台本概要

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タイトル 【感動系】見えないなら聞かせてあげる
作者名 ゆる男  (@yuruyurumanno11)
ジャンル ラブストーリー
演者人数 3人用台本(男1、女1、不問1)
時間 30 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 物や人や風景を見て言葉に残す詩人のノエルは
ある日、盲目の少女、ミリカと出会う
一度はぶつかるも2人の距離は少しずつ近づいていく

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
ノエル 不問 143 僕っ子の詩人盲目の少女、ミリカと出会い言葉だけでも人の心に響かせられる詩を書いている 中性的な男の子なので性別不問です。
ミリカ 119 盲目の少女。詩人のノエルの言葉を聞いて暗闇の視界から少しずつ前に進もうとしている。
バージル 60 盲目の少女ミリカの父親。ミリカと妻に罪悪感を感じながらも生きている
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
0:ノエルは馬のレオンと街を歩き続けていた ノエル:おー!見えてきた〜!ここがヨールインランドか!! ノエル:よし!レオン!こっから飛ばすよ! ノエル:着いた着いた〜、レオンここで待っててね ノエル:大丈夫、昼と夜には必ず顔出すからさ ノエル:ヨールインランドの人参は格別美味いらしいよー! ノエル:じゃあ、行ってくる 0:ヨールインランドの中に入る ノエル:へぇ〜やっぱ僕の故郷よりも栄えてるなー ノエル:この日のために沢山働いたし今日はいい詩が書けそうだ! ノエル:あれ?あの子なんであんなにフラフラしてるんだろ? ノエル:これじゃあ人にぶつかるぞ? 0:ノエルが見た少女は案の定人にぶつかり 0:どこ見てんだと怒鳴られながら果物を落とす少女 ノエル:あ、大丈夫?手伝うよ ミリカ:・・・ ノエル:え? ミリカ:いえ、ありがとうございます ノエル:目に、傷? ミリカ:っ! 0:ミリカは顔を伏せる ノエル:あ、ごめん!つい見ちゃって ノエル:・・・まさか君 ノエル:目、見えないの? ミリカ:・・・はい ノエル:それじゃあ危ないじゃん!1人でこんな街に出ちゃダメだよ! ミリカ:あなた、誰ですか? ノエル:僕はノエル、この街で沢山の景色を見てそれを言葉に残す詩人さ ミリカ:詩人? ノエル:そう!言葉には魂が宿ってるんだ! ノエル:目に映る物や人や風景を言葉にしてそれを世界に広めるんだ! ノエル:毎年恒例のヨールインランドのお祭りの様子を僕は見に来たのさ! ミリカ:・・・あなたはいいですね ノエル:ん?何が? ミリカ:物や人や風景を見てそれを言葉に残す ミリカ:そんな戯言を並べた薄っぺらい言葉なんて誰も聞きたくありません ノエル:は、はあ!?もう1回言ってみろ! ミリカ:そんな綺麗事誰も聞きたくないって言ったの! ノエル:うおーー!!もうムカついてきた!! ノエル:そんなこと言うなら見せてやる!! ミリカ:ちょ!引っ張んないでよ! 0:ノエルは少女をヨールインランドの外へ連れ出す ノエル:レオン、また戻っちゃって悪いけどコアカリー地方まで ミリカ:ちょっと!どこ行くつもり!? ノエル:レオンは早いからしっかり捕まってな! 0:レオンに乗り続け ノエル:さあ、着いたぞ ミリカ:どこに来たの? ノエル:君はこの場所にいるだけで何か感じない? ミリカ:そんなのないよ ノエル:僕は目を瞑るとわかるよ、空気がやけに暖かい、風が花の匂いを泳がせてる ミリカ:・・・どういうこと? ノエル:よし、1編思いついた ノエル:輝いた、青空たちは、照らしてる ノエル:地に戻る、土や肥料は、踊り出す ノエル:ひまわりは、凛々しく澄んで、咲き誇る ミリカ:い、一体何が言いたいの? ノエル:見えないなら感じ取るんだよ ノエル:君が今いる場所は、決して暗闇なんかじゃない ノエル:空も土も風も花も、君を迎え入れるために存在してるんだよ! ミリカ:・・・私の、存在 ノエル:そう!