台本概要

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タイトル 超絶ハイテンションばーにんぐクリスマス!!
作者名 なおと(ばあばら)  (@babara19851985)
ジャンル コメディ
演者人数 2人用台本(男1、女1)
時間 10 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 クリスマスが近づく十二月のある日。
一人、仕事の残業をしていた独身アラサーアニオタ女子は、推しキャラへの愛が抑えきれずに暴走する現場を後輩社員に目撃されてしまい……。

めちゃくちゃ疲れる10分シナリオを目指して書きました。
元気があるときにやってみて下さい。
噛んでも気にしない気にしない♪
アドリブはご自由に♪♪

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
25 女性向けハーレムアニメ「恋に落ちるは君ばかり」の登場キャラクター「六条の宮(ろくじょうのみや)カケル」が大好き。
24 先輩が大好き。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

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女:「(M)はぁ~~~。尊い…!六条の宮(ろくじょうのみや)カケル様ぁ~。 女:あなたはどうしてこんなに尊いのぉ~?あなたがいれば、たった一人での残業も余裕で乗り越えられる…!時刻はもうすぐ夜の十一時だけど…スマホの画面から、私を見守っていてね、カケル様…!」 男:「(M)よ~し。今日こそ…今日こそ先輩に声をかけるんだ。 男:何といっても、もうすぐクリスマス!クリスマスイブに、夜景の見える超オシャレなレストランで食事をして…先輩に思いを告白するんだ!入社してからずっとずっと好きでした、って。 男:今日は金曜日だから、先輩の部署は先輩以外はもう帰ってるはず…。 男:…ほら、やっぱり! 男:先輩は机に向かって、熱心に仕事をしているようだ。 男:…あ、でも残業までして仕事してるのに、いきなりデートの誘いとか…迷惑かな。 男:もう少し様子を見て、頃合いを見計らって声をかけた方が…」 0:(テンション上げて!) 女:「あ~~~!やっべぇやっべぇ!尊すぎてやっべぇ!カケル様、マジで美しすぎるぅ~~! 女:特に今回のクリスマスバージョンの衣装がヤバすぎるぅ~~!何この格好!?エロエロすぎっしょ!? 女:え?何?何何何何何何!?この真冬に肩見せ、ヘソ出しって何?私の鼻血をどんだけ絞り出せば気が済むの!?出血多量で失血死!からの血の海での溺死!からのカケル様成分過剰摂取による尊死!の三連コンボ確定じゃん!一人連続殺人事件じゃん!! 女:はぁ~、でも死因がカケル様なら本望かなぁ~。それに、きっとカケル様も、こんだけ自分を愛してくれる女性がいたら、嬉しいに決まってるよね!?ね?ね?ね!? 女:『(カケルの物真似)どうしたんだい、マイエンジェル。そんなに鼻血を噴き出して。このままだと、君は死んでしまうんじゃないのかい?』 女:ぐふっ…。そうです、カケル様。カケル様があまりにも美しく儚く、そしてエロエロの衣装をお召しになっていらっしゃるから、私…鼻血を止めることができませんの。 女:『(カケルの物真似)そうだったのか!…すまない、僕のせいで僕を愛する女性を死なせてしまうなんて…!死に際にせめて、この世に未練なく逝けるよう、僕にできることがあったら、言ってくれ。マイスウィートエンジェル…!』 女:そ、そんな…!死に際にまで…あなたに迷惑をかけることなんて…できない…わ。 女:『(カケルの物真似)迷惑だなんて、とんでもない!