台本概要

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タイトル ヴィルクライム
作者名 あまくケイ  (@amak0331)
ジャンル ファンタジー
演者人数 4人用台本(男2、女2)
時間 60 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 「今日もまた、狂気の道楽が始まる」

ならず者のヴィラン達が集められた
スマイリーはその明るい眼光と、慣れた笑い顔で、手を広げていた

これは、力を持ったヴィラン達の狂戦劇

男2 女2
リグド、イデア、スマイリーは性転換可
悪いやつらが戦うアクションサスペンスです

12/29
修正後、アーカイブをいくつか聴かせていただいたところ
1時間2分くらいで大体終わっているので、70分→60分に変更しました

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
リグド 127 力に行使し、暴虐の限りを尽くすヴィラン 出身地では、ヒーローもヴィランも問わず、関係なく潰していた 破壊こそが己の欲求であると思いこんでいる
イデア 172 サティの配下 ヴィランの中でもランクが低い どれだけ瀕死の状態でも、冷静さを失わない
サティ 117 「暗帝(あんてい)の狂姫(きょうき)」と呼ばれるヴィラン 妖艶な外見と、狂気をはらんだ内面 ヴィランの中でも指折りの強さ イデアとは昔からの幼馴染であり、自分が楽しむための道具扱いをしている
スマイリー 106 ヴィランを集め、殺し合いを企画した少女 笑顔をたやさず、娯楽を楽しむ 一人称は「僕」 殺し合いこそ遊び場で、自分の欲求を満たすための手段
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
スマイリー:狂いの道楽 サティ:狂いの歓喜 リグド:狂いの暴虐 イデア:狂いの策略 スマイリー:君が見せてくれるのは、果たして何かな…? スマイリー:ふふ、ふふふ 0: 0: 0: リグド:集められたと思ったら、奇妙な場所だぜ リグド:まとめて壊しちまいそうだ サティ:知らない間に、入っていたようね サティ:これは、能力によるものかしら イデア:ヴィランの数が…多いな… スマイリー:レディース、アンド、ジェントルメン。いや、ヴィランズたち! スマイリー:命がけ! 悪者たちのサバイバルへようこそ! リグド:誰だてめえは? スマイリー:僕はスマイリー。君たちと同じヴィランさ サティ:そのヴィランが、同族の私達を集めて、お祭り騒ぎ? リグド:祭りもクソもあるかよ サティ:あなたに聞いてないんだけど? イデア:……何をしろと? スマイリー:戦いだよ、当たり前じゃん リグド:随分上から言うじゃねえか……コロッとつぶしちまいたくなるぜ スマイリー:怖いこという~ イデア:ここはどこだ? 俺達の街と、まるで造詣(ぞうし)がにているが スマイリー:ここは、僕の能力で作った「世界」 スマイリー:君たちヴィランが集まってる、裏社会当たり前の「ヴァールスター街」を土台につくったのさ スマイリー:もちろん、カスにもならない一般人は省いているから、そこんところヨロシク! リグド:笑顔で適当そうかと思えば……事前準備、万端かよ イデア:これが「初めて」ではなさそうだ スマイリー:その通り! もう何回目かな……おぼえてませーん! スマイリー:周りにいるヴィラン全員を倒したら、景品がでたり!なんちゃって! サティ:つまり、あなたが仕組んだゲームに生き残れと スマイリー:そういうこと サティ:おおがかりね。でも、いいわ サティ:機関のヒーローばかり戦ってもつまらないし、やってあげる。暇つぶしでね イデア:目的は? スマイリー:そこのお姉さんが言った通り。お・ま・つ・り スマイリー:ってことで、サバイバル、スタート! リグド:はっ!面白い! リグド:俺の名は「リグド」!! リグド:とっととおっぱじめて、全員つぶしてやるぜ! カスども! サティ:血気(けっき)盛(さか)んな人 サティ:騒がしいから、ここから離れるわ……行くわよ、イデア イデア:……あっ 0:サティは移動系の能力を使い、その場からイデアと一緒に消える スマイリー:どこまで行っても逃げられないよ~ スマイリー:お祭りで最後まで踊り続けた人だけが、出られる仕組みにになってるんだからさ リグド:どうだろうが関係ねぇ! てめえらまとめて殺しにこい!! スマイリー:わぁ、派手。さながら、暴れ放題系ヴィランかな? スマイリー:ふふ、いいね! スマイリー:さぁ、誰が勝つかな? 賭けた賭けた! スマイリー:でも賭ける人は、どこにいるんだーい!  リグド:邪魔だてめぇらァ! 暴虐乱闇(ぼうぎゃくらんこく)! スマイリー:ワンダフル! リグド君は一気にその手を黒く染めて、爪を伸ばし、ヴィラン達を切り裂いていく! スマイリー:僕たちには、体の中に「源」っていう能力を使うためのエネルギーがあるわけだけど……リグド君からは、まるで無限にあふれ出てくる泉ようだ! リグド:とどめだ! スマイリー:さらに、大きく跳躍し リグド:派手につぶれろ! スマイリー:巨大な手で、ヴィラン達をつぶしていく! リグド:……なんだなんだ、話にもならねえな スマイリー:わーお! みんなぐっちゃり! リグド:この辺りヴィランは、毛の生えてねえひよっ子ばかりかよ! スマイリー:その言いよう、君、はるばる別の地域からやってきたのかい? リグド:故郷は蹂躙済みだ。ヒーローもヴィランも、手ごたえがねえ スマイリー:へぇ~!見境なしと! リグド:そこにいるなら壊して潰す。理由を問いかける前に死を与える リグド:それで十分。俺の欲を……力を使って満たせればどうでもいい 0:リグドは手から、黒い玉のようなものを放つ スマイリー:その通りだよ、リグド君 スマイリー:……抜楽円満(ばつらくえんまん) リグド:なっ!? 後ろに?! スマイリー:力は使わないと、楽しくない スマイリー:僕はこうやって空間を操ることができる。 スマイリー:だから、僕がつくった遊び場で、殺しあってよ! リグド:「殺しあえ」か。本当に上から目線だな、てめえ スマイリー:そう。殺しあう姿こそ、非情と歓喜のエンターテインメントなんだからさ! リグド:満面の笑みでいってくれるが、周りを見てみろ スマイリー:……ありゃ。みんな、倒されちゃってるぅー リグド:ここにヴィランはいない、俺が全員つぶした リグド:だからてめえも……笑顔ごと潰れてくれや リグド:暴虐乱闇(ぼうぎゃくらんこく) 弾(だん)! スマイリー:あーあー、そんなに撃ってきてさ~! スマイリー:主催者を、潰してどうするの? 0:スマイリーは、リグドの撃つ「玉」を軽々と避けていく リグド:考えてねえよ、んなもん! リグド:バカでけえ怪獣がいちいち、今から子供を迎えに行く母親のこと考えながら、踏み潰すか? リグド:理由なんて求めたところで、中身は空っぽだ スマイリー:空っぽなのに、殺戮(さつりく)の限りを尽くすのかい? リグド:ヒーローもヴィランも……俺を監視していた施設の人間でも、力をもって蹂躙する リグド:じゃねえと、この破壊衝動は収まらねえ スマイリー:じゃあまずはそれを、僕じゃなくてサティ達に提供してあげてよ スマイリー:彼女たちなら、あっちじゃないかな? スマイリー:僕は……こっちだけどね~ 0:スマイリーはリグドの近くに転移し、リグドが振り向いた瞬間、スマイリーの槍が彼の顔近くにあった リグド:クソが、ちまちま逃げやがって…… スマイリー:さぁさぁ、次のシーンに、行ってみよー! 0: サティ:邪魔、弱い。 サティ:「痛白残光(つうはくざんこう)・刈(かり)」 0:サティは迫りくるヴィラン達を、白くゆがんだ鎌で斬っていく イデア:「スパイクウェイブ!」 0:イデアは手からとげとげしい「波」を出し、ヴィランに応戦する サティ:イデア、後ろよ。たくさんヴィランが来てる イデア:えっ? サティ:ほら、倒されにいって 0:サティはイデアの背中を蹴る イデア:が、ぁああ! サティ:ぶっ! 袋叩き……おもろ! サティ:ごめんごめん、死んじゃうよね……はい、終わり 0:サティはイデアを取り囲んでいたヴィラン達を倒す サティ:痛い? 大丈夫? イデア:…別に……うっ サティ:どのあたりが痛かった? イデア:……後頭部、背中、足 サティ:あは! いい表情してたね、イデア サティ:次もヴィラン達が襲ってきたら、お願いね イデア:……暗帝の狂姫(あんていのきょうき)がやるとは思えない、愚行(ぐこう)だ サティ:へぇ、そんな態度取るんだ……ほれ!! イデア:ぐっ……! サティ:まだ体が治ってないうちに、傷口を… サティ:この辺りかな、ぐりぐりと!! イデア:あ……が…… サティ:はい、ここまで。私のために、次もやられてね、イデア イデア:得策じゃないと、思うが サティ:私が見たいからよ、まだわからないの? サティ:あぶなかったら助けてあげる サティ:ギリギリのところで、貴方を助けて サティ:傷つけて、痛めつけて、死にかけたところを助けて、傷つけて、殺し掛けて、ごめん大丈夫って謝って、あなたの心を汲み取って、また縛って、傷つけて、蹴って、また汚して、苦しくなったら包んであげて、首を絞めて、また縛って、殴って、焼いて、刺して、傷が出来たところをなでてあげて、また刺して、暗い所に閉じ込めて、口を縛って、明るいところにだして、辛かったねって言葉をかけて、唾をかけて、また蹴って、殴って…… イデア:……っ サティ:『やってることは、いつもと変わらないでしょ?』 サティ:ね? イデア? イデア:…… イデア:(力が覚醒し、もう1か月経過した) イデア:(凄まじい勢いで強くなった、このサティの台詞は、何回聞いたことだろう) 0:そこに、リグドとスマイリーがやってくる リグド:なんだ。血の海じゃねえかこっちも スマイリー:わーお! お見事なレッドオーシャン! サティ:人のこと言えないわね、それ リグド:あ? サティ:血まみれの衣装が「そうだ」って、ものがたってるわよ。リグド リグド:そういうてめえは、血で汚したことなんざ、何回もあるだろう? リグド:……「暗帝(あんてい)の狂姫(きょうき)」、サティ サティ:まぁ。異名を覚えてもらってるなんて、嬉しい スマイリー:聞いたことあるね…。この辺りでも指折りのヴィランだとか リグド:もはや奴が最強つっても、過言じゃねえ リグド:で、隣にいるのが…… サティ:私の下僕。イデアよ サティ:ほら、挨拶して イデア:そんなことしてどうする サティ:しなさいよ リグド:雑魚に用はない。俺に潰されろ、サティ サティ:嫌よ気持ち悪い サティ:代わりにイデアがつぶれてくれるわ リグド:はぁ? リグド:中ボスにもならねえだろうに サティ:まさにその通り……ふふ、私がいたぶるイデアをみたいだけだもの リグド:悪趣味なやつだ スマイリー:なるほど! よくあるパターンだね! スマイリー:ゲームでも、弱いボスから退場していく リグド:ゲームでもなんでもないだろ スマイリー:いや、僕のゲームだよ? イデア:現実だ スマイリー:ここで軽く牙を見せときたい下っ端のイデア君! リグド:あぁーご、ちゃごちゃしてきやがった リグド:体がくそったれにかゆいぜ サティ:いいじゃないの、そのまま体かきまくって、皮膚やぶいたら リグド:その前にてめえの皮膚を破いてやる リグド:……ま、そのついでに、下っ端も潰れてくれや イデア:簡単に潰されるつもりは、ないんだが リグド:イキんなよ リグド:……さっきの、名前もわからねえヴィラン共もそうだが、弱い奴は、強い奴の攻撃に「いつの間にか」一緒に喰らっちまってるもんだ。「強力」は、1人1人認識している暇はない リグド:これがまとめて、俺に潰される道理だ イデア:そんな道理、知らないな リグド:……おいおい、マジでやるのかよ リグド:生まれそこねた小鹿みたいなやつなんだろうが、簡単にくたばんじゃねえぞ? イデア:お前を倒して生き残る。俺はこのサバイバルから抜けて、元の生活に戻りたいだけだ リグド:「元の生活」? はっ。普通の人間みてえな事いうなよ! サティ:イデア、もうちょっとマシな冗談言わないと スマイリー:呆れられてるじゃーん。君ほんとにヴィランかい? スマイリー:もういっそのこと、殺され方の勉強を一回してきたら?  イデア:ヴィランに意味は必要かい? スマイリー:ぶっ。はは!それ本気で言ってるの? スマイリー:ヴィランは、明確な悪 スマイリー:力をもって、それを自由に行使する! スマイリー:のびのびと自己表現をすることが、最大の楽しみなのよ スマイリー:それをしないヴィランなんて、世界中、何処を探してもいないんじゃないかな サティ:ヴィランは「力」があることで成り立つ サティ:力こそ、最高の道具で、最高の快楽で、最高の表現 リグド:力がありゃ充分だろ サティ:あなたは何もないのかしら? リグド:潰れた先に、力が残る リグド:そして、力とは俺だ。それ以外はただのガラクタにすぎない サティ:勿体ないわね 0:そう言ってサティは少し、イデアを見やる サティ:それにしても……あーあ、イデア。