台本概要

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タイトル Episode01「不思議なワイン」
作者名 読川詩朗
ジャンル ファンタジー
演者人数 5人用台本(男3、女1、不問1)
時間 10 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 読川さんの完全な新作。
タイトルがまだ浮かばないのでEpisodeだけ書いていきますね

タイトルが決まったらまた書きます
これも続きもんなんで時間があり次第書いていきます

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
グラハム 90 物語の主人公 探偵
ベネッタ 18 グラハムの物語を聞くだけの少女 話を進めていくとこの子が出てくるよ
カルロス 不問 36 不老不死のワインの事を知る少年 年齢的には歳半ばの男の子だから男声よりショタ声のがいいかもね
コニー 39 ワインだけを取り扱うバーを営む男 口が悪い
イシュー 29 ガンゾラッゾ一家の若頭
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

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0:本棚に囲まれた執務室にて ベネッタ:この本は前も読んだ…これも読んだ…あと読んでないのは… グラハム:もうここの部屋にある本は全て読んだんじゃないのかベネッタ? ベネッタ:まだ読んでない本がきっとありますよ室長! グラハム:そうかい?君が幼い頃からずっとこの部屋に囲まれて育ってきただろう?全て読んだはずだよ? ベネッタ:そんな事ないですよ! グラハム:じゃあ… 0:足元に落ちてる本を拾い上げるグラハム グラハム:この本に書かれている158ページにはなんと書いてある? ベネッタ:「あぁ、カルロス。君にはまだこの先の部屋を見るのが早すぎる。君はまだ子供だ!」 ベネッタ:「えぇ、でも私にはこの先の物語を知る必要があるの。だって…」 グラハム:もういいよベネッタ。流石は私の可愛い娘だ ベネッタ:えへへ。ありがとうございます室長!でもこの物語はノンフィクションなんですよね グラハム:あぁその通りだよ。 ベネッタ:だってこの物語は… 0:ベネッタの口に指を押し当てるグラハム グラハム:この物語のオチを言っちゃいけないだろう? ベネッタ:どうしてです? グラハム:今からそれを話すんだからね 0:Episode01「不思議なワイン」 グラハム:ベネッタ、君はこんな話を聞いたことはないかい? 0:執務室の椅子に腰かけるグラハム グラハム:酸味が強く甘みが微かに残り口当たりは滑らかでとろけるような濃厚な赤ワインを飲むと体に何かが起こる。と ベネッタ:聞いたことないです。室長の格言でしょう? グラハム:あぁその通り。私が生み出した言葉だ。 ベネッタ:もう! グラハム:だが今言ったワインは本当にあるんだよベネッタ ベネッタ:そうなんですか? グラハム:この物語は君と出会う数十年前にさかのぼるんだ 0:30年前 カルロス:はぁ…はぁ…はぁ… 0:ワインを抱え走って逃げるカルロス コニー:待て!ガキ!! カルロス:これを…遠くに捨てないと…この街に置いてはダメなんだ… コニー:俺の店のワイン勝手に持ち逃げすんなガキぃ!! カルロス:これはこんなところに置いていてはいけないんだ!ごめんなさい店主さん! コニー:いきなり盗んで何を言い出すんだ! 0:数時間前 グラハム:この店はいつも寂れているなコニー コニー:うるせぇな。