台本概要
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タイトル | 宣戦布告バレンタイン |
---|---|
作者名 | 夢遊 璃兎 (@muyuu_riu) |
ジャンル | コメディ |
演者人数 | 6人用台本(男3、女3) |
時間 | 30 分 |
台本使用規定 | 台本説明欄参照 |
説明 |
20~30分 バレンタインの話 シナリオ名と作者名明記してくだされば大丈夫です! 女性は全員兼ね役ありですが男性に兼ね役を振っても構いません。 シナリオを使う際は必ず演者全員の了承を得てから使用してください。 過度な改変はおやめください。 1865 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
吉永 | 男 | 65 | 自分がマシだと思ってる |
稲田 | 男 | 63 | カッコつけないと女子と話せない |
志村 | 男 | 53 | 緊張がすごい。作中一番大声出す |
羽田 | 女 | 25 | 個性派系女子。あだ名は はたちゃん。先生と兼ね役 |
好木 | 女 | 22 | ほんわか系女子。あだ名は このちゃん。生徒1と兼ね役 |
甘崎 | 女 | 24 | クール系女子。あだ名は あまちゃん。生徒2と兼ね役 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
吉永(よしなが)→自分がマシだと思ってる
稲田(いなだ)→カッコつけないと女子と話せない
志村(しむら)→緊張がすごい。作中一番大声出す
羽田(はたちゃん)→個性派系女子。先生と兼ね役
好木(このちゃん)→ほんわか系女子。生徒1と兼ね役
甘崎(あまちゃん)→クール系女子。生徒2と兼ね役
__________________________
吉永:遂に、約束の時が来たな。
稲田:ああ…準備はできてるぜ。
志村:待ちくたびれた
吉永:バレンタインデーだああああ!!!!!!!!!!!!!
稲田:いええええええええええええい!!!!!!!!!!!!
志村:うおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!
生徒1:え?なにあれ
生徒2:急に騒ぎ出してウケる~
吉永:しっ!声でけぇってお前ら
稲田:吉永が先に声上げたじゃん
志村:すまん!!!!
吉永:うるせえって志村。とにかく、明日だ。彼女たちが今日の放課後…いや、昨日から準備されし『甘き秘宝』が今回俺たちの獲物だ
稲田:ああ…、早く明日こないかなぁ。もう舌が甘いものの気分なんだよな
志村:クッキー・マカロン・チョコレート…
稲田:あぁもう、言うなよ!喉から手が出るほど欲しいのにさぁ!
吉永:何としてでも、義理だけは貰い受ける。…一年前、約束したあの日の事を覚えているか?
志村:一年前…、一年前…ぐぅっ!!
稲田:うっ…あの、屈辱の一年前…!
志村:あの、どうしようもない怒りと、悲しみに溺れた日…!
吉永:ああ。一年前…
0:~過去~
好木:ん?どうしたの?
吉永:…。ち…
好木:ち?
吉永:ちょ…コヲ…(ぶつぶつ)
好木:…ごめん、聞こえなかった。もうちょっと大きな声で言ってもらっていいかな??
吉永:~~~っ!!!!なななななんでもないです!失礼しましたああああああああああ!!!!
0:
稲田:チョコ
甘崎:え?
稲田:チョコ、持ってんでしょ?俺にくれよ
甘崎:はぁ??
稲田:ちゃんとお前の思いは俺が胃の中で受け止めてやるって言ってんの
甘崎:え、こわ。てか急に何?…稲田ってそんなキャラだっけ
稲田:…サーセンした…
0:
志村:…チ。チ、チョ…(ゴニョゴニョ)
羽田:…ん?
志村:あ!っ!ち!あっ、あ! チ(自主規制)くれ!!
羽田:え!?!?急にな、ええ!?!?!?
志村:ハラヘッタ。クレ
羽田:え、えっと…あ…!もしかしてバレンタインのチョコのこと?ご、ごめんね。私持ってきてないの…
志村:…あ、あっ。ソウデスカ…
0:
吉永:グスッ…今年も、もらえなかった…。非モテにつらいイベントごとをどうしてこの世界は作り上げてしまったんだ
稲田:ああまったくだ。君も被害者か?
吉永:おわっ誰!?いつの間に!?え、なにその夕日バックに腕組んでいかにも黄昏てますよ~みたいな表情は
稲田:僕も、あの甘い香りを一度も嗅ぐことができずに散ることとなった
吉永:えっとつまり…な、仲間だなってこと…?
稲田:義理の一つもないとか…ハハっ!陰キャには無縁だろってか…?くそリア充イベントが
志村:オレも、もらえなかった。
吉永:ええ?!もう一人!?
稲田:君もかい?
志村:テンパりすぎてチ(自主規制)って言ってしまった…もうおしまいだ…
稲田:それは…どうしてそうなったんだよ?