本当に本当に、恥知らずの極みね サティ:力に目覚めた時から、ずーっと、あなたは変わらず一緒 サティ:でもそれが、逆にそそっちゃう サティ:だからもっと、いっぱい、やられてよ サティ:貴方が死にかけたところで、そこの脳筋ヴィランを殺すから サティ:だから、『私』のために、死にかけて イデア:……これが終わるのなら、いくらでも リグド:俺が殺される前提で、勝手に話を進めてんじゃねえ サティ:あれ? 貴方の名前は一度も読んでないけど? サティ:自分が脳筋そのものだっていう自覚があるのね  リグド:アバズレ女でも、もう少しまともな冗談を言うぜ リグド:それとも下僕をいたぶるしかできない、脳無し女か? サティ:……へぇ スマイリー:ちょっとちょっと、煽り合戦もいいけどさ……戦わないとお祭りにならないんだから~ スマイリー:ほら、はーやーく! サティ:気を急かさないでよ。 サティ:今ちょうど、このクソ脳筋をどうやって殺そうか考えていたのに リグド:今から戦うんじゃねえか、うるせえガキだぜ イデア:なら、戦う前にケリをつけよう イデア:「スパイクウェイブ」……! リグド:あ?  リグド:なんだこりゃ 0:リグドは軽く、手から出したイデアのエネルギー波を手ではじく イデア:……! なっ! リグド:かーっ。話にならねえ リグド:突然攻撃してきたかとおもったら、これか? サティ:ぶっ(吹く) リグド:初めて会ったぜ、こんなひ弱 リグド:暴虐乱闇(ぼうぎゃくらんこく) イデア:ぐ……あ…… リグド:……冗談だろ? リグド:弱いなんて言葉をかけるのもめんどくせぇ イデア:ま、まだ! リグド:暴虐乱闇(ぼうぎゃくらんこく)! イデア:ぐ……がぁ……! リグド:マジで勘弁してくれよ!! 本気の本気か!? 呆れるぜ! リグド:そんな毛が生える程度の能力で俺を倒せると、真面目に思ってんのか! リグド:身の程を一回、てめぇの裸、舐めまわして確認して来い! サティ:無様……くく、無様、無様 サティ:やばい、面白くてお腹痛い サティ:ねぇ、トイレ行っていい? スマイリー:だめだよー。今はお祭りの最中なんだから スマイリー:ほら! もっと我慢我慢! サティ:はぁ、じゃあどうすれば…… サティ:あ。そうか、イデアをトイレ代わりにすればいいのか サティ:リグドに百の針をさしながら、イデアを台座代わりにして…… スマイリー:へぇ、暗帝(あんてい)の狂姫(きょうき)ってこんな人なんだね スマイリー:うん! いい感じに狂ってる。狂いの気分がうつってきた スマイリー:歌でも歌おうか! いや、自分で歌を作ってしまおうか! サティ:……あぁ、最高。イデアをなぶる音が、興奮を、そそる……そそるわ… サティ:あぁ、リグド。イデアをもっとなぶってくれない? リグド:お前におもちゃ屋で買われた覚えはねえ サティ:お礼に、たっぷりとあなたも滅茶苦茶に殺してあげるから サティ:何がいい? 針? 火? それともひたすら蹴られたい? サティ:特別に選択権をあげるわ、リグド。あなた強いから リグド:その前に、針も火も、お前の口ん中にブチこんでやるよ スマイリー:うーん……見学はもったいないなぁ、サティ サティ:どうして?  スマイリー:いいかい? 祭りは参加してこそ意義がある!  サティ:あなたが観戦したいだけじゃないの、それ スマイリー:当たり前のこと聞かないでよ スマイリー:僕が気になるのは、イデアの状態。こんなにやられてるのを見てるだけなんて、虫唾を頑張って走らせようとしても、走らないくらいにつまらない スマイリー:だから……君と、リグドと、イデア、3人で平等に遊んでよ! リグド:クソ道化が。俺に命令するな スマイリー:だーめー。ゲームマスターにはいつだって強制させる権利があるのですよ リグド:表の世界を剥奪されたヴィランに、一体なんの権利があるってんだ? リグド:てめえの能力は厄介だから、後回しにしているだけだ、クソ道化 サティ:だからこうしてるんじゃないの…リグド サティ:痛白斬光(つうはくざんこう) リグド:ぐっ……! なんて数の針だ畜生! サティ:くたばれ、脳筋野郎 リグド:放っただけでこの広範囲……うざってえ! スマイリー:これはっ! サティの手の中から、無数のトゲが現れたぁ! リグド:暴虐乱闇(ぼうぎゃくらんこく)! 0:リグドはサティの攻撃を強化した手で、一気に弾き飛ばす サティ:やるわね。なら、これは? サティ:痛白斬光(つうはくざんこう) 突(とつ)! リグド:光の針をまとめて……なるほど、レーザーのように射貫(いぬ)くと! リグド:上等だアバズレ! サティ:せいぜい吠えてるがいいわ……!  サティ:あぁ、吠えるといえばそうねぇ。イデアが下僕なら、リグドは駄犬といったところかしら? サティ:ほら、私の靴を舐めろよ、駄犬 リグド:なら、歩けないように噛みちぎってやるよ! リグド:暴虐乱闇(ぼうぎゃくらんこく)・頑(がん)!! 0:リグドは、巨大な黒い手でサティの攻撃を止めて、そのままの勢いで、サティに攻撃を加えた スマイリー:おおおお! これは! リグド君! スマイリー:本物の! 脳筋ヴィランですねぇ! 攻撃を攻撃で押しつぶすのは、君くらいだよ! スマイリー:(小声で)……でも、この調子なら(真面目なトーンで) イデア:……っ?  スマイリー:(小声で)……できなくもないね イデア:(……スマイリーの声音(こわね)が変わった? ……表情も、一瞬、違うように見えたが……一体) サティ:クソ馬鹿力っ…なかなか死なないわね サティ:今までのヴィランじゃ、手も足も出ずにやられっぱなしだったけど…意外とやり手? リグド:大きな土地を、ひとつ蹂躙できるくらいには サティ:あっそ。すぐ殺すけど サティ:……いえ、殺すのはもったいないか サティ:たくさん刺して、丸焼きにして、ぐちゃぐちゃに潰してあげるわ サティ:リグドは潰すの好きだから、たーくさん潰してあげようと思って! ふふ、ふふふ! リグド:潰すこと快楽じゃねえ、手段だ。自己解釈は辞めろ、脳無し サティ:脳無し……クク サティ:あなたは、世界丸ごと穴あきにするくらい、痛めつけてあげるわ リグド:穴あきに出来る体が、てめえに残っていればの話だな リグド:そこの下っ端のように イデア:…腕が……一本やられた サティ:……イデア。死にぞこないの肉片 サティ:なぜ貴方、ずっと肉片でいるの? 早く立って、動いてよ イデア:うっ…… サティ:痛白斬光(つうはくざんこう) イデア:…が、あああ! スマイリー:わぁ! 尋常じゃない針が、イデア君の身体を! サティ:お仕置きよ サティ:リグド相手に、一つも手も足もでなかった罰 サティ:ほら、死ね サティ:死ね、死ね死ね死ね死ね死ね!死ね死ね死ね!!死ね!! イデア:ああああっ! サティ:あぁごめん、ごめんやりすぎた! サティ:冗談よ冗談、死ねって言いながら殺さないギリギリのところをついてるんだから サティ:ごめんね? 大丈夫? ねぇ? ねぇねぇ? イデア:ぁ……が……っ リグド:隙だらけだ、アバズレ! サティ:っ! スマイリー:おーっと、イデア君なぶりに集中していたサティちゃんに、リグド君の鋭い暴力が襲い掛かる! リグド:暴虐乱闇(ぼうぎゃくらんこく)! 0:リグドの攻撃を、サティは避けて後ろに下る サティ:……うざったいわねぇ、その攻撃。デカすぎて リグド:嫌なら喰らって、壊れちまえや サティ:壊れる? 勿体ないこというのね リグド:んだと? サティ:人は壊さないほうが楽しいのに サティ:痛めて、痛みつけて、その苦しみを味わう サティ:助けてほしい声が、私の耳に届く時、体の中の神経が興奮するのよ リグド:はっ! 地味なことだそいつは! リグド:できてるもんは、壊れるためにある リグド:目の前にある、有象無象の「もの」は、俺の破壊欲求を満たしてくれる必要なもんだ。壊さなきゃ話にならねえだろうが サティ:あなたの理屈は、つくづく肌に合わないわね リグド:同感だ サティ:痛めつけてから リグド:一瞬で サティ:殺してやる(同時に) リグド:殺してやる(同時に) サティ:傷と苦しみの先 リグド:破(は)と崩壊の果て サティ:もがき苦しめ リグド:砕け散れ サティ:傷苦(しょうく)の リグド:壊撃(かいげき)の サティ:痛白斬光(つうはくざんこう)! リグド:暴虐乱闇(ぼうぎゃくらんこく)! サティ:苦しめ脳筋がぁああああああ! リグド:潰れろアバズレぇえええええ! 0: 0: イデア:(しばらく、リグドとサティの戦いが続き、俺は腕をかかえて、それを眺めていた) イデア:(いや、今は眺める事しかできない) スマイリー:何もできない スマイリー:力がでない。あぁ、哀れな自分 スマイリー:なんで僕はこんな力を持ってしまったの。……そう思ってない? イデア:…スマイリー。何の用だ スマイリー:協力してあげようか? イデア:協力? スマイリー:このままリグドとサティにやられ放題で終わる気? イデア:俺をやらないのか? 今がチャンスだぞ スマイリー:…お兄ちゃんと似てるので、やりません イデア:…なんだと? スマイリー:僕が何も考えずにこれを仕組んだと? スマイリー:…このヴィランゲームは、僕の復讐だよ イデア:……それが動機か スマイリー:うん。お兄ちゃんを殺したヴィランは……誰かは分からないけど スマイリー:探すより、まとめて集めて殺したほうがいい。そう思ったんだ イデア:…効率のいい選択は、嫌いじゃない スマイリー:イデア。君はやられてきたほうだし スマイリー;気持ちはわかる…と、思うけど、どうかな? イデア:この状況が打破されるのなら スマイリー:…分かってくれるってことで、その言葉、聴いたからね イデア:…… スマイリー:…彼らが衰弱しきったところを、僕がやるから スマイリー:君は彼らにとどめをさして イデア:わかった スマイリー:今までやられてきた痛みを、苦しみを スマイリー:憎しみにして、復讐にして返そうよ、イデア君 0: 0: リグド:やるなぁおい! サティ:くそ……こいつ、思った以上にうざったいわね リグド:蹂躙のしがいがあるぜ! 暗帝の狂姫(あんていのきょうき) リグド:ただ、少しばかり俺のほうが、上をいっているみたいだな サティ:聞き捨てならないわね、駄犬のくせに サティ:犬ならワンワンと、みっともらしく吠えなさいよ リグド:そういう部分だ、サティ リグド:お前はいたぶるために力を使う リグド:俺は壊すために力を使う リグド:「いたぶる」と「こわす」 リグド:どちらが放った技に、軍配が上がると思う? サティ:馬鹿力の高い方が有利っていいたいだけでしょ? サティ:それを言うくらいなら、鳴いてたほうが性に合ってるわよ、駄犬ちゃん サティ:「僕は強いんだワン、最強だワン」って サティ:ほら、吠えてよ リグド:あぁ、わりい。聞いてなかった サティ:……へぇ サティ:死(し)に殺(ごろ)す! スマイリー:盛り上がってるね~ リグド:……っ?! がはっ!  スマイリー:疲弊してきてるのが、僕でもわかる スマイリー:ほーら、サティも! サティ:ぐっ!? 0:いつの間にか、リグドとサティの後ろを、スマイリーがとっていた 0:スマイリーは手から槍を出し、それを使い、二人の背中を攻撃した スマイリー:抜楽円満(ばつらくえんまん)! 走(そう)! スマイリー:ほーらよっ! リグド:この野郎……やっぱりそのつもりじゃねえか、スマイリー スマイリー:ここが僕の空間なら、僕自身も自由に移動できる スマイリー:こんな風に速く、美しく、強く! サティ:痛白斬光(つうはくざんこう)! リグド:暴虐乱闇(ぼうぎゃくらんこく)! スマイリー:お~っと危ない危ない、それ! リグド:ぐおっ! サティ:このガキ…… スマイリー:いくらヴィランの力を持ち、普通の人間より丈夫な体になれたとしても スマイリー:呼吸している者は全て、体力の限界ってものがある スマイリー:……さぁ、イデア君 サティ:イデア……? スマイリー:僕と彼は手を組むことにしたからさ サティ:なんですって? イデア:…… リグド:…? スマイリー:何を躊躇しているの? スマイリー:まさか、憐(あわれ)みの心があるとか、思ってないよね? リグド:最後には弱い奴が、手を下すと サティ:…ふふ リグド:(…サティが笑った? どういうことだ?) リグド:(…それに…イデアの野郎。…奴も、何か) リグド:(ビビっちまってるとか…そういうレベルの話か? ここまできて?) リグド:(それともまだほかにも……何かが?) イデア:…スパイクウェイ スマイリー:はーーーーーーーーーーーーーーーーーい!! スマイリー:残念無念、またらいねーーーーん!! 0:スマイリーに勢いよく、イデアは短剣で斬られた イデア:ぐっ…!がぁぁぁぁぁぁ!! サティ:…っ!? スマイリー:だまされた~だまされた~。おバカなイデアはだまされた~ イデア:この……攻撃は、能力か? スマイリー:いや~ただ斬っただけだよ、愚かなイデア君 スマイリー:ヴィランなら、うそついて当たり前だろ~! スマイリー:最初から私は一人っ子! スマイリー:お兄ちゃんなんていないんだよ!バーーーーーーカ! イデア:……くっ スマイリー:集まったヴィランを戦わせて、最後の最後まで命削って戦って残って スマイリー:それがピークに達した時、ぜーーーんぶかっさらう! スマイリー:あんなに必死こいて、力を尽くして、 スマイリー:お互いに言葉を叫んで罵り合って戦って、最後には力が消耗し スマイリー:少し勝てる見込みがあると思っていたイデア君の心をくみとり、「復讐」という美しいとどめを彼にさせようとしたところで、ストップ! スマイリー:僕が美味しいところをまるごと、いただきまーす! サティ:最初から、そのつもりだったのね リグド:結局、全員まとめてか スマイリー:にゃは、にゃははははははははは!! スマイリー:あー!