このひまわりの花のように君という存在はこの輝いてる世界に在るんだ! ミリカ:私今、ひまわり畑に居るの? ノエル:うん、僕はこのひまわりの花が好きなんだ ノエル:でかくて!目立つ!そういうのすきなんだよ ミリカ:おかしな人 ミリカ:ねえ、この果物見て、あなたは何を思う? 0:少女は小さな果物を見せた ノエル:んー?君に似てる、かな? ミリカ:・・・うふっ、あっはっはっは! ノエル:え?ギャグじゃないよ? ミリカ:わかってる、なんかおかしかっただけ ミリカ:これは山桃っていう果物だよ ノエル:美味しそうだね ミリカ:食べちゃダメ、これはお父さんの好物なの ノエル:知らねーし興味ねー ミリカ:なんでそういうのは興味ないの!? ノエル:まあ、僕の詩をばかにした君に聞かせたかっただけだしね ミリカ:大した詩人さんね、私はあなたの言葉好きだと思ったよ ノエル:ほ、ほんとか!? ミリカ:うん、なんだか、少しだけだけど肌で感じる温度が暖かく感じる ノエル:ぼ、僕でよかったら!聞かせてあげるよ! ノエル:君の目では見えない景色を、僕の言葉で ノエル:そうだ、君の名前を教えて ミリカ:・・・私の名前はミリカ ノエル:ミリカか、送ってくよ ミリカ:うん、ありがとう 0:ノエルはヨールインランドまで行きミリカから道を聞き家まで送る ミリカ:ありがとう、ノエル ノエル:うん!また明日も話そうな! バージル:ミリカ・・・この男は誰だ? ミリカ:あ、お父さん、この方はノエルって人で私をひまわり畑に連れてってくれたの バージル:ひまわり畑? ノエル:ノエルです!よろしくお願いします! バージル:ノエル君、ね バージル:もう娘には近づかないでくれ ノエル:・・・え? バージル:見てわかるだろ、ミリカは盲目なんだ、君のような人が近づいて子じゃない ミリカ:お父さん!? バージル:いいね?ノエル君 0:ドアを閉めるバージル ノエル:なんなんだよあいつー! 0:次の日 ノエル:ミリカー!遊びに来たぞー 0:その次の日 ノエル:ミリカー!おーい! 0:また次の日 ノエル:ミリカー!また話そうぜー! 0:そのまた次の日 ノエル:みーりーかーーー ミリカ:うるさい!! ノエル:おー!ミリカ!なんで毎日来たのにでてくれなかったんだよ ミリカ:お父さんがいる時に出れるわけないでしょ? ミリカ:お父さんに見られたらどうするの! ノエル:いいじゃんかよあんなタコ親父 ミリカ:誰がタコ親父よ!私のお父さんばかにしないで! ノエル:なんだよ僕だってミリカと遊びたいんだぞ ミリカ:わかったわよ、どこ行きたいの? ノエル:んふーふふふ、どこだと思う? ミリカ:何?めんどくさい ノエル:ヨールインランドのお祭りに行こう! ミリカ:え、ええー!あんなとこ無理だよ! ノエル:行こうよーミリカーあの祭りの最後の演出凄いんだぞー? ミリカ:お祭りなんて騒いでる声しか・・・ ノエル:また僕が、お祭りの様子を詩にするってば ミリカ:・・・そうね、お父さんに聞いてみるわ ノエル:ほんとかー!?よーし!決まりー! ミリカ:決まってない、聞いてみるだけ 0:夜になると ミリカ:お父さん バージル:なんだい、ミリカ ミリカ:・・・ バージル:はっきり言いなさい ミリカ:ヨールインランドのお祭りに行きたいの バージル:お祭りに? ミリカ:うん バージル:はぁ・・・ミリカがどこかに行きたいって言うなんて、何年ぶりだろうな ミリカ:私そんなにどこも行きたがらないっけ? バージル:そうだよ、目が見えなくなってからどこに行っても暗闇だと言っていたじゃないか ミリカ:それは・・・そうだけど バージル:誰と行くつもりだい? ミリカ:・・・ノエルと バージル:やはりそうか バージル:彼はどんな人なの?お父さんに聞かせてみなさい ミリカ:ノエルは詩人さんなの バージル:詩人? ミリカ:そうなの、彼の言葉には魂が宿ってる バージル:何をばかなこと ミリカ:ほんとだよ、私の視界はずっと暗闇だった ミリカ:けど、彼の言葉を聞くとほんの少しだけど明るく見えるの バージル:そうか ミリカ:それにね、この山桃を見た時、彼なんて言ったと思う? バージル:なんだ? ミリカ:私に似てるって バージル:・・・ぷっ!はっはっは! ミリカ:ね?