台本概要
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タイトル | 怪盗アイラ |
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作者名 | あまくケイ (@amak0331) |
ジャンル | コメディ |
演者人数 | 2人用台本(女1、不問1) |
時間 | 20 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
かつての大怪盗「ルパン・アルセーヌ」が盗み損ねたという宝石 「ゼラの宝石」を、娘であるアイラ・アルセーヌと、その助手であるルークが 協力して、今日も盗みを始めていく 盗みをはたらくコメディ劇です 15分程度 ルーク役は性別不問 展開が崩れないアドリブは可 楽しんでいただけたら幸いです 1149 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
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アイラ | 女 | 116 | 大怪盗であり、父親である「ルパン・アルセーヌ」の娘 父の背中を追って、様々な宝石を資産家から盗んできた 高飛車だったりお調子者だったりするが、易々と死なない程度の適応性がある 職務経歴書はきれいに埋まる程度の盗みスキル |
ルーク | 不問 | 108 | アイラの助手 盗み場所の見取り図を作成したり、アイラのサポートをしている 普段はけだるそうだが、盗み本番になると真面目モード発揮 一般人よりは上を行く、運転スキル持ち |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
0:アイラの隠れ家
アイラ:今日も明るく絶好調!
アイラ:太陽光にあてれば煌びやに輝く宝石たち!
アイラ:人呼んで、あのルパン・アルセーヌの娘とは、私のことよ!
ルーク:…
ルーク:突然どうしたんですか?
アイラ:…あ
ルーク:おはようございます
アイラ:うぉっほん!
アイラ:なんでもない
ルーク:朝っぱらから何でもない人が、大声上げませんよ……
ルーク:昨日は徹夜だったのに…ふわぁ~
アイラ:それはご苦労
アイラ:いつも期待しているさ! 助手ちゃん!
ルーク:あいあいさー
ルーク:でもどうかなー。昨日もアイラ、夜中までウキウキが止まらない小学生みたいだったから、あんまり眠れなくて。見取り図間違えてるかもしれない
アイラ:あー!それは、ごめん。ごめんって謝るよ助手ちゃん!
アイラ:助手ちゃんが胸張って見取り図書いてくれたのは感謝してるよ!それがなかったら、このあたしの宝石コレクションも、こんなに埋まってなかったし
ルーク:感謝なら言葉より物が欲しいんですけどねー
アイラ:報酬は毎回渡しているでしょ!?
ルーク:冗談ですよ
ルーク:はい、これ
アイラ:…おお、さすが。
アイラ:今回もばっちりな見取り図なことで
ルーク:見てきたところ、この部屋にありました
ルーク:かの有名な、あなたの父親「ルパン・アルセーヌ」が盗み損ねたという、「ゼラの宝石」
アイラ:それを盗んで、パパ以上の怪盗になってやるってね
ルーク:気合入ってますね
アイラ:パパが成し遂げられなかった盗みを、私がやって、超えていくのさ!
ルーク:…
アイラ:なによ?
ルーク:……捕まるどころか、命がなくなれば元も子もないですけど、ね
アイラ:そんな時はレースカーの如く逃げ切る!
ルーク:レ、レースカー?
アイラ:私のビューティフォーで完璧な盗みに、朝も夜も、いつだって死角はない!
ルーク:…そういう調子のいいところは、少し心配ですけどね
アイラ:さ、そうと決まれば、早速向かうわよ
ルーク:待ってください
アイラ:えっ?
ルーク:どうやって入るんですか
アイラ:…あ、ああーそうね! そうそう!
ルーク:今ぜったい考えてなかったでしょ!
アイラ:考えてたわ!
アイラ:私、走りながら考えるタイプなのよ!
アイラ:ほら、走るのは盗人にとっては必修科目じゃない? 走りながらでも、別の事を考えられる必要があるのよ
ルーク:じゃあ、どうやって中に入るんですか?
アイラ:…建物の周りは?
ルーク:見張りが盛りだくさんです
アイラ:上はどうだったかしら?
ルーク:屋上ですか?
ルーク:…まぁ、手薄といえば手薄ですね
アイラ:なら、上からいこう!
アイラ:名付けて、空中ダイビング大作戦!
ルーク:そのままですね…
ルーク:お宝があるのは1階ですけど、上から行くと少し遠くなりますね
アイラ:地下の入り口もないんでしょ? ここは
アイラ:それに、遠い近いなんて、関係ないわ
アイラ:私の職歴舐めなさんな
ルーク:…そこは頼もしいですね
アイラ:じゃ、とっとと準備して、行くわよ!
0:
0:
0:館近くの崖上
アイラ:いい高さね
ルーク:聞こえますか? アイラ?
0:アイラのつけている通信用のインカムから、ルークの声が聞こえる
アイラ:大丈夫!
アイラ:さてと……おおっ!?
ルーク:アイラ!?
アイラ:な、なかなか重いわね…このグライダー
ルーク:もう…
ルーク:屋上についたら、すぐにクリアを
アイラ:分かってる。助手ちゃんも心配性ね
ルーク:当たり前ですよ。下手したら、命を落とす可能性だって
アイラ:パパみたいにはならないよ
アイラ:それが怪盗アイラ。ここでおっちんだらパパを超えられない
アイラ:ってことで、飛んでビュウウウウウン!!!
