台本概要

 204 views 

タイトル 死にたいと思っているあなたへ、死にたいと願っていた私から
作者名 なおと(ばあばら)  (@babara19851985)
ジャンル その他
演者人数 1人用台本(不問1)
時間 10 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 タイトル通りの内容です。
男女兼用の語りです。
このシナリオの内容は、僕が尊敬するゴールデンボンバーさんの楽曲「101回目の呪い」にインスパイアされて書きました。

 204 views 

キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
不問 23 あなたです。あなたの声で話しましょう。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
私:こんにちは、はじめまして。 私:死にたいと思っているあなたへ、 私:死にたいと願っていた私から、 私:とりとめもなく、話させて下さい。 0: 私:人はなんで生まれてきたんだろうって、 私:そんな哲学的な話をするつもりはありません。 私:生まれてきたことに、 私:意味はあるかもしれないけど、 私:ないかもしれない。 私:それは誰にもわからないことです。 私:だからこの際、 私:それを考えるのは、 私:今はやめましょう。 0: 私:また安易(あんい)に 私:「生きていればきっといいことがある」 私:と言うことも私にはできません。 私:それを保証することは私にはできない。 0: 私:少なくとも、 私:あの時私が死ななかったのは、 私:そんな前向きな理由じゃなかった。 私:私があの時に、 私:死にたいと願っていたあの時に、 私:死ななかった理由はただ一つ。 0: 私:死ぬことが怖かったから。 0: 私:死ぬ方法を考えるのが怖い。 私:死の瞬間の痛みが怖い。 私:死んだあと、 私:今以上の苦しみが、 私:あの世で待ち構えているかもしれなくて怖い。 私:そんな様々なネガティブが、私を絡(から)めとり、 私:私を生に踏みとどまらせたんです。 0: 私:だから、もし親切な誰かが、 私:押した瞬間に、自分の存在をこの世から消し去ることができるスイッチを持っていて、 私:消える瞬間は痛みも伴(ともな)わなくて、 私:死後の世界も存在せず、 私:永久に苦しみから解放された、無意識の存在になれるのであれば、 私:私はきっとあの時、 私:ためらいなくボタンを押していたでしょう。 0: 私:でも幸か不幸か、 私:そんなボタンは存在しませんでした。 0: 0: 私:あれから二十年が経ちました。 私:あの時ほど、 私:死を身近に感じることはなくなりましたが、 私:その残滓(ざんし)は、完全に私のそばから、消え去ったわけではありません。 0: 私:そんな私から、死にたいと思っているあなたへ。 私:どうか、死なないで下さい。 0: 私:すみません。理屈も何もあったものじゃないですね。 0: 私:でも、死なないで下さい。 0: 私:あなたが死にたい理由を、 私:完全に理解することは、 私:残念ながら私にはできない。 私:だって、所詮私は他人でしかないから。 私:「余計なお世話」 私:「人の人生に足を踏み込むな」 私:「あなたに私の何がわかるのか」 私:そう言われたら、 私:何も言い返せないくらいの他人です。 私:だから、私は訴え続けることしかできない。 0: 私:どうか、死なないで下さい。 0: 私:死にたいと願っていた、過去の自分を棚に上げて、 私:死なないで下さい、と繰り返すことしか、 私:私にはできない。 0: 私:「生きていればいいことがある」 私:その保証はできません。 私:でも同時に、 私:「死にたいと願った、この地獄のような苦しみが一生続く」 私:という保証もありません。 0: 私:だから、どうか死なないで下さい。 0: 私:いったんの保留でも良いので、 私:とりあえず、いったん生きてみて下さい。 私:そうこうする内に、 私:私は二十年生きることができました。 0: 私:…あぁ、すみません。 私:私とあなたは違う人間、 私:…他人でしたね。 私:私が生きられたからと言って、 私:あなたにもそれが当てはまるとは限りませんよね。 私:あなたに生きてほしくて言った言葉でしたが、 私:あなたにとっては、その場限りの、気休めにすらならなかったかもしれません。 私:生きることを選択した人間の、 私:上から目線の言葉に聞こえたかもしれませんね。 私:本当に、すみません。 0: 私:結局、理屈じゃ答えなんて出せません。 私:私があなたにできることは、 私:あなたが耳を塞ぎたくなるくらい、 私:こうやって語りかけることだけ。 0: 私:どうか死なないで、生きて下さい。