面白いでしょ? バージル:まあ認めたくはないが少し興味が湧いてきた ミリカ:でしょ、彼の言葉は不思議な力があるの バージル:ミリカ、本当に迷惑ばかりかけてすまないね ミリカ:謝らないでお父さん、私も少しずつ前に進めるから バージル:そう言って貰えると助かるよ バージル:あの日、事故でミリカは視界を失い、お母さんも失った バージル:あの日のことは今でも忘れられない バージル:なぜ私だけ・・・無事で居るんだ ミリカ:お父さん、私は視界を失ったけど一人じゃないよ バージル:ミリカ・・・ ミリカ:お父さんがずっと居てくれる ミリカ:お父さんが無事で居てくれたから何も見えない世界でも生きていられた ミリカ:そう思えるよ バージル:ありがとう・・・ミリカ ミリカ:感謝するのは私の方だよ、お父さん 0:ノエルはミリカの家に行く ノエル:おーい!ミリカー! ミリカ:あ、来た ノエル:今日はお祭りだなー!親父から許可は貰ったの? ミリカ:うん、その事なんだけど バージル:こんにちはノエル君 ノエル:あ、あれ、親父? バージル:君に伝えておく事がある ノエル:なんでしょう? バージル:私の娘に近づくなと言ったはずだ ノエル:・・・?? バージル:しかし、娘も前に進みたいと言っている バージル:だから、目の見えない娘が迷子にならないように手を引いてくれ ノエル:あ、ああ!もちろんだ! 0:ノエルはミリカの手を取る バージル:頼んだよ ノエル:うん、じゃあお借りします!! ミリカ:いってきます、お父さん バージル:いってらっしゃい バージル:ふぅー バージル:アイリス、君は見ているのかな? バージル:視界を失ったミリカが自分の足で光を探して行った バージル:君を愛して、ミリカが生まれてきてよかったと思う バージル:もう自分を責めるのはやめようと何度も思ったけど バージル:君と視界を失ったミリカを思うと胸が苦しい バージル:でも、君の名前の花言葉がミリカの心にも宿ってくれたみたいだ バージル:アイリス、僕は心から君を愛してる バージル:君とミリカの家族で居られて幸せだ バージル:だからこそ、ミリカが遠くに行くのが悔やまれるなー バージル:でも君ならこう言うよね バージル:ミリカの幸せを願いなさいって 0:〜お祭りでは〜 ノエル:ミリカーこの匂いなんだと思う? ミリカ:んー?星くず焼き? ノエル:違うよー、全然違う!星くず蒸しね ミリカ:いやニアピンでしょ! ノエル:まあそう怒るなってほら食いな ミリカ:あーん、あつっ!熱いけどおいしい ノエル:お祭り来たことないの? ミリカ:ないよ、何も見えないとつまらないんだもん ノエル:そんなもんかー、いつから視界見えてないの? ミリカ:10歳の頃から、その頃から外出るのも山桃を摂りに行くくらいだよ ノエル:へぇーよく見えないのにその場所に行けるな ミリカ:よく行ってたからね…うわ! ノエル:うおっ!危ない! 0:ノエルはミリカを支える ノエル:だ、大丈夫か? ミリカ:うん、ありがと ノエル:見えてないと思うけど距離めっちゃ近いよ僕達 ミリカ:え、ええ!? ノエル:て、照れるなって!僕も慣れてないんだぞ ミリカ:照れてない! ノエル:あ、もうすぐ時間か ノエル:足元気をつけて、僕の手握ってな ミリカ:う、うん 0:ノエルとミリカは祭りから少し外れた草原に行く ノエル:さあ!もうすぐ始まるぞ ミリカ:何が始まるの? ノエル:まあ見とけって、あれ?違うか、聞いとけって 0:ひゅ〜〜ぱん!!! ミリカ:な、なに!?銃声? ノエル:違う違う!花火だよ! ミリカ:花火?そっか、懐かしい ミリカ:子供の頃よくお母さんとお父さんと見に行ったなー ノエル:今お母さんは居ないの? ミリカ:うん、事故にあっちゃって、その時に私の目も失明したの ノエル:ご、ごめん!悪いこと聞いたかな? ミリカ:ううん、ちょっと前まではこの視界も暗闇だったけど ミリカ:ノエルの言葉で救われた気がするの ノエル:そ、そうなの?