アイラ:ふぅーーー!!
ルーク:…はぁ
アイラ:…よっし!無事着地! からの…
アイラ:…見張りが二人…
ルーク:アイラ、気を付けて
アイラ:先に先手必勝
アイラ:麻酔銃で、手軽に一発
ルーク:あっ!もう言った傍から!
アイラ:よし、完了。2人同時。眠りまで早いわねぇ、この銃
アイラ:後は、こいつらを隠して…と
アイラ:ぬぬぬぬ…重い
ルーク:手がはやいんだから…
アイラ:ちっとは褒めてくれてもいいじゃない? 今日一番、体力仕事を頑張ってるのに…
ルーク:慣れている時こそ、やられるんですよ
アイラ:全く。本番になると、いつも真面目よねぇー。ルークは
ルーク:真面目でもなんでも構いません
アイラ:はいはい
アイラ:それで、この先は確か…、階段を下りて通路…そこからもう一つおりれば…目的地ね…
ルーク:通路は狭いですから、前方と後方には特に警戒してください。当たり前ですが曲がり角も
アイラ:知ってる知ってる
0:アイラは屋上から中に入り階段を下りる
アイラ:…おおう、思っていた以上に多いね
アイラ:屋上が手薄で、中に入ればこの様子とは…入ってきたネズミでも捕まえる気かしら?
ルーク:1階と2階、宝石展示会で行った時には、通路に見張りを配置してましたから、予想通りです
ルーク:屋上と同じように、クリアリングしていくしか…
アイラ:ただ、夢の国へ行かせたとしても、誰かが見つけて、見張りが厳しくなるだろうし…おねんねしてる見張りちゃんを動かしてる間に…見つかるかもしれないし…私の体力が持たないわ…
ルーク:通路の東側で眠らせて、見張りを東側に集中させるのは?
アイラ:西側から行くってことでしょ? 2階はうまくいっても、1階があるのよ。また同じように眠らせプランで行っても、2階の連中が来て、銃弾の嵐よ
ルーク:なるほど…
アイラ:うーん、どうしたものか……あ。
アイラ:助手ちゃん、この辺りって排気口あった?
ルーク:排気口ですか…ええと、屋上の入り口付近に一つ、あります
アイラ:さっすが
ルーク:でも、そこからどう繋がっているかまでは…
アイラ:それでOK
ルーク:いいんですか?
アイラ:あとは勘で進んでみるわ
ルーク:適当ですね…
アイラ:スニィ~キングミッションだけでも、なかなか職歴埋まるわよ? 意外と行き当たりばったりでもたどり着けるのさ、私
ルーク:そんな自慢いいですから。本当に行くんですか?
アイラ:イエス・アイ・ドゥー。そしたら…えーと、ここが入り口ね。…よっ!と
ルーク:はぁ、分かりましたよ
アイラ:こういう時、小柄で良かった~って思うわ
ルーク:あまり音を立てずに
アイラ:分かってる。さてさて…進みますか……
0:排気口の中をすすむアイラ
アイラ:…ここは…左……次は、右…かな
ルーク:…本当に勘で進んでる…
アイラ:現場の感覚っていうのも頼りになるものよ?
アイラ:物をどこに置いたか忘れた時も、ここかな?って探るじゃない?
アイラ:私、それけっこう当たるのよ
ルーク:それ普段から忘れないようにすればいいだけじゃ…
アイラ:ま、まぁそれは、それね、うん
アイラ:…用心を忘れないように助手ちゃんが言ってくれるのも、助かってるよ
アイラ:もしかしたら、パパもそういう「用心」が無くって、死んじゃったというか、撃たれちゃったのかもしれないし
ルーク:必ずしもそれでなくなったとは、まだ断定できませんよ
アイラ:そうだけどね…
アイラ:ただ、そう……いざという時は、用心の枠を超えていくことも考えてるわ
ルーク:用心の枠…?
アイラ:どうにもならない事態になった時の、スーパー・アイデア・アクション
ルーク:な、なんですかそれ
アイラ:どんな時も適応してけってこと
ルーク:…後追いは、辞めてくださいよ
アイラ:そんなんじゃないって
ルーク:目の前に、あのルパンが手に入らなかったお宝がある気持ちは、わからないわけではないです
ルーク:でも、そういう時こそ…用心なんですよ
ルーク:枠なんて超えたら
アイラ:でも
アイラ:私はそれでも、パパの背中を追い続けるわよ
アイラ:私がなりたかった者に近づけるチャンスを、みすみす逃せられないわ
ルーク:…アイラ
アイラ:大丈夫よ
アイラ:私は、終わる気なんてサラサラない
アイラ:人は誰だって欲しいものがある
アイラ:どんなに手に入れるのが難しくても、欲しいと思った瞬間に、手を伸ばしたくなる
アイラ:生涯をかけて、手に入れたくなってしまう
アイラ:そんな人たちが欲しいものを、私は盗む
アイラ:それが、この怪盗アイラなのさ
ルーク:……はぁ
ルーク:……そうです、ね
アイラ:ありがと、助手ちゃん
アイラ:…お、ここかな?