おもしろい!おもしろい! スマイリー:これなんだよね~一番楽しいときって! スマイリー:とくにだーい好きなのは、タネあかしが判った時の「なんだって~!?」っていう心境丸見えの、あの無様な顔をさらす瞬間! スマイリー:騙されたときの、馬鹿丸出しの顔! 出し抜いた僕! スマイリー:みんな、僕の遊び場だってことを忘れて、馬鹿みたいに争っててさぁ!  スマイリー:最後に僕が全員殺すことが決まっているのに…だよ!? ぶっ、くくく! スマイリー:いやぁ~面白い! だますって、生涯で一番楽しいことだよねぇ~! サティ:ひどい道楽ね スマイリー:さいっっっこうの道楽さ! スマイリー:物語だって、一番山場になったところで目立つのが楽しいでしょ? スマイリー:僕が主役で、僕だけの舞台で、僕こそが最高のエンターテイナー! スマイリー:そう! 僕は目立ちたくてが仕方ないッ!! リグド:クソ道化が……、ふざけたことしやがって スマイリー:そして~! イデア:……うっ スマイリー:サティ君の大切な下僕 スマイリー:僕にだまされた、哀れで、救いようのないヴィラン! スマイリー:その名も、イーデーアーくーん! スマイリー:じゃじゃーん! イデア:うっ…! スマイリー:サティちゃんとリグド君が死ぬとなれば、当然イデア君も死ぬわけだけど スマイリー:でもそうだねぇ、サティちゃんとイデア君には繋がりがあるから スマイリー:それを最後までかき乱したいし……じゃあ、イデア君で遊んでみましょう! イデア:……どう、するつもりだ? スマイリー:「どうする」? スマイリー:こうするのさ……! スマイリー:必殺のぉぉ! 抜楽円満(ばつらくえんまん)! 0:スマイリーが空間から槍を出し、イデアを勢いよく刺す イデア:が…………ぁ…あああ! スマイリー:にゃははは! 人のおもちゃを壊すのって楽しい! スマイリー:だってここは、僕の遊び場なんだからさぁ! 何してもいいよね!いいよねぇ! サティ:イデア! スマイリー:力こそ、道楽。相手より優位だから、面白い スマイリー:それを感じれば感じるほど、心から笑える……! スマイリー:力があればあるほど、もっと遊べる……! サティ:イデアを殺すのは許せない!! サティ:あなたが死んだら、もう虐める事ができないじゃないの!! リグド:とっととくだらねえ遊びは諦めろ リグド:どちらにしろ、あいつは終わりだ リグド:だったら最後まで力を、出せるところに出すだけ……それがてめえのはらわただ!暗帝の狂姫(あんていのきょうき) リグド:暴虐乱闇(ぼうぎゃくらんこく)! サティ:邪魔を……邪魔をするなぁ!! サティ:痛白斬光(つうはくざんこう)! 0: 0: スマイリー:あーあ。あんなみじめに争っちゃって~。滑稽(こっけい)だな~ スマイリー:…どうだい、イデア君 スマイリー:僕も、ちょっとは君の仲間になってあげようかなぁ~って考えてたんだよ? スマイリー:サティにやられ続けて、リグドにも倒されて。味方がいないイデア君 スマイリー:そんな時に手を差し伸べて、あたかも君を信頼しているようにふるまう スマイリー:…最終的にだましたんだけどね!にゃははは! イデア:く…ぁ スマイリー:ねーねー、感想はどうかな? イデア君 イデア:…… スマイリー:……あー。黙るだけ、ね スマイリー:それさ、エンターテインメントとして、一番「つまらない」んだよ……! 0;スマイリーがイデアを足で踏む イデア:ぐっ……! スマイリー:君、結局、何もしてなかったね スマイリー:おもちゃとして、最悪だよ イデア:最悪だったら? スマイリー:ちょっと面白そうだと思って、いたぶってみたけど…… スマイリー:これでサティは遊んでたの……? まるで不良品を買わされた気分だよ。つまんないの スマイリー:それじゃ、これでとどめ スマイリー:生まれる人生を間違えたヴィラン君 スマイリー:ばいばい…… スマイリー:にゃっはははははははははははははははははははは! 0: 0: 0: 0: イデア:悪無流転(あくむりゅうてん) 0: 0: 0: 0: リグド:……あ? サティ:えっ……? サティ:……痛白斬光(つうはくざんこう)が、出ない? スマイリー:僕の、僕が造った能力の世界が……? 消えていく? スマイリー:え、なんで? なんで!? イデア:……よし。体は治ってる サティ:イデアの傷が……回復している? イデア:暴虐乱闇(ぼうぎゃくらんこく)、痛白斬光(つうはくざんこう)、抜楽円満(ばつらくえんまん)。君たちの攻撃は全て受けた イデア:おかげで助かったよ スマイリー:……イデア君? まさか君の仕業、なんてことは、ないよね? イデア:仕業? ああ、別に今考えたことじゃない イデア:元々、この予定だったさ スマイリー:……え? イデア:「悪無流転(あくむりゅうてん)」は、自分が喰らった能力……その主(ぬし)の源(みなもと)を吸収して、それを自分の力に転換できる イデア:その発動時間は、一瞬さ。能力が使えない自覚を感じられないほど、一瞬でね リグド:なに? イデア:お前達が、僕の体に能力を刻んでくれたおかげで、僕の体が源(みなもと)の味を覚え、無事に吸収することが出来た イデア:要は、形勢逆転だ サティ:……そんな能力、はじめて イデア:話したら計画は実行できない イデア:流石に全てのヴィランを吸収するのは、体が壊れてしまう危険性があったが。君たちだけなら、何とでもなる リグド:……利用したってことか……? イデア:ああ。…それで、これが僕の、本当の能力……。悪夢流転(あくむりゅうてん)で吸収した、ヴィランのエネルギーを元に使える能力だ。 イデア:形状は、俺の記憶から引っ張り出してくる 0:そういってイデアは、手から、白と黒が混ざったエネルギー体を出現させる イデア:その名も「ヴィルクライム」 イデア:……武器は…うむ、なんでもいいんだが……銃にするか 0:イデアは手から黒と白が混ざった何かを出し、それを散弾銃の形にかえる リグド:舐めた真似してくれるじゃねえか…… リグド:暴虐乱闇(ぼうぎゃくらんこく)!!  リグド:…っ、出ねえ? イデア:使えないと言ったはずだけど? リグド:……おい、おい、おい……!!それは……俺のものだ! リグド:俺の、俺の力を返せ!  イデア:それをしたら意味がない イデア:ヴィルクライム、アクト 0:イデアはヴィルクライムから弾を放った リグド:が……あぁ……! スマイリー:ひ、ひっ! リグド:なんだ、こりゃ……? こんな簡単に……体が……? イデア:ああ、いい忘れてた。俺に「源(みなもと)」を吸収された能力者は、普通の人間に戻る イデア:感覚も運動能力も、全部。源(みなもと)が覚醒する前の状態に リグド:……ふざけんな!! リグド:それがなきゃ、壊せねえ、潰せねえ、蹂躙できねえ……! リグド:それが……それが……なきゃ…… イデア:ヴィルクライム、アクト 0:銃声が鳴り、リグドが撃ち抜かれる リグド:が…………ぁ……ぁ リグド:……お……おれの……力……が イデア:……少し力加減を見誤ったか イデア:ならこれで、もう一発 0:銃声がなる イデア:…ただ、源が抜けたばかりの時は、ヴィランの感覚が残っている イデア:覚醒と縁のない普通の人間なら一発で死ぬが……感覚が混在しているのだろう イデア:面倒なものだ、まったく 0:そのあと、イデアは銃型のヴィルクライムにエネルギーをチャージする イデア:……ヴィルクライム、リロード完了 イデア:残り二人 スマイリー:……な、なに スマイリー:なんでこんな、リグドがあっさりと殺されるのさ…… スマイリー:なにこれ、なんだこれ、どういうことこれ! スマイリー:ちょっと待ってよ、待てよ!待て!  スマイリー:聞いてない聞いてない聞いてない! スマイリー:そんな能力があるなんて話は! イデア:「ヒーロー機関から聞かされてない」? スマイリー:っ!? イデア:そうだな……そうだ イデア:君は裏で、「ヒーロー機関」と繋がり、ヴィランサバイバルを開催した イデア:そこで全員を戦わせ、最後に生き残った強いヴィランを殺す。 イデア:その結果、ヴィランを駆除した報酬としてヒーロー機関からお金をもらう予定だった スマイリー:……なんで、それを? イデア:ん? それはもちろん。知っているからさ スマイリー:知ってるって……だから、その話を イデア:ヴィルクライム、アクト 0:イデアはスマイリーの足を撃った スマイリー:あ…あぁぁぁああ! スマイリー:痛い、痛い! 痛い痛い痛い痛い痛い!! イデア:こほっこほっ。すさまじい断末魔だ イデア:大声とか笑い声とか、昔から、部屋に舞うホコリだと思ってたけど イデア:君の口からは尋常じゃないくらいでるな スマイリー:嫌だ……嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!! スマイリー:辞めて、辞めて、辞めて! もう嫌です!辞めてください辞めてください!助けてください! イデア:力を失った瞬間に、やけに焦るな イデア:よほど、君にとってヴィランの力は、メリットがあるものだったらしい イデア:それがあったから、笑顔をひきつれて、自分が操作できる「殺し合い」を楽しめた………。違うかい? スマイリー:あ、あ、ああ、あああ イデア:おお。どうどうどう。ゆっくり、ゆっくり。 イデア:大丈夫大丈夫。整えて、息を スマイリー:ふーっ、ふーっ、ふーっ イデア:そう、ゆっくり 0:イデアはスマイリーをなでる イデア:落ち着いて、落ち着いて、よしよし イデア:……まず最初に。俺はヒーロー機関の人間だ スマイリー:……え…? イデア:施設に居た頃、サティや俺が力に目覚め、ヴィランとして覚醒を果たしたころだ。……俺は彼らと契約を結んでいた。 イデア:そこで頼まれた仕事は、当時機関が邪魔者としてマークしていたスマイリーを殺す事だ。 イデア:まず、ヒーロー機関がサバイバルを促すように焚きつけ……最後は俺が殺すようになっている スマイリー:……い、意味が……。……意味がわからない イデア:結論から言うと、君は騙されてた イデア:それだけ スマイリー:…嘘だ イデア:ほんとうだ スマイリー:なんで、なんで、なんで スマイリー:……こんなの現実じゃない、嫌だ スマイリー:僕は、僕は、遊びたいだけだったんだ!でも、パパとママが遊んだらぶってくるから、なんで遊んじゃいけないのって言ったらまたぶたれて、でもそのあと僕は力を手に入れて、自由になって、あいつらを殺して、もっと遊びたくなって、だから、だから イデア:俺にそれを言われてもな スマイリー:あぁ…死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない……! イデア:静かにしろって 0:イデアはスマイリーの口をふさぐ スマイリー:んん、んん、んん、んん!! イデア:あまりホコリを出さないでくれ イデア:ヴィルクライム、アクト 0:スマイリーは、ヴィルクライムで腹を撃ち抜かれる スマイリー:んんんんんんん!んんんんんんっ! イデア:あぁ…手が君の唾液だらけだ イデア:悲鳴というホコリつきで、どうにも汚すぎる 0:イデアはスマイリーの口から手を放す スマイリー:ごめんなさい……ごめんなさい……ごめんなさい…… イデア:俺に謝ってどうするのさ イデア:君は自分に従ったんだ イデア:その行動の罪を、他人に問うてどうするんだい? スマイリー:裏切ってごめんなさい、騙してごめんなさい、傷つけてごめんなさい スマイリー:なんでも、なんでもしますから……なんでも イデア:…なんでもか。…スマイリーは、最後まで笑いを絶やさないとヒーロー機関から聞いた イデア:となれば、ここで笑顔を絶やしてくれないと、正確な報告ができない可能性がある イデア:今日、初めてあった人に頼むのは申し訳ないが イデア:笑ってくれないか? スマイリー:は……はは イデア:そうそう イデア:でも、もう少し欲しいかな スマイリー:ははは……はは、はは イデア:うん、うん…… スマイリー:あはははははは イデア:ん? ……「にゃはは」じゃなかったか? スマイリー:にゃははははは! にゃはははははははは!! イデア:ああ、もういい イデア:十分だ 0:スマイリーが笑いを辞める イデア:やりすぎも良くない……。くどいのは無駄だ スマイリー:……これで、許して イデア:(かぶせる)ヴィルクライム、アクト 0:イデアが撃ち、スマイリーは頭を撃ち抜かれた イデア:残り一人 0:そのあと、イデアは銃型のヴィルクライムにエネルギーをチャージする イデア:ヴィルクライム、リロード完了 イデア:……ん? サティが居ない…? サティ:…っ!! 0:イデアはサティに刺された イデア:…後ろから。これは、短剣か サティ:なに、思い出す? 思い出すよね! イデア! イデア:ああ、それは サティ:私が、能力でいじめ飽きた時に使ったおもちゃよ! サティ:ヴィランの力がなくても……ほら サティ:ぐりぐりと……肉をえぐって……! イデア:邪魔だ、はなれろ サティ:うっ……!? 