚:じゃあ、あの瓶のおかげで、私は…… マホ:私は感謝しているんだよ マホ:魔法の研究を手伝ってくれて マホ:そして何より、キミの話は楽しい マホ:楽しいからこそ マホ:その話を本物にしたいんだよ 柚:私が話していること 柚:嘘ってわかったの? マホ:嘘だけど嘘じゃない マホ:あれはキミが望む世界の話 マホ:だからキミはあの世界が好きで マホ:入り込んでいたんだ マホ:それを嘘じゃなく、夢の世界じゃなく マホ:現実の世界にしてあげたい 柚:マホさん… マホ:キミを マホ:柚を助けることなら マホ:手は惜しまないよ、私は 柚:マホさん… 柚:………助けて…… 0: 0: 0: 柚:(私はどこにでもいる高校生 柚:部活には入ってなかったけど 柚:友達もいたし、何かに困っていることもなかった 柚:ただ、ある時、私の周りに変化が起きた) 0: 柚:(いつもと変わらない日 柚:お昼休みにお弁当を友達と 柚:食べようとしてた時に見ちゃったの) 0: 京子:ねぇ、何遅れてんの? 京子:アンタのせいで昼休み、終わるんだけど? 京子:最悪じゃない?ねぇ? 0:京子の言葉に重ねて文句を言う複数の生徒 柚:(私の友達にね、桜ちゃんっているんだけど 柚:いじめられてた…知らなかった 柚:最初は驚いて何もできなかった 柚:他の友達も見て見ぬふりだった 柚:もし下手に関わったら 柚:次は自分って思ったのかもしれない) 0: 柚:(私も見て見ぬふりをしてしまった 柚:だけど本当に正しいの?これが正解なの? 柚:そう思っちゃって私、声をかけたの) 0: 柚:やめなよ、桜困ってる 京子:は?お前誰だよ 京子:…まぁいいわ、なんか冷めた 京子:ねぇ、屋上行こうよ 京子:鍵はどうせ翔たちが開けてるよ、あはは 0:そう取り巻きたちと話し、その場を去っていく京子 柚:(そんな感じでその場は何事もなかった 柚:けど次の日、桜が転校した 柚:話せなかったけど…多分、ずっと前から 柚:悩んでたんだと思う 柚:そのあとはマホさんなら 柚:もう、わかるよね) 0: 京子:柚ちゃん 京子:ねぇ、ちょっと話そっか 京子:桜がいなくなって、私たち寂しんだよねぇ 京子:だからさ 京子:次は、柚ちゃんが相手してくれるんだよね? 柚:(次の標的は私だった 柚:友達も離れて行った 柚:誰にも相談できなかった 柚:私そんなに弱くないと思ってた 柚:けど無理だった 柚:辛くて悲しくて嫌になって 柚:死んじゃおうと思った 柚:気付いたら自分で自分を、傷つけてた 柚:その時ね、生きてる実感がした 柚:そしたらそれを求めてしまった 柚:やめられなくなってた 柚:学校で虐められて、家に帰って傷つけて安心する 柚:繰り返しだった) 0: 柚:(そんなことになって 柚:誰にも相談できなかった 柚:自分を傷つけた後ろめたさで 柚:両親にも話せなかったの 柚:そんな日が続いてた時にね) 0: 京子:柚ちゃん 京子:私たちさ、お弁当も財布も 京子:忘れちゃって困ってて 京子:お昼代、出してくんない? 柚:え…あ… 京子:早くしろよ! 0:取り巻きの男子生徒から、先生が近づいて来たと言われ 柚:あ、先生… 京子:チッ 京子:柚ちゃん、このことアイツに 京子:チクったらわかってるよね? 柚:言わないよ… 京子:明日、モタモタしてると 京子:どうなるか分かってるよね? 柚:っ… 京子:翔!屋上開けといてよ 京子:最悪、マジで冷めたわ 0:そう言い、去っていく 0:そして、通りかかった先生が話しかけてくる 柚:先生…何でもないです… 0: 0:放課後 京子:ゆーずーちゃん 京子:授業終わって一人で離れた 京子:トイレに行ってたらか何かなぁ? 京子:って思ったけど 京子:中谷のヤツにチクってないよね? 柚:言ってない!私何も言ってない! 京子:あっそ 京子:けどこれは…… 0:柚の頭上から水が降りかかる 京子:お昼代出してくれなかった罰ね 京子:今日、雨降ってるし傘いらなくなったね 京子:アハハ! 京子:帰ろ、帰ろ!アハハ! 柚:………… 0: 柚:(その日、トイレで水をかけられて 柚:おまけに傘まで捨てられてた 柚:もうどうでもいいやと思って 柚:そのまま帰ったの 柚:そしたらアナタに出会った) マホ:傘、忘れたのかな? 柚:え?あ、いや、えっと… マホ:そんな格好で帰ったら心配される マホ:よかったら店においで 柚:いや!そんな 柚:悪いです!私が傘忘れただけで マホ:人の厚意はありがたく受け取るものだよ マホ:さ、おいで 柚:は、はい 0: 柚:(その日、マホさんがお風呂を貸してくれて 柚:そして少し話しをしたよね) マホ:コーヒーだけど、飲めたかな? 柚:ありがとうございます 柚:わ、美味しい マホ:それは良かった マホ:ん?…キミは… 柚:はい? マホ:いや、何でもない マホ:制服は私が乾かしておくよ マホ:明日学校は休みのはずだから マホ:取りに来るといい 柚:いやいや!そんなの悪いです! マホ:よし、わかった マホ:明日私と少し話をしよう マホ:それと私の秘密も教えよう マホ:フフ、何のことかわからない マホ:と言った顔だね マホ:けど、きっと驚くよ 柚:いや、わからないですけど 柚:制服は大丈夫ですから マホ:人の厚意は 柚:あーー! 柚:わかりました!わかりました! 柚:それじゃお願いします マホ:気をつけて帰るんだよ 0: 柚:(あの時、意味がわからなかった 柚:なんで会ったばかりの人に 柚:そこまで親切にしてくれるのか 柚:それと……) 0: 柚:あ…れ?私、笑ってる? 柚:そっか…人とちゃんと話したの久しぶりだったんだ… 柚:……明日…楽しみだな… 0: 0:次の日 マホ:やぁ、いらっしゃい マホ:まずは自己紹介を改めて 柚:あ!