台本概要

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タイトル 『曝闘者バトルミラボット!』#1 (2000年代ホビーアニメ風シナリオ)
作者名 sazanka  (@sazankasarasara)
ジャンル その他
演者人数 4人用台本(男1、女1、不問2)
時間 30 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 『曝闘者(ばくとうじゃ)バトルミラボット!』
これは、2010年に11歳であった「火之倉天摩」という人物の、集積・断片化されたご都合主義の産物。50話きっかりで終わる、人生の切れっ端。

玩具会社タイアップ即販アニメ、風のシナリオです。
必殺技や愛機の名前を思い切り叫びましょう。
(50話分全てのエピソードが投稿されるとは限りません)

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
天摩 不問 78 「火之倉 天摩(ひのくら てんま)」。遊びとスポーツ大好きな10歳児。
礼那 5 「杣 礼那(そま れいな)」。大金持ちのお嬢様な10歳児。 ■葉加瀬 「葉加瀬 調(はかせ しらべ)」。眼鏡でミラボットマニアな10歳児。(兼ね役)
不問 67 「杉浦 衝(すぎうら ブレイク)」。ヤンチャでワガママな10歳児。
ZM 23 「ズィー・エム」。黒衣で仮面の成人男性。 (【ナレーション】、「従兄弟」、「通行人」、「ある研究員」を兼ね役でお願いします。)
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

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0:■オープニング曲前ナレーション 【ナレーション】:バトルミラボット。それは科学と叡智の結晶。 【ナレーション】:バトルミラボット。それは光と幻のファイティングガジェット・アクションホビー。 【ナレーション】:バトルミラボット。それは限り無き夢への扉。 【ナレーション】:この物語は、熱き魂を胸に青春を駆け抜ける、少年少女たちの闘いの記録である! 天摩:「今日もバク烈っ!! 天摩:バトルボット・ミラージュ・ゴーっっ!!!」 0:オープニング曲へ。 : 0:■第1話Aパート 0:タイトルコール。 天摩:『バク闘スタート! その名はバトルミラボット!!』 【モノローグ】(天摩):オレの名前は「火之倉天馬(ひのくらてんま)」! 【モノローグ】(天摩):遊びスポーツ超大好き! テストに勉強、超ォオ苦手っ! 【モノローグ】(天摩):ワクワクする事が三度の飯とおんなじぐらい大・大・大好きっ!! 来月から小学5年生っ! 【モノローグ】(天摩):今日は従兄弟の兄ちゃんに付き合わされて、封済湖(ふすまこ)の真ん中のデッカい島でやってる、「未来科学フェスティバル」ってのに来てるんだっ! 【モノローグ】(天摩):島に着いてから2時間。眼ん玉キラキラの兄ちゃんには悪いけど……っ、 天摩:「飽きたァああっ! ツマンネぇよツマンネぇよツマンネぇよォオオっ!!」 従兄弟:「のわっ! さ……、3回も叫ばなくても、」 天摩:「バク烈ツマンネぇよ兄ちゃんっっ!!!」 従兄弟:「ダメ押しの1回っ! 従兄弟:……ごめんってば、天摩。 従兄弟:お詫びに何か買ってやるから。 従兄弟:ほらあれ、“真空反重力メンコ”だってさ! 従兄弟:あっちの“超伝導アイスクリーム天ぷら”でも良いし、あそこの“六分の一サイズ3Dプリンター似顔絵”とかも、」 天摩:「要はメンコとアイスと似顔絵だろ! イーって! 俺は科学と未来とか、そーいうワケワカんねーモンには興味ナイから!」 従兄弟:「勿体ないぞォ天摩っ! 日本の科学の殿堂、最先端テクノロジーの真髄たちと惜しげもなく触れ合えまくる、この“衾坂学顕都市(ふすまざかがっけんとし)”に来ておいてっ……、 従兄弟:って、あ、ああっ!」 天摩:「何だよ??」 従兄弟:「あ、あれ……、な、なあ天摩、あそこ、ほら、“アンドロイドコンセプトカフェ・昼下がりのメイドの園”だってさ……、 従兄弟:きょ、興味あるよな?? 天摩がどうしてもって言うなら兄ちゃんも、」 天摩:「行ってくれば。どーせおっさんがモーションキャプチャーで遠隔操作してるだけだろ……。」 従兄弟:「ぬぉオォ純然たる科学的好奇心を抑える事が出来んっ! 従兄弟:不肖ワタクシ、行って参りますっ!!」 天摩:「ごゆっくり。もし見つかんなかったらターミナル駅の前の噴水のトコに居るから。」 従兄弟:「天摩が手の掛からない子に育って兄ちゃん感動だぞ! では、いざ出陣っ!!」 0:従兄弟はまっしぐらに駆け去る。 0:雑踏の中、天摩、1人。 天摩:(独り言)「……手のかかる子供に育ったってしょーがないだろ。 天摩:父ちゃんも母ちゃんも、帰ってこないんだから。」 0:人混みにあって、どこか物寂しい風が吹き抜け、 0:唐突に、声。 通行人:「喧嘩だ喧嘩だァーーーっ!」 通行人:「野良ミラボットバトルだァーーーーっ!!」 0:追って、ざわめき。 天摩:「何だ……??」 葉加瀬:(走り抜けつつ)「どいてどいてどいてくださぁーーーーいっ!!」 天摩:「う、うわっ、」 0:どしん、とぶつかり、2人、路上に尻もち。 葉加瀬:「あっ、」 天摩:「痛ってぇ! ……大丈夫かよお前、思いっきり尻もち……、」 葉加瀬:「あっ、あの、」 衝:「待て待て待てェーーーーっ!! 衝:やっと追いついたぜ、腰抜けメガネっ!」 葉加瀬:「うああ、しつこい……っ、」 衝:「一度始まったバトルから逃げ出すなんて、ミラボット闘者(ファイター)の風上にも置けねェ野郎だっ! それでも男かテメェ!?」 葉加瀬:「わ、ワタシは別に……っ、 葉加瀬:そ、それよりっ、 葉加瀬:バトルが始まってから賭けを持ちかけるなんて卑怯ですっ!」 衝:「ヒキョーなのはテメェだバカタレっ! 衝:激レアの会場限定最新型ミラボットレンズを、1セットならず2セットも持って帰りやがるなんてよォっ!」 葉加瀬:「ですからさっきも言いましたがっ、 葉加瀬:コレはワタシの分と、もう1つは妹のモノで……、 葉加瀬:きちんと応募して、抽選に当たったものだから、」 衝:「その妹はドコに居やがるんだよォ!?」 葉加瀬:「ソレもさっき言いましたっ! 風邪で熱を出して、家で寝てるって、」 衝:「だったらそんなの無効だ無効ーーーっ! 本人が来てないのに、」 葉加瀬:「ちゃんと引き換え券と、妹の学校のIDカードを持って来て、JBMA本部で係の人に引き換えてもらったんですっ!」 衝:「カンケーねェっ!!