君の崇高な死を、暖かく見守ってあげたいんだ!だから…何でも言ってくれ…!君の望みを…叶えさせて欲しい!』 女:え~~~!!!何でも!?ホントに?ホントにホントに何でも叶えてくれるんですか~~!?ぱっと思いつく限りでカケル様にして欲しいことが三十七個ほどあるのですが!いいですか?いいですか~?言っちゃっていいんですか~?でわでわ、一番ノーマルなものから言っていくとですね、まずカケル様の毛髪を飲料水に混ぜてから…」 男:「(言葉を遮って)先輩!!」 女:「(驚いて)は、はいっ!! 女:…あ、き、ききききき君は…隣の部署の…」 男:「(ぷるぷる震えながら)先輩…何やってるんですか? 男:残業で一人黙々と仕事をしていたんじゃなかったんですか…?」 女:「う、うん…。途中までは…してたんだけどねぇ~…」 女:「(M)ま、まずい…。これは…まずい…! 女:会社内では、真面目なクールビューティで通っている私が、隣の部署の後輩社員に、あろうことかオタク趣味全開の推しキャラ妄想を聞かれてしまうなんて…!ま、まぁ、後半はトリップし過ぎてて、自分でも何言ってるかよく覚えてないんだけども…。 女:とにかく!ここは口封じよ!せめてこの子だけの胸の内に留めておいてもらわないと…!」 女:「ね、ねぇ、君?お願いがあるんだけど~…」 男:「(言葉を遮って)どういうことですか!?」 女:「へ?」 男:「どういうことですかって聞いているんですよ!!」 女:「ん?…ん??」 男:「僕の調べでは、先輩は彼氏いない歴五年三ヶ月を現在絶賛更新中のはずです! 男:この調査結果は、先輩の同僚である梅昆布茶梅子(うめこぶちゃうめこ)さんからお聞きした情報と、先輩のご実家(千葉県成田市)のご両親の証言とをかけ合わせたものですので、かなり蓋然性の高いものであると自負しております! 男:言っちゃ何ですが、先輩は特別可愛くもなければ、スタイルも良くもなければ、仕事ができるわけでもなければ、家事ができるわけでもなければ、性格が良いわけでもないですよね!?彼氏いない歴絶賛更新中が納得の、残念しょんぼりアラサー独身女ですよね!? 男:なのになのになのになのになのになのに!!何ですか、今の独白は!一体、誰なんですか、カケル様って!!何なんですか、クリスマスバージョンの衣装って!?クリスマスにそのカケル様と会うご予定があるんですか?その際に、カケル様は真冬にも関わらず、肩見せヘソ出しルックで、先輩と密会をするということですか?風邪ひいちゃうじゃないですか、カケル様!先輩もそんなカケル様を容認しないで下さいよ!大切な人なんでしょ!?そんな人が真冬に薄着でいるのを許さないで下さいよ、このワガママ自己中変態女! 男:それに何ですか、三連コンボの一人連続殺人事件って?どれ一つとしてマトモな死因がありませんなぁ~!あ~あ、これじゃあ捜査も難航だぁ~。迷宮入り確実だぁ~! 男:しかも、残念しょんぼりアラサー独身女の先輩のご遺体三体分は、きっと引き取り手もなく、虚しく孤独死することでしょう。おめでとうございます、四連コンボ!!!しかし残念ながら四つ目の死因はカケル様じゃあ、ございませんでしたねぇ~!!!わははははは!!」 女:「(ぷるぷる震えながら)……う。…う」 男:「ん?どうしました、先輩!?弁解があるなら、はっきり言ったらどうですか?」 女:「うるせぇうるせぇうるせぇ~!! 女:あんた、黙って聞いてりゃ好き放題言いやがって! 女:しかも結構最初の方から聞かれてたんじゃん、私のカケル様妄想語り!恥ずかしいったらありゃしねぇよ! 女:あ~、そうですよそうですよ!クリスマスはカケル様と二人でひっそりこっそり過ごすんですよ!それの何がいけないんですかぁ~~!?誰にも迷惑かけていません~~、べろべろべぇ~! 