昨日はありがとうございました 柚:私は眉村 柚です マホ:うん マホ:私はマホ、と呼んでくれていい マホ:職業はカフェの店長 マホ:……と言いたいところだけど マホ:秘密を教えると言ったからね マホ:ちゃんとした自己紹介を 0: マホ:私はここ、魔法屋の店主で マホ:所謂、魔法使いで マホ:ここで魔法を作っている者だ マホ:よろしくね 0: 0: 0: 0:回想が終わり、現在 0: 柚:これが私の本当の話 柚:マホさんと会ってからも 柚:いじめは続いてた 柚:だけど、放課後マホさんと 柚:話ができることを考えたら頑張れて… マホ:できた 柚:え? マホ:キミのことはよくわかった マホ:今までよく頑張った マホ:そして、よく話してくれたね マホ:ありがとう 柚:あ、いや…私…私は… 柚:ごめんなさい……嘘ついてて、ごめんなさい マホ:いいんだよ、柚 マホ:キミは救われるべきだ マホ:だからこれを 柚:赤色の魔法…? マホ:これはガーネット マホ:効果は…いや、これは マホ:キミをスパイスに作った マホ:だから普通の魔法とは違う マホ:だけど、キミの力になる魔法だよ マホ:ただ、使い方には注意してくれ 柚:使い方? マホ:キミは自分を傷つけた相手と闘うことになる マホ:それはとても怖いことだ マホ:だから、本当にどうしようもない時 マホ:その時に使うんだ マホ:だけど大丈夫、キミなら絶対に 柚:私…できるかな マホ:私ができるのはここまで マホ:魔法と背中を押すことだけ マホ:話をしてもらって冷たい様だけど 柚:大丈夫です!なんだかスッキリしました 柚:……私、闘ってみます 柚:このお店に来た人たちも、みんなそうした様に マホ:うん 柚:また… 柚:また来ます!マホさん! マホ:……待っているよ 0: 柚:ガーネット…私に力をくれる魔法… 柚:怖い…よ 柚:もし上手くいかなかったら? 柚:今よりもっと酷くなったら? 柚:私も桜みたいに…嫌だ、ここを離れたら 柚:もうマホさんとも会えない 柚:次はもう誰も助けてくれない… 0: 0:夢の中 京子:お弁当忘れちゃった 0: 京子:柚ちゃん、そんなに濡れてたら傘いらないじゃん 0: 京子:桜がいなくなって寂しいんだ 0: 0:目が醒める 柚:……夢、怖くなくなってたのって 柚:そっか、マホさんの魔法で… 0:赤い瓶が光っている様に見えた 柚:……行こう 0: 0:学校、柚は京子を呼び出した 京子:はぁ…、昼休みってのに 京子:話って何かなー?柚ちゃん 柚:ッ…あ… 京子:なんか言いたいことでもあるのかな? 京子:っていうか呼び出すとか調子乗ってる? 京子:あ、それともお弁当代持って来た? 京子:アッハハ!自分から渡しに来たってわけ!? 京子:それとも……また濡れて帰る?柚ちゃん 柚:わ、私 柚:(お願い!力を貸してーー 0:ポケットに入れていた赤い瓶を握り締める マホ:(魔法は私利私欲のために使えない) 柚:っ! マホ:(大丈夫、キミなら絶対に) 柚:……もう…やめてくれないかな 京子:は? 柚:もう私に構うのはやめて! 柚:もうこれ以上は耐えられない 柚:だから次は私も闘う 柚:何をされても逃げない絶対に 京子:はぁ!?なにそれ、どういう 柚:やれることは全部やる 柚:やめないなら…… 柚:今までのことも全部話して 柚:最後まで相手する! 京子:ッ! 京子:……チッ…めんどくさ 京子:ハイハイ、わかりました 京子:じゃ、今からアンタのこと 京子:構わないし、もう何もしない 京子:それでいいんでしょ?空気だと思えば 0:取り巻きからいいのかと声がかかる 京子:マジでめんどくさいし 京子:一々あんなの相手してられないって 京子:それより今日あそこ寄って帰ろ 0:そう、取り巻きたちと話し、帰っていく京子 0: 柚:はぁ…はぁ… 柚:私、魔法を使わないで勝てた…?のかな? 柚:私もう大丈夫なんだよね? 柚:終わったんだよね? 柚:うぅ…うっ…私、わたし… 柚:頑張ったよ…マホさん 0: 0:回想 柚:魔法…使い?なに言ってるんですか? マホ:宝石や花 マホ:誕生日、生まれた場所 マホ:名前や好きな色 マホ:この世のモノには意味が込められている マホ:知っているかい? 柚:なんとなく… 柚:占いとか、アクセサリーとかで 柚:時々見ますけど マホ:私が作っている魔法は『色』 マホ:その色に込められた意味が、魔法の力になる 柚:へぇ… マホ:おや?信じてくれるのかな 柚:うーん、わからないですけど 柚:なんだか信じれる気がします マホ:ハハハ!では確信に変えよう 柚:枯れた花? マホ:アラゴライト マホ:っていうパワーストーンなんだけど マホ:これの力を魔法で向上させて 柚:え… マホ:まぁ、この通り マホ:花は元気になった 柚:凄い!本当に魔法使いなんだ! マホ:無邪気に笑うねキミは 柚:あ!…すみません マホ:柚…か マホ:素敵な名前だね 柚:え?あ、ありがとうございます 柚:(あの時マホさんに出会って) マホ:次はキミの話しを聞かせてくれるかな? マホ:なんでもいいから 柚:え…私の話…?えっと…学校で… 柚:友達とお昼食べてる時に! 柚:(嘘じゃないよね、少し昔の話なだけ) マホ:今日はありがとう、楽しい話が聞けた マホ:お礼にこの瓶を 柚: :ありがとうございます!大事に使いますね! 柚:(いつもいつも私の話を最後まで聞いてくれて) 0: マホ:キミを マホ:柚を助けることなら マホ:手は惜しまないよ、私は 柚:(最後まで私を助けてくれた) 0: 柚:会いに行こう、マホさんに 0: 0:走る、走る 0:あなたに会いたいから 0:だから 0: マホ:柚… 柚:マホさん…私、私ね… マホ:それじゃあ今日の話を マホ:聞かせてくれるかい? 0: 柚:(私は今日あった出来事を話した 柚:途中、思い出して泣いてしまった 柚:それでもマホさんは優しく最後まで聞いてくれた) 0: 柚:それでね 柚:その話してる現場を友達が 柚:見てたみたいで、謝ってくれたの 柚:助けられなくてごめん、何もできなくてごめんって マホ:キミは許したのかい? 柚:許すっていうより 柚:また話してくれたのが嬉しくて 柚:また昔みたいに戻れるかなって マホ:うん、それがキミの答えなら マホ:間違ってないだろうね マホ:また戻れるよ、よく頑張ったね 柚:ありがとう、マホさん マホ:…キミに マホ:柚に謝らないといけない マホ:今度は私の話を聞いてくれるかい? 柚:私に謝る? 