0:イデアは軽くサティを突きはなす イデア:……刺し傷もすぐに治っていく イデア:どうやら、サティ達から吸収した力は結、思った以上に大きいらしい サティ:……! イデア:残りは君だけだ、サティ サティ:…イデアは……私を。……私を、殺すの? ……ねぇ サティ:殺すんだよね? イデア:そうだが? サティ:その、憎悪にまみれた心で、私を殺すんだよね? イデア:えっ? サティ:あはははは、はははは、はははははははははははははは! イデア:……はぁ。スマイリーといい、笑うのが好きだな、君も イデア:笑い声は……こほっ。ホコリが舞う サティ:いいよ! いいよ殺しても!  サティ:その憎悪はずっと残り続ける!それはなぜか サティ:私が、いつもいつもいつも、あなたを痛めつけていたから! サティ:私があなたに加えた、たくさんの傷がそれを証明してるわ サティ:そう。『私』はあなたの中に永遠に残るのよ! イデア! イデア:……残る? サティ:私が、私がイデアの中に残り続けるためなら……なんでもする サティ:施設に居た時から、あなたに振り向いてほしかった サティ:でもあなたは一向に振り向かない。興味すら持ってくれない サティ:私が声をかけても、まるで居ないように無視するし サティ:あなたが本を読んでて、私がそれを一緒に読もうとすると、すぐに席を立って、また一人になる イデア:… サティ:覚えてる? 私が初めて、あなたの本をびりびりに破いた時の事 イデア:…あぁ サティ:あなたはそれに激怒して、私を殴った サティ:嬉しかった…あの時、あの時初めてイデアが、私に振り向いてくれた サティ:その時思ったの サティ:傷つけたら、どんな人でも反応せざるを得ないって。それが体でも心でも、傷つけられた本人は、嫌でも傷つけた人を覚えてるから サティ:…そう。そのあと、力に目覚めた時 サティ:施設から追放され、ヒーロー機関から目のかたきにされた頃 サティ:私はどんどん力が強くなって サティ:あなたをもっと、…もっといじめらる サティ:だからこの力で、あなたを痛めて、刺して、首を絞めつづけて……私から目がはなれないように! イデア:……なぁ、サティ サティ:(かぶせる)憎悪でも何でもいい、とにかく サティ:私はあなたの心の中に焼きついてほしかった サティ:貴方の心の、どこまでも、どこまでも、どこまでも… イデア:サティ サティ:でも……もう私が殺されるとなれば、それこそ完全に達成される…… サティ:あなたが私を撃つことで、私に憎悪をもって撃つことで……あなたの心の中に、私が死ぬまで永遠に残り続ける サティ:だから、だから撃って サティ:撃ってよ……イデア! イデア:待ってくれ サティ:……なに? イデア:サティは……さっきから何を言ってるんだ? サティ:……何をって……? サティ:だから…… サティ:……傷つけて、痛めつけて、死にかけたところを助けて、傷つけて、殺し掛けて、ごめん大丈夫って謝って、あなたの心を汲み取って、また縛って、傷つけて、蹴って、また汚して、苦しくなったら包んであげて、首を絞めて、また縛って、殴って…… サティ:『やってることは、いつもと変わらないでしょ?』って サティ:私がイデアの心に、いっぱい刻まれて サティ:私を殺せば、あなたは死ぬまで、一生、ずっと、「私」を刻み続けて生きていくことになって…… イデア:それで? サティ:え? イデア:そうしたら、どうなるんだ? イデア:俺の何かが変わるのか? サティ:……なぜ、そんな サティ:他人事みたいに、さらっと言えるの? イデア:俺……生まれつき、痛覚がにぶくてね サティ:……は? イデア:ヴィルクライム、アクト 0:イデアはサティを撃った サティ:っっっっあぁぁぁああアアアアアあああああぁ!  イデア:…うるさいな。ホコリが舞う サティ:あ…………ぁ………ああ…あああ イデア:その……好意というのはよくわからない イデア:君が僕の本を破いた時。もしここで「殴る」という行為をしたら、邪魔でなくなるか試しただけ イデア:でもそうなることはなく、君のしつこさは変わらない イデア:その長ったらしい台詞も、耳が腫れるくらいうるさいかった。だから先に殺そうと思った イデア:ただ…同時に邪魔だった施設の人のほうを優先したんだ。殺していたら、皆の力が覚醒して、殺すタイミングを見失った サティ:……なんで……そんな……知らない目をしてるの…イデア? イデア:悪夢流転(あくむりゅうてん)は、ヴィルクライムを使うための能力。下準備がいる。スマイリーのヴィランサバイバルの中で殺したほうが早いかと思って、一度殺すのは諦めたのさ イデア:ただ……やられる演技を毎回続けるのは、苦労したな サティ:……演技…? サティ:今まで、私に痛めつけられたのは……演技だったの? サティ:私に向けていたあの表情は? 苦しみは? 憎悪は? サティ:全部、演技だったっていうの……? イデア:俺には、「痛い」が分からない イデア:「苦しい」もわからない イデア:そこから生じるらしい、「復讐」とか「憎悪」とか イデア:なんなんだろうって、よく思ってた サティ:……そんな……そんな サティ:……なにを……なにをいってるの? サティ:……ねぇ、イデア サティ:……私が、いじめて、殺しかけて サティ:それを救って、また殺すところまで追い詰めて…… サティ:肉体的にも、精神的にも…… サティ:なんだったの……今までの サティ:…………教えてよ サティ:教えてよ!! イデア:うるさいな イデア:俺が知っているわけないだろ サティ:……あ……あ……あ…… イデア:なぁ、サティ イデア:力を使って楽しいって、どんな感覚だ? イデア:それを使って人をいじめたり、いたぶることも  イデア:『やっていることは、いつもと変わらない』……そう思わせたいくらいに、俺を虐める事で、歓喜を覚えている。わざわざあんな長台詞まで披露して。 イデア:……そこまでして、俺に振り向いてほしかったんだろう? イデア:それは、なぜだ? サティ:……好きだから サティ:イデアが、好き、そう サティ:……イデアが好き、イデアが好き、イデアが好き、イデアが好き、イデアが好き! サティ:好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き! サティ:イデア、イデア、イデア、イデア、イデア…… イデア:(かぶせるように)ヴィルクライム。アクト 0:銃声 サティ:ぁああっ、ああ、ああ、あ……! イデア:そんなに名前を呼ばれてもな サティ:…イデア………好き……好き……イデア……好き、好き、大好き、ずっと イデア:まだ言うのかい、それ サティ:ずっと……好き……好き、好き、好き、好き、好き、好き、好き イデア:しつこいな サティ:貴方の中に……貴方の中にいたい…… サティ:いたい、いたい、痛い、居たい、痛い、居たい、居たい、居たい… イデア:さっきからそればかりかい? イデア:せめて、具体的な言葉が欲しい サティ:あなたの……あなたの、横顔…… サティ:……あなたの……くるしい……顔…… サティ:……悔しい、顔、怒った、顔、悲しい、顔、憎い、顔 サティ:…イデアの色んな、顔 イデア:それは全部、演技なんだけどな サティ:…その顔で…私を サティ:……私を、見てほしくて……イデア イデア:ううむ サティ:イデアの心から……私が……消えちゃう…… サティ:いやだ……いやだよ……イデア サティ:消えたく……消えたくない サティ:……私を、私を消さないで… サティ:あなたの中から、消えたくない…! イデア:ごめん、よくわからない イデア:ヴィルクライム、アクト 0:銃声 0: 0: 0: イデア:終わったか。……結局わからずじまい イデア:まるっきり、サティを理解出来なかった イデア:人を理解するのは、無駄な時間だ イデア:……ヴィルクライム、変転(へんてん) イデア:…痛白斬光(つうはくざんこう) 0:イデアは、銃の形を変え、それを無数のとげに変えて、放ってみる イデア:……使えそうかと思ったが、微妙だな。やはり、武器のほうがなじむ 0:イデアは放ったとげを自分の手元に戻し、それを再び、銃の形に変えた イデア:……今日は、2番通りのレストランはやってたっけ イデア:……ん? 0:イデアはふと後ろを振り向く リグド:……っ イデア:……源は吸収したはずだが……? リグド:…俺も驚いてるぜ…死の間際だってのに、別の源が覚醒するなんてよ…… リグド:真壊乱闇(しんかいらんこく)! イデア:ヴィルクライム!! 0:リグドの攻撃を、イデアは相殺するようにぶつけた リグド:甘いな!! イデア:なに……!? 0:リグドは変化させた腕をさらに伸ばし、そのままイデアを吹き飛ばした イデア:っが……! リグド:…お前に能力を取られる前より……強力になっている。さらに、破壊衝動も……なんだ、異様にすがすがしいぜ……溜まってたゴミが取れたような、晴れやかな気分だ イデア:ヴィルクライムは一度、覚醒したら、そのエネルギーがつきるまで……悪夢流転(あくむりゅうてん)は使えない……想定外だな、これは リグド:それに…ほう、なるほど、なるほどな… イデア:…何の納得だ リグド:俺の攻撃を受けても…「立っていられる」 リグド:さっき戦った時はボロボロにやられていたのにだ リグド:そのヴィルクライムが使えるようになったおかげなのかもしれねえが…違う。わざと手を抜いてやがったな?  イデア:…今更隠す必要もないか リグド:はっはっは! リグド:サティの下につきながらも、自らの手を抜いて、機会をうかがってたとは リグド:とっとと悪無流転(あくむりゅうてん)を使って殺しゃあよかったのによ イデア:スマイリーの企みを利用したかった。そのほうがまとめて殺せる リグド:……そりゃ壮大な計画で…それまで耐えてたってわけだもんなぁ リグド:いや…耐えるなんてのも、お前にはないか イデア:おしゃべりもここまでだ……! リグド:待て イデア:…なんだ? リグド:話を聞いた イデア:いつから? リグド:スマイリーが地獄を前に、泣き顔さらしている時だ リグド:その際に、意識が復活して、体はまだ動かなかったが、耳には届いていた リグド:事情はなんとなく理解できたぜ、なんとなくな イデア:…… リグド:お前の頭には……ヒーロー機関を通じて、ヴィランを皆殺しにする図式が浮かんでいた リグド:サティを殺したいと考えていたお前の元に、ヴィランサバイバルといういい材料が舞い込んできたからな リグド:その結果が、これだ。 リグド:お前は、弱いヴィランじゃねえ リグド:いつでも先を考えてる、最も冷静なヴィランだ イデア:それで? リグド:俺と組め イデア:……なんだと? リグド:これから1人でどうするつもりだ? イデア:どうするとは? リグド:ヒーロー機関も邪魔なら、片付けるつもりだろ イデア:理由は? リグド:ヒーロー機関が大きくなって、自分を脅かす存在になれば、邪魔だからだ リグド:お前が、求めるのは……平穏」だろ? リグド:だからそれを脅かすサティも、お前が住んでいた施設の人間も邪魔だった リグド:そして今回のヴィランたちも リグド:それが監視の目だろうが、好意だろうが イデア:……リグドは、どうしたいと? リグド:お前と組めば、もっと蹂躙できるかもしれねえ リグド:……いや、違う イデア:…? リグド:俺が欲しいのは、破壊じゃない リグド:その先にある。完全な支配だ リグド:お前に追い詰められて、気づいた リグド:無様に感情むき出しにして、なぜ俺は取られた力にこだわっていたのか リグド:それは、支配をしたいからだ リグド:支配するには、力がいる リグド:だから、破壊を、蹂躙することをひたすらに追い求めた イデア:…まるで別人だな、リグド イデア:死の底から蘇って、神になったつもりか リグド:まぁ聞けよ リグド:お前の人生に要らないものは不快にさせる「邪魔」だ リグド:それがヴィランでもヒーローでも リグド:もっと広げるなら、人間でも、赤子でも、何でも リグド:お前にとって「邪魔」なものは片付ける リグド:その片付けた先に行きたいんだろ? イデア:……だったら?どうだと? リグド:俺が支配して大きくなろうが、「邪魔」じゃなければどうでもいい リグド:新たにヴィランが世界征服しようが、ヒーローが惨殺されたとしても リグド:お前の世界に「平穏」がなくならなければ構わない リグド:支配と平穏は、いい握手ができると思うぜ イデア:……なるほど イデア:そうだな。協力者はいたほうがいい イデア:ただ、裏切る可能性があるのはわかってるだろ? リグド:勘違いするなよ イデア:? リグド:俺が、お前を利用するんだよ リグド:俺のためにな イデア:……はは イデア:面白いね リグド:………お前。笑ったら、そんな顔するのか イデア:鏡がないから、確認できない リグド:はっ イデア:…ここに長居しては、表の管理警察に見つかる イデア:それはヒーロー機関にとってデメリットだ リグド:……にしても、えげつなかったな イデア:何が? リグド:……容赦がない リグド:お前こそ本物のヴィランじゃねえかってくらいに イデア:……自覚はないな イデア:そもそも、ヴィランとは、という話になる。力を持っているか持っていないか、それを有効に使えるか使えないか、結局は、管理する側の判断基準で決められているだけだ リグド:確かに、それを聞けば、ヒーローもヴィランもへったくれもねえ話だな リグド:捨てられようが利用されようが、力をもって生き残った奴が名乗れる リグド:それがどんな手段でも何でも……俺は、こすい手は好きじゃねえが イデア:こすい手でもメリットがあれば使う リグド:サティの下にいる、狂った策もか? イデア:それもあるが…あれは リグド:あ? イデア:少しでも理解しようとしただけだ イデア:サティの狂気の裏にある好意を リグド:……あぁ。くだらねえ会話してたな イデア:全く理解できなかったがね、本当に無駄だった イデア:……さぁ、管理警察が来てしまう イデア:今から、行きつけのレストランに行こうと思うんだが リグド:ずいぶん余裕だな イデア:奴らもヒーロー機関と繋がっている イデア:見つからないようにしろと言われているのに、どうにもここで捕まると、この先の展開がややこしい リグド:俺がいるからか? イデア:なので……話の続きと、今後の計画をどうかと リグド:………その店、うまいのかよ? イデア:うまさじゃない イデア:静かだから、おすすめするのさ 0:

スマイリー:狂いの道楽 サティ:狂いの歓喜 リグド:狂いの暴虐 イデア:狂いの策略 スマイリー:君が見せてくれるのは、果たして何かな…? スマイリー:ふふ、ふふふ 0: 0: 0: リグド:集められたと思ったら、奇妙な場所だぜ リグド:まとめて壊しちまいそうだ サティ:知らない間に、入っていたようね サティ:これは、能力によるものかしら イデア:ヴィランの数が…多いな… スマイリー:レディース、アンド、ジェントルメン。いや、ヴィランズたち! スマイリー:命がけ! 悪者たちのサバイバルへようこそ! リグド:誰だてめえは? スマイリー:僕はスマイリー。君たちと同じヴィランさ サティ:そのヴィランが、同族の私達を集めて、お祭り騒ぎ? リグド:祭りもクソもあるかよ サティ:あなたに聞いてないんだけど? イデア:……何をしろと? スマイリー:戦いだよ、当たり前じゃん リグド:随分上から言うじゃねえか……コロッとつぶしちまいたくなるぜ スマイリー:怖いこという~ イデア:ここはどこだ? 俺達の街と、まるで造詣(ぞうし)がにているが スマイリー:ここは、僕の能力で作った「世界」 スマイリー:君たちヴィランが集まってる、裏社会当たり前の「ヴァールスター街」を土台につくったのさ スマイリー:もちろん、カスにもならない一般人は省いているから、そこんところヨロシク! リグド:笑顔で適当そうかと思えば……事前準備、万端かよ イデア:これが「初めて」ではなさそうだ スマイリー:その通り! もう何回目かな……おぼえてませーん! スマイリー:周りにいるヴィラン全員を倒したら、景品がでたり!なんちゃって! サティ:つまり、あなたが仕組んだゲームに生き残れと スマイリー:そういうこと サティ:おおがかりね。でも、いいわ サティ:機関のヒーローばかり戦ってもつまらないし、やってあげる。暇つぶしでね イデア:目的は? スマイリー:そこのお姉さんが言った通り。お・ま・つ・り スマイリー:ってことで、サバイバル、スタート! リグド:はっ!面白い! リグド:俺の名は「リグド」!! リグド:とっととおっぱじめて、全員つぶしてやるぜ! カスども! サティ:血気(けっき)盛(さか)んな人 サティ:騒がしいから、ここから離れるわ……行くわよ、イデア イデア:……あっ 0:サティは移動系の能力を使い、その場からイデアと一緒に消える スマイリー:どこまで行っても逃げられないよ~ スマイリー:お祭りで最後まで踊り続けた人だけが、出られる仕組みにになってるんだからさ リグド:どうだろうが関係ねぇ! てめえらまとめて殺しにこい!! スマイリー:わぁ、派手。さながら、暴れ放題系ヴィランかな? スマイリー:ふふ、いいね! スマイリー:さぁ、誰が勝つかな? 賭けた賭けた! スマイリー:でも賭ける人は、どこにいるんだーい!  リグド:邪魔だてめぇらァ! 暴虐乱闇(ぼうぎゃくらんこく)! スマイリー:ワンダフル! リグド君は一気にその手を黒く染めて、爪を伸ばし、ヴィラン達を切り裂いていく! スマイリー:僕たちには、体の中に「源」っていう能力を使うためのエネルギーがあるわけだけど……リグド君からは、まるで無限にあふれ出てくる泉ようだ! リグド:とどめだ! スマイリー:さらに、大きく跳躍し リグド:派手につぶれろ! スマイリー:巨大な手で、ヴィラン達をつぶしていく! リグド:……なんだなんだ、話にもならねえな スマイリー:わーお! みんなぐっちゃり! リグド:この辺りヴィランは、毛の生えてねえひよっ子ばかりかよ! スマイリー:その言いよう、君、はるばる別の地域からやってきたのかい? リグド:故郷は蹂躙済みだ。ヒーローもヴィランも、手ごたえがねえ スマイリー:へぇ~!見境なしと! リグド:そこにいるなら壊して潰す。理由を問いかける前に死を与える リグド:それで十分。俺の欲を……力を使って満たせればどうでもいい 0:リグドは手から、黒い玉のようなものを放つ スマイリー:その通りだよ、リグド君 スマイリー:……抜楽円満(ばつらくえんまん) リグド:なっ!? 後ろに?! スマイリー:力は使わないと、楽しくない スマイリー:僕はこうやって空間を操ることができる。 スマイリー:だから、僕がつくった遊び場で、殺しあってよ! リグド:「殺しあえ」か。本当に上から目線だな、てめえ スマイリー:そう。殺しあう姿こそ、非情と歓喜のエンターテインメントなんだからさ! リグド:満面の笑みでいってくれるが、周りを見てみろ スマイリー:……ありゃ。みんな、倒されちゃってるぅー リグド:ここにヴィランはいない、俺が全員つぶした リグド:だからてめえも……笑顔ごと潰れてくれや リグド:暴虐乱闇(ぼうぎゃくらんこく) 弾(だん)! スマイリー:あーあー、そんなに撃ってきてさ~! スマイリー:主催者を、潰してどうするの? 0:スマイリーは、リグドの撃つ「玉」を軽々と避けていく リグド:考えてねえよ、んなもん! リグド:バカでけえ怪獣がいちいち、今から子供を迎えに行く母親のこと考えながら、踏み潰すか? リグド:理由なんて求めたところで、中身は空っぽだ スマイリー:空っぽなのに、殺戮(さつりく)の限りを尽くすのかい? リグド:ヒーローもヴィランも……俺を監視していた施設の人間でも、力をもって蹂躙する リグド:じゃねえと、この破壊衝動は収まらねえ スマイリー:じゃあまずはそれを、僕じゃなくてサティ達に提供してあげてよ スマイリー:彼女たちなら、あっちじゃないかな? スマイリー:僕は……こっちだけどね~ 0:スマイリーはリグドの近くに転移し、リグドが振り向いた瞬間、スマイリーの槍が彼の顔近くにあった リグド:クソが、ちまちま逃げやがって…… スマイリー:さぁさぁ、次のシーンに、行ってみよー! 0: サティ:邪魔、弱い。 サティ:「痛白残光(つうはくざんこう)・刈(かり)」 0:サティは迫りくるヴィラン達を、白くゆがんだ鎌で斬っていく イデア:「スパイクウェイブ!」 0:イデアは手からとげとげしい「波」を出し、ヴィランに応戦する サティ:イデア、後ろよ。たくさんヴィランが来てる イデア:えっ? サティ:ほら、倒されにいって 0:サティはイデアの背中を蹴る イデア:が、ぁああ! サティ:ぶっ! 袋叩き……おもろ! サティ:ごめんごめん、死んじゃうよね……はい、終わり 0:サティはイデアを取り囲んでいたヴィラン達を倒す サティ:痛い? 大丈夫? イデア:…別に……うっ サティ:どのあたりが痛かった? イデア:……後頭部、背中、足 サティ:あは! いい表情してたね、イデア サティ:次もヴィラン達が襲ってきたら、お願いね イデア:……暗帝の狂姫(あんていのきょうき)がやるとは思えない、愚行(ぐこう)だ サティ:へぇ、そんな態度取るんだ……ほれ!! イデア:ぐっ……! サティ:まだ体が治ってないうちに、傷口を… サティ:この辺りかな、ぐりぐりと!! イデア:あ……が…… サティ:はい、ここまで。私のために、次もやられてね、イデア イデア:得策じゃないと、思うが サティ:私が見たいからよ、まだわからないの? サティ:あぶなかったら助けてあげる サティ:ギリギリのところで、貴方を助けて サティ:傷つけて、痛めつけて、死にかけたところを助けて、傷つけて、殺し掛けて、ごめん大丈夫って謝って、あなたの心を汲み取って、また縛って、傷つけて、蹴って、また汚して、苦しくなったら包んであげて、首を絞めて、また縛って、殴って、焼いて、刺して、傷が出来たところをなでてあげて、また刺して、暗い所に閉じ込めて、口を縛って、明るいところにだして、辛かったねって言葉をかけて、唾をかけて、また蹴って、殴って…… イデア:……っ サティ:『やってることは、いつもと変わらないでしょ?』 サティ:ね? イデア? イデア:…… イデア:(力が覚醒し、もう1か月経過した) イデア:(凄まじい勢いで強くなった、このサティの台詞は、何回聞いたことだろう) 0:そこに、リグドとスマイリーがやってくる リグド:なんだ。血の海じゃねえかこっちも スマイリー:わーお! お見事なレッドオーシャン! サティ:人のこと言えないわね、それ リグド:あ? サティ:血まみれの衣装が「そうだ」って、ものがたってるわよ。リグド リグド:そういうてめえは、血で汚したことなんざ、何回もあるだろう? リグド:……「暗帝(あんてい)の狂姫(きょうき)」、サティ サティ:まぁ。異名を覚えてもらってるなんて、嬉しい スマイリー:聞いたことあるね…。この辺りでも指折りのヴィランだとか リグド:もはや奴が最強つっても、過言じゃねえ リグド:で、隣にいるのが…… サティ:私の下僕。イデアよ サティ:ほら、挨拶して イデア:そんなことしてどうする サティ:しなさいよ リグド:雑魚に用はない。俺に潰されろ、サティ サティ:嫌よ気持ち悪い サティ:代わりにイデアがつぶれてくれるわ リグド:はぁ? リグド:中ボスにもならねえだろうに サティ:まさにその通り……ふふ、私がいたぶるイデアをみたいだけだもの リグド:悪趣味なやつだ スマイリー:なるほど! よくあるパターンだね! スマイリー:ゲームでも、弱いボスから退場していく リグド:ゲームでもなんでもないだろ スマイリー:いや、僕のゲームだよ? イデア:現実だ スマイリー:ここで軽く牙を見せときたい下っ端のイデア君! リグド:あぁーご、ちゃごちゃしてきやがった リグド:体がくそったれにかゆいぜ サティ:いいじゃないの、そのまま体かきまくって、皮膚やぶいたら リグド:その前にてめえの皮膚を破いてやる リグド:……ま、そのついでに、下っ端も潰れてくれや イデア:簡単に潰されるつもりは、ないんだが リグド:イキんなよ リグド:……さっきの、名前もわからねえヴィラン共もそうだが、弱い奴は、強い奴の攻撃に「いつの間にか」一緒に喰らっちまってるもんだ。「強力」は、1人1人認識している暇はない リグド:これがまとめて、俺に潰される道理だ イデア:そんな道理、知らないな リグド:……おいおい、マジでやるのかよ リグド:生まれそこねた小鹿みたいなやつなんだろうが、簡単にくたばんじゃねえぞ? イデア:お前を倒して生き残る。俺はこのサバイバルから抜けて、元の生活に戻りたいだけだ リグド:「元の生活」? はっ。普通の人間みてえな事いうなよ! サティ:イデア、もうちょっとマシな冗談言わないと スマイリー:呆れられてるじゃーん。君ほんとにヴィランかい? スマイリー:もういっそのこと、殺され方の勉強を一回してきたら?  イデア:ヴィランに意味は必要かい? スマイリー:ぶっ。はは!それ本気で言ってるの? スマイリー:ヴィランは、明確な悪 スマイリー:力をもって、それを自由に行使する! スマイリー:のびのびと自己表現をすることが、最大の楽しみなのよ スマイリー:それをしないヴィランなんて、世界中、何処を探してもいないんじゃないかな サティ:ヴィランは「力」があることで成り立つ サティ:力こそ、最高の道具で、最高の快楽で、最高の表現 リグド:力がありゃ充分だろ サティ:あなたは何もないのかしら? リグド:潰れた先に、力が残る リグド:そして、力とは俺だ。それ以外はただのガラクタにすぎない サティ:勿体ないわね 0:そう言ってサティは少し、イデアを見やる サティ:それにしても……あーあ、イデア。本当に本当に、恥知らずの極みね サティ:力に目覚めた時から、ずーっと、あなたは変わらず一緒 サティ:でもそれが、逆にそそっちゃう サティ:だからもっと、いっぱい、やられてよ サティ:貴方が死にかけたところで、そこの脳筋ヴィランを殺すから サティ:だから、『私』のために、死にかけて イデア:……これが終わるのなら、いくらでも リグド:俺が殺される前提で、勝手に話を進めてんじゃねえ サティ:あれ? 貴方の名前は一度も読んでないけど? サティ:自分が脳筋そのものだっていう自覚があるのね  リグド:アバズレ女でも、もう少しまともな冗談を言うぜ リグド:それとも下僕をいたぶるしかできない、脳無し女か? サティ:……へぇ スマイリー:ちょっとちょっと、煽り合戦もいいけどさ……戦わないとお祭りにならないんだから~ スマイリー:ほら、はーやーく! サティ:気を急かさないでよ。 サティ:今ちょうど、このクソ脳筋をどうやって殺そうか考えていたのに リグド:今から戦うんじゃねえか、うるせえガキだぜ イデア:なら、戦う前にケリをつけよう イデア:「スパイクウェイブ」……! リグド:あ?  