吉永:…なあ、お前ら。この屈辱、来年晴らさないか?
稲田:はぁ?どうやってだよ。根暗童貞陰キャにはそもそもこの記念日には呼ばれないんだぜ?
志村:一人でどうしろと…
吉永:みんなで晴らすんだよ!
志村:…?
稲田:…どういう意味だ?
吉永:俺たちで、三人で力を合わせてリア充ども…女子どもからチョコを!義理だとしても!掻っ攫ってやろうぜ!
稲田:なるほど。いいよ、のった
志村:や、やる!
吉永:よし!絶対リベンジしてやるぞ!!!よろしくなお前ら!あ…えっと、
稲田:僕は稲田。稲田でいいよ
志村:お、オレ、志村。
吉永:俺は吉永だ。よろしくな、盟友!
0:
稲田:ああ。そんなこと話したな
志村:うん、懐かしいなぁ。まだお互いの事よく知らなかったのにね
吉永:そうだな。…いや待て志村。まじで「チ(自主規制)」って言ったのか?!
志村:…マジだよ…
稲田:志村は恥ずかしがり屋だからなぁ。テンパってしまうのは仕方がないよな
吉永:いやどんなテンパり方したらチ(自主規制)出てくんだよ
志村:オレ、勇気出したけど、駄目だったんだ。…緊張しすぎて
稲田:なるほどね。僕が緊張しないで話しかけることができる方法を教えてあげるよ。任せて
志村:稲田…イイヤツ…(トゥンク)ッ
吉永:いやいや、志村騙されるな。稲田もやばいからな?
稲田:なんで?僕のどこがダメなのさ
吉永:お前どういうキャラだよ!すくなくとも、俺たちと話してるときそんなんじゃないだろ
稲田:なにいってんだよ。女の子はこういう俺様系がうけるんだよ。知らんのか?
吉永:それ漫画の世界だけだからな!?現実見ようか!
志村:でも人前だと、素直になれない。オレ、わかる
稲田:志村…いいやつだな…(トゥンク)ッ!
吉永:おまえら二人で共感し合ってるけど、それを克服しないと今年も失敗に終わるからな?!わかってる!?
稲田:なんかごちゃごちゃ喚いてるけど吉永、おまえが一番駄目だぞ。
吉永:は?勇気出して言ったし、この中で一番マシだと思うんだけど
稲田:でも走って逃げたんでしょ?折角もう一度聞こうとしてくれたレディに失礼だと思わなかったの?
吉永:…!!
志村:もう一度言ったらもらえたかもしれないのにね
吉永:…うううるさい!陰キャの俺は陽キャに話しかけるだけでも大変なんだよ!声をかけただけでも勇気ある行動だと言うべきだね!
志村:でも、前は近くに来るだけで呼吸が止まって蛇に睨まれた蛙のごとく固まってたんだよね?話しかけただけでもスゲーと思うよオレ
稲田:まあそう考えれば、確かに。よくやったほうだな
吉永:お、おまえら…(トゥンク)ッそうだろう!俺はよくやった!!もっと褒め称え!
稲田:おー(拍手)
志村:スゲー(拍手)
生徒1:なにあれ、なんかまた盛り上がってるけど。
生徒2:さあ?明日バレンタインだからって張り切ってるんじゃない?
稲田:…
志村:…
吉永:…ごほん。まぁ、なんといいますか。放課後、話し合いだ。いいな?
稲田:おっけー
志村:了解!
0:
好木:…ねえ、今のきいた?
甘崎:うん。はたちゃんも聞いたよね
羽田:う、うん…きいちゃった
甘崎:ふーん、あれが志村くんね
好木:優しそうじゃん~!ね、ね!絶対今年は作ってあげちゃいなよ羽田ちゃん
羽田:うーん、私バレンタインチョコなんて作ったことないし…
甘崎:今ならネットみれば一発じゃん。後で簡単なの送っておくから
羽田:ありがとう甘ちゃん。んー、できなかったらどうしよう…
好木:大丈夫だよ~!…私も頑張んばらなくちゃなぁ
甘崎:ん、渡したいやついるんだ?好
好木:ま、まあね!甘ちゃんは?
甘崎:えっと…去年稲田にちょっと嫌ないい方しちゃったから、お詫びに…
羽田:甘ちゃんってこういうの律儀だよね
甘崎:べ、べつにそういうんじゃない
好木:わ!いいじゃん!ね、ね!三人とも一緒にがんばろね!
羽田:うん…!二人ともがんばってね
甘崎:あんたも!
好木:羽田ちゃんもがんばるの!
羽田:ええ~
0:放課後。吉永・稲田・志村の3人は如何にしてチョコを貰えるか模索していた。
吉永:この時受け取り手はどうするべきか、声のかけ方にもポイントがあるのか…?