アイラ:姿勢を変えて、と…ぐぬぬぬ、頑張れ、私の軟体(なんたい)!
アイラ:…あ、しまっ
ルーク:え?
アイラ:うわああああああああああああああああっ!
ルーク:ア、アイラ! アイラ!!
アイラ:……いっっったぁ……
アイラ:下見てなかった…
ルーク:大丈夫ですか!?
アイラ:う…うん。はぁーケツやばよねこれ
ルーク:というか、声!
アイラ:はっ! お口をチャック!
アイラ:……でもケツが
ルーク:はしたないですよ!
アイラ:……よし、バレてない、バレてない
ルーク:…運も必要と
アイラ:昨日も射的ゲームで当てたわ
ルーク:それ関係なくないですか?
アイラ:よし、抜けた……
ルーク:出れました?
アイラ:うん……ビンゴ
アイラ:やっぱり当てるの得意ね、私
ルーク:だから、関係ないですって
0:アイラは、宝石のある部屋へたどり着く
アイラ:さて、お宝は…見つけた…!
アイラ:これが…ゼラの宝石…!おお!光ってる、光ってるわね!
ルーク:当たり前の感想言わないでください
アイラ:盗む前の醍醐味があってね…こういう時しか味わえないのさ
アイラ:これが…昔の時代の輝きってやつね……! くぅぅ!たまらないわ!
ルーク:で、方法は?
アイラ:とりあえず、前に鍵師に作ってもらった魔法の盗み鍵を…大抵はこれで開くんだけど……駄目か
アイラ:ううむ…やはり腕の見せどころか…! キーピックの出番!
ルーク:(…アイラのスキルは、流石怪盗ルパンの娘だけあって徐々に作業が進んでいる…けど、相変わらずこの時が一番怖い。その間に、アイラが後ろから撃たれたらとか思うと、ヒヤヒヤする)
ルーク:まだですか…?
アイラ:よし! かかった…けど、手強いわね
アイラ:…形状と中身の作りから見て、前に開けた箱と同じだから……お! 音がなった! ハマったわ!
ルーク:ほんとですか!
アイラ:ビンゴ!
ルーク:じゃあ、早速…!
0:そこで、警報音が鳴る
ルーク:サイレン!? 何かに引っかかったわけじゃ…?
アイラ:…あーそういうこと
アイラ:これ、開けたら鳴るように仕組んであるのねー
アイラ:……やばい、足音が!
アイラ:って言ってる傍から、キターーーーー!!!
ルーク:アイラ!
アイラ:…こ、ここであったが百年目!
アイラ:今日も明るく絶好調!
アイラ:太陽光にあてれば煌びやに輝く宝石たち!
アイラ:人呼んで、あの怪盗ルパン・アルセーヌの娘とは、私のことよ!
ルーク:こんな時に何言ってるんですかぁ!!!
アイラ:いやー言いたかったのよこういうの…
0:見張り達はすぐに銃を構えた
アイラ:ひぃ! みんな銃持ち!? ガチすぎだって!
ルーク:当たり前ですよ!
アイラ:わーわーわー!あっぶなぁぁい!
アイラ:っていうのは予定通り!
アイラ:煙幕をはっちゃう~!
アイラ:煙玉(けむりだま)、オンステージ!
アイラ:用意周到な女は、モテるってねぇ!!
0:アイラは服の中から玉を持ち出し、それを地面に投げた
アイラ:ごほっ…ちょっと吸った…げほっ
ルーク:馬鹿なことしてないで、早く逃げてください!
アイラ:分かってるって!
0;アイラはゼラの宝石を持って逃げる
アイラ:うわっ…こっちの通路にも、見張りがいる…!
ルーク:アイラ! 左の通路へ逃げてください!
アイラ:ここから左って…それ、Bルートでもないよ!?
ルーク:いいから!
ルーク:見えてきた部屋に入って、すぐに右の窓から出てください!
アイラ:わ、分かった!
アイラ:こっちに入って…ここから右へ!
アイラ:窓から、脱出!
0:アイラが窓から外に出ると、下に助手が車にのって待っていた
アイラ:…ほぇ!? 助手ちゃん…!?
アイラ:…の、車ぁ!?
ルーク:見張りがアイラを追いかけてる時に、手薄になるとと踏んでいたので、なんとか奪えました
アイラ:さ、さすが!
ルーク:乗って!
アイラ:ていうか!居たの!?
ルーク:現場感覚を、掴みたくてね!
アイラ:おおー、いいノリ!
アイラ:ってやばい来た来た! 助手ちゃん、ゴー!
ルーク:…ふぅ
アイラ:…助手ちゃん?
ルーク:…うなる、うなる、うなるぜ…
アイラ:…へ?
ルーク:俺のドライビングがうなるぜぇぇええええ!!
アイラ:……そういえば…そうだったわね
ルーク:シートベルトよし、アクセルよし、己の興奮よし!
ルーク:窓は、全開ぃぃぃ!!
アイラ:そういうのいいから!! 早く出してって!!
ルーク:空前絶後ぉ!
アイラ:はやく!