俺サマが無効だと言やァ無効なんだよ、スカポンタンがっ!」 葉加瀬:「ムチャクチャです……、」 天摩:「……おい、」 衝:「何もカツアゲしよーってんじゃねェ、正々堂々バトルして、勝った方がその余った1つをだなァ、」 天摩:(遮り)「おいっっっ!!!」 0:大音声。 衝:「……っ、なっ、何だよイキナリっ!?」 天摩:「さっきから黙って聞いてりゃァ……、 天摩:そこのバク烈鬼ダサつんつん頭。」 衝:「あァっ!? ヒトの外見のコト悪く言ってんじゃ、」 天摩:「お前、 天摩:“正しく”ねェんじゃねェのか!?」 衝:「何ぃっ!?」 天摩:「抽選に当たったのはソコの眼鏡と、その妹なんだろ。 天摩:お前じゃなくて。」 衝:「おこづかいハタいて応募したんだっ! 衝:めーっちゃめちゃ、ドキドキバクバクしてたんだっ!!」 葉加瀬:「それは皆同じですっ! ワタシも、妹も……っ、」 衝:「俺の方がしてたっ!! 俺が一番してたァっ!!」 天摩:「ガキだな。大人になれよ……。」 衝:「うるせェーっ! いちいちムカつく野郎だなっ! 衝:首突っ込むってんならよォ……!」 0:びし、と指差し。 衝:「お前が勝負しろォ!!」 葉加瀬:「なっ……?」 天摩:「勝負ゥ?」 衝:「イマドキの男子小学生ならやったコトぐらいあるだろォ? バトルミラボット!!」 天摩:「……、」 衝:「ミラボットのトラブルはミラボットバトルで解決するに限るぜっ! 衝:お前にその勇気があればの話だがなァっ。」 葉加瀬:「さっきから無茶なコトばっかり、」 衝:「どーすんだっ!? やるのかやらねェのか。 衝:やらねェんならトットとどっか行け! 後は俺とソコのメガネで話を付けるっ!!」 葉加瀬:「あ、あわわ……っ、」 天摩:「…………。 天摩:イイぜ。」 葉加瀬:「えっ、」 衝:「おおっ!?」 天摩:「やってやるよ。ミラボットバトル。」 葉加瀬:「君も闘者(ファイター)なんですかっ!? やったコト、」 天摩:「あるよ、従兄弟の兄ちゃんに借りて。 天摩:……簡単過ぎて、一瞬で飽きちゃったけどな。」 葉加瀬:「え……?」 衝:「男に二言はねェなァ!? 衝:負けてもお母さんとか係の人とかにチクったりすんなよ!?」 天摩:「お前こそ。負けたらコレ以上ゴネんなよ。」 衝:「かっかっか……っ。 衝:んなダセぇマネするワケねェし、この俺サマが負けるワケがネぇっ! 衝:ミラボットバトル関東大会、塚淵県(つかぶちけん)トーナメント「竹取橋(たけとりばし)」地区代表っ! 衝:“栗ヶ丘(くりがおか)小のミラボット番長”こと、 衝:この杉浦 衝(すぎうら ブレイク)サマがよォっ!!」 葉加瀬:「すぎうらぶれいく……?」 天摩:「なんだ、隣の小学校のヤツじゃん……。 天摩:てか、変な名前。お前ミックス?」 衝:「うるせェーっ!! ヒトの名前に変とか言ってんじゃねェぞっ! 衝:“衝撃”の“衝(しょう)”と書いて“ブレイク”だっ! 人が何と言おうと、俺はすげェ良い名前だと思っている! サンキュー親父っ!」 天摩:「イイ心がけだとは思うけどさ……。 天摩:ところで、メガネ、」 葉加瀬:「あっ、はいっ、 葉加瀬:あの、こんな時になんですがワタシ、葉加瀬 調(はかせ しらべ)って言いまして、」 天摩:「んじゃ、ハカセ。 天摩:それ、貸してくんね? その、レンズ嵌める箱のヤツ。」 葉加瀬:「“ミラプロ・ギア”のコトですか……? 葉加瀬:えっ、自分の、持ってないんですかっ??」 天摩:「だから、すぐに飽きちゃって今はやってないんだって……。 天摩:余ってる方でイイから、」 葉加瀬:「コッチの、妹の分の方は虹彩(アイリス)認証もまだだから貸せますが……、 葉加瀬:でもこんな、会場で配布されたまんまの、初期装備のプレーンなレンズスタックじゃバトルに勝つなんてとてもっ、」 天摩:「最新型なんだろ? ソレ、」 葉加瀬:「素体(フレーム)はそうですけど……っ、でも向こうは専用(カスタム)機ですし、見たところレギュレーションぎりぎりの超攻撃型の調整をっ、」 衝:「ナニをコソコソ相談してやがんだァっ!? 歩いてる人の迷惑にならねェよーに、とっとと向こうの広場に移動すんぞっ!!」 天摩:「……大丈夫だよ。」 葉加瀬:「え……?」 天摩:「負けるワケがねェ。 天摩:……“正しい”のは、俺なんだから。」 0:Aパート終了。 : 0:■第1話Bパート 0:ミラボット競技用に開放された広場の一角。2名の少年がフィールドを挟んで対峙。 衝:「レンズスタック、スロットインっ! 衝:スペクトルレーザー・オン! 衝:ホロミラージュ・プロジェクション、スタートっ!!」 天摩:「……ホロミラージュ・プロジェクション、スタート。」 0:両者のベルトにマウントされたギアから光が投射され、2体のミラボットが仮初めの実体を形作る。 衝:「覚悟しろよっ、帽子野郎っ! 衝:バトルボット・ミラージュ・ゴーっ!!」 0:戦闘開始。 衝:「行っけェ俺の相棒っ、『ブレイクアウト・キングブレイカー』ーーっ!!」 葉加瀬:「うわァあ、重装備に反して凄いスピード……っ、」 天摩:「迫力はスゲーな。 天摩:……けど、」 0:寸前で、 天摩:「よっ、と。」 衝:「おっ!?」 0:ひらり、と回避。 天摩:「あっぶね、ギリギリ。」 衝:「よ……、避けてんじゃねェぞ卑怯モンがっ!」 天摩:「コッチはヘボ装備らしいんだから避けるしかねーだろ。」 衝:「けっ……、いつまで持つかなっ! 喰らえっ、“ディープクラック・パイルバンカー”っ!!」 葉加瀬:「ミドルリーチの杭打ち攻撃っ! 避けてっ、天摩くんっ!」 天摩:「あらよっと。」 衝:「ぬォあっ! チョコマカと……っ!」 天摩:「逃げるが勝ちってね。 天摩:えっと、装備(オプション)レンズのコード名を叫べばいいんだっけ。 天摩:“ランニング・ダッシュホイール”!」 0:脚部の車輪が高速回転し、瞬く間に距離が開く。 葉加瀬:「おおっ! 一気に間合いをっ!」 衝:「くおおっ、ベーシックキットの装備でなんつースピード……っ、 衝:さっすが最新式の素体(フレーム)、ますます欲しくなったぜっ! つーか絶対ほしーっ!!」 天摩:「先行プレゼントかなんかだろ? 普通に発売まで待てば??」 衝:「うるせェーっ!! 誰よりも早く手に入れたいって男のロマンがワカんねーのかっ!」 天摩:「ガキだなマジで。 天摩:“ナッツバレット・マシンガン”!」 衝:「ぬぉオオオっ!?」 0:隙を突き、数発命中。 葉加瀬:「凄い、当たった! 最初は狙い通り撃つのも難しいのに……っ、」 衝:「マグレだマグレェっ! そんな豆鉄砲、この『ブレイクアウト・キングブレイカー』の鋼の装甲にゃァ傷1つ、 衝:……アレ?? いねェ、」 天摩:「スキ有り。うりゃ。」 衝:「うォっ!?」 