稲田:ネットによると笑顔でさわやかに、チョコが欲しいと悟らせない…
志村:チョコ!オレはチョコと言いたいんだ!チョコチョコ…、…「義理チョコください」……?いや、「ギブ ミィ プリーズ チョコレート プリーズプリーズプリーズ」…?
吉永:(こうして、俺たちは明日の本番について研究し尽くした。これが正解かどうかはわからないけど、この三人なら大丈夫な気がする!)
吉永:いける!!俺たちいけるぞ!!
稲田:これで、絶対チョコGET間違いなし!
志村:彼女できるかもしれん!
吉永:……いや、彼女は無理だろ。
0:バレンタイン 当日
吉永:お、お、、お、おお、お、おまえら。準備はいいな?
稲田:っもっももももっもももっもももちっちろん!そ、そそっそぉのためにっ準備してきたんじゃないか!なっっししししいむらぁ!!
志村:…
吉永:おい、大丈夫か志村。おい、おい、…志村?
稲田:…志村?…!なんてこった!志村が(息してない!)
志村:(被せ)イキテマス
稲田:ロボットみてぇ
吉永:いくぞ、盟友。…戦争だ!!
0:1限休み時間(鐘の音)
生徒2:えええめっちゃ可愛い!これってサカバンバスピスだよね?!(今話題のキャラクターとかに改編OK)
好木:そうそう!シリコン売っててさ~簡単に作れたの!
志村:…(まだ…大丈夫…だよな)
0:2限休み時間(鐘の音)
甘崎:ありがとう。マカロン可愛いじゃん
生徒1:このパウンドケーキめっちゃおいしい!作り方教えてよ~
稲田:…(まだだ…!まだその時ではない…!)
0:3限休み時間(鐘の音)
羽田:んーと、クッキーってどんな意味だっけ?
生徒2:たしか、「友情」?飴が「好き」って意味らしいよ~!
生徒1:マジ?飴系のお菓子 男子に贈ってる子探そうよ!
吉永:…(頼む、神様…!)
0:昼休み(鐘の音)
先生:みんな~、バレンタイン楽しんでるのはわかるけど程々にしなさいね。先生内緒にしとくから。
生徒1:先生ありがと~!
吉永:…もらえたか?
稲田:…いや
志村:…まったく
吉永:やっべえよ、やっべえよ!前半で戦績0って!
稲田:なぁ、黙ってニコニコしてるだけでもらえるなんて間違いだったんじゃないか?
吉永:ああ、大間違いだよ!!イケメンだけの特権だったんだよ!
稲田:もう最後の手段しかない…こっちから仕掛ける
志村:オレ、オワタ。死
稲田:落ち着け志村!俺たちならできるから!さんざん練習しただろ?
吉永:さあ、後半戦だ…。次は俺たちから攻める!!!
0:4限目(鐘の音)
吉永:あ、あの、甘崎さん
甘崎:ん。吉永なんか用?てか、バレンタインチョコもらえた?
吉永:そ、その、もらえてなくて、
甘崎:あちゃぁ、ドンマイだね
吉永:そ、そそそそそうなんだよ!だから、その、
甘崎:あー、ごめん吉永。私いつも女友達の分しか作らないんだよね
吉永:あぁ…(魂が抜ける感じ)
甘崎:てか稲田って…もらってた…?
吉永:はぁあ…、ん?
甘崎:…や、なんでもない。じゃ
0:5限目(鐘の音)
稲田:なあ、
好木:お?稲田じゃん~!どったの?
稲田:いやちょっと昼飯物足りなくて…お菓子…とかもってない?
好木:あーバレンタインね!でもごめん。稲田くんナッツアレルギーだから私のあげられないや
稲田:そ、…そっか……。……そっかぁ…(涙目)
好木:あ、あのさ稲田くん~ちょっと聞きたいんだけど、
稲田:アレルギー…ナッツ…ナッツのせい…アレルギー…畜生…
好木:吉永君は…って行っちゃった
0:
志村:…、あ、……うぐっ、……はぁ
羽田:(…志村くん…まだもらってない…行くなら今…い…でもクラスの人たちが…)
0:そして放課後(鐘の音)
吉永:なんだってこんな…、俺は間が悪い…
稲田:どうして、アレルギー。アレルギーさえなければ…
吉永:はぁ…、志村。おまえも声かけたろ?どうだったんだよ。
志村:…た
稲田:え?
志村:かけなかった
吉永:はぁ?!あれほど練習したのにか?!
稲田:緊張しないおまじないも教えたじゃん?!実行しなかったのかよ!
吉永:あの約束なんだったんだよ!俺たち、盟友じゃなかったのか!?