嬉しいなー ミリカ:ノエル、詩を聞かせて? ノエル:ん〜今出来るのなー ノエル:よし、これだ ノエル:一夜に咲いた大きな花は何より綺麗で尊くて ノエル:言葉にならない景色が広がる ノエル:隣を見ればあら不思議、何より綺麗な景色より ノエル:一輪咲いたあなたという可憐な花に視線が付いて離れない ノエル:一番綺麗な花は空を覆う色とりどりの花ではなく ノエル:僕の隣で小さく笑う、あなたという花でした ミリカ:・・・ノエル、その意味は? ノエル:わからない、今の僕の心情が思いついた ノエル:ヨールインランドでミリカに会えてよかったって話だよ ノエル:でも、このお祭りが終わったら明日の朝にはまた僕は旅に出る ミリカ:・・・え? ノエル:詩人だからね、この花火を見れたからまた後で詩を残してまた違う街に行くんだ ミリカ:ノエル、どこか行っちゃうの? ノエル:うん、僕の夢は言ったでしょ? ノエル:僕の言葉を世界に広める ノエル:だからミリカとは今日でさよならだ ミリカ:・・・そんなの 0:その日の夜のこと ミリカ:お父さん! バージル:どうした?そんな慌てて ミリカ:ノエルが・・・明日の朝にはいなくなっちゃうの バージル:ノエル君が? ミリカ:そうなの!明日の朝、ノエルのところに連れてって バージル:うん、わかった 0:次の日の朝 ノエル:よーし、レオン、長い間ごめんね、ほら、人参だ ノエル:うん、ミリカは目が見えないからここで暮らした方がいいと思って ノエル:花火見てもミリカのこと視線が付いて離れないなんて言っちゃったけどね ノエル:目に傷あってもミリカは綺麗で可愛いよな ノエル:この街とミリカともお別れだ ミリカ:ノエルー!! ノエル:・・・え? ミリカ:ノエル!待って! 0:ミリカはバージルと一緒に来ていた ノエル:ミリカ?なんでここに? ミリカ:ノエルに伝えたいことがあるの ノエル:ん? ミリカ:私にも色んな景色見せて ノエル:・・・何言ってんだ? ミリカ:あなたの言葉で私の世界を変えてって言ってんの! ミリカ:大体何よ!毎日押しかけてきてお祭りまで誘ってきて明日にはさよならって ミリカ:自分勝手すぎるよ!私だってノエルと一緒に居れて楽しかったのに! ノエル:待って待って!ミリカが一緒に旅に出るってこと? ミリカ:そうだよ ノエル:危ないって!怪我するぞ? ミリカ:あなたがいるならそれでいい ノエル:・・・ミリカ ミリカ:あなたの声が、あなたの言葉が、あなたの詩が、私の暗闇の世界に光を与えてくれたの ミリカ:もっと、あなたと色んな景色を見たいって思えたの ミリカ:あなたの言葉じゃないとダメなんだよ! ノエル:・・・ バージル:ノエル君、私からもお願いだ ノエル:・・・親父まで バージル:ミリカの視界を奪ったのは私だ バージル:見たい景色を見せようと思っても見せられない バージル:けど、君の言葉なら、その景色をミリカに見せれる バージル:私には出来ないことを君はやってくれてるんだろう バージル:だからお願いだ、ノエル君、ミリカに景色を見させてくれ ノエル:・・・そっか ノエル:そういう事なら任せてよ、僕の言葉を一番近くで聞けるなんて特別だぞ? ミリカ:うん、聞かせて ノエル:じゃあ付いてきて ミリカ:うん、でもちょっと待ってて ミリカ:お父さん バージル:・・・ミリカ 0:ミリカとバージルは抱き合う ミリカ:お父さん、ありがとう バージル:何言ってるんだ、感謝するのは私の方だ バージル:君が私の生きる希望だったんだ バージル:君が遠くに行っても、幸せになってくれてることを思って私はこの街に残るよ ミリカ:うん、ありがとうお父さん ミリカ:大好きだよ ミリカ:ノエル、行こ ノエル:じゃあ、親父、また遊びに来るよ バージル:ああ、元気でな 0:レオンに乗る2人 ノエル:ミリカ、詩人の言葉って回りくどいと思わないか? ミリカ:そう?幻想的で素敵だと思うけど ノエル:まあこんな真っ直ぐなことも言えるんだ ノエル:好きだよ、ミリカ ミリカ:・・・何よ急に、花火の時じゃ誤魔化したくせに ノエル:あの言葉も本当のことだよ ミリカ:じゃあノエルが私に似てるって言った山桃の花言葉知ってる? ノエル:花言葉?なんだろうな? ミリカ:ただ一人を愛する ノエル:へぇー素敵な言葉だ ミリカ:でね、山桃の別名もあるの ノエル:別名?なんて言うの? ミリカ:ミリカ ノエル:・・・え? ミリカ:私のお母さんが一人の人を愛するように付けてくれた名前なの ノエル:・・・それって ミリカ:うん、ノエルが居ればこの名前に誇りを持てる気がする ノエル:ば、ばか!