俺は静かなこの店を愛してるんだよ グラハム:ははっ、皮肉に皮肉を返してくるとは君も成長したね コニー:ふんっ! グラハム:だがこの店にはいつもいいワインが沢山あるね。 コニー:お前は一度けなしてからじゃないと誉めれないのか? グラハム:ははっ。ん?なんだこのワインは コニー:あぁそいつは闇市で出回ってた赤ワインだ グラハム:闇市で?君は正規のルートでしか買わないだろ? コニー:あぁそうなんだがなぜか惹かれてしまってな グラハム:へぇ?闇市の赤ワインか。飲んでみても? コニー:あぁいいとも。 0:ワインを注ぐコニー グラハム:良い光沢だ…匂いも…ふむ悪くない。鼻腔を刺激する赤ブドウの酸味が程よい 0:一口飲むグラハム グラハム:ふむ…酸味が強く甘みが微かに残り口当たりは滑らかでとろけるような濃厚な赤ワインだ… コニー:へぇ?案外闇市の赤ワインでも悪くないんだな。 カルロス:あの… コニー:あぁん? 0:入り口に立つ青年 カルロス:そのワイン…売っていただけませんか? コニー:いきなりなんだ? カルロス:そのワイン…欲しいんです。売ってもらえないでしょうか? コニー:何言ってんだ?ウチは酒屋じゃねぇぞ? カルロス:し、知ってます!ですがそのワインを僕に引き渡してほしいんです! コニー:おい、俺の話ちゃんと聞いてんの… 0:手で抑止するグラハム グラハム:君、いきなり来て会話もなしにワインを寄越せってのは虫が良すぎる話だよ?まずは理由を聞かせてほしいな カルロス:そう‥ですよね、でも… 0:駆け寄りワインを奪い取るカルロス コニー:あ、おい!ガキッ! カルロス:ごめんなさい!ごめんなさい!理由は後で話します! 0:その場から逃げ出すカルロス コニー:待て!おい! 0:追いかけるコニー グラハム:おい!コニー!店どうするんだ! コニー:客なんてお前くらいしか来ねぇ!あのガキを追いかけるからしばらく待ってろ! グラハム:おいおい! 0:走って店を出るコニー グラハム:…ったく。客をほっぽり出しやがって… 0:ワインを飲むグラハム 0: コニー:捕まえた!ガキが! 0:首根っこを掴み持ち上げるコニー カルロス:ごめんなさいごめんなさい! コニー:まったく!普通の安物のワインならこんなに追っかけねぇが闇市で高値で買ったこいつを盗むのは訳が違うだろ! カルロス:闇市…!?闇市で出回っているんですかこのワインは…!! コニー:あぁ? カルロス:こ、この一本だけですか!それとも複数本ありましたか!? コニー:お、おい落ち着けよ カルロス:ダメだ…これが世に出回ってるとしたら… コニー:お、おい? カルロス:ッ!!店に居た方はこれを飲んだんですか!! コニー:あ、あぁ飲んだぞ カルロス:ッ!! 0:じたばたして振りほどき店に戻るカルロス コニー:おい!待て! 0: グラハム:遅いなコニー 0:勢いよくドアが開く グラハム:おかえりコニー…って君は…? カルロス:はぁ…はぁ…はぁ…あ、あの!! グラハム:な、なんだ? カルロス:この…このワインに口を付けましたか!! グラハム:え、あ、あぁ… カルロス:そんな…遅かった… 0:膝から崩れ落ちるカルロス グラハム:と、とりあえず落ち着くんだ。 カルロス:す…すみませ… 0:気を失うカルロス グラハム:おっと… 0:倒れたカルロスを抱えるグラハム グラハム:気を失った…?どうしたんだ…? 0: 0: 0: ベネッタ:それでどうなったんでしょうか室長 グラハム:一旦休憩しよう。この年になると長話が疲れてくるんだ ベネッタ:えー、聞きたい聞きたい聞きたい! グラハム:続きは後にしよう。もう夜だ、食事をしようじゃないか ベネッタ:では食事の後に話の続きをお願いします室長 グラハム:あぁもちろん。 0:しばらくして ベネッタ:では食事も終わりました。続きをお願いします室長! グラハム:わかったわかった。