リグド:なんだこりゃ 0:リグドは軽く、手から出したイデアのエネルギー波を手ではじく イデア:……! なっ! リグド:かーっ。話にならねえ リグド:突然攻撃してきたかとおもったら、これか? サティ:ぶっ(吹く) リグド:初めて会ったぜ、こんなひ弱 リグド:暴虐乱闇(ぼうぎゃくらんこく) イデア:ぐ……あ…… リグド:……冗談だろ? リグド:弱いなんて言葉をかけるのもめんどくせぇ イデア:ま、まだ! リグド:暴虐乱闇(ぼうぎゃくらんこく)! イデア:ぐ……がぁ……! リグド:マジで勘弁してくれよ!! 本気の本気か!? 呆れるぜ! リグド:そんな毛が生える程度の能力で俺を倒せると、真面目に思ってんのか! リグド:身の程を一回、てめぇの裸、舐めまわして確認して来い! サティ:無様……くく、無様、無様 サティ:やばい、面白くてお腹痛い サティ:ねぇ、トイレ行っていい? スマイリー:だめだよー。今はお祭りの最中なんだから スマイリー:ほら! もっと我慢我慢! サティ:はぁ、じゃあどうすれば…… サティ:あ。そうか、イデアをトイレ代わりにすればいいのか サティ:リグドに百の針をさしながら、イデアを台座代わりにして…… スマイリー:へぇ、暗帝(あんてい)の狂姫(きょうき)ってこんな人なんだね スマイリー:うん! いい感じに狂ってる。狂いの気分がうつってきた スマイリー:歌でも歌おうか! いや、自分で歌を作ってしまおうか! サティ:……あぁ、最高。イデアをなぶる音が、興奮を、そそる……そそるわ… サティ:あぁ、リグド。イデアをもっとなぶってくれない? リグド:お前におもちゃ屋で買われた覚えはねえ サティ:お礼に、たっぷりとあなたも滅茶苦茶に殺してあげるから サティ:何がいい? 針? 火? それともひたすら蹴られたい? サティ:特別に選択権をあげるわ、リグド。あなた強いから リグド:その前に、針も火も、お前の口ん中にブチこんでやるよ スマイリー:うーん……見学はもったいないなぁ、サティ サティ:どうして?  スマイリー:いいかい? 祭りは参加してこそ意義がある!  サティ:あなたが観戦したいだけじゃないの、それ スマイリー:当たり前のこと聞かないでよ スマイリー:僕が気になるのは、イデアの状態。こんなにやられてるのを見てるだけなんて、虫唾を頑張って走らせようとしても、走らないくらいにつまらない スマイリー:だから……君と、リグドと、イデア、3人で平等に遊んでよ! リグド:クソ道化が。俺に命令するな スマイリー:だーめー。ゲームマスターにはいつだって強制させる権利があるのですよ リグド:表の世界を剥奪されたヴィランに、一体なんの権利があるってんだ? リグド:てめえの能力は厄介だから、後回しにしているだけだ、クソ道化 サティ:だからこうしてるんじゃないの…リグド サティ:痛白斬光(つうはくざんこう) リグド:ぐっ……! なんて数の針だ畜生! サティ:くたばれ、脳筋野郎 リグド:放っただけでこの広範囲……うざってえ! スマイリー:これはっ! サティの手の中から、無数のトゲが現れたぁ! リグド:暴虐乱闇(ぼうぎゃくらんこく)! 0:リグドはサティの攻撃を強化した手で、一気に弾き飛ばす サティ:やるわね。なら、これは? サティ:痛白斬光(つうはくざんこう) 突(とつ)! リグド:光の針をまとめて……なるほど、レーザーのように射貫(いぬ)くと! リグド:上等だアバズレ! サティ:せいぜい吠えてるがいいわ……!  サティ:あぁ、吠えるといえばそうねぇ。イデアが下僕なら、リグドは駄犬といったところかしら? サティ:ほら、私の靴を舐めろよ、駄犬 リグド:なら、歩けないように噛みちぎってやるよ! リグド:暴虐乱闇(ぼうぎゃくらんこく)・頑(がん)!! 0:リグドは、巨大な黒い手でサティの攻撃を止めて、そのままの勢いで、サティに攻撃を加えた スマイリー:おおおお! これは! リグド君! スマイリー:本物の! 脳筋ヴィランですねぇ! 攻撃を攻撃で押しつぶすのは、君くらいだよ! スマイリー:(小声で)……でも、この調子なら(真面目なトーンで) イデア:……っ?  スマイリー:(小声で)……できなくもないね イデア:(……スマイリーの声音(こわね)が変わった? ……表情も、一瞬、違うように見えたが……一体) サティ:クソ馬鹿力っ…なかなか死なないわね サティ:今までのヴィランじゃ、手も足も出ずにやられっぱなしだったけど…意外とやり手? リグド:大きな土地を、ひとつ蹂躙できるくらいには サティ:あっそ。すぐ殺すけど サティ:……いえ、殺すのはもったいないか サティ:たくさん刺して、丸焼きにして、ぐちゃぐちゃに潰してあげるわ サティ:リグドは潰すの好きだから、たーくさん潰してあげようと思って! ふふ、ふふふ! リグド:潰すこと快楽じゃねえ、手段だ。自己解釈は辞めろ、脳無し サティ:脳無し……クク サティ:あなたは、世界丸ごと穴あきにするくらい、痛めつけてあげるわ リグド:穴あきに出来る体が、てめえに残っていればの話だな リグド:そこの下っ端のように イデア:…腕が……一本やられた サティ:……イデア。死にぞこないの肉片 サティ:なぜ貴方、ずっと肉片でいるの? 早く立って、動いてよ イデア:うっ…… サティ:痛白斬光(つうはくざんこう) イデア:…が、あああ! スマイリー:わぁ! 尋常じゃない針が、イデア君の身体を! サティ:お仕置きよ サティ:リグド相手に、一つも手も足もでなかった罰 サティ:ほら、死ね サティ:死ね、死ね死ね死ね死ね死ね!死ね死ね死ね!!死ね!! イデア:ああああっ! サティ:あぁごめん、ごめんやりすぎた! サティ:冗談よ冗談、死ねって言いながら殺さないギリギリのところをついてるんだから サティ:ごめんね? 大丈夫? ねぇ? ねぇねぇ? イデア:ぁ……が……っ リグド:隙だらけだ、アバズレ! サティ:っ! スマイリー:おーっと、イデア君なぶりに集中していたサティちゃんに、リグド君の鋭い暴力が襲い掛かる! リグド:暴虐乱闇(ぼうぎゃくらんこく)! 0:リグドの攻撃を、サティは避けて後ろに下る サティ:……うざったいわねぇ、その攻撃。デカすぎて リグド:嫌なら喰らって、壊れちまえや サティ:壊れる? 勿体ないこというのね リグド:んだと? サティ:人は壊さないほうが楽しいのに サティ:痛めて、痛みつけて、その苦しみを味わう サティ:助けてほしい声が、私の耳に届く時、体の中の神経が興奮するのよ リグド:はっ! 地味なことだそいつは! リグド:できてるもんは、壊れるためにある リグド:目の前にある、有象無象の「もの」は、俺の破壊欲求を満たしてくれる必要なもんだ。壊さなきゃ話にならねえだろうが サティ:あなたの理屈は、つくづく肌に合わないわね リグド:同感だ サティ:痛めつけてから リグド:一瞬で サティ:殺してやる(同時に) リグド:殺してやる(同時に) サティ:傷と苦しみの先 リグド:破(は)と崩壊の果て サティ:もがき苦しめ リグド:砕け散れ サティ:傷苦(しょうく)の リグド:壊撃(かいげき)の サティ:痛白斬光(つうはくざんこう)! リグド:暴虐乱闇(ぼうぎゃくらんこく)! サティ:苦しめ脳筋がぁああああああ! リグド:潰れろアバズレぇえええええ! 0: 0: イデア:(しばらく、リグドとサティの戦いが続き、俺は腕をかかえて、それを眺めていた) イデア:(いや、今は眺める事しかできない) スマイリー:何もできない スマイリー:力がでない。あぁ、哀れな自分 スマイリー:なんで僕はこんな力を持ってしまったの。……そう思ってない? イデア:…スマイリー。何の用だ スマイリー:協力してあげようか? イデア:協力? スマイリー:このままリグドとサティにやられ放題で終わる気? イデア:俺をやらないのか? 今がチャンスだぞ スマイリー:…お兄ちゃんと似てるので、やりません イデア:…なんだと? スマイリー:僕が何も考えずにこれを仕組んだと? スマイリー:…このヴィランゲームは、僕の復讐だよ イデア:……それが動機か スマイリー:うん。お兄ちゃんを殺したヴィランは……誰かは分からないけど スマイリー:探すより、まとめて集めて殺したほうがいい。そう思ったんだ イデア:…効率のいい選択は、嫌いじゃない スマイリー:イデア。君はやられてきたほうだし スマイリー;気持ちはわかる…と、思うけど、どうかな? イデア:この状況が打破されるのなら スマイリー:…分かってくれるってことで、その言葉、聴いたからね イデア:…… スマイリー:…彼らが衰弱しきったところを、僕がやるから スマイリー:君は彼らにとどめをさして イデア:わかった スマイリー:今までやられてきた痛みを、苦しみを スマイリー:憎しみにして、復讐にして返そうよ、イデア君 0: 0: リグド:やるなぁおい! サティ:くそ……こいつ、思った以上にうざったいわね リグド:蹂躙のしがいがあるぜ! 暗帝の狂姫(あんていのきょうき) リグド:ただ、少しばかり俺のほうが、上をいっているみたいだな サティ:聞き捨てならないわね、駄犬のくせに サティ:犬ならワンワンと、みっともらしく吠えなさいよ リグド:そういう部分だ、サティ リグド:お前はいたぶるために力を使う リグド:俺は壊すために力を使う リグド:「いたぶる」と「こわす」 リグド:どちらが放った技に、軍配が上がると思う? サティ:馬鹿力の高い方が有利っていいたいだけでしょ? サティ:それを言うくらいなら、鳴いてたほうが性に合ってるわよ、駄犬ちゃん サティ:「僕は強いんだワン、最強だワン」って サティ:ほら、吠えてよ リグド:あぁ、わりい。聞いてなかった サティ:……へぇ サティ:死(し)に殺(ごろ)す! スマイリー:盛り上がってるね~ リグド:……っ?! がはっ!  スマイリー:疲弊してきてるのが、僕でもわかる スマイリー:ほーら、サティも! サティ:ぐっ!? 0:いつの間にか、リグドとサティの後ろを、スマイリーがとっていた 0:スマイリーは手から槍を出し、それを使い、二人の背中を攻撃した スマイリー:抜楽円満(ばつらくえんまん)! 走(そう)! スマイリー:ほーらよっ! リグド:この野郎……やっぱりそのつもりじゃねえか、スマイリー スマイリー:ここが僕の空間なら、僕自身も自由に移動できる スマイリー:こんな風に速く、美しく、強く! サティ:痛白斬光(つうはくざんこう)! リグド:暴虐乱闇(ぼうぎゃくらんこく)! スマイリー:お~っと危ない危ない、それ! リグド:ぐおっ! サティ:このガキ…… スマイリー:いくらヴィランの力を持ち、普通の人間より丈夫な体になれたとしても スマイリー:呼吸している者は全て、体力の限界ってものがある スマイリー:……さぁ、イデア君 サティ:イデア……? スマイリー:僕と彼は手を組むことにしたからさ サティ:なんですって? イデア:…… リグド:…? スマイリー:何を躊躇しているの? スマイリー:まさか、憐(あわれ)みの心があるとか、思ってないよね? リグド:最後には弱い奴が、手を下すと サティ:…ふふ リグド:(…サティが笑った? どういうことだ?) リグド:(…それに…イデアの野郎。…奴も、何か) リグド:(ビビっちまってるとか…そういうレベルの話か? ここまできて?) リグド:(それともまだほかにも……何かが?) イデア:…スパイクウェイ スマイリー:はーーーーーーーーーーーーーーーーーい!! スマイリー:残念無念、またらいねーーーーん!! 0:スマイリーに勢いよく、イデアは短剣で斬られた イデア:ぐっ…!がぁぁぁぁぁぁ!! サティ:…っ!? スマイリー:だまされた~だまされた~。おバカなイデアはだまされた~ イデア:この……攻撃は、能力か? スマイリー:いや~ただ斬っただけだよ、愚かなイデア君 スマイリー:ヴィランなら、うそついて当たり前だろ~! スマイリー:最初から私は一人っ子! スマイリー:お兄ちゃんなんていないんだよ!バーーーーーーカ! イデア:……くっ スマイリー:集まったヴィランを戦わせて、最後の最後まで命削って戦って残って スマイリー:それがピークに達した時、ぜーーーんぶかっさらう! スマイリー:あんなに必死こいて、力を尽くして、 スマイリー:お互いに言葉を叫んで罵り合って戦って、最後には力が消耗し スマイリー:少し勝てる見込みがあると思っていたイデア君の心をくみとり、「復讐」という美しいとどめを彼にさせようとしたところで、ストップ! スマイリー:僕が美味しいところをまるごと、いただきまーす! サティ:最初から、そのつもりだったのね リグド:結局、全員まとめてか スマイリー:にゃは、にゃははははははははは!! スマイリー:あー!おもしろい!おもしろい! スマイリー:これなんだよね~一番楽しいときって! スマイリー:とくにだーい好きなのは、タネあかしが判った時の「なんだって~!?」っていう心境丸見えの、あの無様な顔をさらす瞬間! スマイリー:騙されたときの、馬鹿丸出しの顔! 出し抜いた僕! スマイリー:みんな、僕の遊び場だってことを忘れて、馬鹿みたいに争っててさぁ!  スマイリー:最後に僕が全員殺すことが決まっているのに…だよ!? ぶっ、くくく! スマイリー:いやぁ~面白い! だますって、生涯で一番楽しいことだよねぇ~! サティ:ひどい道楽ね スマイリー:さいっっっこうの道楽さ! スマイリー:物語だって、一番山場になったところで目立つのが楽しいでしょ? スマイリー:僕が主役で、僕だけの舞台で、僕こそが最高のエンターテイナー! スマイリー:そう! 