女:クリスマスバージョンの肩見せヘソ出しチクチラ(乳首チラ)衣装だって、私の部屋の中でしか着させませんから!カケル様の高貴でエッロエロなお姿を公衆の面前に晒させるわけにはいきませんから! 女:そして、アンタ!!たいして話したこともないくせに、私に対しての罵詈雑言が辛辣すぎやぁしませんかい!?何よ、残念しょんぼりアラサー独身女って!何よ何よ、ワガママ自己中変態女って!! 女:セクハラかつモラハラかつジェンハラかつマリハラかつパーハラなんですけど~!?アンタの上司に、ずうぇ~~~っったい(絶対)告げ口してやるからね!!先輩女子社員の底意地の悪さを舐めるんじゃないわよ!! 女:それに、アンタが作り出した四連コンボ目の未解決孤独死事件だって、カケル様を思いすぎるがあまりに独り身を貫いた、と解釈すれば、婉曲的(えんきょくてき)には死因はカケル様になるわ!ざまぁみさらせ!この、すっとこどっこい!! 女:『(カケルの物真似)どうしたんだい、マイスウィートハートフルエンジェル。君の死体を見るのはこれで四回目だよ?いったい、何があったんだい?』 女:ぐふっ…。そうです、カケル様。カケル様があまりにも美しく儚く、エロエロの衣装をお召しになっていらっしゃる上に、私の大好きな『脇の下あらわポーズ』の止め絵を発表したりなんかするもんだから、私、つい独り身を貫いてしまったわ…。 女:『(カケルの物真似)そうだったのか!…すまない、僕のせいで僕を愛する女性を孤独死させてしまうなんて…!死に際にせめて、この世に未練なく逝けるよう、僕にできることがあったら、言ってくれ。マイスウィートハートフルフォーリンラブリープリティエンジェル…!』 女:そ、そんな…!死に際にまで…あなたに迷惑をかけることなんて…できない…わ。 女:『(カケルの物真似)迷惑だなんて、とんでもない!君の崇高な死を、暖かく見守ってあげたいんだ!だから…何でも言ってくれ…!君の望みを…叶えさせて欲しい!』 女:わっかりましたぁ~~~!!ぱっと思いつく限りでカケル様にして欲しいことが五十四個ほどあるのですが!言っちゃっていいですか~?言っちゃっていいですかねぇ~!?一番ノーマルかつポピュラーなものから言っていくとですね、まずカケル様の入ったお風呂の水を使ってお米をといだ後に…」 男:「(言葉を遮って)先輩!!」 女:「なんだよ!!」 男:「そんなに!?ねぇねぇ、そんなにそんなにそんなにそんなに!?カケル様に対する愛情が深すぎやしませんかねぇ!? 男:何ですか、クリスマスバージョンの肩見せヘソ出しチクチラ(乳首チラ)衣装って!? 男:ハレンチすぎるんですよ、肩見せヘソ出しチクチラ衣装! 男:もう一回言いますよ!?ハ・レ・ン・チすぎるんですよ、肩見せヘソ出しチクチラ衣装は! 男:一体誰が考案した服装ですか、肩見せヘソ出しチクチラ衣装! 男:しつこいですが忘れちゃわないように、もう一回言いますよ!?ハレンチオブハレンチなんですよ。肩見せヘソ出しチクチラ衣装は! 男:肩見せヘソ出しチクチラ衣装ってことは、肋骨(ろっこつ)のあたり以外、全部肌見えてますよね!?上半身の大半を肌色が占めてますよね、肩見せヘソ出しチクチラ衣装は! 男:しかも、その格好で『脇の下あらわポーズ』をするわけですか!もう、ほぼ上半身裸と言っても過言ではありませんねぇ~~!!そんな変態露出魔と、残念しょんぼりアラサー独身貧乳女の先輩は、ひとつ屋根の下でいったい何をなさるおつもりなんでしょうかなぁ~!? 男:山手線駒込駅から徒歩三十分自転車四十分の、築三十年二階建て木造建築、共用風呂、共用トイレ、共用洗濯機付き、家賃三万五千円のオンボロアパートで、一体何をなさるおつもりなんでしょうかなぁ~~!よく見つけましたね、そんな物件!!駒込駅から徒歩三十分自転車四十分って、どんだけ急な登り坂が途中にあるんですか!それに、その距離なら巣鴨か田端の方が近いのではないでしょうか!起点とする駅を完全に間違えてますよね!? 男:そんなガッカリ物件じゃ、男女のロマンスも何もあったもんじゃないですよ!愛に気づいて下さいよ!僕が抱きしめてあげますから!!」 女:「余計なお世話だよ、ほっとけよ!カケル様はそもそも私とは違う次元を生きてらっしゃるから、そもそも私のオンボロアパートでキャッキャウフフはできねぇんだよ!したいけど!!」 男:「(テンション高く)はぁ!?次元が違うって、どういうことですか?」 女:「二次元ってことだよ!言わせないでよ!私だってわかっちゃいるよ!?わかっちゃいるけど、仕方ないじゃない!!生身の男の人とクリスマスを過ごすなんて…」 男:「(言葉を遮って)先輩!!」 女:「なんだよ!!」 0:(ここは静かなトーンで) 男:「……カケル様は…現実には存在しないんですね?」 女:「(息を切らして)はぁはぁ…だからそう言ってるじゃん。何回私に自覚させれば気が済むのよ」 男:「先輩は今、現実では……付き合ってる人はいないんですね?」 女:「う、うん。…い、いないけど…それがどうかした?」 男:「…先輩」 女:「な、なによ?」 男:「…僕と…クリスマスイブにデートしませんか?」 0:(ここからまたテンション上げて!) 女:「何だよ、その流れ!!あんだけ散々人のこと貶(けな)しておいて、実は私のこと好きだったの!? 女:どうりでね~、おかしいと思ったんだよね~! 女:会社でろくに喋ったこともないのに、どうして私が山手線駒込駅から徒歩三十分自転車四十分の、築三十年二階建て木造建築、共用風呂、共用トイレ、共用洗濯機付き、家賃三万五千円のオンボロアパートに住んでるの知ってるわけ~って思ったし~! 女:あと、ツッコむタイミングが無くて言わなかったけど、何で私の実家にまで行って、私のオトコ関係をリサーチしてんのよ!普通に怖いんですけど!!お父さんお母さんも、娘の彼氏いない歴を勝手に把握してるんじゃねぇよ!なんか哀しいわ!!」 男:「だってだって好きなんだからしょうがないじゃないですか! 男:実は入社した時からずっと気になっていたんですよ!! 男:覚えてますか!?入社式の日に、僕がネクタイ忘れて困っていた時に、先輩が僕に向かって何て言ったか覚えてますか!?『コンビニに売ってるよ』って!それ以来、な~んかずっと気になっちゃってたんですよ!先輩にとっては何気ない一言だったんでしょうけど、僕にとっては大事な瞬間だったんですよ! 男:言っときますけど、僕相当先輩のこと好きですからね!?先輩にカケル様という彼氏がいたと誤解して、さっきは動揺のために思考回路がショート寸前で、ごめんね、素直じゃなくてミラクルロマンス、みたいなこともたくさん言っちゃいましたけど、僕が先輩のことを大好きなことは間違いありませんから! 男:特別可愛くもなければ、スタイルも良くもなければ、仕事ができるわけでもなければ、家事ができるわけでもなければ、性格が良いわけでもない、残念しょんぼりアラサー独身貧乳ワガママ自己中変態女の先輩が、僕はだ~~~い好きなんですよ!!」 女:「テンション高く言ったところで、ストーカー行為が容認されるわけではありませんから! 女:何!?何何何何何何!?好き好き言えば、女が落ちるとでも思ってるの!?ほんっとバッカじゃないの!! 女:それにテンション高く言うなら、もうちょっと流暢に言いなさいよ!ここに至るまでの間に、アンタ何回噛んだと思ってんの!?」 男:「無茶言わないで下さいよ!先輩への思いは確固たるものなので、喋る内容はガッチガチに決まってはいるのですが、このテンションで噛まずに喋るなんて無理に決まってるでしょうが!」 女:「やる前から諦めてんじゃない!!」 