柚:そんなマホさんは助けてくれて マホ:私はキミをけしかけた マホ:闘うようにと マホ:それが正解か間違いかわからない マホ:けど、もしかしたら マホ:キミが今より酷い状況になったかもしれない マホ:例え、魔法があったとしても 柚:マホさん… マホ:私がこの仕事をしてから マホ:同じ様に何かに悩んでいる人の手助けを マホ:魔法という力を使って助けてきた マホ:…いや違うな マホ:闘うようにけしかけてきた 柚:けど、皆んな何かに悩んでて 柚:一歩を踏み出したかったから 柚:頑張ったんじゃないのかな? マホ:そうだね、だけど マホ:結局、解決できるのは本人だけだ マホ:私が魔法で全てをハッピーに マホ:……なんてことはできない マホ:だからいつも怖かった 柚:怖い? マホ:救われた人もいる マホ:お礼を言いに来てくれて マホ:元気になった姿を見ることもあった マホ:その時は嬉しかった マホ:けど、そうじゃない人もいた マホ:全て上手くいく、そんなうまい話があるわけない 柚:だけど変わろうとしないと結局ずっと辛いままだよ 柚:私はマホさんに出会ってマホさんに救われた 柚:闘おうって、今を変えようて 柚:そう思えたのはマホさんがいたから マホ:キミは優しいね マホ:だけど、そう思える人も多くない マホ:もしかしたら、私に恨みを持っている人も マホ:いるかもしれない マホ:少しの魔法と、背中を押すこと マホ:私は、無責任なことしかできない マホ:だから、柚の背中を押した時、怖かった 柚:マホさん マホ:だけど、変わらないと始まらない、幸せにはなれない マホ:私はそう思う マホ:私たちの一族が変わったように マホ:人を恨むだけじゃ、自分の欲を満たすだけじゃ マホ:幸せになれなかったように マホ:違う一歩を、未来を変える努力を マホ:自分たちで踏み出さないといけない 柚:私も前のままだったら 柚:結局、自分を傷つけたままだった 柚:だからマホさんがしていることは 柚:間違ってない、私はそう思うよ マホ:やっぱりキミは マホ:私が思った以上の人間だ マホ:キミと出会った頃のこと マホ:覚えているかな?素敵な名前だと 柚:あ、初めて魔法を見せてもらったときの マホ:柚、その名前に込められた意味 マホ:その力をキミは純粋に引き出している マホ:だからキミなら大丈夫だと思ったのかもしれない 柚:意味? マホ:"汚れなき人" マホ:無邪気に笑う表情も、純粋な想いも マホ:全てキミの力だよ マホ:私はキミに出会えて良かった マホ:魔法の研究だけじゃない マホ:キミに出会えて、私も救われたのかもしれない 柚:褒めすぎだよ! 柚:もう!マホさんってそういうとこあるから… マホ:ありがとう、柚 マホ:キミならこれからも マホ:何があっても大丈夫 マホ:私はそう信じている 柚:私の方こそ 柚:ありがとう、マホさん! 柚:マホさんにそう言ってもらえたら 柚:本当に大丈夫な気がします マホ:……柚 マホ:私の話を聞いてくれてありがとう マホ:最後にもう少しだけ マホ:私の秘密を教えるよ 柚:え?最後? マホ:今までありがとう マホ:今日でお別れだ 0: 0: 柚:お別れ…? マホ:この店は、誰かの手助けが マホ:自分じゃどうにもできない悩みがある人 マホ:そんな人にしかこの店は見えない マホ:そう言ったよね? 柚:うん… マホ:キミは自分の力で、自分の悩みと闘って勝った マホ:だからもうキミに、私が手伝える悩みはなくなった 柚:それは… 柚:だけど私、まだマホさんと話したいことあるよ? 柚:やっと嘘じゃない話を 柚:マホさんが背中を押してくれからやっと話せるんだよ? 柚:まだ私、マホさんに話せて…ない…のに… マホ:ハハ、変なことを気にするね 柚:気にするよ! 柚:もう…そういうとこだよ マホ:ん?柚…もしかして マホ:魔法を使わなかったのかい? 柚:もう、すぐ話を逸らす 柚:最後までマホさんのペースだよ 柚:…うん、魔法は使わなかった 柚:だって私利私欲のために魔法は使えないから マホ:キミも本当に変なことを気にするね マホ:キミは魔法使いじゃないのに 柚:そうだけど! 柚:そうだけど…マホさんが言ってたこと 柚:急に思い出しちゃって 柚:私も自分の力で頑張ろうって 柚:そう思ったの マホ:…ハハ、ハハハ! マホ:キミは、柚は本当に私が思った以上だ! マホ:うん、その魔法はキミにあげる 柚:え? マホ:普通は悩みが解決したら マホ:もう私が何かをすることはない マホ:だけど、その使わなかった魔法 マホ:それは柚のものだから返さなくていい 柚:けど、いいの? マホ:キミなら魔法を使わなくても大丈夫だと思うけどね マホ:あぁ、そうだ、ガーネット マホ:その魔法の力はね、勝利 柚:え、それじゃあ 柚:もし魔法を使ってたら マホ:うん、同じ結果かは マホ:わからないけど勝てたかもしれない 柚:でも、マホさん怖かったんだよね? 柚:勝つってわかってたんじゃ マホ:魔法の効力が即効性とは限らない マホ:その勝利がどんな勝利かもわからない マホ:結果、状況が悪化するかもしれない マホ:魔法は少し、いい加減なところがあるから マホ:どんなに凄い魔法を渡しても私は安心しないだろうね 柚:そうなんだ……いい加減…か マホ:そう マホ:話を戻すけどこの店は、誰かの手助けが必要な人 マホ:どうにもできない悩みがある人 マホ:そんな人にしかこの店は見えない マホ:なのに悩みがなくなった今 マホ:この店に来れたのか 柚:あ…たしかに マホ:ね?いい加減なところがある マホ:私も何故こうなったかわからない マホ:だけど、悩みがなくなったあと マホ:一回だけこの店に来ることができる マホ:お礼に来る人がいるのはそういうこと 柚:そっか… 柚:それで私の一回が今ってこと? マホ:そういうこと マホ:だから今日でお別れだ マホ:何度も言うが私は感謝している マホ:キミに出会えたことに マホ:魔法の研究もキミの話も マホ:柚という人間と出会えたことに 柚:待って!まだお別れなんて 柚:じゃあ…魔法の研究手伝うとか 柚:魔法屋さんの手伝いとか 柚:ほら!私部活してないし、放課後は予定ないし! マホ:柚、本来なら マホ:魔法なんてものはないんだよ マホ:だからキミは普通の日常に戻るんだ 柚:マホさん…… 柚:私、マホさんに出会えて良かった 柚:ありがとうマホさん 柚:また会えるよね? マホ:柚、私の魔法名を教えよう 柚:魔法名? マホ:キミに柚という名前があって マホ:名前に意味があるように マホ:私たち一族は魔法名という マホ:意味を持った名前を付けられる マホ:いいかい?一度だけしか言わない マホ:最後の私の秘密だ 柚:ずっと覚えておくね 柚:マホさんと話したことも マホ:私の魔法名は マホ:"ヴィーダー•ゼーエン" 柚:ヴィーダー…ゼーエン? マホ:それじゃ柚 マホ:キミならこれから何があっても マホ:絶対、大丈夫 マホ:私はそう信じているよ 柚:私忘れないから 柚:マホさんのことも魔法のことも 柚:だから…だから 柚:またね!