稲田:はー…もうさ、諦めようぜ。…放課後あんだけ話したのに、意味なかったな。
吉永:はぁ…せめて俺だけでもって思ってたのに今年もか…
稲田:なんでお前だけもらえる可能性考えてんだよ…
志村:…って
吉永:ん?
稲田:お?
志村:だ・・・って・・・オレだって!!チョコ!!ほしい!!ぬぁああああああああああああああああ
吉永:うわ、キレた?!
稲田:お、お、落ち着けって!
志村:リア充!!ホロベ!!!バレンタイン!ホロブベシ!!!チョコ!ヨコセ!!!!
吉永:志村!おい、正気を戻せよ!な?
稲田:ちょっと、もう放課後だからって叫んでいいことないでしょ!
吉永:女子もチョコも、もうないって!みんな帰っちゃったよもう
志村:うっせえええええええ!!(走り去る)
吉永:おい!どこにいくんだ!?
稲田:先生にバレたら僕たちも責任つきそうだね
吉永:めんどくさ!とにかく止めに行くぞ!まだ遠くには行ってないはず!
0:吉永と稲田は志村を探し校内を走り回っていた。
稲田:ちょっと、ほんとどこにいんのさぁあ…
吉永:あと行きそうな場所は…ん?
稲田:あ、いた。もー、ほんとしんど…僕もう疲れたよ吉永〜
吉永:(被せるように)シッ!
稲田:なに?どったの…って…まじ?
0:
甘崎:もー、ほんっとありえない
好木:まあまあ甘ちゃん!来年もあるし次は友達の分+で稲田の作ればいいんじゃない?
甘崎:でもさ、たった一回の失敗だよ?それで一日がっかりしちゃって。渡そうと思ってもどんよりオーラのほうがすごすぎて近づけなかったし
好木:んーたしかに。私もみんなのアレルギー分考えるべきだったなぁ。羽田ちゃんはどうだった?
羽田:わ、わたしは…その、機会がありませんでした…
好木:そっか~確かに別のクラスはいるの緊張するしね
甘崎:でももったいないよ。頑張ってチョコ手作りしたんでしょ?
羽田:うん。でも自信ないよ…いろいろアレンジしちゃったし
好木:え?アレンジ!?素敵じゃん!
甘崎:まって、何入れたんだ。まさか変なもの入れてないよね?
羽田:まさか!食べられるものだよ!でも…おいしくはなかったかも…
好木:あ!ねえみて、志村くん廊下走ってる!
甘崎:機会あったじゃん。最後のチャンスだよ、行きな
羽田:え?ええ!?でも、このチョコの中には
甘崎:いいから!(羽田を押す)
好木:いってらっしゃい!(羽田を押す)
羽田:えええええええ!?
0:
志村:(ああああああああもうどいつもこいつもイチャイチャしやがって!好きな菓子ほおばってぶくぶく太ってしまえ!オレはこんな記念日無縁だよな!この歳になるまで誰も好きな子ができたことがないし!なんだよバレンタインって!気持ちを伝える子なんて一人もいねえんだよ、ばーーーーーーーーーかっ!)
羽田:あだっ!
志村:んぐぉっ!
羽田:あああごめんなさい!怪我無いですか!?
志村:あ、お、だ、だ、だいじょぶでス...
羽田:あれ…君、もしかして
志村:?
羽田:あー、やっぱり!…あの、去年のバレンタイン…覚えてますか?
志村:羽田さん!?あ、あの、そっそのそ、セツコ、しつれ、もしわけなっ
羽田:さがしてたの。その、渡したくて。
志村:…エ?
羽田:料理苦手で、はじめてお菓子作ったからおいしくないかもだけど、よかったら食べてね。あ、その、それじゃ…!また話そうね!
志村:…え…?
0:羽田が去っていった後、吉永と稲田が拍手しながら出てくる。
吉永:志村…おまえ、よくやったな!
稲田:一番望み薄と思ってたお前が…よかったなぁ
志村:コレ…、なん……?うん…?
吉永:いやどうみてもチョコだろ!
稲田:それも『バレンタイン』のな。うらやまし―わ(笑う)
志村:これが、チョコ…バレンタインの…
吉永:ほら食えよ!お前が勝ち取った宝だ。ゆっくり味わえよ!
稲田:僕たちは食べられないけど、どんな味かぐらい教えてよね!
志村:…!ん、んむ!
0:志村は包み紙を開け中身のホワイトチョコレートを一つ取り出す。そして一口で、ぱくり。
吉永:…どうだ?!どんな味なんだ?!
稲田:食レポはよ!食レポ!
志村:…
吉永:志村?どした?
稲田:美味すぎて声も出ないのか?絶品なんだな!?
志村:…う…、…、
吉永:う?
稲田:う?
志村:うぎゃああああああ!!!!からい!!!!!!!ああああああああああああ水!!!!!!水ぅううううううううううううううう!!!!!!