私:こんにちは、はじめまして。 私:死にたいと思っているあなたへ、 私:死にたいと願っていた私から、 私:とりとめもなく、話させて下さい。 0: 私:人はなんで生まれてきたんだろうって、 私:そんな哲学的な話をするつもりはありません。 私:生まれてきたことに、 私:意味はあるかもしれないけど、 私:ないかもしれない。 私:それは誰にもわからないことです。 私:だからこの際、 私:それを考えるのは、 私:今はやめましょう。 0: 私:また安易(あんい)に 私:「生きていればきっといいことがある」 私:と言うことも私にはできません。 私:それを保証することは私にはできない。 0: 私:少なくとも、 私:あの時私が死ななかったのは、 私:そんな前向きな理由じゃなかった。 私:私があの時に、 私:死にたいと願っていたあの時に、 私:死ななかった理由はただ一つ。 0: 私:死ぬことが怖かったから。 0: 私:死ぬ方法を考えるのが怖い。 私:死の瞬間の痛みが怖い。 私:死んだあと、 私:今以上の苦しみが、 私:あの世で待ち構えているかもしれなくて怖い。 私:そんな様々なネガティブが、私を絡(から)めとり、 私:私を生に踏みとどまらせたんです。 0: 私:だから、もし親切な誰かが、 私:押した瞬間に、自分の存在をこの世から消し去ることができるスイッチを持っていて、 私:消える瞬間は痛みも伴(ともな)わなくて、 私:死後の世界も存在せず、 私:永久に苦しみから解放された、無意識の存在になれるのであれば、 私:私はきっとあの時、 私:ためらいなくボタンを押していたでしょう。 0: 私:でも幸か不幸か、 私:そんなボタンは存在しませんでした。 0: 0: 私:あれから二十年が経ちました。 私:あの時ほど、 私:死を身近に感じることはなくなりましたが、 私:その残滓(ざんし)は、完全に私のそばから、消え去ったわけではありません。 0: 私:そんな私から、死にたいと思っているあなたへ。 私:どうか、死なないで下さい。 0: 私:すみません。理屈も何もあったものじゃないですね。 0: 私:でも、死なないで下さい。 0: 私:あなたが死にたい理由を、 私:完全に理解することは、 私:残念ながら私にはできない。 私:だって、所詮私は他人でしかないから。 私:「余計なお世話」 私:「人の人生に足を踏み込むな」 私:「あなたに私の何がわかるのか」 私:そう言われたら、 私:何も言い返せないくらいの他人です。 私:だから、私は訴え続けることしかできない。 0: 私:どうか、死なないで下さい。 0: 私:死にたいと願っていた、過去の自分を棚に上げて、 私:死なないで下さい、と繰り返すことしか、 私:私にはできない。 0: 私:「生きていればいいことがある」 私:その保証はできません。 私:でも同時に、 私:「死にたいと願った、この地獄のような苦しみが一生続く」 私:という保証もありません。 0: 私:だから、どうか死なないで下さい。 0: 私:いったんの保留でも良いので、 私:とりあえず、いったん生きてみて下さい。 私:そうこうする内に、 私:私は二十年生きることができました。 0: 私:…あぁ、すみません。 私:私とあなたは違う人間、 私:…他人でしたね。 私:私が生きられたからと言って、 私:あなたにもそれが当てはまるとは限りませんよね。 私:あなたに生きてほしくて言った言葉でしたが、 私:あなたにとっては、その場限りの、気休めにすらならなかったかもしれません。 私:生きることを選択した人間の、 私:上から目線の言葉に聞こえたかもしれませんね。 私:本当に、すみません。 0: 私:結局、理屈じゃ答えなんて出せません。 私:私があなたにできることは、 私:あなたが耳を塞ぎたくなるくらい、 私:こうやって語りかけることだけ。 0: 私:どうか死なないで、生きて下さい。