持っていいけどばか! ミリカ:あっははは! ノエル:暗い世界で待ってても、明るい世界はやってこない ノエル:そう感じるくらいには踏み出す一歩が大きくなる ノエル:僕が見つけた綺麗な君は明日の希望も疑っていた ノエル:そんな彼女からあなたの言葉じゃないとダメって言われたら ノエル:その言葉すらも僕の希望に変わるんだ ノエル:暗闇の中で育った君が、僕を必要としてくれた ノエル:僕が君の光になれるならこれ以上の幸福はないだろう ノエル:だからこれからも、君にだけに ノエル:見えないなら聞かせてあげる 0:〜End〜

0:ノエルは馬のレオンと街を歩き続けていた ノエル:おー!見えてきた〜!ここがヨールインランドか!! ノエル:よし!レオン!こっから飛ばすよ! ノエル:着いた着いた〜、レオンここで待っててね ノエル:大丈夫、昼と夜には必ず顔出すからさ ノエル:ヨールインランドの人参は格別美味いらしいよー! ノエル:じゃあ、行ってくる 0:ヨールインランドの中に入る ノエル:へぇ〜やっぱ僕の故郷よりも栄えてるなー ノエル:この日のために沢山働いたし今日はいい詩が書けそうだ! ノエル:あれ?あの子なんであんなにフラフラしてるんだろ? ノエル:これじゃあ人にぶつかるぞ? 0:ノエルが見た少女は案の定人にぶつかり 0:どこ見てんだと怒鳴られながら果物を落とす少女 ノエル:あ、大丈夫?手伝うよ ミリカ:・・・ ノエル:え? ミリカ:いえ、ありがとうございます ノエル:目に、傷? ミリカ:っ! 0:ミリカは顔を伏せる ノエル:あ、ごめん!つい見ちゃって ノエル:・・・まさか君 ノエル:目、見えないの? ミリカ:・・・はい ノエル:それじゃあ危ないじゃん!1人でこんな街に出ちゃダメだよ! ミリカ:あなた、誰ですか? ノエル:僕はノエル、この街で沢山の景色を見てそれを言葉に残す詩人さ ミリカ:詩人? ノエル:そう!言葉には魂が宿ってるんだ! ノエル:目に映る物や人や風景を言葉にしてそれを世界に広めるんだ! ノエル:毎年恒例のヨールインランドのお祭りの様子を僕は見に来たのさ! ミリカ:・・・あなたはいいですね ノエル:ん?何が? ミリカ:物や人や風景を見てそれを言葉に残す ミリカ:そんな戯言を並べた薄っぺらい言葉なんて誰も聞きたくありません ノエル:は、はあ!?もう1回言ってみろ! ミリカ:そんな綺麗事誰も聞きたくないって言ったの! ノエル:うおーー!!もうムカついてきた!! ノエル:そんなこと言うなら見せてやる!! ミリカ:ちょ!引っ張んないでよ! 0:ノエルは少女をヨールインランドの外へ連れ出す ノエル:レオン、また戻っちゃって悪いけどコアカリー地方まで ミリカ:ちょっと!どこ行くつもり!? ノエル:レオンは早いからしっかり捕まってな! 0:レオンに乗り続け ノエル:さあ、着いたぞ ミリカ:どこに来たの? ノエル:君はこの場所にいるだけで何か感じない? ミリカ:そんなのないよ ノエル:僕は目を瞑るとわかるよ、空気がやけに暖かい、風が花の匂いを泳がせてる ミリカ:・・・どういうこと? ノエル:よし、1編思いついた ノエル:輝いた、青空たちは、照らしてる ノエル:地に戻る、土や肥料は、踊り出す ノエル:ひまわりは、凛々しく澄んで、咲き誇る ミリカ:い、一体何が言いたいの? ノエル:見えないなら感じ取るんだよ ノエル:君が今いる場所は、決して暗闇なんかじゃない ノエル:空も土も風も花も、君を迎え入れるために存在してるんだよ! ミリカ:・・・私の、存在 ノエル:そう!このひまわりの花のように君という存在はこの輝いてる世界に在るんだ! ミリカ:私今、ひまわり畑に居るの? ノエル:うん、僕はこのひまわりの花が好きなんだ ノエル:でかくて!目立つ!そういうのすきなんだよ ミリカ:おかしな人 ミリカ:ねえ、この果物見て、あなたは何を思う? 0:少女は小さな果物を見せた ノエル:んー?君に似てる、かな? ミリカ:・・・うふっ、あっはっはっは! ノエル:え?