男:「じゃあ、先輩、僕が噛まずに思いを伝えきることができたら、僕と付き合ってくれますか!?」 女:「無理!私が噛むから!!」 男:「先輩は噛んでも関係ないでしょうが!!」 女:「あるわよ!お互いが切磋琢磨しないと、相思相愛には辿り着けないわよ!!」 0:(ここは静かなトーンで) 男:「へ…?先輩、僕と相思相愛になりたいんですか?」 女:「…ま、まぁ。できたら…ね」 男:「……」 女:「……」 男:「…先輩」 女:「…何よ」 男:「僕は…先輩の…」 女:「…私の?」 男:「先輩の肩見せヘソ出しチクチラ衣装が見たいです」 女:「誰が着るかぁ~~~~~~~~!!!!!!!!!」

女:「(M)はぁ~~~。尊い…!六条の宮(ろくじょうのみや)カケル様ぁ~。 女:あなたはどうしてこんなに尊いのぉ~?あなたがいれば、たった一人での残業も余裕で乗り越えられる…!時刻はもうすぐ夜の十一時だけど…スマホの画面から、私を見守っていてね、カケル様…!」 男:「(M)よ~し。今日こそ…今日こそ先輩に声をかけるんだ。 男:何といっても、もうすぐクリスマス!クリスマスイブに、夜景の見える超オシャレなレストランで食事をして…先輩に思いを告白するんだ!入社してからずっとずっと好きでした、って。 男:今日は金曜日だから、先輩の部署は先輩以外はもう帰ってるはず…。 男:…ほら、やっぱり! 男:先輩は机に向かって、熱心に仕事をしているようだ。 男:…あ、でも残業までして仕事してるのに、いきなりデートの誘いとか…迷惑かな。 男:もう少し様子を見て、頃合いを見計らって声をかけた方が…」 0:(テンション上げて!) 女:「あ~~~!やっべぇやっべぇ!尊すぎてやっべぇ!カケル様、マジで美しすぎるぅ~~! 女:特に今回のクリスマスバージョンの衣装がヤバすぎるぅ~~!何この格好!?エロエロすぎっしょ!? 女:え?何?何何何何何何!?この真冬に肩見せ、ヘソ出しって何?私の鼻血をどんだけ絞り出せば気が済むの!?出血多量で失血死!からの血の海での溺死!からのカケル様成分過剰摂取による尊死!の三連コンボ確定じゃん!一人連続殺人事件じゃん!! 女:はぁ~、でも死因がカケル様なら本望かなぁ~。それに、きっとカケル様も、こんだけ自分を愛してくれる女性がいたら、嬉しいに決まってるよね!?ね?ね?ね!? 女:『(カケルの物真似)どうしたんだい、マイエンジェル。そんなに鼻血を噴き出して。このままだと、君は死んでしまうんじゃないのかい?』 女:ぐふっ…。そうです、カケル様。カケル様があまりにも美しく儚く、そしてエロエロの衣装をお召しになっていらっしゃるから、私…鼻血を止めることができませんの。 女:『(カケルの物真似)そうだったのか!…すまない、僕のせいで僕を愛する女性を死なせてしまうなんて…!死に際にせめて、この世に未練なく逝けるよう、僕にできることがあったら、言ってくれ。マイスウィートエンジェル…!』 女:そ、そんな…!死に際にまで…あなたに迷惑をかけることなんて…できない…わ。 女:『(カケルの物真似)迷惑だなんて、とんでもない!君の崇高な死を、暖かく見守ってあげたいんだ!だから…何でも言ってくれ…!君の望みを…叶えさせて欲しい!』 女:え~~~!!!何でも!?ホントに?ホントにホントに何でも叶えてくれるんですか~~!?ぱっと思いつく限りでカケル様にして欲しいことが三十七個ほどあるのですが!いいですか?いいですか~?言っちゃっていいんですか~?でわでわ、一番ノーマルなものから言っていくとですね、まずカケル様の毛髪を飲料水に混ぜてから…」 男:「(言葉を遮って)先輩!!」 女:「(驚いて)は、はいっ!! 女:…あ、き、ききききき君は…隣の部署の…」 男:「(ぷるぷる震えながら)先輩…何やってるんですか? 