葉加瀬:「足払いっ!?」 0:ズシン、と膝を付き。 天摩:「大したコトねェな、ミラボット番長。 天摩:“カーボンブレード・スラッシャー”!」 衝:「ぐゥおあアっ!!」 葉加瀬:「すっ、すごい……、装備のスペックに頼らない、自由で奔放なバトルスタイル……、こんなの滅多に、」 ZM:「滅多に見られないな、こんな闘いは。」 葉加瀬:「誰ですかっ!?」 0:いつの間にか傍らに立つ、黒衣の成人男性。 ZM:「お構いなく。 ZM:私は『ZM(ズィー・エム)』。しがない流離(さすら)いのミラボット闘者(ファイター)さ……。 ZM:眼鏡の少年、君、この闘いの見届け人かな?」 葉加瀬:(不審者を見るように) 葉加瀬:「え、ええ、と……、あのぅ……、」 ZM:「あからさまに怪しまれているな……。 ZM:私の、この仮面についてであれば気にしないでくれ。 ZM:家庭の事情でね。」 葉加瀬:「な、成り行きで、その……、 葉加瀬:抽選で当たった妹の“ミラプロ・ギア”を守る為に、それを使ってバトルを、」 ZM:「何っ、では彼は、パーソナルデータ登録も行っていない状態であれ程のパフォーマンスを……!?」 葉加瀬:「虹彩(アイリス)の仮認証だけです。 葉加瀬:バトルは一応、初めてではない、って……、」 ZM:「というレベルの身のこなしではないな……。 ZM:とはいえ相手のトゲトゲ頭の彼も、専用(カスタム)ミラボットを与えられているだけあって、それなりにやるようだが。」 0:再びバトルフィールドへと視点が戻り。 衝:「 握り潰せっ!! “メガトングラップ・アイアンフィスト”っ!!」 天摩:「うわァっ!!」 葉加瀬:「ああっ!」 ZM:「喰らったな、今度はまともに。」 天摩:「ぐっ……、左腕が、」 衝:「コレでもう距離を取ろうが、ウザってェ鳩鉄砲は使えねェっ! 衝:近付いて来たトコを確実に潰す!」 天摩:「っていう作戦聞かされて……、わざわざ近付くと思ってんのか? 天摩:取り敢えずはまた間合いを保ったまま……、」 衝:「なんつってっ! “スマイルシャーク・ミサイルランチャー”っ!!」 天摩:「なっ!! うわあっ!」 葉加瀬:「天摩くんっ!!」 0:投射映像による爆発のエフェクト。黒煙が広がり。 ZM:「……全弾命中。」 衝:「はっはァっ!こっちの装備(オプション)が近距離・中距離型だけだって誰が言った? 衝:俺サマの『ブレイクアウト・キングブレイカー』はっ! 衝:全距離対応型オールラウンドカスタムだっ!!」 0:爆煙が晴れ。 葉加瀬:「あ、ああ……っ、 葉加瀬:何とか、ヘッドコアは無事……、 葉加瀬:でも……っ、」 ZM:「満身創痍。残った右腕も犠牲にして、どうにかコアを守ったようだが……、」 衝:「へっ! 両腕の剣も銃もぶっ壊れて、最早どーするコトも出来ねェだろっ!」 天摩:「……そー見えるかよ……? 天摩:……よーやく、ワクワクして来たぜ……!」 衝:「強がってんじゃねーぜ見苦しーっ! 衝:ちなみに俺サマは、素人相手でも全力でぶっ潰すタイプの玄人だっ!」 天摩:「確かに俺は素人だな。」 衝:「あァ??」 天摩:「前は簡単過ぎて、ツマンネーって思ってたけど……。 天摩:お前みたいな、ある程度強いヤツとやらなきゃ面白くないタイプの遊びだったんだな……、 天摩:この、バトルミラボットってのはっ!!」 衝:「一生言ってろっ!! もうじきその最新フレームは俺サマのモンだっ! 衝:必殺装備(クリティカル・オプション)っ!!」 葉加瀬:「ああっ! マズいっ!」 0:衝の機体が輝きを放ち。 衝:「絶対破壊・殺人タックルっ!! 衝:“ギガトルク・ブレイキング・ラッシュ・ラッシュ・ラッシュ”っ!!!」 天摩:「……、……、」 葉加瀬:「バトル中1度しか使えない、必殺攻撃っ! 受けたらヒトタマリもっ、」 天摩:「へへ……。来いよ。」 葉加瀬:「天摩くんっ!?」 天摩:「上等だぜ、殺人タックル。 天摩:逃げも隠れもしねー。真っ向勝負だ。」 衝:「度胸だけは褒めてほしーってかァ? ヤケクソはヤケクソで見苦しーぜっ! 衝:行けっ! 『キングブレイカー』っ!!」 0:轟音を上げ、猛烈な突進。 衝:「喰らいやがれェェっ!!」 葉加瀬:「天摩くんっっ!!」 天摩:「…………っ、 天摩:とりゃぁっ!!」 葉加瀬:「あっ!?」 0:直撃の寸前、跳躍、回避。 葉加瀬:「すごいっ! またギリギリでジャンプ回避っ!」 衝:「ぬァっ!! 避けられっ……、」 0:ニヤリと笑み。 衝:「……ると、思ってたぜっ! “ディープクラック・パイルバンカー”っ!!」 天摩:「なっ!? 天摩:うわァあっっ!!!」 葉加瀬:「天摩くんっ!!」 0:剛直なる杭が脚部を穿つ。破壊音。 ZM:「……瞬時に切り替え、すれ違いざまに通常装備での追撃。 ZM:紙一重で避けた事が仇になった形だが……、 ZM:あのトゲトゲ頭の少年、読んでいたな。」 葉加瀬:「そん、な……っ、」 天摩:「ぐっ……っ、脚が……っ、」 衝:「うははァっ!! 甘いんだよ素人がっ!」 ZM:「ホイールまでも破壊された。あれでは回避どころか……、」 葉加瀬:「移動も、ままならない……、 葉加瀬:天摩くんっ……!」 天摩:「ち、くしょ……っ、」 衝:「ちなみに俺サマの必殺“ギガトルク・ブレイキング・ラッシュ・ラッシュ・ラッシュ”はっ!!」 葉加瀬:「ああっ!?」 衝:「こっちのホイールが止まらねェ限り、どこまでも敵を追いかけ続ける絶対破壊技だぜェっ!!」 葉加瀬:「ゆっ、Uターンしても全く勢いが衰えないっ! 葉加瀬:うわああっ、また突進して来たぁぁっ!!」 天摩:「ぐっ……っ、ヤバい、身動きが……っ、」 衝:「ブレイキィイイイイングっ!!」 葉加瀬:「もう駄目だぁああっ!!」 0:再び轟音を上げ、巨機の猛襲。 天摩:「……っ!!」 【モノローグ】(天摩):……もう駄目なんだってよ、天摩。 【モノローグ】(天摩):本当に? 【モノローグ】(天摩):本当に? 【モノローグ】(天摩):イキって、 【モノローグ】(天摩):カッコつけて、 【モノローグ】(天摩):……ホントはヒマ潰しで、助けに入ったのが駄目だったのか? 【モノローグ】(天摩):“正しく”なかったのか? 【モノローグ】(天摩):ムチャクチャ言ってるカツアゲ野郎をやっつけるのに? 【モノローグ】(天摩):違うよな……? 【モノローグ】(天摩):誰が、どう考えても。 【モノローグ】(天摩):“正しく”ないのはアイツで。 【モノローグ】(天摩):“正しい”のは、俺だよな。 天摩:「避けなきゃ……っ、」 【モノローグ】(天摩):脚が、動かない。 【モノローグ】(天摩):立ち上がる事も出来ない。 【モノローグ】(天摩):「あの時」と、同じだ。 【モノローグ】(天摩):いつも、いつも。 