台本概要

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タイトル 死ぬまで続く劣等感
作者名 なおと(ばあばら)  (@babara19851985)
ジャンル その他
演者人数 1人用台本(不問1)
時間 10 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 タイトル通りの内容です。
男女兼用の語りです。
このシナリオの内容は、僕が尊敬するゴールデンボンバーさんの楽曲「欲望の歌」にインスパイアされて書きました。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
不問 18 あなたです。あなたの声で話しましょう。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
私:私は人より劣っている。 私:そう思い始めたのは、 私:いつの頃からだったろう…。 0: 私:社会人になって、 私:同期の人に比べて仕事が遅いと知った時だろうか。 0: 私:いや、もっと前かな。 0: 私:就職活動で、周りの皆に比べて、 私:私だけなかなか内定が出なかった時だろうか。 0: 私:いや、もっと前だな。 0: 私:大学生の時、初めて好きな人に告白して、 私:「他に好きな人がいるから」って言われた時かな。 0: 私:いやいや、もっと前か。 0: 私:高校生の時に、 私:同級生から容姿をからかわれて、 私:鏡を見れなくなった時からかな。 0: 私:いや違う、もっと前だ。 私:中学生の時に、運動ができない私は、 私:体育のグループ決めの時に、いつも余りものだった。 私:あの時からかな。 0: 私:ううん、もっと前だ。 0: 私:小学生の時に、なかなか自転車に乗れなかった時からだ。 0: 私:…いや違う。 私:自転車に乗れなかった時にはすでに、 私:「こんな私だから、自転車にも乗れないんだ」 私:って思っていたな。 私:ということは、劣等感を持ったのはさらに前か…。 0: 私:遡りだしたらキリがない。 私:例を挙げ出せば、枚挙にいとまがない。 私:私は、劣等感にまみれている。 私:大人になった今でも、 私:体にこびりついた自己憐憫(じこれんびん)は、 私:私の醜さを忘れさせてはくれなかった。 0: 私:だから、友人や同僚から自己を肯定してもらえる瞬間があっても、 私:素直にその意見を聞き入れることは困難だった。 私:だって、私は人より劣っているのだから。 私:どうしようもなく、私自身がそう感じてしまっているのだから。 私:いつ芽生えたかは、もはや思い出せないこの感情。 私:この感情は私の中にどっしりと根付き、 私:グロテスクな毒々しい色の花を咲かせている。 私:それは決して、枯れる気配はない。 私:でも、 私:それでも、 私:私は私を肯定してくれる言葉に縋(すが)ってしまう。 私:縋りたくなってしまう。 私:刹那的な優越感・自己肯定感に、 私:たまらなく陶酔してしまう。 私:好きなことをして、 私:好きな人から自分を認めてもらえる。 私:こんなに幸せなことがあるだろうか。 0: 私:…あぁ、でも知っている。 私:刹那的な快楽は、 私:私のような劣等人間には、 私:諸刃の剣なのだ。 私:多幸感を覚えた矢先に、私の内なる劣等意識は、 私:驚くほどの近距離から私に囁きかける。 0: 私:「なに、自分が肯定された気になってるの? 私:バッカじゃない? 私:この後、どうせまた落ち込むんでしょ? 私:落ち込んで、内省してる自分が格好良いとでも思ってるの? 私:『自己評価の低い謙虚な自分』にナルシシズムを感じてるんだ。 私:うわぁ…、本気で気持ち悪いね」 0: 0: 0: 私:それでも私は生きている。 私:死ぬことは怖いから。 私:だから、 私:刹那的でもいいから、 私:誤魔化していくしかないんだ。 私:刹那的に他人から認めてもらい、 私:刹那的に自己を肯定して、 私:そのあと否定して…。 私:そうして、誤魔化しながら生き続けて、 私:いつか心の底から、 私:自己を肯定できる日が来ることを、 私:祈るしかないんだ。

私:私は人より劣っている。 私:そう思い始めたのは、 私:いつの頃からだったろう…。 0: 私:社会人になって、 私:同期の人に比べて仕事が遅いと知った時だろうか。 0: 私:いや、もっと前かな。 0: 私:就職活動で、周りの皆に比べて、 私:私だけなかなか内定が出なかった時だろうか。 0: 私:いや、もっと前だな。 0: 私:大学生の時、初めて好きな人に告白して、 私:「他に好きな人がいるから」って言われた時かな。 0: 私:いやいや、もっと前か。 0: 私:高校生の時に、 私:同級生から容姿をからかわれて、 私:鏡を見れなくなった時からかな。 0: 私:いや違う、もっと前だ。 私:中学生の時に、運動ができない私は、 私:体育のグループ決めの時に、いつも余りものだった。 私:あの時からかな。 0: 私:ううん、もっと前だ。 0: 私:小学生の時に、なかなか自転車に乗れなかった時からだ。 0: 私:…いや違う。 私:自転車に乗れなかった時にはすでに、 私:「こんな私だから、自転車にも乗れないんだ」 私:って思っていたな。 私:ということは、劣等感を持ったのはさらに前か…。 0: 私:遡りだしたらキリがない。 私:例を挙げ出せば、枚挙にいとまがない。 私:私は、劣等感にまみれている。 私:大人になった今でも、 私:体にこびりついた自己憐憫(じこれんびん)は、 私:私の醜さを忘れさせてはくれなかった。 0: 私:だから、友人や同僚から自己を肯定してもらえる瞬間があっても、 私:素直にその意見を聞き入れることは困難だった。 私:だって、私は人より劣っているのだから。 私:どうしようもなく、私自身がそう感じてしまっているのだから。 私:いつ芽生えたかは、もはや思い出せないこの感情。 私:この感情は私の中にどっしりと根付き、 私:グロテスクな毒々しい色の花を咲かせている。 私:それは決して、枯れる気配はない。 私:でも、 私:それでも、 私:私は私を肯定してくれる言葉に縋(すが)ってしまう。 私:縋りたくなってしまう。 私:刹那的な優越感・自己肯定感に、 私:たまらなく陶酔してしまう。 私:好きなことをして、 私:好きな人から自分を認めてもらえる。 私:こんなに幸せなことがあるだろうか。 0: 私:…あぁ、でも知っている。 私:刹那的な快楽は、 私:私のような劣等人間には、 私:諸刃の剣なのだ。 私:多幸感を覚えた矢先に、私の内なる劣等意識は、 私:驚くほどの近距離から私に囁きかける。 0: 私:「なに、自分が肯定された気になってるの? 私:バッカじゃない? 私:この後、どうせまた落ち込むんでしょ? 私:落ち込んで、内省してる自分が格好良いとでも思ってるの? 私:『自己評価の低い謙虚な自分』にナルシシズムを感じてるんだ。 私:うわぁ…、本気で気持ち悪いね」 0: 0: 0: 私:それでも私は生きている。 私:死ぬことは怖いから。 私:だから、 私:刹那的でもいいから、 私:誤魔化していくしかないんだ。 私:刹那的に他人から認めてもらい、 私:刹那的に自己を肯定して、 私:そのあと否定して…。 私:そうして、誤魔化しながら生き続けて、 私:いつか心の底から、 私:自己を肯定できる日が来ることを、 私:祈るしかないんだ。