台本概要
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タイトル | カルボナーラとマシンガン〜時々つけ麺〜 |
---|---|
作者名 | Alice (@Alice15827178) |
ジャンル | コメディ |
演者人数 | 2人用台本(男1、女1) |
時間 | 20 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
奈羅「いい?カルボナーラ以外全員敵だから」 丸「マシンガンのためを思って、脱衣所までで我慢してるんだぞ!?」 ボケとツッコミが行ったり来たりします テンポ感のいい掛け合い…もとい、 奈羅と丸のくだらない言い合いを楽しんでもらえれば、嬉しいです つけ麺が一番不憫です、多分笑 ☆お願い☆ キャスト様の性別不問 一人称、語尾など変更可 共演者様、リスナー様が嫌な思いをしなければアドリブ自由 ※BGMについて 配信サイト内で提供されているもの、無料BGM等、シナリオの雰囲気に合うと思うものを、自由につけてもらって構いません ただし、音源の著作権・サイトの規約等はキャスト様でしっかりご確認ください 276 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
奈羅 | 女 | 79 | 加流募 奈羅(かるぼ なら)。 カルボナーラ馬鹿。 カルボナーラへの愛が異常。 カルボナーラと一つになりたい |
丸 | 男 | 78 | 真芯 丸(ましん がん) マシンガン馬鹿。 マシンガンはソウルメイト。 濃厚辛口スープつけ麺がまぁ普通に好き |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
奈羅:これは、
丸:とある軍訓練施設の昼休みに繰り広げられた
奈羅:カルボナーラを愛する一人の女と
丸:マシンガンが友達という一人の男の
奈羅:世界一どーでもいい
丸:仁義なき戦いの記録である…
0:
0:
0:お昼休み開始のベルが鳴る
0:某軍訓練施設の食堂
0:メニューを選んでいる二人
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0:
奈羅:今日の訓練も厳しかったー…
奈羅:もうヘトヘトだよ…
奈羅:午後からも訓練とか、こんなのもうやだー!
丸:おい、まだ3ヶ月だぞ
丸:訓練厳しいのは、体験入隊の時にわかってたろ
丸:なのに、なんで軍に入ろうと思ったんだよ
奈羅:だって…、体験入隊の時に運命的な出会いしちゃったんだもん
丸:うーわ、不純な動機
丸:どうせカッコいい先輩がいたとかだろ
丸:そんなんじゃ、いつまで続くか見ものだな
奈羅:お生憎様!
奈羅:当面、私が根を上げることはないわ
奈羅:そう言うあんたはどうなのよ
丸:どっかの恋愛ボケと違って、俺の動機はもっと高尚ですー
丸:それこそ、小学生の頃から入るって決めてたからな
奈羅:あーそうですかっ
奈羅:それはご立派なことで!
奈羅:ぜひその高尚な志望動機、お聞かせ願えませんかー?
丸:お前なんかに教えるのがもったいないので、嫌でーす
奈羅:…いちいちムカつくわね
丸:ほら、昼休み短いんだから、さっさと飯食おうぜ
丸:何にする?
奈羅:カルボナーラ一択!
丸:…お前、昨日もカルボナーラ食ってなかったか?
奈羅:カルボナーラ美味しいじゃん
丸:うまいけど…
丸:俺、麺類だったら濃厚辛口スープつけ麺派だから
奈羅:あー…、あんたとは一生分かり合えないわ
奈羅:いい?カルボナーラ以外全員敵だから
奈羅:カルボナーラ以外ありえないから
丸:どっかの過激派宗教かよ…
丸:カルボナーラ食う日がちょっと多いだけだろ
奈羅:バカにしないでくれる?
奈羅:私カルボナーラ以外を選ばないから
丸:麺類を?
奈羅:じゃなくて全部
0:
0:間
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丸:…ん?
奈羅:だからここに入ってから、カルボナーラ以外食べてないんだって
丸:は?
奈羅:あのさ、ちゃんと人の話聞いて…
丸:いやいやいや!
丸:え!?
奈羅:あんたさっきから
奈羅:「ん?」とか「は?」とか「え?」しか言ってないわよ
奈羅:なに?急に耳遠くなった?
丸:カルボナーラ以外食べてない…?
奈羅:なんだ、ちゃんと聞こえてるんじゃない
丸:朝も昼も夜も…?
奈羅:当然。間食は、特製一口カルボナーラね
丸:…マジで?
奈羅:嘘ついてどうすんのよ
奈羅:好きなもので身体を満たしたいって思うの当然でしょ
丸:いや、いくら好きでも異常だろ…
丸:っつかなんだよ、一口カルボナーラって…
奈羅:(無視して)あれは運命的な出会いだった…!