ギャグじゃないよ? ミリカ:わかってる、なんかおかしかっただけ ミリカ:これは山桃っていう果物だよ ノエル:美味しそうだね ミリカ:食べちゃダメ、これはお父さんの好物なの ノエル:知らねーし興味ねー ミリカ:なんでそういうのは興味ないの!? ノエル:まあ、僕の詩をばかにした君に聞かせたかっただけだしね ミリカ:大した詩人さんね、私はあなたの言葉好きだと思ったよ ノエル:ほ、ほんとか!? ミリカ:うん、なんだか、少しだけだけど肌で感じる温度が暖かく感じる ノエル:ぼ、僕でよかったら!聞かせてあげるよ! ノエル:君の目では見えない景色を、僕の言葉で ノエル:そうだ、君の名前を教えて ミリカ:・・・私の名前はミリカ ノエル:ミリカか、送ってくよ ミリカ:うん、ありがとう 0:ノエルはヨールインランドまで行きミリカから道を聞き家まで送る ミリカ:ありがとう、ノエル ノエル:うん!また明日も話そうな! バージル:ミリカ・・・この男は誰だ? ミリカ:あ、お父さん、この方はノエルって人で私をひまわり畑に連れてってくれたの バージル:ひまわり畑? ノエル:ノエルです!よろしくお願いします! バージル:ノエル君、ね バージル:もう娘には近づかないでくれ ノエル:・・・え? バージル:見てわかるだろ、ミリカは盲目なんだ、君のような人が近づいて子じゃない ミリカ:お父さん!? バージル:いいね?ノエル君 0:ドアを閉めるバージル ノエル:なんなんだよあいつー! 0:次の日 ノエル:ミリカー!遊びに来たぞー 0:その次の日 ノエル:ミリカー!おーい! 0:また次の日 ノエル:ミリカー!また話そうぜー! 0:そのまた次の日 ノエル:みーりーかーーー ミリカ:うるさい!! ノエル:おー!ミリカ!なんで毎日来たのにでてくれなかったんだよ ミリカ:お父さんがいる時に出れるわけないでしょ? ミリカ:お父さんに見られたらどうするの! ノエル:いいじゃんかよあんなタコ親父 ミリカ:誰がタコ親父よ!私のお父さんばかにしないで! ノエル:なんだよ僕だってミリカと遊びたいんだぞ ミリカ:わかったわよ、どこ行きたいの? ノエル:んふーふふふ、どこだと思う? ミリカ:何?めんどくさい ノエル:ヨールインランドのお祭りに行こう! ミリカ:え、ええー!あんなとこ無理だよ! ノエル:行こうよーミリカーあの祭りの最後の演出凄いんだぞー? ミリカ:お祭りなんて騒いでる声しか・・・ ノエル:また僕が、お祭りの様子を詩にするってば ミリカ:・・・そうね、お父さんに聞いてみるわ ノエル:ほんとかー!?よーし!決まりー! ミリカ:決まってない、聞いてみるだけ 0:夜になると ミリカ:お父さん バージル:なんだい、ミリカ ミリカ:・・・ バージル:はっきり言いなさい ミリカ:ヨールインランドのお祭りに行きたいの バージル:お祭りに? ミリカ:うん バージル:はぁ・・・ミリカがどこかに行きたいって言うなんて、何年ぶりだろうな ミリカ:私そんなにどこも行きたがらないっけ? バージル:そうだよ、目が見えなくなってからどこに行っても暗闇だと言っていたじゃないか ミリカ:それは・・・そうだけど バージル:誰と行くつもりだい? ミリカ:・・・ノエルと バージル:やはりそうか バージル:彼はどんな人なの?お父さんに聞かせてみなさい ミリカ:ノエルは詩人さんなの バージル:詩人? ミリカ:そうなの、彼の言葉には魂が宿ってる バージル:何をばかなこと ミリカ:ほんとだよ、私の視界はずっと暗闇だった ミリカ:けど、彼の言葉を聞くとほんの少しだけど明るく見えるの バージル:そうか ミリカ:それにね、この山桃を見た時、彼なんて言ったと思う? バージル:なんだ? ミリカ:私に似てるって バージル:・・・ぷっ!はっはっは! ミリカ:ね?面白いでしょ? バージル:まあ認めたくはないが少し興味が湧いてきた ミリカ:でしょ、彼の言葉は不思議な力があるの バージル:ミリカ、本当に迷惑ばかりかけてすまないね ミリカ:謝らないでお父さん、私も少しずつ前に進めるから バージル:そう言って貰えると助かるよ バージル:あの日、事故でミリカは視界を失い、お母さんも失った バージル:あの日のことは今でも忘れられない バージル:なぜ私だけ・・・無事で居るんだ ミリカ:お父さん、私は視界を失ったけど一人じゃないよ バージル:ミリカ・・・ ミリカ:お父さんがずっと居てくれる ミリカ:お父さんが無事で居てくれたから何も見えない世界でも生きていられた ミリカ:そう思えるよ バージル:ありがとう・・・ミリカ ミリカ:感謝するのは私の方だよ、お父さん 0:ノエルはミリカの家に行く ノエル:おーい!