0:帰り道。
羽田:いや…やっぱりあげるのやばかったよ…絶対
甘崎:でもあげることできたじゃん。おめでとう
好木:すごいよ羽田ちゃん!がんばったね~
羽田:うーん、味の保証はできないんだけどね。私が食べた時点でだめだったし…
甘崎:てか何入りチョコにしたの?
好木:そういや遮っちゃって聞けてなかったね。何チョコ~?
羽田:からし入りチョコレート
0:(学校の窓からは男子たちの絶叫。校庭には女子たちのツッコミが響いていた)
吉永(よしなが)→自分がマシだと思ってる
稲田(いなだ)→カッコつけないと女子と話せない
志村(しむら)→緊張がすごい。作中一番大声出す
羽田(はたちゃん)→個性派系女子。先生と兼ね役
好木(このちゃん)→ほんわか系女子。生徒1と兼ね役
甘崎(あまちゃん)→クール系女子。生徒2と兼ね役
__________________________
吉永:遂に、約束の時が来たな。
稲田:ああ…準備はできてるぜ。
志村:待ちくたびれた
吉永:バレンタインデーだああああ!!!!!!!!!!!!!
稲田:いええええええええええええい!!!!!!!!!!!!
志村:うおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!
生徒1:え?なにあれ
生徒2:急に騒ぎ出してウケる~
吉永:しっ!声でけぇってお前ら
稲田:吉永が先に声上げたじゃん
志村:すまん!!!!
吉永:うるせえって志村。とにかく、明日だ。彼女たちが今日の放課後…いや、昨日から準備されし『甘き秘宝』が今回俺たちの獲物だ
稲田:ああ…、早く明日こないかなぁ。もう舌が甘いものの気分なんだよな
志村:クッキー・マカロン・チョコレート…
稲田:あぁもう、言うなよ!喉から手が出るほど欲しいのにさぁ!
吉永:何としてでも、義理だけは貰い受ける。…一年前、約束したあの日の事を覚えているか?
志村:一年前…、一年前…ぐぅっ!!
稲田:うっ…あの、屈辱の一年前…!
志村:あの、どうしようもない怒りと、悲しみに溺れた日…!
吉永:ああ。一年前…
0:~過去~
好木:ん?どうしたの?
吉永:…。ち…
好木:ち?
吉永:ちょ…コヲ…(ぶつぶつ)
好木:…ごめん、聞こえなかった。もうちょっと大きな声で言ってもらっていいかな??
吉永:~~~っ!!!!なななななんでもないです!失礼しましたああああああああああ!!!!
0:
稲田:チョコ
甘崎:え?
稲田:チョコ、持ってんでしょ?俺にくれよ
甘崎:はぁ??
稲田:ちゃんとお前の思いは俺が胃の中で受け止めてやるって言ってんの
甘崎:え、こわ。てか急に何?…稲田ってそんなキャラだっけ
稲田:…サーセンした…
0:
志村:…チ。チ、チョ…(ゴニョゴニョ)
羽田:…ん?
志村:あ!っ!ち!あっ、あ! チ(自主規制)くれ!!
羽田:え!?!?急にな、ええ!?!?!?
志村:ハラヘッタ。クレ
羽田:え、えっと…あ…!もしかしてバレンタインのチョコのこと?ご、ごめんね。私持ってきてないの…
志村:…あ、あっ。ソウデスカ…
0:
吉永:グスッ…今年も、もらえなかった…。非モテにつらいイベントごとをどうしてこの世界は作り上げてしまったんだ
稲田:ああまったくだ。君も被害者か?
吉永:おわっ誰!?いつの間に!?え、なにその夕日バックに腕組んでいかにも黄昏てますよ~みたいな表情は
稲田:僕も、あの甘い香りを一度も嗅ぐことができずに散ることとなった
吉永:えっとつまり…な、仲間だなってこと…?
稲田:義理の一つもないとか…ハハっ!陰キャには無縁だろってか…?くそリア充イベントが
志村:オレも、もらえなかった。
吉永:ええ?!もう一人!?
稲田:君もかい?
志村:テンパりすぎてチ(自主規制)って言ってしまった…もうおしまいだ…
稲田:それは…どうしてそうなったんだよ?
吉永:…なあ、お前ら。この屈辱、来年晴らさないか?
稲田:はぁ?どうやってだよ。根暗童貞陰キャにはそもそもこの記念日には呼ばれないんだぜ?
志村:一人でどうしろと…
吉永:みんなで晴らすんだよ!
志村:…?
稲田:…どういう意味だ?
吉永:俺たちで、三人で力を合わせてリア充ども…女子どもからチョコを!義理だとしても!掻っ攫ってやろうぜ!
稲田:なるほど。いいよ、のった
志村:や、やる!