ルーク:超絶怒涛ぅ!
アイラ:うるさいから!
ルーク:これが俺のぉぉぉぉ!!
ルーク:ドライビングだァァァァァァァ!
アイラ:さっさと出せバカタレえええええっ!!
ルーク:テンション、青・天・井おおおお!!!!!
アイラ:うぉぉぉぉ、はっや!!
ルーク:ブゥゥゥン!ブゥゥゥゥン!!
アイラ:や、やるわね…助手ちゃん。流石、運転スキルの高さには脱帽だわ
アイラ:…って、やっば!あいつらも車で追ってきた…
アイラ:危ない危ない…! ちょっと!あんたら、まだ10代の女の子にそれはないんじゃないの~……ってひゃっ! 弾かすりかけたぁ~。
アイラ:助手ちゃん、スピードあげて!
ルーク:あいあいさーのサクセスストーリィィィィ!!!
アイラ:よし! 飛ばして飛ばして! このままじゃ車ごとスクラップにされるよ~!
ルーク:おぅぅぅりゃあああああ!
アイラ:いい…いいね! 助手ちゃん、今最高にのってるよ!
アイラ:って…あいつら…何かを持ち出して……ってうわ!? 何あれ!? バズーカですか!?
アイラ:助手ちゃん! ハンドルきって!!
ルーク:任せな!
0:ルークはハンドルを思いっきりきって、バズーカの弾を避ける。建物にあたり爆発した
アイラ:ひゃぁぁぁぁぁぁぁっ!
アイラ:か、間一髪ぅ~。ナイス、助手ちゃん!
ルーク:俺の運転で、あんたを何処までも盗ませてやるぜ
アイラ:…ほんとに、誰って感じだけど…。ええ!その心意気、しかと受けとったわ!
アイラ:…あれ
アイラ:…うわ、道がない!
アイラ:ええええ!! 嘘!? 私の怪盗人生、ここで終わり~!?
アイラ:こんな、こんな終わり方なのぉ!?
ルーク:うぉぉぉ!!!
アイラ:うおぉぉ!!じゃないわよぉ!!
アイラ:落ちるぅぅぅぅぅ!!
0:
0:
アイラ:う……うう
ルーク:アイラ! 大丈夫ですか!
アイラ:あ、あれ…私、生きてる?
アイラ:…ふぇ? 服がびちゃびちゃ!
ルーク:…崖の下に、ちょうどいい池がありました
ルーク:…途中でアイラは気絶されてましたから、窓から抜けて、ここまで僕が運んできましたよ
ルーク:流石に、彼らもそれ以上は追ってきませんでした
アイラ:も、もうーーー! 怖かったぁ!
アイラ:このぉ! バカぁ! バカバカ! バカチン!
アイラ:あんた、運転の時だけクレイジーすぎるのよぉ!
ルーク:ア、アイラに言われたくはないですよ!
アイラ:いや言うわよ!
アイラ:逃走コースの終わりが、急転直下で崖から落ちるなんて思わないでしょ!
ルーク:あ、ありがとうございます…
アイラ:なんで照れてるのよ
アイラ:あ、お宝!
ルーク:ここです…はい
アイラ:…ついに、手に入れたのね
アイラ:パパが手に入れる事が出来なかった、お宝…!
アイラ:…あれ?
ルーク:…どうしました?
アイラ:…この宝石…蓋がある?
ルーク:えっ?
アイラ:えっ?
ルーク:…
ルーク:そんな宝石あるんですね
アイラ:バカ! 違う!
アイラ:これ、偽物じゃないの!!
ルーク:ええええええっ!?
アイラ:どういうことよ…!
ルーク:…あれ? アイラ…蓋の中に、何か入ってますよ…?
アイラ:…えっ!
ルーク:これは…手紙?
アイラ:…パパの字だわ! …えっと
アイラ:…「この宝を盗んだという事は、私を超えようとしているのだろう、アイラ。しかし、そう簡単には大怪盗にはなれない。私はもう長くはないが、気の知れた資産家に偽物の宝石を預け、アイラが盗みに来たら……そう簡単に手渡さず、対処してほしいと言ってあった。簡単に対処されてしまうようでは怪盗失格だからな」
ルーク:「…でも、よくやった、アイラ。お前が私の後を追ってくれてること、自分の娘として、大変誇らしいと思う。…この紙には、私が惜しくも盗めなかった宝と場所のリストが書いてある。お前が本当に、私を超えるつもりであれば、全部、盗んでみることだ」
アイラ:「…以上、怪盗ルパン・アルセーヌからの挑戦状」
ルーク:…このリストにも…ゼラの宝石が乗っていますね……おそらく、この書いてあるほうが、本物…
アイラ:…つまり、最初から仕組んでたってわけ…ね
ルーク:…あ、もう少し続きが…「追記、病気の事を隠していてすまなかった」…
アイラ:…パパ
ルーク:誰かに殺されたわけでは、なかったんですね
アイラ:……
ルーク:アイラ…?
アイラ:目的は決まったわね
ルーク:え?
アイラ:今回は超残念だったけど、パパがこんな挑戦状を叩きつけられたのなら、望むところよ
ルーク:…乗り気、ですね
アイラ:ここに書いてあるのは、パパが昔狙っていた、わるーいお金持ちが持っている超高価な宝石がほとんど。それを達成すれば、資産家に一泡ふかせられるし……なにより、パパの悲願を達成できる
ルーク:最後まで協力しますよ
ルーク:それこそ、怪盗アイラ・アルセーヌです
アイラ:へへっ
ルーク:また徹夜続きになりそう…
ルーク:これからの予定は、すぐ立ちそうです
アイラ:じゃ、早速かえって、計画でも立てますか~!
アイラ:大怪盗に、私はなるっっ!!
0:アイラの隠れ家
アイラ:今日も明るく絶好調!
アイラ:太陽光にあてれば煌びやに輝く宝石たち!
アイラ:人呼んで、あのルパン・アルセーヌの娘とは、私のことよ!
ルーク:…
ルーク:突然どうしたんですか?
アイラ:…あ
ルーク:おはようございます
アイラ:うぉっほん!
アイラ:なんでもない
ルーク:朝っぱらから何でもない人が、大声上げませんよ……
ルーク:昨日は徹夜だったのに…ふわぁ~
アイラ:それはご苦労
アイラ:いつも期待しているさ! 助手ちゃん!
ルーク:あいあいさー
ルーク:でもどうかなー。昨日もアイラ、夜中までウキウキが止まらない小学生みたいだったから、あんまり眠れなくて。見取り図間違えてるかもしれない
アイラ:あー!それは、ごめん。ごめんって謝るよ助手ちゃん!
アイラ:助手ちゃんが胸張って見取り図書いてくれたのは感謝してるよ!それがなかったら、このあたしの宝石コレクションも、こんなに埋まってなかったし
ルーク:感謝なら言葉より物が欲しいんですけどねー
アイラ:報酬は毎回渡しているでしょ!?
ルーク:冗談ですよ
ルーク:はい、これ
アイラ:…おお、さすが。
アイラ:今回もばっちりな見取り図なことで
ルーク:見てきたところ、この部屋にありました
ルーク:かの有名な、あなたの父親「ルパン・アルセーヌ」が盗み損ねたという、「ゼラの宝石」
アイラ:それを盗んで、パパ以上の怪盗になってやるってね
ルーク:気合入ってますね
アイラ:パパが成し遂げられなかった盗みを、私がやって、超えていくのさ!
ルーク:…
アイラ:なによ?
ルーク:……捕まるどころか、命がなくなれば元も子もないですけど、ね
アイラ:そんな時はレースカーの如く逃げ切る!
ルーク:レ、レースカー?
アイラ:私のビューティフォーで完璧な盗みに、朝も夜も、いつだって死角はない!
ルーク:…そういう調子のいいところは、少し心配ですけどね
アイラ:さ、そうと決まれば、早速向かうわよ
ルーク:待ってください
アイラ:えっ?
ルーク:どうやって入るんですか
アイラ:…あ、ああーそうね! そうそう!
ルーク:今ぜったい考えてなかったでしょ!
アイラ:考えてたわ!
アイラ:私、走りながら考えるタイプなのよ!
アイラ:ほら、走るのは盗人にとっては必修科目じゃない? 走りながらでも、別の事を考えられる必要があるのよ
ルーク:じゃあ、どうやって中に入るんですか?
アイラ:…建物の周りは?
ルーク:見張りが盛りだくさんです
アイラ:上はどうだったかしら?
ルーク:屋上ですか?
ルーク:…まぁ、手薄といえば手薄ですね
アイラ:なら、上からいこう!
アイラ:名付けて、空中ダイビング大作戦!
ルーク:そのままですね…
ルーク:お宝があるのは1階ですけど、上から行くと少し遠くなりますね
アイラ:地下の入り口もないんでしょ? ここは
アイラ:それに、遠い近いなんて、関係ないわ
アイラ:私の職歴舐めなさんな
ルーク:…そこは頼もしいですね
アイラ:じゃ、とっとと準備して、行くわよ!
0:
0:
0:館近くの崖上
アイラ:いい高さね
ルーク:聞こえますか? アイラ?
0:アイラのつけている通信用のインカムから、ルークの声が聞こえる
アイラ:大丈夫!
アイラ:さてと……おおっ!?
ルーク:アイラ!?
アイラ:な、なかなか重いわね…このグライダー
ルーク:もう…
ルーク:屋上についたら、すぐにクリアを
アイラ:分かってる。助手ちゃんも心配性ね
ルーク:当たり前ですよ。下手したら、命を落とす可能性だって
アイラ:パパみたいにはならないよ
アイラ:それが怪盗アイラ。ここでおっちんだらパパを超えられない
アイラ:ってことで、飛んでビュウウウウウン!!!
アイラ:ふぅーーー!!
ルーク:…はぁ
アイラ:…よっし!無事着地! からの…
アイラ:…見張りが二人…
ルーク:アイラ、気を付けて
アイラ:先に先手必勝
アイラ:麻酔銃で、手軽に一発
ルーク:あっ!もう言った傍から!
アイラ:よし、完了。2人同時。眠りまで早いわねぇ、この銃
アイラ:後は、こいつらを隠して…と
アイラ:ぬぬぬぬ…重い
ルーク:手がはやいんだから…
アイラ:ちっとは褒めてくれてもいいじゃない? 今日一番、体力仕事を頑張ってるのに…
ルーク:慣れている時こそ、やられるんですよ
アイラ:全く。本番になると、いつも真面目よねぇー。ルークは
ルーク:真面目でもなんでも構いません
アイラ:はいはい
アイラ:それで、この先は確か…、階段を下りて通路…そこからもう一つおりれば…目的地ね…
ルーク:通路は狭いですから、前方と後方には特に警戒してください。当たり前ですが曲がり角も
アイラ:知ってる知ってる
0:アイラは屋上から中に入り階段を下りる
アイラ:…おおう、思っていた以上に多いね
アイラ:屋上が手薄で、中に入ればこの様子とは…入ってきたネズミでも捕まえる気かしら?
ルーク:1階と2階、宝石展示会で行った時には、通路に見張りを配置してましたから、予想通りです
ルーク:屋上と同じように、クリアリングしていくしか…
アイラ:ただ、夢の国へ行かせたとしても、誰かが見つけて、見張りが厳しくなるだろうし…おねんねしてる見張りちゃんを動かしてる間に…見つかるかもしれないし…私の体力が持たないわ…
ルーク:通路の東側で眠らせて、見張りを東側に集中させるのは?
アイラ:西側から行くってことでしょ? 2階はうまくいっても、1階があるのよ。また同じように眠らせプランで行っても、2階の連中が来て、銃弾の嵐よ
ルーク:なるほど…
アイラ:うーん、どうしたものか……あ。
アイラ:助手ちゃん、この辺りって排気口あった?
ルーク:排気口ですか…ええと、屋上の入り口付近に一つ、あります
アイラ:さっすが
ルーク:でも、そこからどう繋がっているかまでは…
アイラ:それでOK
ルーク:いいんですか?
アイラ:あとは勘で進んでみるわ
ルーク:適当ですね…
アイラ:スニィ~キングミッションだけでも、なかなか職歴埋まるわよ? 意外と行き当たりばったりでもたどり着けるのさ、私
ルーク:そんな自慢いいですから。本当に行くんですか?
アイラ:イエス・アイ・ドゥー。そしたら…えーと、ここが入り口ね。…よっ!と
ルーク:はぁ、分かりましたよ
アイラ:こういう時、小柄で良かった~って思うわ
ルーク:あまり音を立てずに
アイラ:分かってる。さてさて…進みますか……
0:排気口の中をすすむアイラ
アイラ:…ここは…左……次は、右…かな
ルーク:…本当に勘で進んでる…
アイラ:現場の感覚っていうのも頼りになるものよ?
アイラ:物をどこに置いたか忘れた時も、ここかな?って探るじゃない?
アイラ:私、それけっこう当たるのよ
ルーク:それ普段から忘れないようにすればいいだけじゃ…
アイラ:ま、まぁそれは、それね、うん
アイラ:…用心を忘れないように助手ちゃんが言ってくれるのも、助かってるよ
アイラ:もしかしたら、パパもそういう「用心」が無くって、死んじゃったというか、撃たれちゃったのかもしれないし
ルーク:必ずしもそれでなくなったとは、まだ断定できませんよ
アイラ:そうだけどね…
アイラ:ただ、そう……いざという時は、用心の枠を超えていくことも考えてるわ
ルーク:用心の枠…?
アイラ:どうにもならない事態になった時の、スーパー・アイデア・アクション
ルーク:な、なんですかそれ
アイラ:どんな時も適応してけってこと
ルーク:…後追いは、辞めてくださいよ
アイラ:そんなんじゃないって
ルーク:目の前に、あのルパンが手に入らなかったお宝がある気持ちは、わからないわけではないです
ルーク:でも、そういう時こそ…用心なんですよ
ルーク:枠なんて超えたら
アイラ:でも
アイラ:私はそれでも、パパの背中を追い続けるわよ
アイラ:私がなりたかった者に近づけるチャンスを、みすみす逃せられないわ
ルーク:…アイラ
アイラ:大丈夫よ
アイラ:私は、終わる気なんてサラサラない
アイラ:人は誰だって欲しいものがある
アイラ:どんなに手に入れるのが難しくても、欲しいと思った瞬間に、手を伸ばしたくなる
アイラ:生涯をかけて、手に入れたくなってしまう
アイラ:そんな人たちが欲しいものを、私は盗む
アイラ:それが、この怪盗アイラなのさ
ルーク:……はぁ
ルーク:……そうです、ね
アイラ:ありがと、助手ちゃん
アイラ:…お、ここかな?
アイラ:姿勢を変えて、と…ぐぬぬぬ、頑張れ、私の軟体(なんたい)!
アイラ:…あ、しまっ
ルーク:え?
アイラ:うわああああああああああああああああっ!
ルーク:ア、アイラ! アイラ!!
アイラ:……いっっったぁ……
アイラ:下見てなかった…
ルーク:大丈夫ですか!?
アイラ:う…うん。はぁーケツやばよねこれ
ルーク:というか、声!
アイラ:はっ! お口をチャック!
アイラ:……でもケツが
ルーク:はしたないですよ!
アイラ:……よし、バレてない、バレてない
ルーク:…運も必要と
アイラ:昨日も射的ゲームで当てたわ
ルーク:それ関係なくないですか?
アイラ:よし、抜けた……
ルーク:出れました?
アイラ:うん……ビンゴ
アイラ:やっぱり当てるの得意ね、私
ルーク:だから、関係ないですって
0:アイラは、宝石のある部屋へたどり着く
アイラ:さて、お宝は…見つけた…!
アイラ:これが…ゼラの宝石…!おお!光ってる、光ってるわね!
ルーク:当たり前の感想言わないでください
アイラ:盗む前の醍醐味があってね…こういう時しか味わえないのさ
アイラ:これが…昔の時代の輝きってやつね……! くぅぅ!たまらないわ!
ルーク:で、方法は?
アイラ:とりあえず、前に鍵師に作ってもらった魔法の盗み鍵を…大抵はこれで開くんだけど……駄目か
アイラ:ううむ…やはり腕の見せどころか…! キーピックの出番!
ルーク:(…アイラのスキルは、流石怪盗ルパンの娘だけあって徐々に作業が進んでいる…けど、相変わらずこの時が一番怖い。その間に、アイラが後ろから撃たれたらとか思うと、ヒヤヒヤする)
ルーク:まだですか…?
アイラ:よし! かかった…けど、手強いわね
アイラ:…形状と中身の作りから見て、前に開けた箱と同じだから……お! 音がなった! ハマったわ!
ルーク:ほんとですか!
アイラ:ビンゴ!
ルーク:じゃあ、早速…!
0:そこで、警報音が鳴る
ルーク:サイレン!? 何かに引っかかったわけじゃ…?
アイラ:…あーそういうこと
アイラ:これ、開けたら鳴るように仕組んであるのねー
アイラ:……やばい、足音が!
アイラ:って言ってる傍から、キターーーーー!!!
ルーク:アイラ!
アイラ:…こ、ここであったが百年目!
アイラ:今日も明るく絶好調!
アイラ:太陽光にあてれば煌びやに輝く宝石たち!
アイラ:人呼んで、あの怪盗ルパン・アルセーヌの娘とは、私のことよ!
ルーク:こんな時に何言ってるんですかぁ!!!
アイラ:いやー言いたかったのよこういうの…
0:見張り達はすぐに銃を構えた
アイラ:ひぃ! みんな銃持ち!? ガチすぎだって!
ルーク:当たり前ですよ!
アイラ:わーわーわー!あっぶなぁぁい!
アイラ:っていうのは予定通り!
アイラ:煙幕をはっちゃう~!
アイラ:煙玉(けむりだま)、オンステージ!
アイラ:用意周到な女は、モテるってねぇ!!
0:アイラは服の中から玉を持ち出し、それを地面に投げた
アイラ:ごほっ…ちょっと吸った…げほっ
ルーク:馬鹿なことしてないで、早く逃げてください!
アイラ:分かってるって!
0;アイラはゼラの宝石を持って逃げる
アイラ:うわっ…こっちの通路にも、見張りがいる…!
ルーク:アイラ! 左の通路へ逃げてください!
アイラ:ここから左って…それ、Bルートでもないよ!?
ルーク:いいから!
ルーク:見えてきた部屋に入って、すぐに右の窓から出てください!
アイラ:わ、分かった!
アイラ:こっちに入って…ここから右へ!
アイラ:窓から、脱出!
0:アイラが窓から外に出ると、下に助手が車にのって待っていた
アイラ:…ほぇ!? 助手ちゃん…!?
アイラ:…の、車ぁ!?
ルーク:見張りがアイラを追いかけてる時に、手薄になるとと踏んでいたので、なんとか奪えました
アイラ:さ、さすが!
ルーク:乗って!
アイラ:ていうか!居たの!?
ルーク:現場感覚を、掴みたくてね!
アイラ:おおー、いいノリ!
アイラ:ってやばい来た来た! 助手ちゃん、ゴー!
ルーク:…ふぅ
アイラ:…助手ちゃん?
ルーク:…うなる、うなる、うなるぜ…
アイラ:…へ?
ルーク:俺のドライビングがうなるぜぇぇええええ!!
アイラ:……そういえば…そうだったわね
ルーク:シートベルトよし、アクセルよし、己の興奮よし!
ルーク:窓は、全開ぃぃぃ!!
アイラ:そういうのいいから!! 早く出してって!!
ルーク:空前絶後ぉ!
アイラ:はやく!
ルーク:超絶怒涛ぅ!
アイラ:うるさいから!
ルーク:これが俺のぉぉぉぉ!!
ルーク:ドライビングだァァァァァァァ!
アイラ:さっさと出せバカタレえええええっ!!
ルーク:テンション、青・天・井おおおお!!!!!
アイラ:うぉぉぉぉ、はっや!!
ルーク:ブゥゥゥン!ブゥゥゥゥン!!
アイラ:や、やるわね…助手ちゃん。流石、運転スキルの高さには脱帽だわ
アイラ:…って、やっば!あいつらも車で追ってきた…
アイラ:危ない危ない…! ちょっと!あんたら、まだ10代の女の子にそれはないんじゃないの~……ってひゃっ! 弾かすりかけたぁ~。
アイラ:助手ちゃん、スピードあげて!
ルーク:あいあいさーのサクセスストーリィィィィ!!!
アイラ:よし! 飛ばして飛ばして! このままじゃ車ごとスクラップにされるよ~!
ルーク:おぅぅぅりゃあああああ!
アイラ:いい…いいね! 助手ちゃん、今最高にのってるよ!
アイラ:って…あいつら…何かを持ち出して……ってうわ!? 何あれ!? バズーカですか!?
アイラ:助手ちゃん! ハンドルきって!!
ルーク:任せな!
0:ルークはハンドルを思いっきりきって、バズーカの弾を避ける。建物にあたり爆発した
アイラ:ひゃぁぁぁぁぁぁぁっ!
アイラ:か、間一髪ぅ~。ナイス、助手ちゃん!
ルーク:俺の運転で、あんたを何処までも盗ませてやるぜ
アイラ:…ほんとに、誰って感じだけど…。ええ!その心意気、しかと受けとったわ!
アイラ:…あれ
アイラ:…うわ、道がない!
アイラ:ええええ!! 嘘!? 私の怪盗人生、ここで終わり~!?
アイラ:こんな、こんな終わり方なのぉ!?
ルーク:うぉぉぉ!!!
アイラ:うおぉぉ!!じゃないわよぉ!!
アイラ:落ちるぅぅぅぅぅ!!
0:
0:
アイラ:う……うう
ルーク:アイラ! 大丈夫ですか!
アイラ:あ、あれ…私、生きてる?
アイラ:…ふぇ? 服がびちゃびちゃ!
ルーク:…崖の下に、ちょうどいい池がありました
ルーク:…途中でアイラは気絶されてましたから、窓から抜けて、ここまで僕が運んできましたよ
ルーク:流石に、彼らもそれ以上は追ってきませんでした
アイラ:も、もうーーー! 怖かったぁ!
アイラ:このぉ! バカぁ! バカバカ! バカチン!
アイラ:あんた、運転の時だけクレイジーすぎるのよぉ!
ルーク:ア、アイラに言われたくはないですよ!
アイラ:いや言うわよ!
アイラ:逃走コースの終わりが、急転直下で崖から落ちるなんて思わないでしょ!
ルーク:あ、ありがとうございます…
アイラ:なんで照れてるのよ
アイラ:あ、お宝!
ルーク:ここです…はい
アイラ:…ついに、手に入れたのね
アイラ:パパが手に入れる事が出来なかった、お宝…!
アイラ:…あれ?
ルーク:…どうしました?
アイラ:…この宝石…蓋がある?
ルーク:えっ?
アイラ:えっ?
ルーク:…
ルーク:そんな宝石あるんですね
アイラ:バカ! 違う!
アイラ:これ、偽物じゃないの!!
ルーク:ええええええっ!?
アイラ:どういうことよ…!
ルーク:…あれ? アイラ…蓋の中に、何か入ってますよ…?
アイラ:…えっ!
ルーク:これは…手紙?
アイラ:…パパの字だわ! …えっと
アイラ:…「この宝を盗んだという事は、私を超えようとしているのだろう、アイラ。しかし、そう簡単には大怪盗にはなれない。私はもう長くはないが、気の知れた資産家に偽物の宝石を預け、アイラが盗みに来たら……そう簡単に手渡さず、対処してほしいと言ってあった。簡単に対処されてしまうようでは怪盗失格だからな」
ルーク:「…でも、よくやった、アイラ。お前が私の後を追ってくれてること、自分の娘として、大変誇らしいと思う。…この紙には、私が惜しくも盗めなかった宝と場所のリストが書いてある。お前が本当に、私を超えるつもりであれば、全部、盗んでみることだ」
アイラ:「…以上、怪盗ルパン・アルセーヌからの挑戦状」
ルーク:…このリストにも…ゼラの宝石が乗っていますね……おそらく、この書いてあるほうが、本物…
アイラ:…つまり、最初から仕組んでたってわけ…ね
ルーク:…あ、もう少し続きが…「追記、病気の事を隠していてすまなかった」…
アイラ:…パパ
ルーク:誰かに殺されたわけでは、なかったんですね
アイラ:……
ルーク:アイラ…?
アイラ:目的は決まったわね
ルーク:え?
アイラ:今回は超残念だったけど、パパがこんな挑戦状を叩きつけられたのなら、望むところよ
ルーク:…乗り気、ですね
アイラ:ここに書いてあるのは、パパが昔狙っていた、わるーいお金持ちが持っている超高価な宝石がほとんど。それを達成すれば、資産家に一泡ふかせられるし……なにより、パパの悲願を達成できる
ルーク:最後まで協力しますよ
ルーク:それこそ、怪盗アイラ・アルセーヌです
アイラ:へへっ
ルーク:また徹夜続きになりそう…
ルーク:これからの予定は、すぐ立ちそうです
アイラ:じゃ、早速かえって、計画でも立てますか~!
アイラ:大怪盗に、私はなるっっ!!