ミリカー! ミリカ:あ、来た ノエル:今日はお祭りだなー!親父から許可は貰ったの? ミリカ:うん、その事なんだけど バージル:こんにちはノエル君 ノエル:あ、あれ、親父? バージル:君に伝えておく事がある ノエル:なんでしょう? バージル:私の娘に近づくなと言ったはずだ ノエル:・・・?? バージル:しかし、娘も前に進みたいと言っている バージル:だから、目の見えない娘が迷子にならないように手を引いてくれ ノエル:あ、ああ!もちろんだ! 0:ノエルはミリカの手を取る バージル:頼んだよ ノエル:うん、じゃあお借りします!! ミリカ:いってきます、お父さん バージル:いってらっしゃい バージル:ふぅー バージル:アイリス、君は見ているのかな? バージル:視界を失ったミリカが自分の足で光を探して行った バージル:君を愛して、ミリカが生まれてきてよかったと思う バージル:もう自分を責めるのはやめようと何度も思ったけど バージル:君と視界を失ったミリカを思うと胸が苦しい バージル:でも、君の名前の花言葉がミリカの心にも宿ってくれたみたいだ バージル:アイリス、僕は心から君を愛してる バージル:君とミリカの家族で居られて幸せだ バージル:だからこそ、ミリカが遠くに行くのが悔やまれるなー バージル:でも君ならこう言うよね バージル:ミリカの幸せを願いなさいって 0:〜お祭りでは〜 ノエル:ミリカーこの匂いなんだと思う? ミリカ:んー?星くず焼き? ノエル:違うよー、全然違う!星くず蒸しね ミリカ:いやニアピンでしょ! ノエル:まあそう怒るなってほら食いな ミリカ:あーん、あつっ!熱いけどおいしい ノエル:お祭り来たことないの? ミリカ:ないよ、何も見えないとつまらないんだもん ノエル:そんなもんかー、いつから視界見えてないの? ミリカ:10歳の頃から、その頃から外出るのも山桃を摂りに行くくらいだよ ノエル:へぇーよく見えないのにその場所に行けるな ミリカ:よく行ってたからね…うわ! ノエル:うおっ!危ない! 0:ノエルはミリカを支える ノエル:だ、大丈夫か? ミリカ:うん、ありがと ノエル:見えてないと思うけど距離めっちゃ近いよ僕達 ミリカ:え、ええ!? ノエル:て、照れるなって!僕も慣れてないんだぞ ミリカ:照れてない! ノエル:あ、もうすぐ時間か ノエル:足元気をつけて、僕の手握ってな ミリカ:う、うん 0:ノエルとミリカは祭りから少し外れた草原に行く ノエル:さあ!もうすぐ始まるぞ ミリカ:何が始まるの? ノエル:まあ見とけって、あれ?違うか、聞いとけって 0:ひゅ〜〜ぱん!!! ミリカ:な、なに!?銃声? ノエル:違う違う!花火だよ! ミリカ:花火?そっか、懐かしい ミリカ:子供の頃よくお母さんとお父さんと見に行ったなー ノエル:今お母さんは居ないの? ミリカ:うん、事故にあっちゃって、その時に私の目も失明したの ノエル:ご、ごめん!悪いこと聞いたかな? ミリカ:ううん、ちょっと前まではこの視界も暗闇だったけど ミリカ:ノエルの言葉で救われた気がするの ノエル:そ、そうなの?嬉しいなー ミリカ:ノエル、詩を聞かせて? ノエル:ん〜今出来るのなー ノエル:よし、これだ ノエル:一夜に咲いた大きな花は何より綺麗で尊くて ノエル:言葉にならない景色が広がる ノエル:隣を見ればあら不思議、何より綺麗な景色より ノエル:一輪咲いたあなたという可憐な花に視線が付いて離れない ノエル:一番綺麗な花は空を覆う色とりどりの花ではなく ノエル:僕の隣で小さく笑う、あなたという花でした ミリカ:・・・ノエル、その意味は? ノエル:わからない、今の僕の心情が思いついた ノエル:ヨールインランドでミリカに会えてよかったって話だよ ノエル:でも、このお祭りが終わったら明日の朝にはまた僕は旅に出る ミリカ:・・・え? ノエル:詩人だからね、この花火を見れたからまた後で詩を残してまた違う街に行くんだ ミリカ:ノエル、どこか行っちゃうの? ノエル:うん、僕の夢は言ったでしょ? ノエル:僕の言葉を世界に広める ノエル:だからミリカとは今日でさよならだ ミリカ:・・・そんなの 0:その日の夜のこと ミリカ:お父さん! バージル:どうした?そんな慌てて ミリカ:ノエルが・・・明日の朝にはいなくなっちゃうの バージル:ノエル君が? ミリカ:そうなの!明日の朝、ノエルのところに連れてって バージル:うん、わかった 0:次の日の朝 ノエル:よーし、レオン、長い間ごめんね、ほら、人参だ ノエル:うん、ミリカは目が見えないからここで暮らした方がいいと思って ノエル:花火見てもミリカのこと視線が付いて離れないなんて言っちゃったけどね ノエル:目に傷あってもミリカは綺麗で可愛いよな ノエル:この街とミリカともお別れだ ミリカ:ノエルー!! ノエル:・・・え? ミリカ:ノエル!待って! 0:ミリカはバージルと一緒に来ていた ノエル:ミリカ?なんでここに? ミリカ:ノエルに伝えたいことがあるの ノエル:ん? ミリカ:私にも色んな景色見せて ノエル:・・・何言ってんだ? ミリカ:あなたの言葉で私の世界を変えてって言ってんの! ミリカ:大体何よ!毎日押しかけてきてお祭りまで誘ってきて明日にはさよならって ミリカ:自分勝手すぎるよ!私だってノエルと一緒に居れて楽しかったのに! ノエル:待って待って!ミリカが一緒に旅に出るってこと? ミリカ:そうだよ ノエル:危ないって!怪我するぞ? ミリカ:あなたがいるならそれでいい ノエル:・・・ミリカ ミリカ:あなたの声が、あなたの言葉が、あなたの詩が、私の暗闇の世界に光を与えてくれたの ミリカ:もっと、あなたと色んな景色を見たいって思えたの ミリカ:あなたの言葉じゃないとダメなんだよ! ノエル:・・・ バージル:ノエル君、私からもお願いだ ノエル:・・・親父まで バージル:ミリカの視界を奪ったのは私だ バージル:見たい景色を見せようと思っても見せられない バージル:けど、君の言葉なら、その景色をミリカに見せれる バージル:私には出来ないことを君はやってくれてるんだろう バージル:だからお願いだ、ノエル君、ミリカに景色を見させてくれ ノエル:・・・そっか ノエル:そういう事なら任せてよ、僕の言葉を一番近くで聞けるなんて特別だぞ? ミリカ:うん、聞かせて ノエル:じゃあ付いてきて ミリカ:うん、でもちょっと待ってて ミリカ:お父さん バージル:・・・ミリカ 0:ミリカとバージルは抱き合う ミリカ:お父さん、ありがとう バージル:何言ってるんだ、感謝するのは私の方だ バージル:君が私の生きる希望だったんだ バージル:君が遠くに行っても、幸せになってくれてることを思って私はこの街に残るよ ミリカ:うん、ありがとうお父さん ミリカ:大好きだよ ミリカ:ノエル、行こ ノエル:じゃあ、親父、また遊びに来るよ バージル:ああ、元気でな 0:レオンに乗る2人 ノエル:ミリカ、詩人の言葉って回りくどいと思わないか? ミリカ:そう?幻想的で素敵だと思うけど ノエル:まあこんな真っ直ぐなことも言えるんだ ノエル:好きだよ、ミリカ ミリカ:・・・何よ急に、花火の時じゃ誤魔化したくせに ノエル:あの言葉も本当のことだよ ミリカ:じゃあノエルが私に似てるって言った山桃の花言葉知ってる? ノエル:花言葉?なんだろうな? ミリカ:ただ一人を愛する ノエル:へぇー素敵な言葉だ ミリカ:でね、山桃の別名もあるの ノエル:別名?なんて言うの? ミリカ:ミリカ ノエル:・・・え? ミリカ:私のお母さんが一人の人を愛するように付けてくれた名前なの ノエル:・・・それって ミリカ:うん、ノエルが居ればこの名前に誇りを持てる気がする ノエル:ば、ばか!持っていいけどばか! ミリカ:あっははは! ノエル:暗い世界で待ってても、明るい世界はやってこない ノエル:そう感じるくらいには踏み出す一歩が大きくなる ノエル:僕が見つけた綺麗な君は明日の希望も疑っていた ノエル:そんな彼女からあなたの言葉じゃないとダメって言われたら ノエル:その言葉すらも僕の希望に変わるんだ ノエル:暗闇の中で育った君が、僕を必要としてくれた ノエル:僕が君の光になれるならこれ以上の幸福はないだろう ノエル:だからこれからも、君にだけに ノエル:見えないなら聞かせてあげる 0:〜End〜