吉永:よし!絶対リベンジしてやるぞ!!!よろしくなお前ら!あ…えっと、
稲田:僕は稲田。稲田でいいよ
志村:お、オレ、志村。
吉永:俺は吉永だ。よろしくな、盟友!
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稲田:ああ。そんなこと話したな
志村:うん、懐かしいなぁ。まだお互いの事よく知らなかったのにね
吉永:そうだな。…いや待て志村。まじで「チ(自主規制)」って言ったのか?!
志村:…マジだよ…
稲田:志村は恥ずかしがり屋だからなぁ。テンパってしまうのは仕方がないよな
吉永:いやどんなテンパり方したらチ(自主規制)出てくんだよ
志村:オレ、勇気出したけど、駄目だったんだ。…緊張しすぎて
稲田:なるほどね。僕が緊張しないで話しかけることができる方法を教えてあげるよ。任せて
志村:稲田…イイヤツ…(トゥンク)ッ
吉永:いやいや、志村騙されるな。稲田もやばいからな?
稲田:なんで?僕のどこがダメなのさ
吉永:お前どういうキャラだよ!すくなくとも、俺たちと話してるときそんなんじゃないだろ
稲田:なにいってんだよ。女の子はこういう俺様系がうけるんだよ。知らんのか?
吉永:それ漫画の世界だけだからな!?現実見ようか!
志村:でも人前だと、素直になれない。オレ、わかる
稲田:志村…いいやつだな…(トゥンク)ッ!
吉永:おまえら二人で共感し合ってるけど、それを克服しないと今年も失敗に終わるからな?!わかってる!?
稲田:なんかごちゃごちゃ喚いてるけど吉永、おまえが一番駄目だぞ。
吉永:は?勇気出して言ったし、この中で一番マシだと思うんだけど
稲田:でも走って逃げたんでしょ?折角もう一度聞こうとしてくれたレディに失礼だと思わなかったの?
吉永:…!!
志村:もう一度言ったらもらえたかもしれないのにね
吉永:…うううるさい!陰キャの俺は陽キャに話しかけるだけでも大変なんだよ!声をかけただけでも勇気ある行動だと言うべきだね!
志村:でも、前は近くに来るだけで呼吸が止まって蛇に睨まれた蛙のごとく固まってたんだよね?話しかけただけでもスゲーと思うよオレ
稲田:まあそう考えれば、確かに。よくやったほうだな
吉永:お、おまえら…(トゥンク)ッそうだろう!俺はよくやった!!もっと褒め称え!
稲田:おー(拍手)
志村:スゲー(拍手)
生徒1:なにあれ、なんかまた盛り上がってるけど。
生徒2:さあ?明日バレンタインだからって張り切ってるんじゃない?
稲田:…
志村:…
吉永:…ごほん。まぁ、なんといいますか。放課後、話し合いだ。いいな?
稲田:おっけー
志村:了解!
0:
好木:…ねえ、今のきいた?
甘崎:うん。はたちゃんも聞いたよね
羽田:う、うん…きいちゃった
甘崎:ふーん、あれが志村くんね
好木:優しそうじゃん~!ね、ね!絶対今年は作ってあげちゃいなよ羽田ちゃん
羽田:うーん、私バレンタインチョコなんて作ったことないし…
甘崎:今ならネットみれば一発じゃん。後で簡単なの送っておくから
羽田:ありがとう甘ちゃん。んー、できなかったらどうしよう…
好木:大丈夫だよ~!…私も頑張んばらなくちゃなぁ
甘崎:ん、渡したいやついるんだ?好
好木:ま、まあね!甘ちゃんは?
甘崎:えっと…去年稲田にちょっと嫌ないい方しちゃったから、お詫びに…
羽田:甘ちゃんってこういうの律儀だよね
甘崎:べ、べつにそういうんじゃない
好木:わ!いいじゃん!ね、ね!三人とも一緒にがんばろね!
羽田:うん…!二人ともがんばってね
甘崎:あんたも!
好木:羽田ちゃんもがんばるの!
羽田:ええ~
0:放課後。吉永・稲田・志村の3人は如何にしてチョコを貰えるか模索していた。
吉永:この時受け取り手はどうするべきか、声のかけ方にもポイントがあるのか…?
稲田:ネットによると笑顔でさわやかに、チョコが欲しいと悟らせない…
志村:チョコ!オレはチョコと言いたいんだ!チョコチョコ…、…「義理チョコください」……?いや、「ギブ ミィ プリーズ チョコレート プリーズプリーズプリーズ」…?
吉永:(こうして、俺たちは明日の本番について研究し尽くした。これが正解かどうかはわからないけど、この三人なら大丈夫な気がする!)
吉永:いける!!俺たちいけるぞ!!
稲田:これで、絶対チョコGET間違いなし!
志村:彼女できるかもしれん!
吉永:……いや、彼女は無理だろ。
0:バレンタイン 当日
吉永:お、お、、お、おお、お、おまえら。準備はいいな?
稲田:っもっももももっもももっもももちっちろん!そ、そそっそぉのためにっ準備してきたんじゃないか!なっっししししいむらぁ!!
志村:…
吉永:おい、大丈夫か志村。おい、おい、…志村?
稲田:…志村?…!なんてこった!志村が(息してない!)
志村:(被せ)イキテマス
稲田:ロボットみてぇ
吉永:いくぞ、盟友。…戦争だ!!
0:1限休み時間(鐘の音)
生徒2:えええめっちゃ可愛い!これってサカバンバスピスだよね?!(今話題のキャラクターとかに改編OK)
好木:そうそう!シリコン売っててさ~簡単に作れたの!
志村:…(まだ…大丈夫…だよな)
0:2限休み時間(鐘の音)
甘崎:ありがとう。マカロン可愛いじゃん
生徒1:このパウンドケーキめっちゃおいしい!作り方教えてよ~
稲田:…(まだだ…!まだその時ではない…!)
0:3限休み時間(鐘の音)
羽田:んーと、クッキーってどんな意味だっけ?
生徒2:たしか、「友情」?飴が「好き」って意味らしいよ~!
生徒1:マジ?飴系のお菓子 男子に贈ってる子探そうよ!
吉永:…(頼む、神様…!)
0:昼休み(鐘の音)
先生:みんな~、バレンタイン楽しんでるのはわかるけど程々にしなさいね。先生内緒にしとくから。
生徒1:先生ありがと~!
吉永:…もらえたか?
稲田:…いや
志村:…まったく
吉永:やっべえよ、やっべえよ!前半で戦績0って!
稲田:なぁ、黙ってニコニコしてるだけでもらえるなんて間違いだったんじゃないか?
吉永:ああ、大間違いだよ!!イケメンだけの特権だったんだよ!
稲田:もう最後の手段しかない…こっちから仕掛ける
志村:オレ、オワタ。死
稲田:落ち着け志村!俺たちならできるから!さんざん練習しただろ?
吉永:さあ、後半戦だ…。次は俺たちから攻める!!!
0:4限目(鐘の音)
吉永:あ、あの、甘崎さん
甘崎:ん。吉永なんか用?てか、バレンタインチョコもらえた?
吉永:そ、その、もらえてなくて、
甘崎:あちゃぁ、ドンマイだね
吉永:そ、そそそそそうなんだよ!だから、その、
甘崎:あー、ごめん吉永。私いつも女友達の分しか作らないんだよね
吉永:あぁ…(魂が抜ける感じ)
甘崎:てか稲田って…もらってた…?
吉永:はぁあ…、ん?
甘崎:…や、なんでもない。じゃ
0:5限目(鐘の音)
稲田:なあ、
好木:お?稲田じゃん~!どったの?
稲田:いやちょっと昼飯物足りなくて…お菓子…とかもってない?
好木:あーバレンタインね!でもごめん。稲田くんナッツアレルギーだから私のあげられないや
稲田:そ、…そっか……。……そっかぁ…(涙目)
好木:あ、あのさ稲田くん~ちょっと聞きたいんだけど、
稲田:アレルギー…ナッツ…ナッツのせい…アレルギー…畜生…
好木:吉永君は…って行っちゃった
0:
志村:…、あ、……うぐっ、……はぁ
羽田:(…志村くん…まだもらってない…行くなら今…い…でもクラスの人たちが…)
0:そして放課後(鐘の音)
吉永:なんだってこんな…、俺は間が悪い…
稲田:どうして、アレルギー。アレルギーさえなければ…
吉永:はぁ…、志村。おまえも声かけたろ?どうだったんだよ。
志村:…た
稲田:え?
志村:かけなかった
吉永:はぁ?!あれほど練習したのにか?!
稲田:緊張しないおまじないも教えたじゃん?!実行しなかったのかよ!
吉永:あの約束なんだったんだよ!俺たち、盟友じゃなかったのか!?
稲田:はー…もうさ、諦めようぜ。…放課後あんだけ話したのに、意味なかったな。
吉永:はぁ…せめて俺だけでもって思ってたのに今年もか…
稲田:なんでお前だけもらえる可能性考えてんだよ…
志村:…って
吉永:ん?
稲田:お?
志村:だ・・・って・・・オレだって!!チョコ!!ほしい!!ぬぁああああああああああああああああ
吉永:うわ、キレた?!
稲田:お、お、落ち着けって!
志村:リア充!!ホロベ!!!バレンタイン!ホロブベシ!!!チョコ!ヨコセ!!!!
吉永:志村!おい、正気を戻せよ!な?