【モノローグ】(天摩):おんなじこと、思う。 【モノローグ】(天摩):こんな、時……、 天摩:「……空が……、飛べたら……、」 葉加瀬:「天摩くんっ!!」 ZM:「勝負あったな……。 ZM:……んんっ!!??」 葉加瀬:「えっ!?」 衝:「何だァっ!? 衝:帽子野郎の機体が光って……っ、」 0:タックルの軌道上、眩く光を散らす半壊のミラボット。無限に遠く隣り合った地平より差すような、超常の光。 ZM:「これは……、この光は……!!」 葉加瀬:「パーソナル認証の時に、ギアから最初に出る光と同じ色……、でも、こんなに強く光る事なんて、」 衝:「関係ねェっ!! ナニをしやがった所でもう遅ェっ!! ぶっ潰れろォオオっ!!」 0:直撃不可避、かに思われた。 天摩:「……うおおォっ!!!」 葉加瀬:「えっ!!??」 衝:「何ィっっ!!??」 0:寸前、天高く舞い上がる影。 0:全員の眼が衝撃に見開かれ。 ZM:「……飛んだ。」 0:紅く輝く、光の翼を纏った、天摩の機体。 衝:「羽がっ、生えやがっただとォオオっっ!!?? 衝:新機能かっ!? コロコロにも載ってなかった隠し要素かァアアっ!!??」 葉加瀬:「飛行能力が標準装備……?? そんなのどこにも、」 ZM:「ああ。あの新型の素体(フレーム)にそんな仕様は存在しない。 ZM:……あの少年……、」 0:空中。天摩の視点。 天摩:「……空、飛んでる……。 天摩:なんだ、そういうのある遊びだったのか……?」 衝:「おいコラっ!! 降りて来やがれ!! 今日1番の卑怯だぞテメェっ!!」 天摩:「お……、ていうか、」 衝:「あァっ!?」 天摩:「止まってんな、ホイール。」 衝:「ギクっ!」 天摩:「ターン切りつつでも走り続けてないと、効果切れちゃうんだよな……? 天摩:お前の“ギガトルク・ブレイキング・ラッシュ・ラッシュ・ラッシュ”は。」 衝:「ギクギクっ!! 」 天摩:「で……、そういう必殺攻撃は、バトル中1回しか使えないんだよな……?」 衝:「ギクギクギクぅっ! いやっ、そのっ、えーっとっ、」 天摩:「じゃあ……、」 0:光の翼を羽ばたかせ、空中から、急降下の気配。 天摩:「これでどーだ。」 0:天高くより、猛襲。 葉加瀬:「急転直下っ!」 衝:「クソっ! 取り敢えず避け……っ、 衝:って、うォオっ!?」 葉加瀬:「何て速さっ……!!」 ZM:「……今度こそ……、」 0:衝の機体の額部、輝く緑のコアパーツ目掛け、 天摩:「殺人ヘッドバット!! 天摩:オラぁっ!!」 0:加速を乗せた強烈な頭突き。 衝:「……っ!!」 0:砕かれ、飛び散るヘッドコア。 ZM:「勝負、あったな。」 衝:「ぐあァアアアアアアっ!!!」 葉加瀬:「うわああっ!! ほっ、ホントに……っ!!」 0:仮面の男がバっ、と手を掲げ。 ZM:「決着! 決着だ! ZM:赤い帽子の少年の勝利!!」 衝:「ちっ、ちっ、ちっくしょォぉオオオっっ!!!」 0:勝敗判定完了につき、立体照射が薄れ、実体を失う2体のミラボット。 0:葉加瀬が天摩へと駆け寄る。 葉加瀬:「天摩くぅううんっ!!」 天摩:「ハカセ……、コレで良かったんだよな? 天摩:相手の、頭のトコのクリスタルみたいなの壊せば……、」 葉加瀬:「“ヘッドコア”です天摩くんっ!! そう、ソコを壊すか、損壊率90%までダメージを与えれば……っ。 葉加瀬:あんな、ギリギリまで壊されて、逆転で勝っちゃうなんて……っ!! 葉加瀬:凄いですっ!! 天摩くんっ!」 天摩:「俺……、 天摩:最後、飛んでた。」 葉加瀬:「そうっ! アレは一体……っ、」 天摩:「スゲぇな、今のミラボットって。 天摩:空中気持ち良かったし……、コレならまた始めても、」 葉加瀬:「違うんですよ、天摩くんっ! 葉加瀬:空を飛ぶなんて、攻撃用の装備(オプション)をほとんど犠牲にして専用の装備を積むか、そういう必殺装備(クリティカル・オプション)でもない限り……っ、」 ZM:「そういう事だ、少年。」 天摩:「えっ、」 0:ずい、と現れる、仮面の大人。 ZM:「この眼鏡の少年と共に、勝負は見届けさせてもらった。 ZM:私は『ZM(ズィー・エム)』。しがない流離(さすら)いの……、」 天摩:「おいハカセ、こっち来いっ。離れんなよ、すぐに係の人呼ぶから、」 葉加瀬:「ひゃっ!? て、天摩くんっ、近いっ……。」 ZM:「あからさまに怪しまれているな……。 ZM:違うぞ少年、私はこう見えて、どちらかと言えば係の人に近い立場というか、」 天摩:「イマドキの子供ナメんなよオッサン。そーいうコト言ってるヤツがイチバン怪しいんだから。」 ZM:「いや断じて、」 天摩:「おーいブレイキングつんつん頭っ!! 天摩:突っ伏してないで誰か大人の人呼んで来てくれっ!! 天摩:怪しいマスクの変態に絡まれてますって!!」 衝:(顔を上げ)「ぬォっ!? 衝:うわっ! こりゃヤベぇっ!!」 ZM:「ちょっ、やめっ、」 衝:「お前ら何とかして逃げろォ!! すぐに警察と子供防犯センターのヒト連れて来るからっ!!」 天摩:「頼んだっ!!」 ZM:「やめるんだ君たちィイイイっ!!」 0:騒動。 0:視点変わり、同島内、とある研究室。 ある研究員:「島内一般商用区画D−7ブロックにて、26秒間、基準理論値を大幅に超える極大規模の“共鳴”を確認……。」 0:椅子を蹴って立ち上がり。 ある研究員:「ナぁニをやってるんだキミたちィ!? 誤検出か否かの確認含め、すぐに過去データとの照合を始めタマエやがれよウスノロ共っ!!」 0:バタバタと駆け去る一般研究員。 ある研究員:「ったく……。頭脳と呼べる頭脳を持ち合わせてるのは私だけなんだから……。」 礼那:「……言葉を慎みなさい。」 ある研究員:「アあ……、失礼致しまシタネぇ、お嬢様の前で、」 礼那:「違います。 礼那:“杣(そま)”家に雇われているという意味では、貴方も、他の研究者の皆さんも、立場は同等だと言っているんです。」 ある研究員:「ケッヒヒ……。我々は皆、そんな俗世のシガラミよりも先に、科学と研究の奴隷……。 ある研究員:それよリ……、面白くなりそうでスヨぉ? 礼那(れいな)お嬢様。」 礼那:「私にもわかるお話ですか?」 ある研究員:「勿論っ! ある研究員:結論から申しアゲれバっ!」 0:大仰に身を反らし。 ある研究員:「また1人っ! この世に生まれルかもシレなイのでスネぇ……っ! ある研究員:アナタ様の“退屈”を紛らわせられル、ミラボット闘者(ファイター)がっ!! ある研究員:ケヒヒヒヒぃーーっ!」 礼那:「……、 礼那:その方は……、」 0:少女の首元にさげられた“ミラプロ・ギア”が、七色の異光を散らし。 礼那:「“ついてこられる”かしら。 礼那:私と、私の“ナイトオブブルー・スピードスター”の世界に。」 0:Bパート終了。 0:エンディング曲へ。 : 0:次回予告。 天摩:「何とか勝ったとはいえ、あのツンツン頭、スゲぇ強さだったぜっ! 天摩:マスクの不審なオッサンは係の人に連れて行かれて一件落着、無事に帰って来た俺を待ってたのは新学期! 天摩:今日から5年生、遊びにスポーツにますますヤル気……っ、って、 天摩:引っ越してきた転入生、アイツあの、眼鏡のハカセっ!? 天摩:幼馴染のミコリも巻き込んで、何で俺たち、隣町のコワそーな中学生と闘ってんのーっ!? 天摩:お前が責任取れよっ、カツアゲ鬼ダサつんつん頭っ! 天摩:次回、『曝闘者(ばくとうじゃ)バトルミラボット!』第2話っ、 天摩:『昨日の敵は今日の友! 倒せ、辻斬りミラボット闘者(ファイター)!!』。 天摩:来週もバク烈っ! 天摩:バトルボット・ミラージュ・ゴーっ!!!」 0:提供画面へと。 0:【終】

0:■オープニング曲前ナレーション 【ナレーション】:バトルミラボット。それは科学と叡智の結晶。 【ナレーション】:バトルミラボット。それは光と幻のファイティングガジェット・アクションホビー。 【ナレーション】:バトルミラボット。それは限り無き夢への扉。 【ナレーション】:この物語は、熱き魂を胸に青春を駆け抜ける、少年少女たちの闘いの記録である! 天摩:「今日もバク烈っ!! 天摩:バトルボット・ミラージュ・ゴーっっ!!!」 0:オープニング曲へ。 : 0:■第1話Aパート 0:タイトルコール。 天摩:『バク闘スタート! その名はバトルミラボット!!』 【モノローグ】(天摩):オレの名前は「火之倉天馬(ひのくらてんま)」! 【モノローグ】(天摩):遊びスポーツ超大好き! テストに勉強、超ォオ苦手っ! 【モノローグ】(天摩):ワクワクする事が三度の飯とおんなじぐらい大・大・大好きっ!! 来月から小学5年生っ! 【モノローグ】(天摩):今日は従兄弟の兄ちゃんに付き合わされて、封済湖(ふすまこ)の真ん中のデッカい島でやってる、「未来科学フェスティバル」ってのに来てるんだっ! 【モノローグ】(天摩):島に着いてから2時間。眼ん玉キラキラの兄ちゃんには悪いけど……っ、 天摩:「飽きたァああっ! ツマンネぇよツマンネぇよツマンネぇよォオオっ!!」 従兄弟:「のわっ! さ……、3回も叫ばなくても、」 天摩:「バク烈ツマンネぇよ兄ちゃんっっ!!!」 従兄弟:「ダメ押しの1回っ! 従兄弟:……ごめんってば、天摩。 従兄弟:お詫びに何か買ってやるから。 従兄弟:ほらあれ、“真空反重力メンコ”だってさ! 従兄弟:あっちの“超伝導アイスクリーム天ぷら”でも良いし、あそこの“六分の一サイズ3Dプリンター似顔絵”とかも、」 天摩:「要はメンコとアイスと似顔絵だろ! イーって! 俺は科学と未来とか、そーいうワケワカんねーモンには興味ナイから!」 従兄弟:「勿体ないぞォ天摩っ! 日本の科学の殿堂、最先端テクノロジーの真髄たちと惜しげもなく触れ合えまくる、この“衾坂学顕都市(ふすまざかがっけんとし)”に来ておいてっ……、 従兄弟:って、あ、ああっ!」 天摩:「何だよ??」 従兄弟:「あ、あれ……、な、なあ天摩、あそこ、ほら、“アンドロイドコンセプトカフェ・昼下がりのメイドの園”だってさ……、 従兄弟:きょ、興味あるよな?? 天摩がどうしてもって言うなら兄ちゃんも、」 天摩:「行ってくれば。どーせおっさんがモーションキャプチャーで遠隔操作してるだけだろ……。」 従兄弟:「ぬぉオォ純然たる科学的好奇心を抑える事が出来んっ! 従兄弟:不肖ワタクシ、行って参りますっ!!」 天摩:「ごゆっくり。もし見つかんなかったらターミナル駅の前の噴水のトコに居るから。」 従兄弟:「天摩が手の掛からない子に育って兄ちゃん感動だぞ! では、いざ出陣っ!!」 0:従兄弟はまっしぐらに駆け去る。 0:雑踏の中、天摩、1人。 天摩:(独り言)「……手のかかる子供に育ったってしょーがないだろ。 天摩:父ちゃんも母ちゃんも、帰ってこないんだから。」 0:人混みにあって、どこか物寂しい風が吹き抜け、 0:唐突に、声。 通行人:「喧嘩だ喧嘩だァーーーっ!」 通行人:「野良ミラボットバトルだァーーーーっ!!」 0:追って、ざわめき。 天摩:「何だ……??」 葉加瀬:(走り抜けつつ)「どいてどいてどいてくださぁーーーーいっ!!」 天摩:「う、うわっ、」 0:どしん、とぶつかり、2人、路上に尻もち。 葉加瀬:「あっ、」 天摩:「痛ってぇ! ……大丈夫かよお前、思いっきり尻もち……、」 葉加瀬:「あっ、あの、」 衝:「待て待て待てェーーーーっ!! 衝:やっと追いついたぜ、腰抜けメガネっ!」 葉加瀬:「うああ、しつこい……っ、」 衝:「一度始まったバトルから逃げ出すなんて、ミラボット闘者(ファイター)の風上にも置けねェ野郎だっ! それでも男かテメェ!?」 葉加瀬:「わ、ワタシは別に……っ、 葉加瀬:そ、それよりっ、 葉加瀬:バトルが始まってから賭けを持ちかけるなんて卑怯ですっ!」 衝:「ヒキョーなのはテメェだバカタレっ! 衝:激レアの会場限定最新型ミラボットレンズを、1セットならず2セットも持って帰りやがるなんてよォっ!」 葉加瀬:「ですからさっきも言いましたがっ、 葉加瀬:コレはワタシの分と、もう1つは妹のモノで……、 葉加瀬:きちんと応募して、抽選に当たったものだから、」 衝:「その妹はドコに居やがるんだよォ!?」 葉加瀬:「ソレもさっき言いましたっ! 風邪で熱を出して、家で寝てるって、」 衝:「だったらそんなの無効だ無効ーーーっ! 本人が来てないのに、」 葉加瀬:「ちゃんと引き換え券と、妹の学校のIDカードを持って来て、JBMA本部で係の人に引き換えてもらったんですっ!」 衝:「カンケーねェっ!!俺サマが無効だと言やァ無効なんだよ、スカポンタンがっ!」 葉加瀬:「ムチャクチャです……、」 天摩:「……おい、」 衝:「何もカツアゲしよーってんじゃねェ、正々堂々バトルして、勝った方がその余った1つをだなァ、」 天摩:(遮り)「おいっっっ!!!」 0:大音声。 衝:「……っ、なっ、何だよイキナリっ!?」 天摩:「さっきから黙って聞いてりゃァ……、 天摩:そこのバク烈鬼ダサつんつん頭。」 衝:「あァっ!? ヒトの外見のコト悪く言ってんじゃ、」 天摩:「お前、 天摩:“正しく”ねェんじゃねェのか!?」 衝:「何ぃっ!?」 天摩:「抽選に当たったのはソコの眼鏡と、その妹なんだろ。 天摩:お前じゃなくて。」 衝:「おこづかいハタいて応募したんだっ! 衝:めーっちゃめちゃ、ドキドキバクバクしてたんだっ!!」 葉加瀬:「それは皆同じですっ! ワタシも、妹も……っ、」 衝:「俺の方がしてたっ!! 俺が一番してたァっ!!」 天摩:「ガキだな。大人になれよ……。」 衝:「うるせェーっ! いちいちムカつく野郎だなっ! 衝:首突っ込むってんならよォ……!」 0:びし、と指差し。 衝:「お前が勝負しろォ!!」 葉加瀬:「なっ……?」 天摩:「勝負ゥ?」 衝:「イマドキの男子小学生ならやったコトぐらいあるだろォ? バトルミラボット!!」 天摩:「……、」 衝:「ミラボットのトラブルはミラボットバトルで解決するに限るぜっ! 衝:お前にその勇気があればの話だがなァっ。」 葉加瀬:「さっきから無茶なコトばっかり、」 衝:「どーすんだっ!? やるのかやらねェのか。 衝:やらねェんならトットとどっか行け! 後は俺とソコのメガネで話を付けるっ!!」 葉加瀬:「あ、あわわ……っ、」 天摩:「…………。 天摩:イイぜ。」 葉加瀬:「えっ、」 衝:「おおっ!?」 天摩:「やってやるよ。ミラボットバトル。」 葉加瀬:「君も闘者(ファイター)なんですかっ!? やったコト、」 天摩:「あるよ、従兄弟の兄ちゃんに借りて。 天摩:……簡単過ぎて、一瞬で飽きちゃったけどな。」 葉加瀬:「え……?」 衝:「男に二言はねェなァ!? 衝:負けてもお母さんとか係の人とかにチクったりすんなよ!?」 天摩:「お前こそ。負けたらコレ以上ゴネんなよ。」 衝:「かっかっか……っ。 衝:んなダセぇマネするワケねェし、この俺サマが負けるワケがネぇっ! 衝:ミラボットバトル関東大会、塚淵県(つかぶちけん)トーナメント「竹取橋(たけとりばし)」地区代表っ! 衝:“栗ヶ丘(くりがおか)小のミラボット番長”こと、 衝:この杉浦 衝(すぎうら ブレイク)サマがよォっ!!」 葉加瀬:「すぎうらぶれいく……?」 天摩:「なんだ、隣の小学校のヤツじゃん……。 天摩:てか、変な名前。お前ミックス?」 衝:「うるせェーっ!! ヒトの名前に変とか言ってんじゃねェぞっ! 衝:“衝撃”の“衝(しょう)”と書いて“ブレイク”だっ! 人が何と言おうと、俺はすげェ良い名前だと思っている! サンキュー親父っ!」 天摩:「イイ心がけだとは思うけどさ……。 天摩:ところで、メガネ、」 葉加瀬:「あっ、はいっ、 葉加瀬:あの、こんな時になんですがワタシ、葉加瀬 調(はかせ しらべ)って言いまして、」 天摩:「んじゃ、ハカセ。 天摩:それ、貸してくんね? その、レンズ嵌める箱のヤツ。」 葉加瀬:「“ミラプロ・ギア”のコトですか……? 葉加瀬:えっ、自分の、持ってないんですかっ??」 天摩:「だから、すぐに飽きちゃって今はやってないんだって……。 天摩:余ってる方でイイから、」 葉加瀬:「コッチの、妹の分の方は虹彩(アイリス)認証もまだだから貸せますが……、 葉加瀬:でもこんな、会場で配布されたまんまの、初期装備のプレーンなレンズスタックじゃバトルに勝つなんてとてもっ、」 天摩:「最新型なんだろ? ソレ、」 葉加瀬:「素体(フレーム)はそうですけど……っ、でも向こうは専用(カスタム)機ですし、見たところレギュレーションぎりぎりの超攻撃型の調整をっ、」 衝:「ナニをコソコソ相談してやがんだァっ!? 歩いてる人の迷惑にならねェよーに、とっとと向こうの広場に移動すんぞっ!!」 天摩:「……大丈夫だよ。」 葉加瀬:「え……?」 天摩:「負けるワケがねェ。 天摩:……“正しい”のは、俺なんだから。」 0:Aパート終了。 : 0:■第1話Bパート 0:ミラボット競技用に開放された広場の一角。2名の少年がフィールドを挟んで対峙。 衝:「レンズスタック、スロットインっ! 衝:スペクトルレーザー・オン! 衝:ホロミラージュ・プロジェクション、スタートっ!!」 天摩:「……ホロミラージュ・プロジェクション、スタート。」 0:両者のベルトにマウントされたギアから光が投射され、2体のミラボットが仮初めの実体を形作る。 衝:「覚悟しろよっ、帽子野郎っ! 衝:バトルボット・ミラージュ・ゴーっ!!」 0:戦闘開始。 衝:「行っけェ俺の相棒っ、『ブレイクアウト・キングブレイカー』ーーっ!!」 葉加瀬:「うわァあ、重装備に反して凄いスピード……っ、」 天摩:「迫力はスゲーな。 天摩:……けど、」 0:寸前で、 天摩:「よっ、と。」 衝:「おっ!?」 0:ひらり、と回避。 天摩:「あっぶね、ギリギリ。」 衝:「よ……、避けてんじゃねェぞ卑怯モンがっ!」 天摩:「コッチはヘボ装備らしいんだから避けるしかねーだろ。」 衝:「けっ……、いつまで持つかなっ! 喰らえっ、“ディープクラック・パイルバンカー”っ!!」 葉加瀬:「ミドルリーチの杭打ち攻撃っ! 避けてっ、天摩くんっ!」 天摩:「あらよっと。」 衝:「ぬォあっ! チョコマカと……っ!」 天摩:「逃げるが勝ちってね。 天摩:えっと、装備(オプション)レンズのコード名を叫べばいいんだっけ。 天摩:“ランニング・ダッシュホイール”!」 0:脚部の車輪が高速回転し、瞬く間に距離が開く。 葉加瀬:「おおっ! 一気に間合いをっ!」 衝:「くおおっ、ベーシックキットの装備でなんつースピード……っ、 衝:さっすが最新式の素体(フレーム)、ますます欲しくなったぜっ! つーか絶対ほしーっ!!」 天摩:「先行プレゼントかなんかだろ? 普通に発売まで待てば??」 衝:「うるせェーっ!! 誰よりも早く手に入れたいって男のロマンがワカんねーのかっ!」 天摩:「ガキだなマジで。 天摩:“ナッツバレット・マシンガン”!」 衝:「ぬぉオオオっ!?」 0:隙を突き、数発命中。 葉加瀬:「凄い、当たった! 最初は狙い通り撃つのも難しいのに……っ、」 衝:「マグレだマグレェっ! そんな豆鉄砲、この『ブレイクアウト・キングブレイカー』の鋼の装甲にゃァ傷1つ、 衝:……アレ?? いねェ、」 天摩:「スキ有り。うりゃ。」 衝:「うォっ!?」 葉加瀬:「足払いっ!?」 0:ズシン、と膝を付き。 天摩:「大したコトねェな、ミラボット番長。 天摩:“カーボンブレード・スラッシャー”!」 衝:「ぐゥおあアっ!!」 葉加瀬:「すっ、すごい……、装備のスペックに頼らない、自由で奔放なバトルスタイル……、こんなの滅多に、」 ZM:「滅多に見られないな、こんな闘いは。」 葉加瀬:「誰ですかっ!?」 0:いつの間にか傍らに立つ、黒衣の成人男性。 ZM:「お構いなく。 ZM:私は『ZM(ズィー・エム)』。しがない流離(さすら)いのミラボット闘者(ファイター)さ……。 ZM:眼鏡の少年、君、この闘いの見届け人かな?」 葉加瀬:(不審者を見るように) 葉加瀬:「え、ええ、と……、あのぅ……、」 ZM:「あからさまに怪しまれているな……。 ZM:私の、この仮面についてであれば気にしないでくれ。 ZM:家庭の事情でね。」 