では続きを話そうか 0: 0: 0: カルロス:…ッは!! 0:勢いよく飛び起きるカルロス グラハム:目が覚めたかい? カルロス:ここは… グラハム:ここは僕の部屋だ カルロス:すみません先ほどは取り乱してしまって… コニー:本当だよまったく カルロス:えっとその… グラハム:早速だけどこのワイン… 0:机の上にワインを置くグラハム カルロス:それはっ…! グラハム:なぜこのワインを執拗に君は追い求めているんだ?教えてほしい カルロス:…ッ グラハム:言えない? カルロス:そのワインは… カルロス:そのワインは世界中の人々が望む万能薬なんだ… グラハム:万能薬?このワインがか? カルロス:はい…僕の住んでた地方で極秘裏に開発が進んでた特殊なワインでして… グラハム:ふむ… カルロス:その…不老不死と言うか… コニー:お、おいおい!いきなり何言ってんだ!? グラハム:不老不死…それは本当か? 0:黙ってうなずくカルロス グラハム:ふむ… 0:近くにあるペーパーナイフを手に取るグラハム コニー:お、おいグラハム?考え直せ? グラハム:ふんっ!! 0:自分の喉元に勢いよく突き刺すグラハム コニー:バカバカバカ!おい!何やってんだ! カルロス:待ってください…! コニー:待てるか!友人が目の前で喉元掻っ切ったんだぞ!? カルロス:見て!見てください!! コニー:あぁ!? 0:噴き出た血がゆっくり体に戻っていく コニー:な…なんだこれは… グラハム:…っはぁ!はぁ…はぁ…傷がふさがった…? カルロス:これが…万能薬です… グラハム:素晴らしい…こんな普通のワインが人智を超えた不老不死の薬だなんて… カルロス:名前は言えませんが大富豪のとある人がこれの開発を極秘裏に進めていたんです… コニー:それをなんでお前みたいなガキが知ってんだ? 0:家の近くに黒い車が一台止まる グラハム:しっ… コニー:ん? 0:ハンドサインで窓を指さすグラハム コニー:…なるほど。おいガキ カルロス:はい? コニー:話はあとだ。一旦こっちにこい カルロス:え?うわぁ 0:カルロスを抱え物置に隠れるコニー グラハム:コニー、ちょっといいか? コニー:あぁ? 0:しばらくして部屋のドアを叩く音 イシュー:夜分に恐れ入ります。グラハム・ラウダ様のお部屋でしょうか 0:ドアを囲むように銃を構える男達 グラハム:本当に遅い時間だが?今日は閉店だ。明日の朝十時に来てくれるかぃ? イシュー:すみません、急ぎの用事でして。今すぐに対応願いたいのですが グラハム:私の睡眠時間を遮ってまで話したい内容かい? イシュー:えぇ。勿論謝礼は弾みます。なので対応をお願いします グラハム:断る。と言ったら? イシュー:…恐縮ですが強硬手段に移らせていただきます。 0:銃を構える男達 グラハム:仕方ない。ドアのカギは開いてある。入ってきたまえ イシュー:失礼します。 グラハム:定員は一名だけだ。その取り巻きは入るのを遠慮してもらおうか 0:周囲を見渡しうなずくイシュー イシュー:では失礼します。 グラハム:ようこそ。グラハム探偵事務所へ。ガンゾラッゾ一家(いっか)のアンダーボスであるイシュー・ガンゾラッゾ様がどうしてこんなところに? イシュー:知ってましたか私の事を グラハム:この国で生きていれば誰もが知るマフィアですよ イシュー:それは光栄だ。 グラハム:それで?話と言うのは? イシュー:闇市で出回っている赤ワインの行方を追っているんだが我々ガンゾラッゾの若い奴らも別の稼ぎで手が回らなくてね グラハム:それで? イシュー:君が良くいくコニーのバーにその赤ワインが回ってきたという情報が入ってね グラハム:ほぅ? イシュー:私たちが一般人に手を出すことは国の法律で厳しく罰せられる。