稲田:ちょっと、もう放課後だからって叫んでいいことないでしょ!
吉永:女子もチョコも、もうないって!みんな帰っちゃったよもう
志村:うっせえええええええ!!(走り去る)
吉永:おい!どこにいくんだ!?
稲田:先生にバレたら僕たちも責任つきそうだね
吉永:めんどくさ!とにかく止めに行くぞ!まだ遠くには行ってないはず!
0:吉永と稲田は志村を探し校内を走り回っていた。
稲田:ちょっと、ほんとどこにいんのさぁあ…
吉永:あと行きそうな場所は…ん?
稲田:あ、いた。もー、ほんとしんど…僕もう疲れたよ吉永〜
吉永:(被せるように)シッ!
稲田:なに?どったの…って…まじ?
0:
甘崎:もー、ほんっとありえない
好木:まあまあ甘ちゃん!来年もあるし次は友達の分+で稲田の作ればいいんじゃない?
甘崎:でもさ、たった一回の失敗だよ?それで一日がっかりしちゃって。渡そうと思ってもどんよりオーラのほうがすごすぎて近づけなかったし
好木:んーたしかに。私もみんなのアレルギー分考えるべきだったなぁ。羽田ちゃんはどうだった?
羽田:わ、わたしは…その、機会がありませんでした…
好木:そっか~確かに別のクラスはいるの緊張するしね
甘崎:でももったいないよ。頑張ってチョコ手作りしたんでしょ?
羽田:うん。でも自信ないよ…いろいろアレンジしちゃったし
好木:え?アレンジ!?素敵じゃん!
甘崎:まって、何入れたんだ。まさか変なもの入れてないよね?
羽田:まさか!食べられるものだよ!でも…おいしくはなかったかも…
好木:あ!ねえみて、志村くん廊下走ってる!
甘崎:機会あったじゃん。最後のチャンスだよ、行きな
羽田:え?ええ!?でも、このチョコの中には
甘崎:いいから!(羽田を押す)
好木:いってらっしゃい!(羽田を押す)
羽田:えええええええ!?
0:
志村:(ああああああああもうどいつもこいつもイチャイチャしやがって!好きな菓子ほおばってぶくぶく太ってしまえ!オレはこんな記念日無縁だよな!この歳になるまで誰も好きな子ができたことがないし!なんだよバレンタインって!気持ちを伝える子なんて一人もいねえんだよ、ばーーーーーーーーーかっ!)
羽田:あだっ!
志村:んぐぉっ!
羽田:あああごめんなさい!怪我無いですか!?
志村:あ、お、だ、だ、だいじょぶでス...
羽田:あれ…君、もしかして
志村:?
羽田:あー、やっぱり!…あの、去年のバレンタイン…覚えてますか?
志村:羽田さん!?あ、あの、そっそのそ、セツコ、しつれ、もしわけなっ
羽田:さがしてたの。その、渡したくて。
志村:…エ?
羽田:料理苦手で、はじめてお菓子作ったからおいしくないかもだけど、よかったら食べてね。あ、その、それじゃ…!また話そうね!
志村:…え…?
0:羽田が去っていった後、吉永と稲田が拍手しながら出てくる。
吉永:志村…おまえ、よくやったな!
稲田:一番望み薄と思ってたお前が…よかったなぁ
志村:コレ…、なん……?うん…?
吉永:いやどうみてもチョコだろ!
稲田:それも『バレンタイン』のな。うらやまし―わ(笑う)
志村:これが、チョコ…バレンタインの…
吉永:ほら食えよ!お前が勝ち取った宝だ。ゆっくり味わえよ!
稲田:僕たちは食べられないけど、どんな味かぐらい教えてよね!
志村:…!ん、んむ!
0:志村は包み紙を開け中身のホワイトチョコレートを一つ取り出す。そして一口で、ぱくり。
吉永:…どうだ?!どんな味なんだ?!
稲田:食レポはよ!食レポ!
志村:…
吉永:志村?どした?
稲田:美味すぎて声も出ないのか?絶品なんだな!?
志村:…う…、…、
吉永:う?
稲田:う?
志村:うぎゃああああああ!!!!からい!!!!!!!ああああああああああああ水!!!!!!水ぅううううううううううううううう!!!!!!
0:帰り道。
羽田:いや…やっぱりあげるのやばかったよ…絶対
甘崎:でもあげることできたじゃん。おめでとう
好木:すごいよ羽田ちゃん!がんばったね~
羽田:うーん、味の保証はできないんだけどね。私が食べた時点でだめだったし…
甘崎:てか何入りチョコにしたの?
好木:そういや遮っちゃって聞けてなかったね。何チョコ~?
羽田:からし入りチョコレート
0:(学校の窓からは男子たちの絶叫。校庭には女子たちのツッコミが響いていた)