葉加瀬:「な、成り行きで、その……、 葉加瀬:抽選で当たった妹の“ミラプロ・ギア”を守る為に、それを使ってバトルを、」 ZM:「何っ、では彼は、パーソナルデータ登録も行っていない状態であれ程のパフォーマンスを……!?」 葉加瀬:「虹彩(アイリス)の仮認証だけです。 葉加瀬:バトルは一応、初めてではない、って……、」 ZM:「というレベルの身のこなしではないな……。 ZM:とはいえ相手のトゲトゲ頭の彼も、専用(カスタム)ミラボットを与えられているだけあって、それなりにやるようだが。」 0:再びバトルフィールドへと視点が戻り。 衝:「 握り潰せっ!! “メガトングラップ・アイアンフィスト”っ!!」 天摩:「うわァっ!!」 葉加瀬:「ああっ!」 ZM:「喰らったな、今度はまともに。」 天摩:「ぐっ……、左腕が、」 衝:「コレでもう距離を取ろうが、ウザってェ鳩鉄砲は使えねェっ! 衝:近付いて来たトコを確実に潰す!」 天摩:「っていう作戦聞かされて……、わざわざ近付くと思ってんのか? 天摩:取り敢えずはまた間合いを保ったまま……、」 衝:「なんつってっ! “スマイルシャーク・ミサイルランチャー”っ!!」 天摩:「なっ!! うわあっ!」 葉加瀬:「天摩くんっ!!」 0:投射映像による爆発のエフェクト。黒煙が広がり。 ZM:「……全弾命中。」 衝:「はっはァっ!こっちの装備(オプション)が近距離・中距離型だけだって誰が言った? 衝:俺サマの『ブレイクアウト・キングブレイカー』はっ! 衝:全距離対応型オールラウンドカスタムだっ!!」 0:爆煙が晴れ。 葉加瀬:「あ、ああ……っ、 葉加瀬:何とか、ヘッドコアは無事……、 葉加瀬:でも……っ、」 ZM:「満身創痍。残った右腕も犠牲にして、どうにかコアを守ったようだが……、」 衝:「へっ! 両腕の剣も銃もぶっ壊れて、最早どーするコトも出来ねェだろっ!」 天摩:「……そー見えるかよ……? 天摩:……よーやく、ワクワクして来たぜ……!」 衝:「強がってんじゃねーぜ見苦しーっ! 衝:ちなみに俺サマは、素人相手でも全力でぶっ潰すタイプの玄人だっ!」 天摩:「確かに俺は素人だな。」 衝:「あァ??」 天摩:「前は簡単過ぎて、ツマンネーって思ってたけど……。 天摩:お前みたいな、ある程度強いヤツとやらなきゃ面白くないタイプの遊びだったんだな……、 天摩:この、バトルミラボットってのはっ!!」 衝:「一生言ってろっ!! もうじきその最新フレームは俺サマのモンだっ! 衝:必殺装備(クリティカル・オプション)っ!!」 葉加瀬:「ああっ! マズいっ!」 0:衝の機体が輝きを放ち。 衝:「絶対破壊・殺人タックルっ!! 衝:“ギガトルク・ブレイキング・ラッシュ・ラッシュ・ラッシュ”っ!!!」 天摩:「……、……、」 葉加瀬:「バトル中1度しか使えない、必殺攻撃っ! 受けたらヒトタマリもっ、」 天摩:「へへ……。来いよ。」 葉加瀬:「天摩くんっ!?」 天摩:「上等だぜ、殺人タックル。 天摩:逃げも隠れもしねー。真っ向勝負だ。」 衝:「度胸だけは褒めてほしーってかァ? ヤケクソはヤケクソで見苦しーぜっ! 衝:行けっ! 『キングブレイカー』っ!!」 0:轟音を上げ、猛烈な突進。 衝:「喰らいやがれェェっ!!」 葉加瀬:「天摩くんっっ!!」 天摩:「…………っ、 天摩:とりゃぁっ!!」 葉加瀬:「あっ!?」 0:直撃の寸前、跳躍、回避。 葉加瀬:「すごいっ! またギリギリでジャンプ回避っ!」 衝:「ぬァっ!! 避けられっ……、」 0:ニヤリと笑み。 衝:「……ると、思ってたぜっ! “ディープクラック・パイルバンカー”っ!!」 天摩:「なっ!? 天摩:うわァあっっ!!!」 葉加瀬:「天摩くんっ!!」 0:剛直なる杭が脚部を穿つ。破壊音。 ZM:「……瞬時に切り替え、すれ違いざまに通常装備での追撃。 ZM:紙一重で避けた事が仇になった形だが……、 ZM:あのトゲトゲ頭の少年、読んでいたな。」 葉加瀬:「そん、な……っ、」 天摩:「ぐっ……っ、脚が……っ、」 衝:「うははァっ!! 甘いんだよ素人がっ!」 ZM:「ホイールまでも破壊された。あれでは回避どころか……、」 葉加瀬:「移動も、ままならない……、 葉加瀬:天摩くんっ……!」 天摩:「ち、くしょ……っ、」 衝:「ちなみに俺サマの必殺“ギガトルク・ブレイキング・ラッシュ・ラッシュ・ラッシュ”はっ!!」 葉加瀬:「ああっ!?」 衝:「こっちのホイールが止まらねェ限り、どこまでも敵を追いかけ続ける絶対破壊技だぜェっ!!」 葉加瀬:「ゆっ、Uターンしても全く勢いが衰えないっ! 葉加瀬:うわああっ、また突進して来たぁぁっ!!」 天摩:「ぐっ……っ、ヤバい、身動きが……っ、」 衝:「ブレイキィイイイイングっ!!」 葉加瀬:「もう駄目だぁああっ!!」 0:再び轟音を上げ、巨機の猛襲。 天摩:「……っ!!」 【モノローグ】(天摩):……もう駄目なんだってよ、天摩。 【モノローグ】(天摩):本当に? 【モノローグ】(天摩):本当に? 【モノローグ】(天摩):イキって、 【モノローグ】(天摩):カッコつけて、 【モノローグ】(天摩):……ホントはヒマ潰しで、助けに入ったのが駄目だったのか? 【モノローグ】(天摩):“正しく”なかったのか? 【モノローグ】(天摩):ムチャクチャ言ってるカツアゲ野郎をやっつけるのに? 【モノローグ】(天摩):違うよな……? 【モノローグ】(天摩):誰が、どう考えても。 【モノローグ】(天摩):“正しく”ないのはアイツで。 【モノローグ】(天摩):“正しい”のは、俺だよな。 天摩:「避けなきゃ……っ、」 【モノローグ】(天摩):脚が、動かない。 【モノローグ】(天摩):立ち上がる事も出来ない。 【モノローグ】(天摩):「あの時」と、同じだ。 【モノローグ】(天摩):いつも、いつも。 【モノローグ】(天摩):おんなじこと、思う。 【モノローグ】(天摩):こんな、時……、 天摩:「……空が……、飛べたら……、」 葉加瀬:「天摩くんっ!!」 ZM:「勝負あったな……。 ZM:……んんっ!!??」 葉加瀬:「えっ!?」 衝:「何だァっ!? 衝:帽子野郎の機体が光って……っ、」 0:タックルの軌道上、眩く光を散らす半壊のミラボット。無限に遠く隣り合った地平より差すような、超常の光。 ZM:「これは……、この光は……!!」 葉加瀬:「パーソナル認証の時に、ギアから最初に出る光と同じ色……、でも、こんなに強く光る事なんて、」 衝:「関係ねェっ!! ナニをしやがった所でもう遅ェっ!! ぶっ潰れろォオオっ!!」 0:直撃不可避、かに思われた。 天摩:「……うおおォっ!!!」 葉加瀬:「えっ!!??」 衝:「何ィっっ!!??」 0:寸前、天高く舞い上がる影。 0:全員の眼が衝撃に見開かれ。 