そこで友人である君からコニーの店にある赤ワインを盗んできてほしい グラハム:探偵が盗みを働けと? イシュー:もちろんタダとは言いませんよ?貴方の望む額を差し上げます グラハム:ドア越しでも言ってたが断ると強硬手段に移るんだろう? イシュー:えぇもちろん。 グラハム:なぜガンゾラッゾ一家がその闇市で出回ってる赤ワインを望むんだ? イシュー:理由は教えられません グラハム:探偵に盗みを働かすんだ。理由くらい教えてもらってもいいんじゃないか? イシュー:…頭領(ドン)から口外するなと言われてい… グラハム:不老不死の万能薬だから…じゃないのか? イシュー:…なぜそれを知ってる? 0:懐に手を入れるイシュー グラハム:ガンゾラッゾの頭領は権力と金だけを信じて突き進んできた男だ。地位と名誉を存続させるには自身が死なないで常にトップであり続ける必要があるから 0:席を立ちイシューの周囲を歩きながら説明するグラハム グラハム:と、言う探偵の単直な推理だが…どうやら当たったようだね イシュー:ガンゾラッゾを舐めるなよ街探偵ごときが… 0:懐の銃を強く握りしめるイシュー グラハム:そしてこんな夜中に私の職場に来たと言う事はわかってるんじゃないか? 0:イシューの肩に手を添えるグラハム グラハム:私がそのワインを持っているという事に イシュー:貴様ッ! グラハム:おっと… 0:懐に伸びた手を押さえるグラハム グラハム:ここは住宅街だ。君の憤慨で放った銃弾は寝静まった街に響く。ガンゾラッゾの名を汚す事になるぞ イシュー:…貴様、ただの街探偵じゃないな… グラハム:いえいえ、私はタダのしがない探偵ですよ 0:椅子に座り直すグラハム グラハム:では話を戻しましょう。なぜガンゾラッゾが赤ワインを望み、その赤ワインをコニーが持っている事に気付いたのかを イシュー:コニーが赤ワインを買い取った二時間後に我々が突き止めて行った時にはなかったからだ。そして闇市の商人がコニーに売ったと言ったんだ グラハム:そこまではいい。なぜ私が持ってる事に気付いた? イシュー:コニーの店前で張っていたら小僧がワインを持ち逃げコニーがそれを追いかけたのを見たからだ グラハム:ほう… イシュー:そして小僧が店に戻りしばらくしてお前が小僧を抱え家に戻っていったのを見たのを確認し、コニーが店を去った後、中に入りがさ入れした時にはなかったからな グラハム:…それはもう別の罪が出てきているが? イシュー:私が持っている話を全て出した。さぁワインはどこにある グラハム:普通に渡してあげたいが個人的にガンゾラッゾの不老不死は望まないんだよな… イシュー:なに? 0:窓を開け腰かけるグラハム グラハム:このワインを窓から捨てると言ったらどうする? 0:ワインを窓から突き出すグラハム イシュー:やめろ!!お前ら!! 0:ドアをこじ開けグラハムに銃口を突きつける男達 グラハム:殺してごらん?この手はすでに窓の外だ、落として割るぞ? イシュー:ふっ…ふははは!!バカだなお前は。 グラハム:何? 0:発砲しグラハムの胸元を撃つイシュー イシュー:私たちの仲間は下にも居るんだよ。 グラハム:なん…だと… 0:撃たれたはずみで手を放しワインを落とすグラハム イシュー:…割れた音はない。回収に成功したな。ここを去るぞお前たち 0:ぞろぞろと部屋から出るガンゾラッゾ一家 イシュー:グラハム・ラウダ。お前はガンゾラッゾにとって毒になる存在だったな 0:部屋を出るイシュー コニー:…ぃ…ぉぃ‥‥おい!おい! グラハム:…あ、あぁ…生きてるんだな コニー:あぁ、確実に心臓を撃ち抜かれたのにな グラハム:確かに… カルロス:よかったです…初めてあのワインを飲んでよかったと思いました… グラハム:あぁそうだな。