マホさん! マホ:気をつけて帰るんだよ マホ:……柚 0: 0: 0: 柚:あれから本当に魔法屋は見えなくなってしまった 柚:だけど魔法はいい加減だ 柚:魔法のことも魔法屋のことも 柚:マホさんのことも記憶から消えることはなかった 0: 柚: :学校での私は前と同じような生活に戻っていった 柚:友達と食べるお昼ご飯、一緒に帰る放課後 柚:当たり前のことが嬉しかった 柚:だから、私はそんな幸せな日々をマホさんに話したかった 柚:また会いたかった 0: 柚:マホさんが話してくれた 柚:色んなものに意味があること 柚:そのことを思い出して……そして、調べた 柚:ガーネットは勝利の他に絆って意味もあるって 柚:ヴィーダー•ゼーエン 柚:マホさんの魔法名 柚:この名前に込められた意味も 柚:そして……魔法はいい加減なこと 柚:だから… 0: 0: 0: マホ:やぁ、いっらっしゃい マホ:それじゃ今日の話を マホ:聞かせてくれるかな? 0:おしまい。

柚:この世界には魔法がある 0:一人の高校生が路地を裏に抜けて歩いていく 0:路地裏、本来彼女はそんなところに似つかわしくない 0:そして、その顔は笑っていた マホ:いらっしゃいませ…あぁ、君か 柚:来ちゃいました マホ:それじゃあ今日の話を マホ:聞かせてくれるかい? 柚:はい! 柚:(ここは"魔法屋" 柚:表向きはカフェっぽいんだけど 柚:その実、名前の通り"魔法"を売る不思議なお店 柚:私は、このお店のマホさんと仲良くなって 柚:毎日通ってる、そして今日1日の出来事を話す 柚:その間にマホさんは魔法を"作る"…) 0: 柚:それでね! 柚:先生が男子に注意したんだけど 柚:その時、噛んじゃって!もう笑った笑った! マホ:キミはいつも無邪気に笑うねぇ マホ:良いことだ 柚:うーん…… 柚:それって、褒められてます? マホ:もちろん マホ:さて、こっちも出来たよ 柚:わぁ!綺麗な色! マホ:ターコイズか マホ:うーん、私がイメージしてたものと少し違うかなぁ… マホ:まぁ今回は、あの子の話と感情のスパイスが マホ:そっち寄りだったと考えるべきか 柚:マホさん、また一人でぶつぶつ言ってる マホ:ん?あぁ、すまない マホ:これはターコイズ色でね マホ:効果は" "制圧" マホ:そうだね…不安とか悩みがある人には良いかもね マホ:それらを制圧してくれる 柚:へぇ… マホ:さ、瓶詰めするよ マホ:手伝うかい? 柚:もちろん! 0: 0: 柚:マホさん 柚:なんで魔法を作る時、私の話を聞くの? マホ:研究の為、と言ったら冷たいかな? 柚:ちょっとだけ マホ:いつもの話のお礼として マホ:今日は私の話をしよう マホ:私は魔法が使える… マホ:所謂、魔法使い、魔女と言った類で マホ:母親の家系がそうだった マホ:だけど、キミと同じ人間でもある 柚:マホさん格好も普通だもん マホ:私の母は魔法が使えなかった マホ:適性が無かったらしい マホ:だから祖母に習った、だけど マホ:私が初めて魔法を使ったのは7歳 マホ:祖母が亡くなったのは10歳だったかな 柚:お婆ちゃん、そんなにすぐ亡くなったんですね 柚:魔法とかで不老不死ー!とかできないものなのかな? マホ:ははっ、まぁ、やろうと思えば マホ:できるかもしれないね マホ:でも、その3年の中で マホ:大切なことも教えてもらった マホ:昔は魔法が使える家系は マホ:いくつかあったみたいでね マホ:力を買われたこともあったけど マホ:迫害されたこともあったらしい マホ:結局、残った家系が私たち マホ:他は多分、残っていないって 柚:なんだか可哀想…ですね 柚:迫害って悪いことしたんですか?魔法で マホ:いいや、怖かったんだろうね マホ:自分と違う、自分と同じ形をした生き物が マホ:そんなことがあって祖母から マホ:こんな掟を出された 柚:掟、ですか? マホ:他人に魔法を見せない マホ:私利私欲の為に魔法は使わない 柚:二つ目はなんで? マホ:迫害を受けてから マホ:人間に対して悪意を持つ家系が生まれたけど マホ:結局のところ、人を呪わば穴二つってわけだ マホ:では、自分たちの欲を満たそう マホ:そう考えるん家系がいた 柚:なるほど 柚:人に魔法が使えないなら 柚:自分のためにって思ったのか マホ:しかし、それもまた破滅の道 マホ:私利私欲は満たせず、死んでいったそうだ マホ:つまり、魔法は私怨や私欲で使うものじゃない マホ:使っちゃいけないんだ 柚:それをお婆ちゃんが、教えてくれたってこと? マホ:そういうこと マホ:だけど、こうも言っていた マホ:もし魔法を使うなら マホ:自分のためじゃなくて マホ:人のためになる魔法を使いなさい マホ:ってね 柚:それで始めたのが魔法屋さん? マホ:そう マホ:ここには色んな人が来る マホ:大抵は何か悩みを持った人や マホ:自分の力でどうにもできない人 マホ:そんな人たちの、一つの手助けとして マホ:魔法を贈っているんだよ マホ:瓶の中のお香に、魔法を混ぜてね 柚:そういえばこの前来てた人! 柚:前は死にそうな顔してたのに 柚:凄い爽やかになってた マホ:助けになったのならいいね マホ:そして、私が掟を破って マホ:キミに魔法を見せていることは マホ:キミは話をする時、漫画やアニメのように マホ:表情をコロコロと変えて マホ:話の中にもう一度入り込んでいるみたいだ 柚:え!?…そ、そうですか…? マホ:感情がスパイスになる、魔法のね マホ:私もまだ理解しているわけじゃないけど マホ:魔法とはそういうものでね マホ:キミは私が思った以上の隠し味 マホ:私一人で作る時より、違う変化が起こるんだ マホ:だから研究も兼ねて、キミの話を聞きながら マホ:魔法を作ってみたいと思ったんだ マホ:出会い方は最あ… 柚:ぁぁぁあ! 柚:そのことは言わないでください! 柚:今でも思い出すだけで恥ずかしいんですから! マホ:また話を聞かせてくれ 柚:今日はマホさんの話が聞けて嬉しかったです 柚:なんだかまた仲良くなれた気が マホ:はいはい、それとコレを 柚:青色?のこれは? マホ:"幸運の青い鳥" マホ:とも言うだろう? マホ:幸運が舞い込むといいね 柚:えへへ、ありがとうございます 柚:大事に使いますね! 柚:それじゃ、また来ます 柚:マホさん! マホ:ああ、気をつけて帰るんだよ、柚 0:柚は、店を後にする マホ:……ラピスラズリ、邪気払い マホ:その無邪気な笑顔の中にある マホ:キミの本当の悩み マホ:聞かせてくれるといいな マホ:キミの手助けなら惜しまないから 0: 0: 0: 0:ある夢の話ーー。 京子:そんな格好で帰ったら風邪引くよ 0: 京子:今日、財布忘れちゃってさ 0: 京子:柚ちゃん 京子:授業終わって一人で離れた 京子:トイレに行ってたけど、大丈夫? 0: 京子:ゆーずーちゃん 0: 0: 0:目が醒める、柚 柚:……今の、夢……? 0: 0:魔法屋にて マホ:ありがとうございました 柚:マホさん、さっきの瓶… マホ:この前のやつだね 柚:制圧?だっけ マホ:お客様の情報は話せません マホ:なので、この話はここでおしまい 柚:はーい マホ: :さて、一息ついたけど マホ:そうだ…キミ、甘いモノは好きかな? 柚:え?好き!好きだよ! マホ: :それは良かった マホ:では、お茶にしようか 0: 柚:んー!美味しい! 柚:これ、もしかしてマホさん手作り? マホ:ん、よくわかったね 柚: :それで今は何してるんですか? マホ:今日はキミの美味しそうな マホ:表情をスパイスに魔法を作る マホ:そのまま食べていてくれ 柚:太らせようとしてます? マホ:ハハ!変なことを気にするね 柚:いや!女子高生ですから! 柚:気にしますから! 0: マホ:できた 柚:わぁ…これが 柚:私の美味しい表情の魔法… マホ:違うけど マホ:何を言っているんだい? 柚:ちょっとボケただけです! マホ:からかっただけです 柚: :そういうとこだよ!マホさん! マホ:うーん琥珀…か マホ:使い辛いかな 柚:話を逸らした!…って、使い辛いんですか? マホ:琥珀ってパワーストーン知ってるかな? マホ:アレと同じで生命力とか マホ:精神安定の効果があるんだけど マホ:パワーストーンと違って マホ:こっちは魔法だからね マホ:使い方とか量を間違えると マホ:本当に不老不死とか、逆に廃人になったりするかも 柚:え…怖い 柚:強力な魔法なんですか? マホ:普通なら大丈夫だけど マホ:やっぱり、キミは思った以上のスパイスだ 柚:喜んでいい…のかな? マホ:これはキミの力だよ マホ:キミが今日お菓子を食べて幸せを感じた マホ:おいしいと表情に出した マホ:それがここまでの魔法を作り上げた マホ:キミの笑顔には、それほどの力があるんだよ 柚:そこまで言われると…んー!ダメダメ! 柚:なんか恥ずかしい!ってあれ!? 柚:もうこんな時間!? 柚:ごめん、マホさん!今日早く帰らなきゃだった マホ:うん、またおいで 柚:それじゃ、マホさん 柚:また来ます! マホ:あぁ、気をつけて…待って、柚 柚:はい?え、今、名前 マホ:明日は時間あるかい? 柚:え?別に予定はないですよ マホ:では、明日この店は休みにする マホ:だから好きな時にきてもらえるかな 柚:わ、わかりました マホ:ん、じゃあ気をつけて 0: 0: 柚:マホさんなんだったんだろ? 柚:ていうか!名前! 柚:絶対名前呼んだよね! 柚:いっつもキミ、キミしか言わないのに… 柚:……明日何かするのかな 0:翌日 マホ:やぁ、待ってたよ 柚:あの、何かするんですか? マホ:前に話したこと覚えているかな マホ:私利私欲のために魔法は使えない 柚:はい、覚えてますけど マホ:だから、私から何かをする マホ:というのはやめようと思った マホ:私は助けを求められてからじゃないと動けないから マホ:私はね、キミに助けてと言ってほしいんだ 柚:マホさん? 柚:何言ってるの?別に私困って マホ:私は魔法使いだよ、柚 柚:ッ! マホ:この店はね マホ:普通の人は見つけることはできないんだよ マホ:そういう魔法をかけている マホ:誰かの手助けが、自分じゃ マホ:どうにもできない悩みがある人 マホ:そんな人にしかこの店は見えない 柚:それは… マホ:だからね、柚 マホ:最初からキミに何かあることはわかっていた マホ:青色の瓶、使ったかい? 柚:はい… マホ:あれはラピスラズリ マホ:邪気を祓う効果がある マホ:さっきから腕を気にしているね? 柚:いや!これは! マホ:気にしなくていい マホ:邪気を祓う、私の考えだと マホ:減った、もしくは、しなくなった マホ:そうじゃないのかな? 柚:……マホさんのお店に行くようになって 柚:瓶を話のお礼って貰うようになってから 柚:そういう考えが消えて… マホ:ラピスラズリ以外にも、抑制や安心感 マホ:色々試していたんだけど マホ:よかった、効いたみたいだ 柚:あの…知ってるんですか 柚:私のこと マホ:知らないよ マホ:さっきも言ったけど マホ:私は言われないと動けない マホ:だからキミのこと、魔法でなんでも知ってる マホ:なんてことはない マホ:何も知らない、何も知らないけど マホ:何かあることは知っていた マホ:だから少しだけズルをしていた 柚:じゃあ、あの瓶のおかげで、私は…… マホ:私は感謝しているんだよ マホ:魔法の研究を手伝ってくれて マホ:そして何より、キミの話は楽しい マホ:楽しいからこそ マホ:その話を本物にしたいんだよ 柚:私が話していること 柚:嘘ってわかったの? マホ:嘘だけど嘘じゃない マホ:あれはキミが望む世界の話 マホ:だからキミはあの世界が好きで マホ:入り込んでいたんだ マホ:それを嘘じゃなく、夢の世界じゃなく マホ:現実の世界にしてあげたい 柚:マホさん… マホ:キミを マホ:柚を助けることなら マホ:手は惜しまないよ、私は 柚:マホさん… 柚:………助けて…… 0: 0: 0: 柚:(私はどこにでもいる高校生 柚:部活には入ってなかったけど 柚:友達もいたし、何かに困っていることもなかった 柚:ただ、ある時、私の周りに変化が起きた) 0: 柚:(いつもと変わらない日 柚:お昼休みにお弁当を友達と 柚:食べようとしてた時に見ちゃったの) 0: 京子:ねぇ、何遅れてんの? 京子:アンタのせいで昼休み、終わるんだけど? 京子:最悪じゃない?ねぇ? 0:京子の言葉に重ねて文句を言う複数の生徒 柚:(私の友達にね、桜ちゃんっているんだけど 柚:いじめられてた…知らなかった 柚:最初は驚いて何もできなかった 柚:他の友達も見て見ぬふりだった 柚:もし下手に関わったら 柚:次は自分って思ったのかもしれない) 0: 柚:(私も見て見ぬふりをしてしまった 柚:だけど本当に正しいの?これが正解なの? 柚:そう思っちゃって私、声をかけたの) 0: 柚:やめなよ、桜困ってる 京子:は?お前誰だよ 京子:…まぁいいわ、なんか冷めた 京子:ねぇ、屋上行こうよ 京子:鍵はどうせ翔たちが開けてるよ、あはは 0:そう取り巻きたちと話し、その場を去っていく京子 柚:(そんな感じでその場は何事もなかった 柚:けど次の日、桜が転校した 柚:話せなかったけど…多分、ずっと前から 柚:悩んでたんだと思う 柚:そのあとはマホさんなら 柚:もう、わかるよね) 0: 京子:柚ちゃん 京子:ねぇ、ちょっと話そっか 京子:桜がいなくなって、私たち寂しんだよねぇ 京子:だからさ 京子:次は、柚ちゃんが相手してくれるんだよね? 柚:(次の標的は私だった 柚:友達も離れて行った 柚:誰にも相談できなかった 柚:私そんなに弱くないと思ってた 柚:けど無理だった 柚:辛くて悲しくて嫌になって 柚:死んじゃおうと思った 柚:気付いたら自分で自分を、傷つけてた 柚:その時ね、生きてる実感がした 柚:そしたらそれを求めてしまった 柚:やめられなくなってた 柚:学校で虐められて、家に帰って傷つけて安心する 柚:繰り返しだった) 0: 柚:(そんなことになって 柚:誰にも相談できなかった 柚:自分を傷つけた後ろめたさで 柚:両親にも話せなかったの 柚:そんな日が続いてた時にね) 0: 京子:柚ちゃん 京子:私たちさ、お弁当も財布も 京子:忘れちゃって困ってて 京子:お昼代、出してくんない? 柚:え…あ… 京子:早くしろよ! 0:取り巻きの男子生徒から、先生が近づいて来たと言われ 柚:あ、先生… 京子:チッ 京子:柚ちゃん、このことアイツに 京子:チクったらわかってるよね? 柚:言わないよ… 京子:明日、モタモタしてると 京子:どうなるか分かってるよね? 柚:っ… 京子:翔!屋上開けといてよ 京子:最悪、マジで冷めたわ 0:そう言い、去っていく 0:そして、通りかかった先生が話しかけてくる 柚:先生…何でもないです… 0: 0:放課後 京子:ゆーずーちゃん 京子:授業終わって一人で離れた 京子:トイレに行ってたらか何かなぁ? 京子:って思ったけど 京子:中谷のヤツにチクってないよね? 柚:言ってない!私何も言ってない! 京子:あっそ 京子:けどこれは…… 0:柚の頭上から水が降りかかる 京子:お昼代出してくれなかった罰ね 京子:今日、雨降ってるし傘いらなくなったね 京子:アハハ! 京子:帰ろ、帰ろ!アハハ! 柚:………… 0: 柚:(その日、トイレで水をかけられて 柚:おまけに傘まで捨てられてた 柚:もうどうでもいいやと思って 柚:そのまま帰ったの 柚:そしたらアナタに出会った) マホ:傘、忘れたのかな? 柚:え?あ、いや、えっと… マホ:そんな格好で帰ったら心配される マホ:よかったら店においで 柚:いや!そんな 柚:悪いです!私が傘忘れただけで マホ:人の厚意はありがたく受け取るものだよ マホ:さ、おいで 柚:は、はい 0: 柚:(その日、マホさんがお風呂を貸してくれて 柚:そして少し話しをしたよね) マホ:コーヒーだけど、飲めたかな? 柚:ありがとうございます 柚:わ、美味しい マホ:それは良かった マホ:ん?…キミは… 柚:はい? マホ:いや、何でもない マホ:制服は私が乾かしておくよ マホ:明日学校は休みのはずだから マホ:取りに来るといい 柚:いやいや!そんなの悪いです! マホ:よし、わかった マホ:明日私と少し話をしよう マホ:それと私の秘密も教えよう マホ:フフ、何のことかわからない マホ:と言った顔だね マホ:けど、きっと驚くよ 柚:いや、わからないですけど 柚:制服は大丈夫ですから マホ:人の厚意は 柚:あーー! 柚:わかりました!わかりました! 柚:それじゃお願いします マホ:気をつけて帰るんだよ 0: 柚:(あの時、意味がわからなかった 柚:なんで会ったばかりの人に 柚:そこまで親切にしてくれるのか 柚:それと……) 0: 柚:あ…れ?私、笑ってる? 柚:そっか…人とちゃんと話したの久しぶりだったんだ… 柚:……明日…楽しみだな… 0: 0:次の日 マホ:やぁ、いらっしゃい マホ:まずは自己紹介を改めて 柚:あ!昨日はありがとうございました 柚:私は眉村 柚です マホ:うん マホ:私はマホ、と呼んでくれていい マホ:職業はカフェの店長 マホ:……と言いたいところだけど マホ:秘密を教えると言ったからね マホ:ちゃんとした自己紹介を 0: マホ:私はここ、魔法屋の店主で マホ:所謂、魔法使いで マホ:ここで魔法を作っている者だ マホ:よろしくね 0: 0: 0: 0:回想が終わり、現在 0: 柚:これが私の本当の話 柚:マホさんと会ってからも 柚:いじめは続いてた 柚:だけど、放課後マホさんと 柚:話ができることを考えたら頑張れて… マホ:できた 柚:え? マホ:キミのことはよくわかった マホ:今までよく頑張った マホ:そして、よく話してくれたね マホ:ありがとう 柚:あ、いや…私…私は… 柚:ごめんなさい……嘘ついてて、ごめんなさい マホ:いいんだよ、柚 マホ:キミは救われるべきだ マホ:だからこれを 柚:赤色の魔法…? マホ:これはガーネット マホ:効果は…いや、これは マホ:キミをスパイスに作った マホ:だから普通の魔法とは違う マホ:だけど、キミの力になる魔法だよ マホ:ただ、使い方には注意してくれ 柚:使い方? マホ:キミは自分を傷つけた相手と闘うことになる マホ:それはとても怖いことだ マホ:だから、本当にどうしようもない時 マホ:その時に使うんだ マホ:だけど大丈夫、キミなら絶対に 柚:私…できるかな マホ:私ができるのはここまで マホ:魔法と背中を押すことだけ マホ:話をしてもらって冷たい様だけど 柚:大丈夫です!なんだかスッキリしました 柚:……私、闘ってみます 柚:このお店に来た人たちも、みんなそうした様に マホ:うん 柚:また… 柚:また来ます!マホさん! マホ:……待っているよ 0: 柚:ガーネット…私に力をくれる魔法… 柚:怖い…よ 柚:もし上手くいかなかったら? 