ZM:「……飛んだ。」 0:紅く輝く、光の翼を纏った、天摩の機体。 衝:「羽がっ、生えやがっただとォオオっっ!!?? 衝:新機能かっ!? コロコロにも載ってなかった隠し要素かァアアっ!!??」 葉加瀬:「飛行能力が標準装備……?? そんなのどこにも、」 ZM:「ああ。あの新型の素体(フレーム)にそんな仕様は存在しない。 ZM:……あの少年……、」 0:空中。天摩の視点。 天摩:「……空、飛んでる……。 天摩:なんだ、そういうのある遊びだったのか……?」 衝:「おいコラっ!! 降りて来やがれ!! 今日1番の卑怯だぞテメェっ!!」 天摩:「お……、ていうか、」 衝:「あァっ!?」 天摩:「止まってんな、ホイール。」 衝:「ギクっ!」 天摩:「ターン切りつつでも走り続けてないと、効果切れちゃうんだよな……? 天摩:お前の“ギガトルク・ブレイキング・ラッシュ・ラッシュ・ラッシュ”は。」 衝:「ギクギクっ!! 」 天摩:「で……、そういう必殺攻撃は、バトル中1回しか使えないんだよな……?」 衝:「ギクギクギクぅっ! いやっ、そのっ、えーっとっ、」 天摩:「じゃあ……、」 0:光の翼を羽ばたかせ、空中から、急降下の気配。 天摩:「これでどーだ。」 0:天高くより、猛襲。 葉加瀬:「急転直下っ!」 衝:「クソっ! 取り敢えず避け……っ、 衝:って、うォオっ!?」 葉加瀬:「何て速さっ……!!」 ZM:「……今度こそ……、」 0:衝の機体の額部、輝く緑のコアパーツ目掛け、 天摩:「殺人ヘッドバット!! 天摩:オラぁっ!!」 0:加速を乗せた強烈な頭突き。 衝:「……っ!!」 0:砕かれ、飛び散るヘッドコア。 ZM:「勝負、あったな。」 衝:「ぐあァアアアアアアっ!!!」 葉加瀬:「うわああっ!! ほっ、ホントに……っ!!」 0:仮面の男がバっ、と手を掲げ。 ZM:「決着! 決着だ! ZM:赤い帽子の少年の勝利!!」 衝:「ちっ、ちっ、ちっくしょォぉオオオっっ!!!」 0:勝敗判定完了につき、立体照射が薄れ、実体を失う2体のミラボット。 0:葉加瀬が天摩へと駆け寄る。 葉加瀬:「天摩くぅううんっ!!」 天摩:「ハカセ……、コレで良かったんだよな? 天摩:相手の、頭のトコのクリスタルみたいなの壊せば……、」 葉加瀬:「“ヘッドコア”です天摩くんっ!! そう、ソコを壊すか、損壊率90%までダメージを与えれば……っ。 葉加瀬:あんな、ギリギリまで壊されて、逆転で勝っちゃうなんて……っ!! 葉加瀬:凄いですっ!! 天摩くんっ!」 天摩:「俺……、 天摩:最後、飛んでた。」 葉加瀬:「そうっ! アレは一体……っ、」 天摩:「スゲぇな、今のミラボットって。 天摩:空中気持ち良かったし……、コレならまた始めても、」 葉加瀬:「違うんですよ、天摩くんっ! 葉加瀬:空を飛ぶなんて、攻撃用の装備(オプション)をほとんど犠牲にして専用の装備を積むか、そういう必殺装備(クリティカル・オプション)でもない限り……っ、」 ZM:「そういう事だ、少年。」 天摩:「えっ、」 0:ずい、と現れる、仮面の大人。 ZM:「この眼鏡の少年と共に、勝負は見届けさせてもらった。 ZM:私は『ZM(ズィー・エム)』。しがない流離(さすら)いの……、」 天摩:「おいハカセ、こっち来いっ。離れんなよ、すぐに係の人呼ぶから、」 葉加瀬:「ひゃっ!? て、天摩くんっ、近いっ……。」 ZM:「あからさまに怪しまれているな……。 ZM:違うぞ少年、私はこう見えて、どちらかと言えば係の人に近い立場というか、」 天摩:「イマドキの子供ナメんなよオッサン。そーいうコト言ってるヤツがイチバン怪しいんだから。」 ZM:「いや断じて、」 天摩:「おーいブレイキングつんつん頭っ!! 天摩:突っ伏してないで誰か大人の人呼んで来てくれっ!! 天摩:怪しいマスクの変態に絡まれてますって!!」 衝:(顔を上げ)「ぬォっ!? 衝:うわっ! こりゃヤベぇっ!!」 ZM:「ちょっ、やめっ、」 衝:「お前ら何とかして逃げろォ!! すぐに警察と子供防犯センターのヒト連れて来るからっ!!」 天摩:「頼んだっ!!」 ZM:「やめるんだ君たちィイイイっ!!」 0:騒動。 0:視点変わり、同島内、とある研究室。 ある研究員:「島内一般商用区画D−7ブロックにて、26秒間、基準理論値を大幅に超える極大規模の“共鳴”を確認……。」 0:椅子を蹴って立ち上がり。 ある研究員:「ナぁニをやってるんだキミたちィ!? 誤検出か否かの確認含め、すぐに過去データとの照合を始めタマエやがれよウスノロ共っ!!」 0:バタバタと駆け去る一般研究員。 ある研究員:「ったく……。頭脳と呼べる頭脳を持ち合わせてるのは私だけなんだから……。」 礼那:「……言葉を慎みなさい。」 ある研究員:「アあ……、失礼致しまシタネぇ、お嬢様の前で、」 礼那:「違います。 礼那:“杣(そま)”家に雇われているという意味では、貴方も、他の研究者の皆さんも、立場は同等だと言っているんです。」 ある研究員:「ケッヒヒ……。我々は皆、そんな俗世のシガラミよりも先に、科学と研究の奴隷……。 ある研究員:それよリ……、面白くなりそうでスヨぉ? 礼那(れいな)お嬢様。」 礼那:「私にもわかるお話ですか?」 ある研究員:「勿論っ! ある研究員:結論から申しアゲれバっ!」 0:大仰に身を反らし。 ある研究員:「また1人っ! この世に生まれルかもシレなイのでスネぇ……っ! ある研究員:アナタ様の“退屈”を紛らわせられル、ミラボット闘者(ファイター)がっ!! ある研究員:ケヒヒヒヒぃーーっ!」 礼那:「……、 礼那:その方は……、」 0:少女の首元にさげられた“ミラプロ・ギア”が、七色の異光を散らし。 礼那:「“ついてこられる”かしら。 礼那:私と、私の“ナイトオブブルー・スピードスター”の世界に。」 0:Bパート終了。 0:エンディング曲へ。 : 0:次回予告。 天摩:「何とか勝ったとはいえ、あのツンツン頭、スゲぇ強さだったぜっ! 天摩:マスクの不審なオッサンは係の人に連れて行かれて一件落着、無事に帰って来た俺を待ってたのは新学期! 天摩:今日から5年生、遊びにスポーツにますますヤル気……っ、って、 天摩:引っ越してきた転入生、アイツあの、眼鏡のハカセっ!? 天摩:幼馴染のミコリも巻き込んで、何で俺たち、隣町のコワそーな中学生と闘ってんのーっ!? 天摩:お前が責任取れよっ、カツアゲ鬼ダサつんつん頭っ! 天摩:次回、『曝闘者(ばくとうじゃ)バトルミラボット!』第2話っ、 天摩:『昨日の敵は今日の友! 倒せ、辻斬りミラボット闘者(ファイター)!!』。 天摩:来週もバク烈っ! 天摩:バトルボット・ミラージュ・ゴーっ!!!」 0:提供画面へと。 0:【終】