…だがしかし 0:起き上がり帽子をかぶるグラハム グラハム:これから厄介な事が始まる。コニー、少年君らは巻き込まれる。動くぞ コニー:チッ…やっと平和な自分の店を持てたのに… カルロス:ごめんなさい… 0: グラハム:今日は一旦ここらで止めようかベネッタ ベネッタ:え!!どうしてですか! グラハム:見てごらん、もう月がのぼっている。この続きはまた明日にしよう ベネッタ:えぇ!聞きたい聞きたい! グラハム:華麗な淑女は夜更かしをするもんじゃないよベネッタ ベネッタ:うっ…明日は必ず話してくれますか室長 グラハム:あぁ、もちろん ベネッタ:約束ですよ! グラハム:あぁ約束だ。それじゃ今日は寝ようとしようか 0:Episode02へ続く

0:本棚に囲まれた執務室にて ベネッタ:この本は前も読んだ…これも読んだ…あと読んでないのは… グラハム:もうここの部屋にある本は全て読んだんじゃないのかベネッタ? ベネッタ:まだ読んでない本がきっとありますよ室長! グラハム:そうかい?君が幼い頃からずっとこの部屋に囲まれて育ってきただろう?全て読んだはずだよ? ベネッタ:そんな事ないですよ! グラハム:じゃあ… 0:足元に落ちてる本を拾い上げるグラハム グラハム:この本に書かれている158ページにはなんと書いてある? ベネッタ:「あぁ、カルロス。君にはまだこの先の部屋を見るのが早すぎる。君はまだ子供だ!」 ベネッタ:「えぇ、でも私にはこの先の物語を知る必要があるの。だって…」 グラハム:もういいよベネッタ。流石は私の可愛い娘だ ベネッタ:えへへ。ありがとうございます室長!でもこの物語はノンフィクションなんですよね グラハム:あぁその通りだよ。 ベネッタ:だってこの物語は… 0:ベネッタの口に指を押し当てるグラハム グラハム:この物語のオチを言っちゃいけないだろう? ベネッタ:どうしてです? グラハム:今からそれを話すんだからね 0:Episode01「不思議なワイン」 グラハム:ベネッタ、君はこんな話を聞いたことはないかい? 0:執務室の椅子に腰かけるグラハム グラハム:酸味が強く甘みが微かに残り口当たりは滑らかでとろけるような濃厚な赤ワインを飲むと体に何かが起こる。と ベネッタ:聞いたことないです。室長の格言でしょう? グラハム:あぁその通り。私が生み出した言葉だ。 ベネッタ:もう! グラハム:だが今言ったワインは本当にあるんだよベネッタ ベネッタ:そうなんですか? グラハム:この物語は君と出会う数十年前にさかのぼるんだ 0:30年前 カルロス:はぁ…はぁ…はぁ… 0:ワインを抱え走って逃げるカルロス コニー:待て!ガキ!! カルロス:これを…遠くに捨てないと…この街に置いてはダメなんだ… コニー:俺の店のワイン勝手に持ち逃げすんなガキぃ!! カルロス:これはこんなところに置いていてはいけないんだ!ごめんなさい店主さん! コニー:いきなり盗んで何を言い出すんだ! 0:数時間前 グラハム:この店はいつも寂れているなコニー コニー:うるせぇな。俺は静かなこの店を愛してるんだよ グラハム:ははっ、皮肉に皮肉を返してくるとは君も成長したね コニー:ふんっ! グラハム:だがこの店にはいつもいいワインが沢山あるね。 コニー:お前は一度けなしてからじゃないと誉めれないのか? グラハム:ははっ。ん?なんだこのワインは コニー:あぁそいつは闇市で出回ってた赤ワインだ グラハム:闇市で?君は正規のルートでしか買わないだろ? コニー:あぁそうなんだがなぜか惹かれてしまってな グラハム:へぇ?闇市の赤ワインか。飲んでみても? コニー:あぁいいとも。 0:ワインを注ぐコニー グラハム:良い光沢だ…匂いも…ふむ悪くない。鼻腔を刺激する赤ブドウの酸味が程よい 0:一口飲むグラハム グラハム:ふむ…酸味が強く甘みが微かに残り口当たりは滑らかでとろけるような濃厚な赤ワインだ… コニー:へぇ?案外闇市の赤ワインでも悪くないんだな。 カルロス:あの… コニー:あぁん? 0:入り口に立つ青年 カルロス:そのワイン…売っていただけませんか? コニー:いきなりなんだ? カルロス:そのワイン…欲しいんです。売ってもらえないでしょうか? コニー:何言ってんだ?ウチは酒屋じゃねぇぞ? カルロス:し、知ってます!ですがそのワインを僕に引き渡してほしいんです! コニー:おい、俺の話ちゃんと聞いてんの… 0:手で抑止するグラハム グラハム:君、いきなり来て会話もなしにワインを寄越せってのは虫が良すぎる話だよ?まずは理由を聞かせてほしいな カルロス:そう‥ですよね、でも… 0:駆け寄りワインを奪い取るカルロス コニー:あ、おい!ガキッ! カルロス:ごめんなさい!ごめんなさい!理由は後で話します! 0:その場から逃げ出すカルロス コニー:待て!おい! 0:追いかけるコニー グラハム:おい!コニー!店どうするんだ! コニー:客なんてお前くらいしか来ねぇ!あのガキを追いかけるからしばらく待ってろ! グラハム:おいおい! 0:走って店を出るコニー グラハム:…ったく。客をほっぽり出しやがって… 0:ワインを飲むグラハム 0: コニー:捕まえた!ガキが! 0:首根っこを掴み持ち上げるコニー カルロス:ごめんなさいごめんなさい! コニー:まったく!普通の安物のワインならこんなに追っかけねぇが闇市で高値で買ったこいつを盗むのは訳が違うだろ! カルロス:闇市…!?闇市で出回っているんですかこのワインは…!! コニー:あぁ? カルロス:こ、この一本だけですか!それとも複数本ありましたか!? コニー:お、おい落ち着けよ カルロス:ダメだ…これが世に出回ってるとしたら… コニー:お、おい? カルロス:ッ!!店に居た方はこれを飲んだんですか!! コニー:あ、あぁ飲んだぞ カルロス:ッ!! 0:じたばたして振りほどき店に戻るカルロス コニー:おい!待て! 0: グラハム:遅いなコニー 0:勢いよくドアが開く グラハム:おかえりコニー…って君は…? カルロス:はぁ…はぁ…はぁ…あ、あの!! グラハム:な、なんだ? カルロス:この…このワインに口を付けましたか!! グラハム:え、あ、あぁ… カルロス:そんな…遅かった… 0:膝から崩れ落ちるカルロス グラハム:と、とりあえず落ち着くんだ。 カルロス:す…すみませ… 0:気を失うカルロス グラハム:おっと… 0:倒れたカルロスを抱えるグラハム グラハム:気を失った…?どうしたんだ…? 0: 0: 0: ベネッタ:それでどうなったんでしょうか室長 グラハム:一旦休憩しよう。この年になると長話が疲れてくるんだ ベネッタ:えー、聞きたい聞きたい聞きたい! グラハム:続きは後にしよう。もう夜だ、食事をしようじゃないか ベネッタ:では食事の後に話の続きをお願いします室長 グラハム:あぁもちろん。 0:しばらくして ベネッタ:では食事も終わりました。続きをお願いします室長! グラハム:わかったわかった。では続きを話そうか 0: 0: 0: カルロス:…ッは!! 0:勢いよく飛び起きるカルロス グラハム:目が覚めたかい? カルロス:ここは… グラハム:ここは僕の部屋だ カルロス:すみません先ほどは取り乱してしまって… コニー:本当だよまったく カルロス:えっとその… グラハム:早速だけどこのワイン… 0:机の上にワインを置くグラハム カルロス:それはっ…! グラハム:なぜこのワインを執拗に君は追い求めているんだ?教えてほしい カルロス:…ッ グラハム:言えない? カルロス:そのワインは… カルロス:そのワインは世界中の人々が望む万能薬なんだ… グラハム:万能薬?