柚:今よりもっと酷くなったら? 柚:私も桜みたいに…嫌だ、ここを離れたら 柚:もうマホさんとも会えない 柚:次はもう誰も助けてくれない… 0: 0:夢の中 京子:お弁当忘れちゃった 0: 京子:柚ちゃん、そんなに濡れてたら傘いらないじゃん 0: 京子:桜がいなくなって寂しいんだ 0: 0:目が醒める 柚:……夢、怖くなくなってたのって 柚:そっか、マホさんの魔法で… 0:赤い瓶が光っている様に見えた 柚:……行こう 0: 0:学校、柚は京子を呼び出した 京子:はぁ…、昼休みってのに 京子:話って何かなー?柚ちゃん 柚:ッ…あ… 京子:なんか言いたいことでもあるのかな? 京子:っていうか呼び出すとか調子乗ってる? 京子:あ、それともお弁当代持って来た? 京子:アッハハ!自分から渡しに来たってわけ!? 京子:それとも……また濡れて帰る?柚ちゃん 柚:わ、私 柚:(お願い!力を貸してーー 0:ポケットに入れていた赤い瓶を握り締める マホ:(魔法は私利私欲のために使えない) 柚:っ! マホ:(大丈夫、キミなら絶対に) 柚:……もう…やめてくれないかな 京子:は? 柚:もう私に構うのはやめて! 柚:もうこれ以上は耐えられない 柚:だから次は私も闘う 柚:何をされても逃げない絶対に 京子:はぁ!?なにそれ、どういう 柚:やれることは全部やる 柚:やめないなら…… 柚:今までのことも全部話して 柚:最後まで相手する! 京子:ッ! 京子:……チッ…めんどくさ 京子:ハイハイ、わかりました 京子:じゃ、今からアンタのこと 京子:構わないし、もう何もしない 京子:それでいいんでしょ?空気だと思えば 0:取り巻きからいいのかと声がかかる 京子:マジでめんどくさいし 京子:一々あんなの相手してられないって 京子:それより今日あそこ寄って帰ろ 0:そう、取り巻きたちと話し、帰っていく京子 0: 柚:はぁ…はぁ… 柚:私、魔法を使わないで勝てた…?のかな? 柚:私もう大丈夫なんだよね? 柚:終わったんだよね? 柚:うぅ…うっ…私、わたし… 柚:頑張ったよ…マホさん 0: 0:回想 柚:魔法…使い?なに言ってるんですか? マホ:宝石や花 マホ:誕生日、生まれた場所 マホ:名前や好きな色 マホ:この世のモノには意味が込められている マホ:知っているかい? 柚:なんとなく… 柚:占いとか、アクセサリーとかで 柚:時々見ますけど マホ:私が作っている魔法は『色』 マホ:その色に込められた意味が、魔法の力になる 柚:へぇ… マホ:おや?信じてくれるのかな 柚:うーん、わからないですけど 柚:なんだか信じれる気がします マホ:ハハハ!では確信に変えよう 柚:枯れた花? マホ:アラゴライト マホ:っていうパワーストーンなんだけど マホ:これの力を魔法で向上させて 柚:え… マホ:まぁ、この通り マホ:花は元気になった 柚:凄い!本当に魔法使いなんだ! マホ:無邪気に笑うねキミは 柚:あ!…すみません マホ:柚…か マホ:素敵な名前だね 柚:え?あ、ありがとうございます 柚:(あの時マホさんに出会って) マホ:次はキミの話しを聞かせてくれるかな? マホ:なんでもいいから 柚:え…私の話…?えっと…学校で… 柚:友達とお昼食べてる時に! 柚:(嘘じゃないよね、少し昔の話なだけ) マホ:今日はありがとう、楽しい話が聞けた マホ:お礼にこの瓶を 柚: :ありがとうございます!大事に使いますね! 柚:(いつもいつも私の話を最後まで聞いてくれて) 0: マホ:キミを マホ:柚を助けることなら マホ:手は惜しまないよ、私は 柚:(最後まで私を助けてくれた) 0: 柚:会いに行こう、マホさんに 0: 0:走る、走る 0:あなたに会いたいから 0:だから 0: マホ:柚… 柚:マホさん…私、私ね… マホ:それじゃあ今日の話を マホ:聞かせてくれるかい? 0: 柚:(私は今日あった出来事を話した 柚:途中、思い出して泣いてしまった 柚:それでもマホさんは優しく最後まで聞いてくれた) 0: 柚:それでね 柚:その話してる現場を友達が 柚:見てたみたいで、謝ってくれたの 柚:助けられなくてごめん、何もできなくてごめんって マホ:キミは許したのかい? 柚:許すっていうより 柚:また話してくれたのが嬉しくて 柚:また昔みたいに戻れるかなって マホ:うん、それがキミの答えなら マホ:間違ってないだろうね マホ:また戻れるよ、よく頑張ったね 柚:ありがとう、マホさん マホ:…キミに マホ:柚に謝らないといけない マホ:今度は私の話を聞いてくれるかい? 柚:私に謝る? 柚:そんなマホさんは助けてくれて マホ:私はキミをけしかけた マホ:闘うようにと マホ:それが正解か間違いかわからない マホ:けど、もしかしたら マホ:キミが今より酷い状況になったかもしれない マホ:例え、魔法があったとしても 柚:マホさん… マホ:私がこの仕事をしてから マホ:同じ様に何かに悩んでいる人の手助けを マホ:魔法という力を使って助けてきた マホ:…いや違うな マホ:闘うようにけしかけてきた 柚:けど、皆んな何かに悩んでて 柚:一歩を踏み出したかったから 柚:頑張ったんじゃないのかな? マホ:そうだね、だけど マホ:結局、解決できるのは本人だけだ マホ:私が魔法で全てをハッピーに マホ:……なんてことはできない マホ:だからいつも怖かった 柚:怖い? マホ:救われた人もいる マホ:お礼を言いに来てくれて マホ:元気になった姿を見ることもあった マホ:その時は嬉しかった マホ:けど、そうじゃない人もいた マホ:全て上手くいく、そんなうまい話があるわけない 柚:だけど変わろうとしないと結局ずっと辛いままだよ 柚:私はマホさんに出会ってマホさんに救われた 柚:闘おうって、今を変えようて 柚:そう思えたのはマホさんがいたから マホ:キミは優しいね マホ:だけど、そう思える人も多くない マホ:もしかしたら、私に恨みを持っている人も マホ:いるかもしれない マホ:少しの魔法と、背中を押すこと マホ:私は、無責任なことしかできない マホ:だから、柚の背中を押した時、怖かった 柚:マホさん マホ:だけど、変わらないと始まらない、幸せにはなれない マホ:私はそう思う マホ:私たちの一族が変わったように マホ:人を恨むだけじゃ、自分の欲を満たすだけじゃ マホ:幸せになれなかったように マホ:違う一歩を、未来を変える努力を マホ:自分たちで踏み出さないといけない 柚:私も前のままだったら 柚:結局、自分を傷つけたままだった 柚:だからマホさんがしていることは 柚:間違ってない、私はそう思うよ マホ:やっぱりキミは マホ:私が思った以上の人間だ マホ:キミと出会った頃のこと マホ:覚えているかな?素敵な名前だと 柚:あ、初めて魔法を見せてもらったときの マホ:柚、その名前に込められた意味 マホ:その力をキミは純粋に引き出している マホ:だからキミなら大丈夫だと思ったのかもしれない 柚:意味? マホ:"汚れなき人" マホ:無邪気に笑う表情も、純粋な想いも マホ:全てキミの力だよ マホ:私はキミに出会えて良かった マホ:魔法の研究だけじゃない マホ:キミに出会えて、私も救われたのかもしれない 柚:褒めすぎだよ! 柚:もう!マホさんってそういうとこあるから… マホ:ありがとう、柚 マホ:キミならこれからも マホ:何があっても大丈夫 マホ:私はそう信じている 柚:私の方こそ 柚:ありがとう、マホさん! 柚:マホさんにそう言ってもらえたら 柚:本当に大丈夫な気がします マホ:……柚 マホ:私の話を聞いてくれてありがとう マホ:最後にもう少しだけ マホ:私の秘密を教えるよ 柚:え?最後? マホ:今までありがとう マホ:今日でお別れだ 0: 0: 柚:お別れ…? マホ:この店は、誰かの手助けが マホ:自分じゃどうにもできない悩みがある人 マホ:そんな人にしかこの店は見えない マホ:そう言ったよね? 柚:うん… マホ:キミは自分の力で、自分の悩みと闘って勝った マホ:だからもうキミに、私が手伝える悩みはなくなった 柚:それは… 柚:だけど私、まだマホさんと話したいことあるよ? 柚:やっと嘘じゃない話を 柚:マホさんが背中を押してくれからやっと話せるんだよ? 柚:まだ私、マホさんに話せて…ない…のに… マホ:ハハ、変なことを気にするね 柚:気にするよ! 柚:もう…そういうとこだよ マホ:ん?柚…もしかして マホ:魔法を使わなかったのかい? 柚:もう、すぐ話を逸らす 柚:最後までマホさんのペースだよ 柚:…うん、魔法は使わなかった 柚:だって私利私欲のために魔法は使えないから マホ:キミも本当に変なことを気にするね マホ:キミは魔法使いじゃないのに 柚:そうだけど! 柚:そうだけど…マホさんが言ってたこと 柚:急に思い出しちゃって 柚:私も自分の力で頑張ろうって 柚:そう思ったの マホ:…ハハ、ハハハ! マホ:キミは、柚は本当に私が思った以上だ! マホ:うん、その魔法はキミにあげる 柚:え? マホ:普通は悩みが解決したら マホ:もう私が何かをすることはない マホ:だけど、その使わなかった魔法 マホ:それは柚のものだから返さなくていい 柚:けど、いいの? マホ:キミなら魔法を使わなくても大丈夫だと思うけどね マホ:あぁ、そうだ、ガーネット マホ:その魔法の力はね、勝利 柚:え、それじゃあ 柚:もし魔法を使ってたら マホ:うん、同じ結果かは マホ:わからないけど勝てたかもしれない 柚:でも、マホさん怖かったんだよね? 柚:勝つってわかってたんじゃ マホ:魔法の効力が即効性とは限らない マホ:その勝利がどんな勝利かもわからない マホ:結果、状況が悪化するかもしれない マホ:魔法は少し、いい加減なところがあるから マホ:どんなに凄い魔法を渡しても私は安心しないだろうね 柚:そうなんだ……いい加減…か マホ:そう マホ:話を戻すけどこの店は、誰かの手助けが必要な人 マホ:どうにもできない悩みがある人 マホ:そんな人にしかこの店は見えない マホ:なのに悩みがなくなった今 マホ:この店に来れたのか 柚:あ…たしかに マホ:ね?いい加減なところがある マホ:私も何故こうなったかわからない マホ:だけど、悩みがなくなったあと マホ:一回だけこの店に来ることができる マホ:お礼に来る人がいるのはそういうこと 柚:そっか… 柚:それで私の一回が今ってこと? マホ:そういうこと マホ:だから今日でお別れだ マホ:何度も言うが私は感謝している マホ:キミに出会えたことに マホ:魔法の研究もキミの話も マホ:柚という人間と出会えたことに 柚:待って!まだお別れなんて 柚:じゃあ…魔法の研究手伝うとか 柚:魔法屋さんの手伝いとか 柚:ほら!私部活してないし、放課後は予定ないし! マホ:柚、本来なら マホ:魔法なんてものはないんだよ マホ:だからキミは普通の日常に戻るんだ 柚:マホさん…… 柚:私、マホさんに出会えて良かった 柚:ありがとうマホさん 柚:また会えるよね? マホ:柚、私の魔法名を教えよう 柚:魔法名? マホ:キミに柚という名前があって マホ:名前に意味があるように マホ:私たち一族は魔法名という マホ:意味を持った名前を付けられる マホ:いいかい?一度だけしか言わない マホ:最後の私の秘密だ 柚:ずっと覚えておくね 柚:マホさんと話したことも マホ:私の魔法名は マホ:"ヴィーダー•ゼーエン" 柚:ヴィーダー…ゼーエン? マホ:それじゃ柚 マホ:キミならこれから何があっても マホ:絶対、大丈夫 マホ:私はそう信じているよ 柚:私忘れないから 柚:マホさんのことも魔法のことも 柚:だから…だから 柚:またね!マホさん! マホ:気をつけて帰るんだよ マホ:……柚 0: 0: 0: 柚:あれから本当に魔法屋は見えなくなってしまった 柚:だけど魔法はいい加減だ 柚:魔法のことも魔法屋のことも 柚:マホさんのことも記憶から消えることはなかった 0: 柚: :学校での私は前と同じような生活に戻っていった 柚:友達と食べるお昼ご飯、一緒に帰る放課後 柚:当たり前のことが嬉しかった 柚:だから、私はそんな幸せな日々をマホさんに話したかった 柚:また会いたかった 0: 柚:マホさんが話してくれた 柚:色んなものに意味があること 柚:そのことを思い出して……そして、調べた 柚:ガーネットは勝利の他に絆って意味もあるって 柚:ヴィーダー•ゼーエン 柚:マホさんの魔法名 柚:この名前に込められた意味も 柚:そして……魔法はいい加減なこと 柚:だから… 0: 0: 0: マホ:やぁ、いっらっしゃい マホ:それじゃ今日の話を マホ:聞かせてくれるかな? 0:おしまい。