男:残業で一人黙々と仕事をしていたんじゃなかったんですか…?」 女:「う、うん…。途中までは…してたんだけどねぇ~…」 女:「(M)ま、まずい…。これは…まずい…! 女:会社内では、真面目なクールビューティで通っている私が、隣の部署の後輩社員に、あろうことかオタク趣味全開の推しキャラ妄想を聞かれてしまうなんて…!ま、まぁ、後半はトリップし過ぎてて、自分でも何言ってるかよく覚えてないんだけども…。 女:とにかく!ここは口封じよ!せめてこの子だけの胸の内に留めておいてもらわないと…!」 女:「ね、ねぇ、君?お願いがあるんだけど~…」 男:「(言葉を遮って)どういうことですか!?」 女:「へ?」 男:「どういうことですかって聞いているんですよ!!」 女:「ん?…ん??」 男:「僕の調べでは、先輩は彼氏いない歴五年三ヶ月を現在絶賛更新中のはずです! 男:この調査結果は、先輩の同僚である梅昆布茶梅子(うめこぶちゃうめこ)さんからお聞きした情報と、先輩のご実家(千葉県成田市)のご両親の証言とをかけ合わせたものですので、かなり蓋然性の高いものであると自負しております! 男:言っちゃ何ですが、先輩は特別可愛くもなければ、スタイルも良くもなければ、仕事ができるわけでもなければ、家事ができるわけでもなければ、性格が良いわけでもないですよね!?彼氏いない歴絶賛更新中が納得の、残念しょんぼりアラサー独身女ですよね!? 男:なのになのになのになのになのになのに!!何ですか、今の独白は!一体、誰なんですか、カケル様って!!何なんですか、クリスマスバージョンの衣装って!?クリスマスにそのカケル様と会うご予定があるんですか?その際に、カケル様は真冬にも関わらず、肩見せヘソ出しルックで、先輩と密会をするということですか?風邪ひいちゃうじゃないですか、カケル様!先輩もそんなカケル様を容認しないで下さいよ!大切な人なんでしょ!?そんな人が真冬に薄着でいるのを許さないで下さいよ、このワガママ自己中変態女! 男:それに何ですか、三連コンボの一人連続殺人事件って?どれ一つとしてマトモな死因がありませんなぁ~!あ~あ、これじゃあ捜査も難航だぁ~。迷宮入り確実だぁ~! 男:しかも、残念しょんぼりアラサー独身女の先輩のご遺体三体分は、きっと引き取り手もなく、虚しく孤独死することでしょう。おめでとうございます、四連コンボ!!!しかし残念ながら四つ目の死因はカケル様じゃあ、ございませんでしたねぇ~!!!わははははは!!」 女:「(ぷるぷる震えながら)……う。…う」 男:「ん?どうしました、先輩!?弁解があるなら、はっきり言ったらどうですか?」 女:「うるせぇうるせぇうるせぇ~!! 女:あんた、黙って聞いてりゃ好き放題言いやがって! 女:しかも結構最初の方から聞かれてたんじゃん、私のカケル様妄想語り!恥ずかしいったらありゃしねぇよ! 女:あ~、そうですよそうですよ!クリスマスはカケル様と二人でひっそりこっそり過ごすんですよ!それの何がいけないんですかぁ~~!?誰にも迷惑かけていません~~、べろべろべぇ~! 女:クリスマスバージョンの肩見せヘソ出しチクチラ(乳首チラ)衣装だって、私の部屋の中でしか着させませんから!カケル様の高貴でエッロエロなお姿を公衆の面前に晒させるわけにはいきませんから! 女:そして、アンタ!!たいして話したこともないくせに、私に対しての罵詈雑言が辛辣すぎやぁしませんかい!?何よ、残念しょんぼりアラサー独身女って!何よ何よ、ワガママ自己中変態女って!! 女:セクハラかつモラハラかつジェンハラかつマリハラかつパーハラなんですけど~!?アンタの上司に、ずうぇ~~~っったい(絶対)告げ口してやるからね!!先輩女子社員の底意地の悪さを舐めるんじゃないわよ!! 女:それに、アンタが作り出した四連コンボ目の未解決孤独死事件だって、カケル様を思いすぎるがあまりに独り身を貫いた、と解釈すれば、婉曲的(えんきょくてき)には死因はカケル様になるわ!ざまぁみさらせ!この、すっとこどっこい!! 女:『(カケルの物真似)どうしたんだい、マイスウィートハートフルエンジェル。君の死体を見るのはこれで四回目だよ?いったい、何があったんだい?』 女:ぐふっ…。そうです、カケル様。カケル様があまりにも美しく儚く、エロエロの衣装をお召しになっていらっしゃる上に、私の大好きな『脇の下あらわポーズ』の止め絵を発表したりなんかするもんだから、私、つい独り身を貫いてしまったわ…。 女:『(カケルの物真似)そうだったのか!…すまない、僕のせいで僕を愛する女性を孤独死させてしまうなんて…!死に際にせめて、この世に未練なく逝けるよう、僕にできることがあったら、言ってくれ。マイスウィートハートフルフォーリンラブリープリティエンジェル…!』 女:そ、そんな…!死に際にまで…あなたに迷惑をかけることなんて…できない…わ。 女:『(カケルの物真似)迷惑だなんて、とんでもない!君の崇高な死を、暖かく見守ってあげたいんだ!だから…何でも言ってくれ…!君の望みを…叶えさせて欲しい!』 女:わっかりましたぁ~~~!!ぱっと思いつく限りでカケル様にして欲しいことが五十四個ほどあるのですが!言っちゃっていいですか~?言っちゃっていいですかねぇ~!?一番ノーマルかつポピュラーなものから言っていくとですね、まずカケル様の入ったお風呂の水を使ってお米をといだ後に…」 男:「(言葉を遮って)先輩!!」 女:「なんだよ!!」 男:「そんなに!?ねぇねぇ、そんなにそんなにそんなにそんなに!?カケル様に対する愛情が深すぎやしませんかねぇ!? 男:何ですか、クリスマスバージョンの肩見せヘソ出しチクチラ(乳首チラ)衣装って!? 男:ハレンチすぎるんですよ、肩見せヘソ出しチクチラ衣装! 男:もう一回言いますよ!?ハ・レ・ン・チすぎるんですよ、肩見せヘソ出しチクチラ衣装は! 男:一体誰が考案した服装ですか、肩見せヘソ出しチクチラ衣装! 男:しつこいですが忘れちゃわないように、もう一回言いますよ!?ハレンチオブハレンチなんですよ。肩見せヘソ出しチクチラ衣装は! 男:肩見せヘソ出しチクチラ衣装ってことは、肋骨(ろっこつ)のあたり以外、全部肌見えてますよね!?上半身の大半を肌色が占めてますよね、肩見せヘソ出しチクチラ衣装は! 男:しかも、その格好で『脇の下あらわポーズ』をするわけですか!もう、ほぼ上半身裸と言っても過言ではありませんねぇ~~!!そんな変態露出魔と、残念しょんぼりアラサー独身貧乳女の先輩は、ひとつ屋根の下でいったい何をなさるおつもりなんでしょうかなぁ~!? 男:山手線駒込駅から徒歩三十分自転車四十分の、築三十年二階建て木造建築、共用風呂、共用トイレ、共用洗濯機付き、家賃三万五千円のオンボロアパートで、一体何をなさるおつもりなんでしょうかなぁ~~!よく見つけましたね、そんな物件!!駒込駅から徒歩三十分自転車四十分って、どんだけ急な登り坂が途中にあるんですか!それに、その距離なら巣鴨か田端の方が近いのではないでしょうか!起点とする駅を完全に間違えてますよね!? 男:そんなガッカリ物件じゃ、男女のロマンスも何もあったもんじゃないですよ!愛に気づいて下さいよ!僕が抱きしめてあげますから!!」 女:「余計なお世話だよ、ほっとけよ!カケル様はそもそも私とは違う次元を生きてらっしゃるから、そもそも私のオンボロアパートでキャッキャウフフはできねぇんだよ!したいけど!!」 男:「(テンション高く)はぁ!?次元が違うって、どういうことですか?」 女:「二次元ってことだよ!言わせないでよ!私だってわかっちゃいるよ!?わかっちゃいるけど、仕方ないじゃない!!生身の男の人とクリスマスを過ごすなんて…」 男:「(言葉を遮って)先輩!!」 女:「なんだよ!!」 0:(ここは静かなトーンで) 男:「……カケル様は…現実には存在しないんですね?」 女:「(息を切らして)はぁはぁ…だからそう言ってるじゃん。何回私に自覚させれば気が済むのよ」 男:「先輩は今、現実では……付き合ってる人はいないんですね?」 女:「う、うん。…い、いないけど…それがどうかした?」 男:「…先輩」 女:「な、なによ?」 男:「…僕と…クリスマスイブにデートしませんか?」 0:(ここからまたテンション上げて!) 女:「何だよ、その流れ!!あんだけ散々人のこと貶(けな)しておいて、実は私のこと好きだったの!? 女:どうりでね~、おかしいと思ったんだよね~! 女:会社でろくに喋ったこともないのに、どうして私が山手線駒込駅から徒歩三十分自転車四十分の、築三十年二階建て木造建築、共用風呂、共用トイレ、共用洗濯機付き、家賃三万五千円のオンボロアパートに住んでるの知ってるわけ~って思ったし~! 女:あと、ツッコむタイミングが無くて言わなかったけど、何で私の実家にまで行って、私のオトコ関係をリサーチしてんのよ!普通に怖いんですけど!!お父さんお母さんも、娘の彼氏いない歴を勝手に把握してるんじゃねぇよ!なんか哀しいわ!!」 男:「だってだって好きなんだからしょうがないじゃないですか! 男:実は入社した時からずっと気になっていたんですよ!! 男:覚えてますか!?入社式の日に、僕がネクタイ忘れて困っていた時に、先輩が僕に向かって何て言ったか覚えてますか!?『コンビニに売ってるよ』って!それ以来、な~んかずっと気になっちゃってたんですよ!先輩にとっては何気ない一言だったんでしょうけど、僕にとっては大事な瞬間だったんですよ! 男:言っときますけど、僕相当先輩のこと好きですからね!?先輩にカケル様という彼氏がいたと誤解して、さっきは動揺のために思考回路がショート寸前で、ごめんね、素直じゃなくてミラクルロマンス、みたいなこともたくさん言っちゃいましたけど、僕が先輩のことを大好きなことは間違いありませんから! 男:特別可愛くもなければ、スタイルも良くもなければ、仕事ができるわけでもなければ、家事ができるわけでもなければ、性格が良いわけでもない、残念しょんぼりアラサー独身貧乳ワガママ自己中変態女の先輩が、僕はだ~~~い好きなんですよ!!」 女:「テンション高く言ったところで、ストーカー行為が容認されるわけではありませんから! 女:何!?何何何何何何!?好き好き言えば、女が落ちるとでも思ってるの!?ほんっとバッカじゃないの!! 女:それにテンション高く言うなら、もうちょっと流暢に言いなさいよ!ここに至るまでの間に、アンタ何回噛んだと思ってんの!?」 男:「無茶言わないで下さいよ!先輩への思いは確固たるものなので、喋る内容はガッチガチに決まってはいるのですが、このテンションで噛まずに喋るなんて無理に決まってるでしょうが!」 女:「やる前から諦めてんじゃない!!」 男:「じゃあ、先輩、僕が噛まずに思いを伝えきることができたら、僕と付き合ってくれますか!?」 女:「無理!私が噛むから!!」 男:「先輩は噛んでも関係ないでしょうが!!」 女:「あるわよ!お互いが切磋琢磨しないと、相思相愛には辿り着けないわよ!!」 0:(ここは静かなトーンで) 男:「へ…?先輩、僕と相思相愛になりたいんですか?」 女:「…ま、まぁ。できたら…ね」 男:「……」 女:「……」 男:「…先輩」 女:「…何よ」 男:「僕は…先輩の…」 女:「…私の?」 男:「先輩の肩見せヘソ出しチクチラ衣装が見たいです」 女:「誰が着るかぁ~~~~~~~~!!!!!!!!!」