このワインがか? カルロス:はい…僕の住んでた地方で極秘裏に開発が進んでた特殊なワインでして… グラハム:ふむ… カルロス:その…不老不死と言うか… コニー:お、おいおい!いきなり何言ってんだ!? グラハム:不老不死…それは本当か? 0:黙ってうなずくカルロス グラハム:ふむ… 0:近くにあるペーパーナイフを手に取るグラハム コニー:お、おいグラハム?考え直せ? グラハム:ふんっ!! 0:自分の喉元に勢いよく突き刺すグラハム コニー:バカバカバカ!おい!何やってんだ! カルロス:待ってください…! コニー:待てるか!友人が目の前で喉元掻っ切ったんだぞ!? カルロス:見て!見てください!! コニー:あぁ!? 0:噴き出た血がゆっくり体に戻っていく コニー:な…なんだこれは… グラハム:…っはぁ!はぁ…はぁ…傷がふさがった…? カルロス:これが…万能薬です… グラハム:素晴らしい…こんな普通のワインが人智を超えた不老不死の薬だなんて… カルロス:名前は言えませんが大富豪のとある人がこれの開発を極秘裏に進めていたんです… コニー:それをなんでお前みたいなガキが知ってんだ? 0:家の近くに黒い車が一台止まる グラハム:しっ… コニー:ん? 0:ハンドサインで窓を指さすグラハム コニー:…なるほど。おいガキ カルロス:はい? コニー:話はあとだ。一旦こっちにこい カルロス:え?うわぁ 0:カルロスを抱え物置に隠れるコニー グラハム:コニー、ちょっといいか? コニー:あぁ? 0:しばらくして部屋のドアを叩く音 イシュー:夜分に恐れ入ります。グラハム・ラウダ様のお部屋でしょうか 0:ドアを囲むように銃を構える男達 グラハム:本当に遅い時間だが?今日は閉店だ。明日の朝十時に来てくれるかぃ? イシュー:すみません、急ぎの用事でして。今すぐに対応願いたいのですが グラハム:私の睡眠時間を遮ってまで話したい内容かい? イシュー:えぇ。勿論謝礼は弾みます。なので対応をお願いします グラハム:断る。と言ったら? イシュー:…恐縮ですが強硬手段に移らせていただきます。 0:銃を構える男達 グラハム:仕方ない。ドアのカギは開いてある。入ってきたまえ イシュー:失礼します。 グラハム:定員は一名だけだ。その取り巻きは入るのを遠慮してもらおうか 0:周囲を見渡しうなずくイシュー イシュー:では失礼します。 グラハム:ようこそ。グラハム探偵事務所へ。ガンゾラッゾ一家(いっか)のアンダーボスであるイシュー・ガンゾラッゾ様がどうしてこんなところに? イシュー:知ってましたか私の事を グラハム:この国で生きていれば誰もが知るマフィアですよ イシュー:それは光栄だ。 グラハム:それで?話と言うのは? イシュー:闇市で出回っている赤ワインの行方を追っているんだが我々ガンゾラッゾの若い奴らも別の稼ぎで手が回らなくてね グラハム:それで? イシュー:君が良くいくコニーのバーにその赤ワインが回ってきたという情報が入ってね グラハム:ほぅ? イシュー:私たちが一般人に手を出すことは国の法律で厳しく罰せられる。そこで友人である君からコニーの店にある赤ワインを盗んできてほしい グラハム:探偵が盗みを働けと? イシュー:もちろんタダとは言いませんよ?貴方の望む額を差し上げます グラハム:ドア越しでも言ってたが断ると強硬手段に移るんだろう? イシュー:えぇもちろん。 グラハム:なぜガンゾラッゾ一家がその闇市で出回ってる赤ワインを望むんだ? イシュー:理由は教えられません グラハム:探偵に盗みを働かすんだ。理由くらい教えてもらってもいいんじゃないか? イシュー:…頭領(ドン)から口外するなと言われてい… グラハム:不老不死の万能薬だから…じゃないのか? イシュー:…なぜそれを知ってる? 