僕は目立ちたくてが仕方ないッ!! リグド:クソ道化が……、ふざけたことしやがって スマイリー:そして~! イデア:……うっ スマイリー:サティ君の大切な下僕 スマイリー:僕にだまされた、哀れで、救いようのないヴィラン! スマイリー:その名も、イーデーアーくーん! スマイリー:じゃじゃーん! イデア:うっ…! スマイリー:サティちゃんとリグド君が死ぬとなれば、当然イデア君も死ぬわけだけど スマイリー:でもそうだねぇ、サティちゃんとイデア君には繋がりがあるから スマイリー:それを最後までかき乱したいし……じゃあ、イデア君で遊んでみましょう! イデア:……どう、するつもりだ? スマイリー:「どうする」? スマイリー:こうするのさ……! スマイリー:必殺のぉぉ! 抜楽円満(ばつらくえんまん)! 0:スマイリーが空間から槍を出し、イデアを勢いよく刺す イデア:が…………ぁ…あああ! スマイリー:にゃははは! 人のおもちゃを壊すのって楽しい! スマイリー:だってここは、僕の遊び場なんだからさぁ! 何してもいいよね!いいよねぇ! サティ:イデア! スマイリー:力こそ、道楽。相手より優位だから、面白い スマイリー:それを感じれば感じるほど、心から笑える……! スマイリー:力があればあるほど、もっと遊べる……! サティ:イデアを殺すのは許せない!! サティ:あなたが死んだら、もう虐める事ができないじゃないの!! リグド:とっととくだらねえ遊びは諦めろ リグド:どちらにしろ、あいつは終わりだ リグド:だったら最後まで力を、出せるところに出すだけ……それがてめえのはらわただ!暗帝の狂姫(あんていのきょうき) リグド:暴虐乱闇(ぼうぎゃくらんこく)! サティ:邪魔を……邪魔をするなぁ!! サティ:痛白斬光(つうはくざんこう)! 0: 0: スマイリー:あーあ。あんなみじめに争っちゃって~。滑稽(こっけい)だな~ スマイリー:…どうだい、イデア君 スマイリー:僕も、ちょっとは君の仲間になってあげようかなぁ~って考えてたんだよ? スマイリー:サティにやられ続けて、リグドにも倒されて。味方がいないイデア君 スマイリー:そんな時に手を差し伸べて、あたかも君を信頼しているようにふるまう スマイリー:…最終的にだましたんだけどね!にゃははは! イデア:く…ぁ スマイリー:ねーねー、感想はどうかな? イデア君 イデア:…… スマイリー:……あー。黙るだけ、ね スマイリー:それさ、エンターテインメントとして、一番「つまらない」んだよ……! 0;スマイリーがイデアを足で踏む イデア:ぐっ……! スマイリー:君、結局、何もしてなかったね スマイリー:おもちゃとして、最悪だよ イデア:最悪だったら? スマイリー:ちょっと面白そうだと思って、いたぶってみたけど…… スマイリー:これでサティは遊んでたの……? まるで不良品を買わされた気分だよ。つまんないの スマイリー:それじゃ、これでとどめ スマイリー:生まれる人生を間違えたヴィラン君 スマイリー:ばいばい…… スマイリー:にゃっはははははははははははははははははははは! 0: 0: 0: 0: イデア:悪無流転(あくむりゅうてん) 0: 0: 0: 0: リグド:……あ? サティ:えっ……? サティ:……痛白斬光(つうはくざんこう)が、出ない? スマイリー:僕の、僕が造った能力の世界が……? 消えていく? スマイリー:え、なんで? なんで!? イデア:……よし。体は治ってる サティ:イデアの傷が……回復している? イデア:暴虐乱闇(ぼうぎゃくらんこく)、痛白斬光(つうはくざんこう)、抜楽円満(ばつらくえんまん)。君たちの攻撃は全て受けた イデア:おかげで助かったよ スマイリー:……イデア君? まさか君の仕業、なんてことは、ないよね? イデア:仕業? ああ、別に今考えたことじゃない イデア:元々、この予定だったさ スマイリー:……え? イデア:「悪無流転(あくむりゅうてん)」は、自分が喰らった能力……その主(ぬし)の源(みなもと)を吸収して、それを自分の力に転換できる イデア:その発動時間は、一瞬さ。能力が使えない自覚を感じられないほど、一瞬でね リグド:なに? イデア:お前達が、僕の体に能力を刻んでくれたおかげで、僕の体が源(みなもと)の味を覚え、無事に吸収することが出来た イデア:要は、形勢逆転だ サティ:……そんな能力、はじめて イデア:話したら計画は実行できない イデア:流石に全てのヴィランを吸収するのは、体が壊れてしまう危険性があったが。君たちだけなら、何とでもなる リグド:……利用したってことか……? イデア:ああ。…それで、これが僕の、本当の能力……。悪夢流転(あくむりゅうてん)で吸収した、ヴィランのエネルギーを元に使える能力だ。 イデア:形状は、俺の記憶から引っ張り出してくる 0:そういってイデアは、手から、白と黒が混ざったエネルギー体を出現させる イデア:その名も「ヴィルクライム」 イデア:……武器は…うむ、なんでもいいんだが……銃にするか 0:イデアは手から黒と白が混ざった何かを出し、それを散弾銃の形にかえる リグド:舐めた真似してくれるじゃねえか…… リグド:暴虐乱闇(ぼうぎゃくらんこく)!!  リグド:…っ、出ねえ? イデア:使えないと言ったはずだけど? リグド:……おい、おい、おい……!!それは……俺のものだ! リグド:俺の、俺の力を返せ!  イデア:それをしたら意味がない イデア:ヴィルクライム、アクト 0:イデアはヴィルクライムから弾を放った リグド:が……あぁ……! スマイリー:ひ、ひっ! リグド:なんだ、こりゃ……? こんな簡単に……体が……? イデア:ああ、いい忘れてた。俺に「源(みなもと)」を吸収された能力者は、普通の人間に戻る イデア:感覚も運動能力も、全部。源(みなもと)が覚醒する前の状態に リグド:……ふざけんな!! リグド:それがなきゃ、壊せねえ、潰せねえ、蹂躙できねえ……! リグド:それが……それが……なきゃ…… イデア:ヴィルクライム、アクト 0:銃声が鳴り、リグドが撃ち抜かれる リグド:が…………ぁ……ぁ リグド:……お……おれの……力……が イデア:……少し力加減を見誤ったか イデア:ならこれで、もう一発 0:銃声がなる イデア:…ただ、源が抜けたばかりの時は、ヴィランの感覚が残っている イデア:覚醒と縁のない普通の人間なら一発で死ぬが……感覚が混在しているのだろう イデア:面倒なものだ、まったく 0:そのあと、イデアは銃型のヴィルクライムにエネルギーをチャージする イデア:……ヴィルクライム、リロード完了 イデア:残り二人 スマイリー:……な、なに スマイリー:なんでこんな、リグドがあっさりと殺されるのさ…… スマイリー:なにこれ、なんだこれ、どういうことこれ! スマイリー:ちょっと待ってよ、待てよ!待て!  スマイリー:聞いてない聞いてない聞いてない! スマイリー:そんな能力があるなんて話は! イデア:「ヒーロー機関から聞かされてない」? スマイリー:っ!? イデア:そうだな……そうだ イデア:君は裏で、「ヒーロー機関」と繋がり、ヴィランサバイバルを開催した イデア:そこで全員を戦わせ、最後に生き残った強いヴィランを殺す。 イデア:その結果、ヴィランを駆除した報酬としてヒーロー機関からお金をもらう予定だった スマイリー:……なんで、それを? イデア:ん? それはもちろん。知っているからさ スマイリー:知ってるって……だから、その話を イデア:ヴィルクライム、アクト 0:イデアはスマイリーの足を撃った スマイリー:あ…あぁぁぁああ! スマイリー:痛い、痛い! 痛い痛い痛い痛い痛い!! イデア:こほっこほっ。すさまじい断末魔だ イデア:大声とか笑い声とか、昔から、部屋に舞うホコリだと思ってたけど イデア:君の口からは尋常じゃないくらいでるな スマイリー:嫌だ……嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!! スマイリー:辞めて、辞めて、辞めて! もう嫌です!辞めてください辞めてください!助けてください! イデア:力を失った瞬間に、やけに焦るな イデア:よほど、君にとってヴィランの力は、メリットがあるものだったらしい イデア:それがあったから、笑顔をひきつれて、自分が操作できる「殺し合い」を楽しめた………。違うかい? スマイリー:あ、あ、ああ、あああ イデア:おお。どうどうどう。ゆっくり、ゆっくり。 イデア:大丈夫大丈夫。整えて、息を スマイリー:ふーっ、ふーっ、ふーっ イデア:そう、ゆっくり 0:イデアはスマイリーをなでる イデア:落ち着いて、落ち着いて、よしよし イデア:……まず最初に。俺はヒーロー機関の人間だ スマイリー:……え…? イデア:施設に居た頃、サティや俺が力に目覚め、ヴィランとして覚醒を果たしたころだ。……俺は彼らと契約を結んでいた。 イデア:そこで頼まれた仕事は、当時機関が邪魔者としてマークしていたスマイリーを殺す事だ。 イデア:まず、ヒーロー機関がサバイバルを促すように焚きつけ……最後は俺が殺すようになっている スマイリー:……い、意味が……。……意味がわからない イデア:結論から言うと、君は騙されてた イデア:それだけ スマイリー:…嘘だ イデア:ほんとうだ スマイリー:なんで、なんで、なんで スマイリー:……こんなの現実じゃない、嫌だ スマイリー:僕は、僕は、遊びたいだけだったんだ!でも、パパとママが遊んだらぶってくるから、なんで遊んじゃいけないのって言ったらまたぶたれて、でもそのあと僕は力を手に入れて、自由になって、あいつらを殺して、もっと遊びたくなって、だから、だから イデア:俺にそれを言われてもな スマイリー:あぁ…死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない……! イデア:静かにしろって 0:イデアはスマイリーの口をふさぐ スマイリー:んん、んん、んん、んん!! イデア:あまりホコリを出さないでくれ イデア:ヴィルクライム、アクト 0:スマイリーは、ヴィルクライムで腹を撃ち抜かれる スマイリー:んんんんんんん!んんんんんんっ! イデア:あぁ…手が君の唾液だらけだ イデア:悲鳴というホコリつきで、どうにも汚すぎる 0:イデアはスマイリーの口から手を放す スマイリー:ごめんなさい……ごめんなさい……ごめんなさい…… イデア:俺に謝ってどうするのさ イデア:君は自分に従ったんだ イデア:その行動の罪を、他人に問うてどうするんだい? スマイリー:裏切ってごめんなさい、騙してごめんなさい、傷つけてごめんなさい スマイリー:なんでも、なんでもしますから……なんでも イデア:…なんでもか。…スマイリーは、最後まで笑いを絶やさないとヒーロー機関から聞いた イデア:となれば、ここで笑顔を絶やしてくれないと、正確な報告ができない可能性がある イデア:今日、初めてあった人に頼むのは申し訳ないが イデア:笑ってくれないか? スマイリー:は……はは イデア:そうそう イデア:でも、もう少し欲しいかな スマイリー:ははは……はは、はは イデア:うん、うん…… スマイリー:あはははははは イデア:ん? ……「にゃはは」じゃなかったか? スマイリー:にゃははははは! にゃはははははははは!! イデア:ああ、もういい イデア:十分だ 0:スマイリーが笑いを辞める イデア:やりすぎも良くない……。くどいのは無駄だ スマイリー:……これで、許して イデア:(かぶせる)ヴィルクライム、アクト 0:イデアが撃ち、スマイリーは頭を撃ち抜かれた イデア:残り一人 0:そのあと、イデアは銃型のヴィルクライムにエネルギーをチャージする イデア:ヴィルクライム、リロード完了 イデア:……ん? サティが居ない…? サティ:…っ!! 0:イデアはサティに刺された イデア:…後ろから。これは、短剣か サティ:なに、思い出す? 思い出すよね! イデア! イデア:ああ、それは サティ:私が、能力でいじめ飽きた時に使ったおもちゃよ! サティ:ヴィランの力がなくても……ほら サティ:ぐりぐりと……肉をえぐって……! イデア:邪魔だ、はなれろ サティ:うっ……!? 0:イデアは軽くサティを突きはなす イデア:……刺し傷もすぐに治っていく イデア:どうやら、サティ達から吸収した力は結、思った以上に大きいらしい サティ:……! イデア:残りは君だけだ、サティ サティ:…イデアは……私を。……私を、殺すの? ……ねぇ サティ:殺すんだよね? イデア:そうだが? サティ:その、憎悪にまみれた心で、私を殺すんだよね? イデア:えっ? サティ:あはははは、はははは、はははははははははははははは! イデア:……はぁ。スマイリーといい、笑うのが好きだな、君も イデア:笑い声は……こほっ。ホコリが舞う サティ:いいよ! いいよ殺しても!  サティ:その憎悪はずっと残り続ける!それはなぜか サティ:私が、いつもいつもいつも、あなたを痛めつけていたから! サティ:私があなたに加えた、たくさんの傷がそれを証明してるわ サティ:そう。『私』はあなたの中に永遠に残るのよ! イデア! イデア:……残る? サティ:私が、私がイデアの中に残り続けるためなら……なんでもする サティ:施設に居た時から、あなたに振り向いてほしかった サティ:でもあなたは一向に振り向かない。