0:
0:《回想開始》
0:
奈羅:体験入隊のあまりの厳しさに、
奈羅:どれだけ待遇が良かろうが、絶対軍になんか入らない!
奈羅:そう思っていた私の鼻腔(びこう)を突然くすぐった、
奈羅:芳しい(かぐわしい)香り
奈羅:直後、目の前に現れたその姿に、私は釘付けになった
丸:え?急に何の話?
奈羅:乳白色の艶やかな(つややかな)装飾で彩る、
奈羅:細く長いしなやかな色白ボディ…
奈羅:その妖艶な見た目に私は一瞬で心を奪われた…
丸:これ入隊動機の話か?フェロモン凄そうな先輩だな…
丸:そんな人いたか…?
奈羅:高鳴る鼓動を必死に押さえつけ、恐る恐る手を伸ばす
奈羅:麺どうしの摩擦をソースがなくし、滑りを良くしてくれているおかげで、
奈羅:その艶(なま)めかしい肢体(したい)を、すんなりと絡めとることができた…
丸:…ん?
奈羅:フォークの上で恥じらうように丸まりつつも、
奈羅:隙間からはポタポタと白いソースを滴らせる…
奈羅:その甘美な姿に私の理性は一瞬で吹っ飛び、
奈羅:周りの視線も憚らず(はばからず)気づいたら深く口づけをしていたわ…
奈羅:芳醇(ほうじゅん)な香りと共に、口中に広がる濃厚なクリームソース…!
奈羅:その奥から現れたコシのあるボディを恐る恐る噛み締めた瞬間…
奈羅:身体中を電撃が走り抜けた…
丸:…(何かを悟り、呆れ返った様子)
奈羅:あぁ…これは運命なんだ…、
奈羅:そう悟るまでに時間はかからなかった
奈羅:身体中の成分をカルボナーラで満たしたい…!
奈羅:カルボナーラさえいてくれれば何もいらない!
丸:だよな!?これカルボナーラの話だよな!?
奈羅:カルボナーラと精神的にも肉体的にもつながりたい!!
奈羅:そう、思ってしまったの…♡
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0:間《回想終了》
0:
丸:…うーわ、ヤベェ
奈羅:そう!ヤバいのよ!
奈羅:私を魅了して止まない、カルボナーラの魅力は本当にヤバい!
丸:いや、ヤベーのはお前だよ…
奈羅:は?
奈羅:私のどこがヤバいのよ?
丸:くっだらない入隊理由といい、
丸:妙に際どい表現といい…色々だよ、色々
丸:カルボナーラとの馴れ初め話みたいになってたぞ…
奈羅:ちょっ…!馴れ初めだなんて…!
奈羅:私と「彼」はまだそんな関係じゃ…!
丸:カルボナーラのこと「彼」って呼んでんのかよ…
奈羅:そ…それに!
奈羅:私は彼を自分だけのものにしたい、なんて思ってないんだから!
奈羅:むしろ逆!
奈羅:一人でも多くの人に彼の…
奈羅:いいえ!
奈羅:カルボナーラ様の素晴らしさを知ってもらいたいの!
丸:やっぱ過激派宗教じゃねぇか…
奈羅:だから、あんたも今日からカルボナーラ食べなさい!
丸:いや、俺は濃厚辛口スープつけ麺食うから
丸:そこそこ美味いし(うまいし)
奈羅:濃厚辛口スープつけ麺のことなんか、一瞬で忘れられるくらい彼の虜になるから!
奈羅:絡めとられちゃうから!きゃー!
丸:あ、結構ですー
奈羅:なんでよ!
奈羅:世の中、つけ麺よりイケメンでしょ!?
奈羅:…ねぇ!私今うまいこと言った!
丸:やかましいわ!
丸:お前には、カルボナーラがイケメンに見えてんのか!?
丸:今すぐ眼鏡買ってこい!
奈羅:視力1.2あるんだから、いらないわよ!
奈羅:あんたこそ、もっと高性能な舌と取り替えなさい!
丸:どうやって舌取り替えるんだよ!無理だろ!
奈羅:そうやってすぐ諦めるから、
奈羅:濃厚辛口スープつけ麺なんかで、妥協してるんでしょ!?
奈羅:そんなんじゃ、いつまで経っても一つになれないわよ!?
丸:惰性で付き合ってるみたいに言うな!
丸:そもそも麺類とひとつになりたくねぇ!
奈羅:なによ!せっかく本物の愛を教えてあげようと思ったのに!
奈羅:あんた、人生の10割損してるわよ!
丸:俺の人生、全否定じゃねぇか!
丸:俺にだって好きなもんくらいあるわ!
奈羅:へー?何よ言ってみなさいよ!
奈羅:私のカルボナーラへの愛に勝てるかしら?
丸:ふっ…、聞いて驚くなよ?
丸:こいつだ!
丸:(マシンガンをどこからともなく取り出す)
0:
0:(ここからボケとツッコミ逆転します)
0:
奈羅:…マシンガン?
奈羅:あんた、こんなとこに持ち出してるのバレたら、教官に怒られるわよ?
丸:教官なんか怖くねぇよ
丸:俺とこいつはな、一心同体なんだよ
丸:永遠に離れられない、運命の番(つがい)と言ってもいい
奈羅:…何言ってんの?
丸:軍に入ったのも、こいつとずっと一緒にいるためだ
奈羅:え?あんたマシンガンのために入隊したの?
奈羅:さっき高尚な理由って言ってなかった?
丸:(無視して)あれは…小学生の頃だった
0:
0:《回想開始》
0:
丸:夏祭りで初めて俺たちは出会ったんだ…
丸:細く長い歪みのない真っ直ぐ伸びた銃身に、
丸:子供でも持てる重み…
丸:その飾らない姿に俺は一目惚れした
奈羅:夏祭り…なのよね?
奈羅:それマシンガンじゃなくない?
丸:そっとスコープ…、っぽいところを覗き込む…
丸:ただの飾りだから何も見えなかった
奈羅:うわ…カッコ悪…
丸:それでも、
丸:スコープを覗いてる自分の姿がなんだかカッコいい気がして、
丸:俺はスコープを覗き続けたんだ
丸:子供ながらに、見えないものを見ようとしていたのかもしれない
奈羅:さむ…
丸:「次の子が待ってるからそろそろいいかな?」と
丸:笑顔に怒りマーク浮かべたオヤジを一瞥(いちべつ)し、
丸:俺は意を決して獲物を狙った
丸:最新の大型家庭用ゲーム機に狙いを定め、引き金を引く
丸:ポンっとこぎみいい音がなり、
丸:銃弾…という名のコルクが飛び出す
奈羅:やっぱりコルク銃じゃない…
丸:コルクは狙いを定めた巨体へと真っ直ぐに飛んでいく
丸:初めて銃を扱うのに、
丸:一発で大物を捕らえてしまう自分の才能が恐ろしかった…!
丸:俺のコルク弾は…!ついに…!獲物に…!
丸:ーーー当たる前に落ちた
奈羅:だっさ!!
丸:その時悟ったんだ
丸:俺の天職は軍しかない…って
奈羅:なんでよ!?獲物に届きもしてないのに!?
奈羅:ってか、コルク銃よね!?
奈羅:それがなんでマシンガンになるのよ!
丸:マシンガンの方がいっぱい弾が出るから、かっこいいなって…
0:
0:《回想終了》
0:
奈羅:馬鹿じゃないの!?
丸:お前にだけは言われたくないわ!
奈羅:あんたのくだらない話のせいで、
奈羅:休み時間短くなっちゃったじゃない!
奈羅:彼との貴重な逢瀬の時間返してくれる!?
丸:一日3食以上の逢瀬を、貴重とは言わねぇんだよ!
丸:って、マジで時間ない
丸:さっさと食おうぜ
0:
0:席につき食事を始める二人
0:
奈羅:あぁ…♡今日のカルボナーラも美味しそう…
奈羅:いっただきまーす
奈羅:(フォークでカルボナーラをほぐしながら)ん?あれ?
丸:どうした?
奈羅:ほぐ…れない…
丸:は?
奈羅:このカルボナーラおかしい…!
奈羅:全然解れない(ほぐれない)…!
丸:あー、パスタソースが足りねぇんじゃね?
丸:最近、材料費高騰でケチってるらしいから
奈羅:そん、な…
丸:つけ麺ほぐす水、使うか?
丸:本当はオリーブオイルとかがいいんだろうけど、
丸:多少マシになるだろ
奈羅:…(無言で手を叩き払い、水が机にこぼれる)
丸:おい!何するんだよ!
奈羅:あの日の彼は…もういないの…?もう…会えないの…?
丸:どんだけ絶望してんだよ
丸:ちょっとパスタソースが減っただけだろ
丸:それより俺の水!
丸:どうすんだよ、つけ麺ほぐせねぇじゃん!
奈羅:(無視して)こんな…こんなほぐれないカルボナーラなんて…
奈羅:(丸のマシンガンを手にとる)
丸:あっおい!ちょっ…それ俺のマシンガン…!
奈羅:こいつでちぢれ麺にしてやるんだからぁぁぁ!
丸:いや、まてぇぇぇぇい!
奈羅:っ!何するの!?止めないでよ!
丸:止めるわ!
丸:どこの世界に、
丸:麺がほぐれなくてマシンガン持ち出すやつがいるんだよ!?
奈羅:離してよ!
奈羅:こんな麺どうし複雑に絡みあったカルボナーラなんて、
奈羅:カルボナーラじゃない!
奈羅:カルボナーラと絡み合うのは私なんだから!
丸:意味わかんねぇよ!
丸:だいたい、ほぐれやすくするのに、
丸:つけ麺の水分けてやったろうが!
丸:それを全部机にぶちまけて…
丸:俺のつけ麺どうすんだよ!
奈羅:さっきから、つけ麺がほぐれないくらいで、
奈羅:ガタガタ言ってんじゃないわよ!
奈羅:小さい男ね!
丸:いや、カルボナーラほぐれ無くて、
丸:マシンガン持ち出すお前に言われたくねぇよ!?
奈羅:つけ麺には、水以外にもスープがいるんだから、
奈羅:スープに入れればいいでしょ!?
奈羅:カルボナーラにはパスタソースしか
奈羅:いないんだよ!?
丸:それじゃあつけ麺じゃなくて、ただのラーメンになるんだよ!
奈羅:お腹に入れば一緒でしょうが!
丸:カルボナーラだって同じだろうが!
0:
0:(ここからボケとツッコミ逆転します)
0:
丸:っつか、これ俺のマシンガンだから!
丸:返せ!
奈羅:あ…っ、何すんのよ!
奈羅:そもそもマシンガンは軍の備品でしょ!?
奈羅:あんたのじゃない!
丸:お前…!よくそんな酷いこと平然と言えるな…
奈羅:はぁ!?
丸:こいつはな…、俺が軍に入隊してからずっと一緒だったんだよ!
奈羅:なんでわかるのよ!?
奈羅:軍の備品なんて、全部同じでしょうが!
丸:わかるんだよ!
丸:どれだけ見た目が同じでも、
丸:俺たちは魂で繋がったソウルメイトだからな!
丸:見ろ!これがその絆だ!
奈羅:…名前シール?
丸:これさえ貼ってあれば、何度引き離されても再び巡り合える
丸:何人たりとも俺たちの間を引き裂くことはできない…!
奈羅:備品を私物化してんじゃないわよ!(シールを剥がす)
丸:っ…!何するんだよ…
丸:こいつは戦場で俺を守ってくれる、唯一無二の親友なんだぞ!?
丸:俺はもう、こいつ以外信じられない…!
丸:訓練はもちろん、寝る時もトイレ行く時も片時も離れたくない…
丸:本当は風呂だって一緒に入りたいけど、
丸:あそこは湿気がすごいから…、
丸:マシンガンのためを思って、脱衣所までで我慢してるんだぞ!?
奈羅:バッカじゃないの!?
丸:なんだと!?
奈羅:規約破って、所構わずマシンガン持っていってんじゃないわよ!
丸:規約なんかで、俺とマシンガンの友情は止められねぇんだよ!
奈羅:あんたが単にマシンガン持ってないと落ち着かない、
奈羅:腰抜けってことでしょうが!
丸:お…前…!
丸:俺のことはどう言ってもいいけどな…
丸:マシンガンのこと馬鹿にするのは許さねぇぞ!
奈羅:あんたのこと言ってんのよ!
奈羅:一ミリもマシンガンはバカにしてないし、むしろ同情するわ!
丸:なんだと!?このカルボナーラ馬鹿!
奈羅:あんたに言われたくないわよ!マシンガン馬鹿!
0:
0:昼休み終了のベルがなる
0:
奈羅:あっ、お昼休みが…
丸:おら!訓練行くぞ!
奈羅:いや!離して…!離してよ!
奈羅:私まだカルボナーラ食べてない…!
奈羅:カルボナーラと一つになってない…!
丸:俺だってつけ麺食ってねぇよ!
丸:誰かさんのせいでな!
奈羅:何よ!つけ麺は所詮(しょせん)愛人でしょ!?
奈羅:本命のマシンガンとは一緒なんだからいいじゃない!
丸:変な例え方するな!
丸:どうせ夜にまたカルボナーラ食うんだろうが!
丸:そこで身も心も一つのなれよ!
奈羅:お昼に一つになってない!
丸:そんな頻繁に一つになってたら、ありがたみなくなるだろ!
丸:一回一回をもっと大事にしろよ!
奈羅:なにそれ!童貞の負け惜しみ!?
奈羅:あーやだやだ
丸:はぁ!?
奈羅:そうですよねー?
奈羅:マシンガンとは、プラトニックな愛を育まれてるんですもんねー?
丸:だから、俺とマシンガンはそんな関係じゃないって言ってるだろ!
丸:お前と一緒にするな!
奈羅:むぅぅぅぅ!
0:
0:
奈羅:(教官を見つけて)
奈羅:あっ、きょうかーん!
奈羅:こいつ、マシンガン持ち出してますー!
奈羅:規約違反ですよねー!?
丸:あっ、お前!チクるな!
丸:(近づいてきた教官にマシンガンを没収されながら)
丸:ま…待ってください教官!これには深いわけが…!
丸:あぁ…!名前シール剥がされてるんです…!
丸:今引き離されたら俺たちもう…!
丸:お願いです…!マシンガンを連れて行かないで…
丸:マイ フェイバリット マシンガーン!!
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0:終わり笑
奈羅:これは、
丸:とある軍訓練施設の昼休みに繰り広げられた
奈羅:カルボナーラを愛する一人の女と
丸:マシンガンが友達という一人の男の
奈羅:世界一どーでもいい
丸:仁義なき戦いの記録である…
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0:お昼休み開始のベルが鳴る
0:某軍訓練施設の食堂
0:メニューを選んでいる二人
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奈羅:今日の訓練も厳しかったー…
奈羅:もうヘトヘトだよ…
奈羅:午後からも訓練とか、こんなのもうやだー!
丸:おい、まだ3ヶ月だぞ
丸:訓練厳しいのは、体験入隊の時にわかってたろ
丸:なのに、なんで軍に入ろうと思ったんだよ
奈羅:だって…、体験入隊の時に運命的な出会いしちゃったんだもん
丸:うーわ、不純な動機
丸:どうせカッコいい先輩がいたとかだろ
丸:そんなんじゃ、いつまで続くか見ものだな
奈羅:お生憎様!
奈羅:当面、私が根を上げることはないわ
奈羅:そう言うあんたはどうなのよ
丸:どっかの恋愛ボケと違って、俺の動機はもっと高尚ですー
丸:それこそ、小学生の頃から入るって決めてたからな
奈羅:あーそうですかっ
奈羅:それはご立派なことで!
奈羅:ぜひその高尚な志望動機、お聞かせ願えませんかー?
丸:お前なんかに教えるのがもったいないので、嫌でーす
奈羅:…いちいちムカつくわね
丸:ほら、昼休み短いんだから、さっさと飯食おうぜ
丸:何にする?
奈羅:カルボナーラ一択!
丸:…お前、昨日もカルボナーラ食ってなかったか?
奈羅:カルボナーラ美味しいじゃん
丸:うまいけど…
丸:俺、麺類だったら濃厚辛口スープつけ麺派だから
奈羅:あー…、あんたとは一生分かり合えないわ
奈羅:いい?カルボナーラ以外全員敵だから
奈羅:カルボナーラ以外ありえないから
丸:どっかの過激派宗教かよ…
丸:カルボナーラ食う日がちょっと多いだけだろ
奈羅:バカにしないでくれる?
奈羅:私カルボナーラ以外を選ばないから
丸:麺類を?
奈羅:じゃなくて全部
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丸:…ん?
奈羅:だからここに入ってから、カルボナーラ以外食べてないんだって
丸:は?
奈羅:あのさ、ちゃんと人の話聞いて…
丸:いやいやいや!
丸:え!?
奈羅:あんたさっきから
奈羅:「ん?」とか「は?」とか「え?」しか言ってないわよ
奈羅:なに?急に耳遠くなった?
丸:カルボナーラ以外食べてない…?
奈羅:なんだ、ちゃんと聞こえてるんじゃない
丸:朝も昼も夜も…?
奈羅:当然。間食は、特製一口カルボナーラね
丸:…マジで?
奈羅:嘘ついてどうすんのよ
奈羅:好きなもので身体を満たしたいって思うの当然でしょ
丸:いや、いくら好きでも異常だろ…
丸:っつかなんだよ、一口カルボナーラって…
奈羅:(無視して)あれは運命的な出会いだった…!
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0:《回想開始》
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奈羅:体験入隊のあまりの厳しさに、
奈羅:どれだけ待遇が良かろうが、絶対軍になんか入らない!
奈羅:そう思っていた私の鼻腔(びこう)を突然くすぐった、
奈羅:芳しい(かぐわしい)香り
奈羅:直後、目の前に現れたその姿に、私は釘付けになった
丸:え?急に何の話?
奈羅:乳白色の艶やかな(つややかな)装飾で彩る、
奈羅:細く長いしなやかな色白ボディ…
奈羅:その妖艶な見た目に私は一瞬で心を奪われた…
丸:これ入隊動機の話か?フェロモン凄そうな先輩だな…
丸:そんな人いたか…?
奈羅:高鳴る鼓動を必死に押さえつけ、恐る恐る手を伸ばす
奈羅:麺どうしの摩擦をソースがなくし、滑りを良くしてくれているおかげで、
奈羅:その艶(なま)めかしい肢体(したい)を、すんなりと絡めとることができた…
丸:…ん?
奈羅:フォークの上で恥じらうように丸まりつつも、
奈羅:隙間からはポタポタと白いソースを滴らせる…
奈羅:その甘美な姿に私の理性は一瞬で吹っ飛び、
奈羅:周りの視線も憚らず(はばからず)気づいたら深く口づけをしていたわ…
奈羅:芳醇(ほうじゅん)な香りと共に、口中に広がる濃厚なクリームソース…!
奈羅:その奥から現れたコシのあるボディを恐る恐る噛み締めた瞬間…
奈羅:身体中を電撃が走り抜けた…
丸:…(何かを悟り、呆れ返った様子)
奈羅:あぁ…これは運命なんだ…、
奈羅:そう悟るまでに時間はかからなかった
奈羅:身体中の成分をカルボナーラで満たしたい…!
奈羅:カルボナーラさえいてくれれば何もいらない!
丸:だよな!?これカルボナーラの話だよな!?
奈羅:カルボナーラと精神的にも肉体的にもつながりたい!!
奈羅:そう、思ってしまったの…♡
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0:間《回想終了》
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丸:…うーわ、ヤベェ
奈羅:そう!ヤバいのよ!
奈羅:私を魅了して止まない、カルボナーラの魅力は本当にヤバい!
丸:いや、ヤベーのはお前だよ…
奈羅:は?
奈羅:私のどこがヤバいのよ?
丸:くっだらない入隊理由といい、
丸:妙に際どい表現といい…色々だよ、色々
丸:カルボナーラとの馴れ初め話みたいになってたぞ…
奈羅:ちょっ…!馴れ初めだなんて…!
奈羅:私と「彼」はまだそんな関係じゃ…!
丸:カルボナーラのこと「彼」って呼んでんのかよ…
奈羅:そ…それに!
奈羅:私は彼を自分だけのものにしたい、なんて思ってないんだから!
奈羅:むしろ逆!
奈羅:一人でも多くの人に彼の…
奈羅:いいえ!
奈羅:カルボナーラ様の素晴らしさを知ってもらいたいの!
丸:やっぱ過激派宗教じゃねぇか…
奈羅:だから、あんたも今日からカルボナーラ食べなさい!
丸:いや、俺は濃厚辛口スープつけ麺食うから
丸:そこそこ美味いし(うまいし)
奈羅:濃厚辛口スープつけ麺のことなんか、一瞬で忘れられるくらい彼の虜になるから!
奈羅:絡めとられちゃうから!きゃー!
丸:あ、結構ですー
奈羅:なんでよ!
奈羅:世の中、つけ麺よりイケメンでしょ!?
奈羅:…ねぇ!私今うまいこと言った!
丸:やかましいわ!
丸:お前には、カルボナーラがイケメンに見えてんのか!?
丸:今すぐ眼鏡買ってこい!
奈羅:視力1.2あるんだから、いらないわよ!
奈羅:あんたこそ、もっと高性能な舌と取り替えなさい!
丸:どうやって舌取り替えるんだよ!無理だろ!
奈羅:そうやってすぐ諦めるから、
奈羅:濃厚辛口スープつけ麺なんかで、妥協してるんでしょ!?
奈羅:そんなんじゃ、いつまで経っても一つになれないわよ!?
丸:惰性で付き合ってるみたいに言うな!
丸:そもそも麺類とひとつになりたくねぇ!
奈羅:なによ!せっかく本物の愛を教えてあげようと思ったのに!
奈羅:あんた、人生の10割損してるわよ!
丸:俺の人生、全否定じゃねぇか!
丸:俺にだって好きなもんくらいあるわ!
奈羅:へー?何よ言ってみなさいよ!
奈羅:私のカルボナーラへの愛に勝てるかしら?
丸:ふっ…、聞いて驚くなよ?
丸:こいつだ!
丸:(マシンガンをどこからともなく取り出す)
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奈羅:…マシンガン?
奈羅:あんた、こんなとこに持ち出してるのバレたら、教官に怒られるわよ?
丸:教官なんか怖くねぇよ
丸:俺とこいつはな、一心同体なんだよ
丸:永遠に離れられない、運命の番(つがい)と言ってもいい
奈羅:…何言ってんの?
丸:軍に入ったのも、こいつとずっと一緒にいるためだ
奈羅:え?あんたマシンガンのために入隊したの?
奈羅:さっき高尚な理由って言ってなかった?
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丸:夏祭りで初めて俺たちは出会ったんだ…
丸:細く長い歪みのない真っ直ぐ伸びた銃身に、
丸:子供でも持てる重み…
丸:その飾らない姿に俺は一目惚れした
奈羅:夏祭り…なのよね?
奈羅:それマシンガンじゃなくない?
丸:そっとスコープ…、っぽいところを覗き込む…
丸:ただの飾りだから何も見えなかった
奈羅:うわ…カッコ悪…
丸:それでも、
丸:スコープを覗いてる自分の姿がなんだかカッコいい気がして、
丸:俺はスコープを覗き続けたんだ
丸:子供ながらに、見えないものを見ようとしていたのかもしれない
奈羅:さむ…
丸:「次の子が待ってるからそろそろいいかな?」と
丸:笑顔に怒りマーク浮かべたオヤジを一瞥(いちべつ)し、
丸:俺は意を決して獲物を狙った
丸:最新の大型家庭用ゲーム機に狙いを定め、引き金を引く
丸:ポンっとこぎみいい音がなり、
丸:銃弾…という名のコルクが飛び出す
奈羅:やっぱりコルク銃じゃない…
丸:コルクは狙いを定めた巨体へと真っ直ぐに飛んでいく
丸:初めて銃を扱うのに、
丸:一発で大物を捕らえてしまう自分の才能が恐ろしかった…!
丸:俺のコルク弾は…!ついに…!獲物に…!
丸:ーーー当たる前に落ちた
奈羅:だっさ!!
丸:その時悟ったんだ
丸:俺の天職は軍しかない…って
奈羅:なんでよ!?獲物に届きもしてないのに!?
奈羅:ってか、コルク銃よね!?
奈羅:それがなんでマシンガンになるのよ!
丸:マシンガンの方がいっぱい弾が出るから、かっこいいなって…
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奈羅:馬鹿じゃないの!?
丸:お前にだけは言われたくないわ!
奈羅:あんたのくだらない話のせいで、
奈羅:休み時間短くなっちゃったじゃない!
奈羅:彼との貴重な逢瀬の時間返してくれる!?
丸:一日3食以上の逢瀬を、貴重とは言わねぇんだよ!
丸:って、マジで時間ない
丸:さっさと食おうぜ
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0:席につき食事を始める二人
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奈羅:あぁ…♡今日のカルボナーラも美味しそう…
奈羅:いっただきまーす
奈羅:(フォークでカルボナーラをほぐしながら)ん?あれ?
丸:どうした?
奈羅:ほぐ…れない…
丸:は?
奈羅:このカルボナーラおかしい…!
奈羅:全然解れない(ほぐれない)…!
丸:あー、パスタソースが足りねぇんじゃね?
丸:最近、材料費高騰でケチってるらしいから
奈羅:そん、な…
丸:つけ麺ほぐす水、使うか?
丸:本当はオリーブオイルとかがいいんだろうけど、
丸:多少マシになるだろ
奈羅:…(無言で手を叩き払い、水が机にこぼれる)
丸:おい!何するんだよ!
奈羅:あの日の彼は…もういないの…?もう…会えないの…?
丸:どんだけ絶望してんだよ
丸:ちょっとパスタソースが減っただけだろ
丸:それより俺の水!
丸:どうすんだよ、つけ麺ほぐせねぇじゃん!
奈羅:(無視して)こんな…こんなほぐれないカルボナーラなんて…
奈羅:(丸のマシンガンを手にとる)
丸:あっおい!ちょっ…それ俺のマシンガン…!
奈羅:こいつでちぢれ麺にしてやるんだからぁぁぁ!
丸:いや、まてぇぇぇぇい!
奈羅:っ!何するの!?止めないでよ!
丸:止めるわ!
丸:どこの世界に、
丸:麺がほぐれなくてマシンガン持ち出すやつがいるんだよ!?
奈羅:離してよ!
奈羅:こんな麺どうし複雑に絡みあったカルボナーラなんて、
奈羅:カルボナーラじゃない!
奈羅:カルボナーラと絡み合うのは私なんだから!
丸:意味わかんねぇよ!
丸:だいたい、ほぐれやすくするのに、
丸:つけ麺の水分けてやったろうが!
丸:それを全部机にぶちまけて…
丸:俺のつけ麺どうすんだよ!
奈羅:さっきから、つけ麺がほぐれないくらいで、
奈羅:ガタガタ言ってんじゃないわよ!
奈羅:小さい男ね!
丸:いや、カルボナーラほぐれ無くて、
丸:マシンガン持ち出すお前に言われたくねぇよ!?
奈羅:つけ麺には、水以外にもスープがいるんだから、
奈羅:スープに入れればいいでしょ!?
奈羅:カルボナーラにはパスタソースしか
奈羅:いないんだよ!?
丸:それじゃあつけ麺じゃなくて、ただのラーメンになるんだよ!
奈羅:お腹に入れば一緒でしょうが!
丸:カルボナーラだって同じだろうが!
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0:(ここからボケとツッコミ逆転します)
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丸:っつか、これ俺のマシンガンだから!
丸:返せ!
奈羅:あ…っ、何すんのよ!
奈羅:そもそもマシンガンは軍の備品でしょ!?
奈羅:あんたのじゃない!
丸:お前…!よくそんな酷いこと平然と言えるな…
奈羅:はぁ!?
丸:こいつはな…、俺が軍に入隊してからずっと一緒だったんだよ!
奈羅:なんでわかるのよ!?
奈羅:軍の備品なんて、全部同じでしょうが!
丸:わかるんだよ!
丸:どれだけ見た目が同じでも、
丸:俺たちは魂で繋がったソウルメイトだからな!
丸:見ろ!これがその絆だ!
奈羅:…名前シール?
丸:これさえ貼ってあれば、何度引き離されても再び巡り合える
丸:何人たりとも俺たちの間を引き裂くことはできない…!
奈羅:備品を私物化してんじゃないわよ!(シールを剥がす)
丸:っ…!何するんだよ…
丸:こいつは戦場で俺を守ってくれる、唯一無二の親友なんだぞ!?
丸:俺はもう、こいつ以外信じられない…!
丸:訓練はもちろん、寝る時もトイレ行く時も片時も離れたくない…
丸:本当は風呂だって一緒に入りたいけど、
丸:あそこは湿気がすごいから…、
丸:マシンガンのためを思って、脱衣所までで我慢してるんだぞ!?
奈羅:バッカじゃないの!?
丸:なんだと!?
奈羅:規約破って、所構わずマシンガン持っていってんじゃないわよ!
丸:規約なんかで、俺とマシンガンの友情は止められねぇんだよ!
奈羅:あんたが単にマシンガン持ってないと落ち着かない、
奈羅:腰抜けってことでしょうが!
丸:お…前…!
丸:俺のことはどう言ってもいいけどな…
丸:マシンガンのこと馬鹿にするのは許さねぇぞ!
奈羅:あんたのこと言ってんのよ!
奈羅:一ミリもマシンガンはバカにしてないし、むしろ同情するわ!
丸:なんだと!?このカルボナーラ馬鹿!
奈羅:あんたに言われたくないわよ!マシンガン馬鹿!
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0:昼休み終了のベルがなる
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奈羅:あっ、お昼休みが…
丸:おら!訓練行くぞ!
奈羅:いや!離して…!離してよ!
奈羅:私まだカルボナーラ食べてない…!
奈羅:カルボナーラと一つになってない…!
丸:俺だってつけ麺食ってねぇよ!
丸:誰かさんのせいでな!
奈羅:何よ!つけ麺は所詮(しょせん)愛人でしょ!?
奈羅:本命のマシンガンとは一緒なんだからいいじゃない!
丸:変な例え方するな!
丸:どうせ夜にまたカルボナーラ食うんだろうが!
丸:そこで身も心も一つのなれよ!
奈羅:お昼に一つになってない!
丸:そんな頻繁に一つになってたら、ありがたみなくなるだろ!
丸:一回一回をもっと大事にしろよ!
奈羅:なにそれ!童貞の負け惜しみ!?
奈羅:あーやだやだ
丸:はぁ!?
奈羅:そうですよねー?
奈羅:マシンガンとは、プラトニックな愛を育まれてるんですもんねー?
丸:だから、俺とマシンガンはそんな関係じゃないって言ってるだろ!
丸:お前と一緒にするな!
奈羅:むぅぅぅぅ!
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奈羅:(教官を見つけて)
奈羅:あっ、きょうかーん!
奈羅:こいつ、マシンガン持ち出してますー!
奈羅:規約違反ですよねー!?
丸:あっ、お前!チクるな!
丸:(近づいてきた教官にマシンガンを没収されながら)
丸:ま…待ってください教官!これには深いわけが…!
丸:あぁ…!名前シール剥がされてるんです…!
丸:今引き離されたら俺たちもう…!
丸:お願いです…!マシンガンを連れて行かないで…
丸:マイ フェイバリット マシンガーン!!
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0:終わり笑