0:懐に手を入れるイシュー グラハム:ガンゾラッゾの頭領は権力と金だけを信じて突き進んできた男だ。地位と名誉を存続させるには自身が死なないで常にトップであり続ける必要があるから 0:席を立ちイシューの周囲を歩きながら説明するグラハム グラハム:と、言う探偵の単直な推理だが…どうやら当たったようだね イシュー:ガンゾラッゾを舐めるなよ街探偵ごときが… 0:懐の銃を強く握りしめるイシュー グラハム:そしてこんな夜中に私の職場に来たと言う事はわかってるんじゃないか? 0:イシューの肩に手を添えるグラハム グラハム:私がそのワインを持っているという事に イシュー:貴様ッ! グラハム:おっと… 0:懐に伸びた手を押さえるグラハム グラハム:ここは住宅街だ。君の憤慨で放った銃弾は寝静まった街に響く。ガンゾラッゾの名を汚す事になるぞ イシュー:…貴様、ただの街探偵じゃないな… グラハム:いえいえ、私はタダのしがない探偵ですよ 0:椅子に座り直すグラハム グラハム:では話を戻しましょう。なぜガンゾラッゾが赤ワインを望み、その赤ワインをコニーが持っている事に気付いたのかを イシュー:コニーが赤ワインを買い取った二時間後に我々が突き止めて行った時にはなかったからだ。そして闇市の商人がコニーに売ったと言ったんだ グラハム:そこまではいい。なぜ私が持ってる事に気付いた? イシュー:コニーの店前で張っていたら小僧がワインを持ち逃げコニーがそれを追いかけたのを見たからだ グラハム:ほう… イシュー:そして小僧が店に戻りしばらくしてお前が小僧を抱え家に戻っていったのを見たのを確認し、コニーが店を去った後、中に入りがさ入れした時にはなかったからな グラハム:…それはもう別の罪が出てきているが? イシュー:私が持っている話を全て出した。さぁワインはどこにある グラハム:普通に渡してあげたいが個人的にガンゾラッゾの不老不死は望まないんだよな… イシュー:なに? 0:窓を開け腰かけるグラハム グラハム:このワインを窓から捨てると言ったらどうする? 0:ワインを窓から突き出すグラハム イシュー:やめろ!!お前ら!! 0:ドアをこじ開けグラハムに銃口を突きつける男達 グラハム:殺してごらん?この手はすでに窓の外だ、落として割るぞ? イシュー:ふっ…ふははは!!バカだなお前は。 グラハム:何? 0:発砲しグラハムの胸元を撃つイシュー イシュー:私たちの仲間は下にも居るんだよ。 グラハム:なん…だと… 0:撃たれたはずみで手を放しワインを落とすグラハム イシュー:…割れた音はない。回収に成功したな。ここを去るぞお前たち 0:ぞろぞろと部屋から出るガンゾラッゾ一家 イシュー:グラハム・ラウダ。お前はガンゾラッゾにとって毒になる存在だったな 0:部屋を出るイシュー コニー:…ぃ…ぉぃ‥‥おい!おい! グラハム:…あ、あぁ…生きてるんだな コニー:あぁ、確実に心臓を撃ち抜かれたのにな グラハム:確かに… カルロス:よかったです…初めてあのワインを飲んでよかったと思いました… グラハム:あぁそうだな。…だがしかし 0:起き上がり帽子をかぶるグラハム グラハム:これから厄介な事が始まる。コニー、少年君らは巻き込まれる。動くぞ コニー:チッ…やっと平和な自分の店を持てたのに… カルロス:ごめんなさい… 0: グラハム:今日は一旦ここらで止めようかベネッタ ベネッタ:え!!どうしてですか! グラハム:見てごらん、もう月がのぼっている。この続きはまた明日にしよう ベネッタ:えぇ!聞きたい聞きたい! グラハム:華麗な淑女は夜更かしをするもんじゃないよベネッタ ベネッタ:うっ…明日は必ず話してくれますか室長 グラハム:あぁ、もちろん ベネッタ:約束ですよ! グラハム:あぁ約束だ。それじゃ今日は寝ようとしようか 0:Episode02へ続く