興味すら持ってくれない サティ:私が声をかけても、まるで居ないように無視するし サティ:あなたが本を読んでて、私がそれを一緒に読もうとすると、すぐに席を立って、また一人になる イデア:… サティ:覚えてる? 私が初めて、あなたの本をびりびりに破いた時の事 イデア:…あぁ サティ:あなたはそれに激怒して、私を殴った サティ:嬉しかった…あの時、あの時初めてイデアが、私に振り向いてくれた サティ:その時思ったの サティ:傷つけたら、どんな人でも反応せざるを得ないって。それが体でも心でも、傷つけられた本人は、嫌でも傷つけた人を覚えてるから サティ:…そう。そのあと、力に目覚めた時 サティ:施設から追放され、ヒーロー機関から目のかたきにされた頃 サティ:私はどんどん力が強くなって サティ:あなたをもっと、…もっといじめらる サティ:だからこの力で、あなたを痛めて、刺して、首を絞めつづけて……私から目がはなれないように! イデア:……なぁ、サティ サティ:(かぶせる)憎悪でも何でもいい、とにかく サティ:私はあなたの心の中に焼きついてほしかった サティ:貴方の心の、どこまでも、どこまでも、どこまでも… イデア:サティ サティ:でも……もう私が殺されるとなれば、それこそ完全に達成される…… サティ:あなたが私を撃つことで、私に憎悪をもって撃つことで……あなたの心の中に、私が死ぬまで永遠に残り続ける サティ:だから、だから撃って サティ:撃ってよ……イデア! イデア:待ってくれ サティ:……なに? イデア:サティは……さっきから何を言ってるんだ? サティ:……何をって……? サティ:だから…… サティ:……傷つけて、痛めつけて、死にかけたところを助けて、傷つけて、殺し掛けて、ごめん大丈夫って謝って、あなたの心を汲み取って、また縛って、傷つけて、蹴って、また汚して、苦しくなったら包んであげて、首を絞めて、また縛って、殴って…… サティ:『やってることは、いつもと変わらないでしょ?』って サティ:私がイデアの心に、いっぱい刻まれて サティ:私を殺せば、あなたは死ぬまで、一生、ずっと、「私」を刻み続けて生きていくことになって…… イデア:それで? サティ:え? イデア:そうしたら、どうなるんだ? イデア:俺の何かが変わるのか? サティ:……なぜ、そんな サティ:他人事みたいに、さらっと言えるの? イデア:俺……生まれつき、痛覚がにぶくてね サティ:……は? イデア:ヴィルクライム、アクト 0:イデアはサティを撃った サティ:っっっっあぁぁぁああアアアアアあああああぁ!  イデア:…うるさいな。ホコリが舞う サティ:あ…………ぁ………ああ…あああ イデア:その……好意というのはよくわからない イデア:君が僕の本を破いた時。もしここで「殴る」という行為をしたら、邪魔でなくなるか試しただけ イデア:でもそうなることはなく、君のしつこさは変わらない イデア:その長ったらしい台詞も、耳が腫れるくらいうるさいかった。だから先に殺そうと思った イデア:ただ…同時に邪魔だった施設の人のほうを優先したんだ。殺していたら、皆の力が覚醒して、殺すタイミングを見失った サティ:……なんで……そんな……知らない目をしてるの…イデア? イデア:悪夢流転(あくむりゅうてん)は、ヴィルクライムを使うための能力。下準備がいる。スマイリーのヴィランサバイバルの中で殺したほうが早いかと思って、一度殺すのは諦めたのさ イデア:ただ……やられる演技を毎回続けるのは、苦労したな サティ:……演技…? サティ:今まで、私に痛めつけられたのは……演技だったの? サティ:私に向けていたあの表情は? 苦しみは? 憎悪は? サティ:全部、演技だったっていうの……? イデア:俺には、「痛い」が分からない イデア:「苦しい」もわからない イデア:そこから生じるらしい、「復讐」とか「憎悪」とか イデア:なんなんだろうって、よく思ってた サティ:……そんな……そんな サティ:……なにを……なにをいってるの? サティ:……ねぇ、イデア サティ:……私が、いじめて、殺しかけて サティ:それを救って、また殺すところまで追い詰めて…… サティ:肉体的にも、精神的にも…… サティ:なんだったの……今までの サティ:…………教えてよ サティ:教えてよ!! イデア:うるさいな イデア:俺が知っているわけないだろ サティ:……あ……あ……あ…… イデア:なぁ、サティ イデア:力を使って楽しいって、どんな感覚だ? イデア:それを使って人をいじめたり、いたぶることも  イデア:『やっていることは、いつもと変わらない』……そう思わせたいくらいに、俺を虐める事で、歓喜を覚えている。わざわざあんな長台詞まで披露して。 イデア:……そこまでして、俺に振り向いてほしかったんだろう? イデア:それは、なぜだ? サティ:……好きだから サティ:イデアが、好き、そう サティ:……イデアが好き、イデアが好き、イデアが好き、イデアが好き、イデアが好き! サティ:好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き! サティ:イデア、イデア、イデア、イデア、イデア…… イデア:(かぶせるように)ヴィルクライム。アクト 0:銃声 サティ:ぁああっ、ああ、ああ、あ……! イデア:そんなに名前を呼ばれてもな サティ:…イデア………好き……好き……イデア……好き、好き、大好き、ずっと イデア:まだ言うのかい、それ サティ:ずっと……好き……好き、好き、好き、好き、好き、好き、好き イデア:しつこいな サティ:貴方の中に……貴方の中にいたい…… サティ:いたい、いたい、痛い、居たい、痛い、居たい、居たい、居たい… イデア:さっきからそればかりかい? イデア:せめて、具体的な言葉が欲しい サティ:あなたの……あなたの、横顔…… サティ:……あなたの……くるしい……顔…… サティ:……悔しい、顔、怒った、顔、悲しい、顔、憎い、顔 サティ:…イデアの色んな、顔 イデア:それは全部、演技なんだけどな サティ:…その顔で…私を サティ:……私を、見てほしくて……イデア イデア:ううむ サティ:イデアの心から……私が……消えちゃう…… サティ:いやだ……いやだよ……イデア サティ:消えたく……消えたくない サティ:……私を、私を消さないで… サティ:あなたの中から、消えたくない…! イデア:ごめん、よくわからない イデア:ヴィルクライム、アクト 0:銃声 0: 0: 0: イデア:終わったか。……結局わからずじまい イデア:まるっきり、サティを理解出来なかった イデア:人を理解するのは、無駄な時間だ イデア:……ヴィルクライム、変転(へんてん) イデア:…痛白斬光(つうはくざんこう) 0:イデアは、銃の形を変え、それを無数のとげに変えて、放ってみる イデア:……使えそうかと思ったが、微妙だな。やはり、武器のほうがなじむ 0:イデアは放ったとげを自分の手元に戻し、それを再び、銃の形に変えた イデア:……今日は、2番通りのレストランはやってたっけ イデア:……ん? 0:イデアはふと後ろを振り向く リグド:……っ イデア:……源は吸収したはずだが……? リグド:…俺も驚いてるぜ…死の間際だってのに、別の源が覚醒するなんてよ…… リグド:真壊乱闇(しんかいらんこく)! イデア:ヴィルクライム!! 0:リグドの攻撃を、イデアは相殺するようにぶつけた リグド:甘いな!! イデア:なに……!? 0:リグドは変化させた腕をさらに伸ばし、そのままイデアを吹き飛ばした イデア:っが……! リグド:…お前に能力を取られる前より……強力になっている。さらに、破壊衝動も……なんだ、異様にすがすがしいぜ……溜まってたゴミが取れたような、晴れやかな気分だ イデア:ヴィルクライムは一度、覚醒したら、そのエネルギーがつきるまで……悪夢流転(あくむりゅうてん)は使えない……想定外だな、これは リグド:それに…ほう、なるほど、なるほどな… イデア:…何の納得だ リグド:俺の攻撃を受けても…「立っていられる」 リグド:さっき戦った時はボロボロにやられていたのにだ リグド:そのヴィルクライムが使えるようになったおかげなのかもしれねえが…違う。わざと手を抜いてやがったな?  イデア:…今更隠す必要もないか リグド:はっはっは! リグド:サティの下につきながらも、自らの手を抜いて、機会をうかがってたとは リグド:とっとと悪無流転(あくむりゅうてん)を使って殺しゃあよかったのによ イデア:スマイリーの企みを利用したかった。そのほうがまとめて殺せる リグド:……そりゃ壮大な計画で…それまで耐えてたってわけだもんなぁ リグド:いや…耐えるなんてのも、お前にはないか イデア:おしゃべりもここまでだ……! リグド:待て イデア:…なんだ? リグド:話を聞いた イデア:いつから? リグド:スマイリーが地獄を前に、泣き顔さらしている時だ リグド:その際に、意識が復活して、体はまだ動かなかったが、耳には届いていた リグド:事情はなんとなく理解できたぜ、なんとなくな イデア:…… リグド:お前の頭には……ヒーロー機関を通じて、ヴィランを皆殺しにする図式が浮かんでいた リグド:サティを殺したいと考えていたお前の元に、ヴィランサバイバルといういい材料が舞い込んできたからな リグド:その結果が、これだ。 リグド:お前は、弱いヴィランじゃねえ リグド:いつでも先を考えてる、最も冷静なヴィランだ イデア:それで? リグド:俺と組め イデア:……なんだと? リグド:これから1人でどうするつもりだ? イデア:どうするとは? リグド:ヒーロー機関も邪魔なら、片付けるつもりだろ イデア:理由は? リグド:ヒーロー機関が大きくなって、自分を脅かす存在になれば、邪魔だからだ リグド:お前が、求めるのは……平穏」だろ? リグド:だからそれを脅かすサティも、お前が住んでいた施設の人間も邪魔だった リグド:そして今回のヴィランたちも リグド:それが監視の目だろうが、好意だろうが イデア:……リグドは、どうしたいと? リグド:お前と組めば、もっと蹂躙できるかもしれねえ リグド:……いや、違う イデア:…? リグド:俺が欲しいのは、破壊じゃない リグド:その先にある。完全な支配だ リグド:お前に追い詰められて、気づいた リグド:無様に感情むき出しにして、なぜ俺は取られた力にこだわっていたのか リグド:それは、支配をしたいからだ リグド:支配するには、力がいる リグド:だから、破壊を、蹂躙することをひたすらに追い求めた イデア:…まるで別人だな、リグド イデア:死の底から蘇って、神になったつもりか リグド:まぁ聞けよ リグド:お前の人生に要らないものは不快にさせる「邪魔」だ リグド:それがヴィランでもヒーローでも リグド:もっと広げるなら、人間でも、赤子でも、何でも リグド:お前にとって「邪魔」なものは片付ける リグド:その片付けた先に行きたいんだろ? イデア:……だったら?どうだと? リグド:俺が支配して大きくなろうが、「邪魔」じゃなければどうでもいい リグド:新たにヴィランが世界征服しようが、ヒーローが惨殺されたとしても リグド:お前の世界に「平穏」がなくならなければ構わない リグド:支配と平穏は、いい握手ができると思うぜ イデア:……なるほど イデア:そうだな。協力者はいたほうがいい イデア:ただ、裏切る可能性があるのはわかってるだろ? リグド:勘違いするなよ イデア:? リグド:俺が、お前を利用するんだよ リグド:俺のためにな イデア:……はは イデア:面白いね リグド:………お前。笑ったら、そんな顔するのか イデア:鏡がないから、確認できない リグド:はっ イデア:…ここに長居しては、表の管理警察に見つかる イデア:それはヒーロー機関にとってデメリットだ リグド:……にしても、えげつなかったな イデア:何が? リグド:……容赦がない リグド:お前こそ本物のヴィランじゃねえかってくらいに イデア:……自覚はないな イデア:そもそも、ヴィランとは、という話になる。力を持っているか持っていないか、それを有効に使えるか使えないか、結局は、管理する側の判断基準で決められているだけだ リグド:確かに、それを聞けば、ヒーローもヴィランもへったくれもねえ話だな リグド:捨てられようが利用されようが、力をもって生き残った奴が名乗れる リグド:それがどんな手段でも何でも……俺は、こすい手は好きじゃねえが イデア:こすい手でもメリットがあれば使う リグド:サティの下にいる、狂った策もか? イデア:それもあるが…あれは リグド:あ? イデア:少しでも理解しようとしただけだ イデア:サティの狂気の裏にある好意を リグド:……あぁ。くだらねえ会話してたな イデア:全く理解できなかったがね、本当に無駄だった イデア:……さぁ、管理警察が来てしまう イデア:今から、行きつけのレストランに行こうと思うんだが リグド:ずいぶん余裕だな イデア:奴らもヒーロー機関と繋がっている イデア:見つからないようにしろと言われているのに、どうにもここで捕まると、この先の展開がややこしい リグド:俺がいるからか? イデア:なので……話の続きと、今後の計画をどうかと リグド:………その店、うまいのかよ? イデア:うまさじゃない イデア:静かだから、おすすめするのさ 0: