声劇台本置き場

ピエロ：…役者は揃った ピエロ：君たちは私の満足する結末を見せてくれるかな…？ ピエロ：さぁ…ゲームの始まりだ 0：　 0：間 0：　 ナツキ：うっ…なんだ…ここ…？ 0：　 ナツキ：（Ｍ）気がつくと僕は暗く冷たい部屋で目を覚ました ナツキ：見知らぬ殺風景な部屋 ナツキ：その中央には、透明な板状のもので囲われた、 ナツキ：闘技場のような異様な空間がある ナツキ：僕の隣には恋人のハルカが倒れており、同じように気を失っていた ナツキ：ハルカを起こそうとした僕の耳に、 ナツキ：女の子が、側にいる男を揺すりながら泣いている声が聞こえてくる ナツキ：　 アキヨ：トウマ！トウマ！ねぇ！起きて！？ アキヨ：　 ナツキ：（Ｍ）頭がズキズキと痛み、クラクラする ナツキ：首に違和感を感じ、手で触れると ナツキ：機械式の首輪のようなものがついていた ナツキ：痛みで上手く回らない頭でも、 ナツキ：異常事態だということはすぐに把握できた ナツキ：　 ナツキ：ハルカ！おい！起きろ！ハルカ！ ハルカ：う…ナツ…キ？ ナツキ：大丈夫か？ ハルカ：う…ん。頭痛い…ここどこ？ ナツキ：わからない、気づいたらここにいて… アキヨ：トウマ！ねぇやだ！目開けてよぉ… アキヨ：アキを一人にしないで…！ ハルカ：あの子は…？ ナツキ：わからない… ナツキ：目を覚ました時には一緒に、ここにいた… ハルカ：あの…どうしたの？ アキヨ：ひっ…！嫌だ！来ないで！ ハルカ：ちょっと落ち着いて…！ ナツキ：大丈夫だよ、彼は気を失ってるだけみたいだから アキヨ：やめて！トウマに触らないで！ アキヨ：（手を払い除ける） ナツキ：痛っ…！ ハルカ：ナツキ！大丈夫？ ナツキ：あ…あぁ、大したことないよ ハルカ：ちょっとあなたいい加減に…！ トウマ：う…痛ってぇ… アキヨ：…っ！トウマ！！ トウマ：アキヨ…？なんでお前が…ここに…？ アキヨ：ぅわぁぁぁぁん…！ アキヨ：良かった！トウマ！アキ一人で怖かったよぉ…！ トウマ：おい！泣くな！頭に響く！ トウマ：っつうか、ここなんだ？どこだよ？ アキヨ：うぅ…わかんない… アキヨ：目が覚めたらここにいて… アキヨ：ドア開かないし、首に変な装置ついてるし… トウマ：はぁ！？マジかよ… トウマ：つうか、お前らは？ ナツキ：僕たちも一緒だ。気付いたらここにいた 0：　 0：モニターが点き、ピエロの姿が映し出される 0：　 ピエロ：レディース＆ジェントルメン！ ピエロ：お目覚めかな？仲睦まじい二組のカップルさん ハルカ：…っ！なに？テレビ？ トウマ：なんだてめぇ！ トウマ：てめぇが俺たちをここに連れてきたのか！？ ピエロ：まぁまぁ、落ち着いてください ピエロ：これから説明… トウマ：こんなわけわかんねぇところに閉じ込められてて、 トウマ：落ち着いていられるか！！ アキヨ：やだぁトウマ！怖いよぉ…！ ナツキ：あの…！ここどこなんですか？ ナツキ：誘拐…？どうして僕たちが…！ ハルカ：ねぇ！ここから出してよ！家に帰らせて！ ピエロ：… トウマ：おい！黙ってねぇでなんとか言え！ トウマ：イカレピエロが！ ピエロ：黙れ トウマ：…っ！ ピエロ：揃いも揃ってぎゃあぎゃあ喚きやがって… ピエロ：これから説明してやるって言ってんのに、 ピエロ：人の話も聞かずに騒ぎたてればいいと思ってんのか！？ ピエロ：あぁ！？ トウマ：っ！？んだと！ ナツキ：ちょっと…！抑えて…！ ハルカ：あ…あのっ、騒いだのは謝ります…！ ハルカ：だから…話を聞かせてくれません…か？ ピエロ：ほう…ハルカにナツキ、 ピエロ：あなた達はそれなりに物分かりがいいようですね ピエロ：それに比べてアキヨとトウマは揃いも揃って…、 ピエロ：ヒステリックカップルですか トウマ：気安く呼んでんじゃねぇ！ ハルカ：ちょっと…！なんで私たちの名前知って… ナツキ：もしかして…無差別に攫われたわけじゃない…のか…？ ピエロ；エクセレント！ ピエロ：ナツキ！いい読みをしていますね！ ピエロ：その頭脳、ぜひともゲームでも活かしてもらいたい！ ナツキ：は…？ゲーム？ ピエロ：そうです ピエロ：あなた達二組のカップルには、 ピエロ：これからあるゲームに参加していただきます ピエロ：安心してください。難しいルールなんてありません 0：　 ピエロ：2人1組に分かれてお互いに殺し合ってもらうだけです 0：　 0：間 0：　 ハルカ：え…？ アキヨ：殺…し…？ ピエロ：直接殺し合うプレイヤーは、ハルカとアキヨ ピエロ：殺しの舞台は、部屋中央の仕切られたゲーム盤の上 ピエロ：ナツキとトウマは、 ピエロ：首輪と特別な薬で、ペアの女性と精神的にも肉体的にも繋がった、 ピエロ：一心同体の番（つがい）といったところです ナツキ：待ってくれ！意味がわからない！ ピエロ：まぁ簡単に言いますと、 ピエロ：プレイヤーが傷ついたら番も傷つくと言うことですよ ピエロ：大丈夫、実際にゲームが始まれば嫌でも分かりますから ピエロ：あぁ、そうそう ピエロ：首輪と同様に、薬もあなた方がここに連れてこられた時点で投与してあるので、 ピエロ：今更どうにもならないですけどね？ 0：　 ハルカ：ちょっと待ってよ…？ ハルカ：何言ってるの…？ ナツキ：ハルカ、大丈夫か？顔真っ青だぞ… ハルカ：ナツキ…どうしよう…震えが止まらない… ピエロ：殺しの道具は好きなものをお選びください ピエロ：使いやすいもので結構ですよ？ ピエロ：もちろん一つでなくても構いません ピエロ：銃・ナイフ・木刀・爆弾… ピエロ：あぁ、金槌やノコギリみたいな日常的なものも用意してあります ピエロ：こっちの方が馴染みがあって使いやすいでしょうし、 ピエロ：力の弱い女性にもオススメです ピエロ：が、殺傷力に欠けるのがたまにキズと言ったところでしょうか アキヨ：待って待ってよ…？え？殺し合い…？ アキヨ：アキが…？あの子と…？ アキヨ：嘘だよ…そんなの…そんなのアキにできっこない アキヨ：ト…トウマ…どうしよう…？ トウマ：…おい、イカレピエロ ピエロ：…その呼び方は非常に腹立たしいのですが… ピエロ：何でしょう？ トウマ：ようはどっちかのペアしか生き残れねぇってことだな？ ピエロ：その通りです トウマ：殺し合いに勝ったペアはどうなる？ ピエロ：おぉ！大事なことを伝え忘れていました！ ピエロ：トウマもただの直上馬鹿ではないということですね トウマ：余計なこと言ってねぇでさっさと教えろ ピエロ：…この手のゲームでよくあるご褒美ですよ ピエロ：勝ったペアはこの部屋から解放され、日常生活に戻れる ピエロ：もちろん、殺人罪や教唆罪（きょうさざい）などで ピエロ：罪に問われることはありませんので、ご安心を トウマ：ほんと、なんの捻りもねぇな。 トウマ：だが、それならやることは一つだ トウマ：アキヨ！ アキヨ：えっ… トウマ：あのハルカって女をぶっ殺せ アキヨ：えっ…トウマ…？そんなことアキできな… トウマ：できないんじゃなくてやるんだよ！！ アキヨ：ひっ…！ トウマ：お前がやらなきゃ俺たちはここで死ぬしかない トウマ：アキヨお前ならやれる アキヨ：で…でも… トウマ：心配すんな、全部俺が指示してやる トウマ：お前はその通りに動けばいい トウマ：俺の言うこと聞くなんていつものことだろ？ アキヨ：う…うん トウマ：よしっ、いい子だ ハルカ：ちょっ…ちょっと待ってよ！ ハルカ：殺し合いなんて本気でやるつもり！？ ナツキ：そうだよ！こんな非人道的なこと間違ってる！ ナツキ：協力して他の方法を探すべきだ！ ハルカ：ここにある道具を使ったら、 ハルカ：ドアの鍵を壊すことだってできるかもしれないし、 ハルカ：抜け出す方法が見つかるかも… ピエロ：残念ながらそんな時間はありません ハルカ：え…？ ピエロ：ゲーム開始から30分で決着がつかなければ、 ピエロ：その部屋に毒ガスが噴射されます ナツキ：毒ガス…！？ ピエロ：窓もないその部屋では、全員仲良くあっという間…！でしょうね〜 ハルカ：そんな…助かるには殺し合いをするしか…ないの？ ナツキ：…っ！ ナツキ：…ピエロ！ ナツキ：プレイヤーを僕にすることはできないのか！？ ハルカ：ナツキ…！？ ナツキ：ハルカに人殺しをさせるなんてできない… ナツキ：でも、このままじゃ毒ガスで二人とも死ぬ… ナツキ：だったら、僕が戦って、一緒に生きてここから出る…！ ハルカ：ナツキ… トウマ：名案だな、当然こっちも俺が出ていいんだろ？ トウマ：正直そっちの方が手っ取り早い ナツキ：もちろん、そっちもトウマに変えてもらって構わない！だから… ピエロ：ダメだ ナツキ：え… ピエロ：進行役である私を無視して、勝手に話を進めるな ピエロ：そんな自分勝手なルール変更が認められると思っているのか？ ピエロ：思い上がるなよ？ ピエロ：プレイヤーはハルカとアキヨ ピエロ：変更は一切認めない ナツキ：そんな… トウマ：ちっ ハルカ：ナツキ…ありがとう ハルカ：大丈夫、私やれる…よ…？ ハルカ：ナツキと生きてここから出る ハルカ：そのためだったら私、どんなことでも頑張れる ナツキ：ハルカ… ハルカ：だから、私の後ろで一緒に戦って…？ ナツキ：わかった… ナツキ：絶対にお前を死なせない…！ ナツキ：なにがあっても全力で助ける！ ハルカ：うん…ありがとう… 0：　 ピエロ：…ご理解いただけたようで何よりです ピエロ：では、ハルカとアキヨは好きな武器を選び盤上へ ピエロ：ナツキとトウマは部屋の端へ ピエロ：ゲーム開始と同時に、 ピエロ：どちらかが死ぬまで盤上へは干渉できなくなりますが、 ピエロ：声は聞こえますので、ご安心を 0：　 0：　 0：間 0：　 0：　 ピエロ：さて…、準備が整ったようですね ピエロ：アキヨは銃、ハルカはナイフですか… ピエロ：ククク…どんな殺し合いが見られるのか楽しみですねぇ… ピエロ：では、ゲームスタート 0：　 トウマ：アキヨ！とにかく撃て！撃ちまくれ！ アキヨ：え…？え…？でもこんなの使ったこと… トウマ：致命傷にはならなくても、数撃ちゃ当たる！ トウマ：ハルカを近づけさせず、 トウマ：擦り（かすり）でもすりゃあこっちのもんなんだよ！ トウマ：いいから引き金引け！ アキヨ：わ…わかった！ ナツキ：ハルカ！銃なんて早々当たらない！ ナツキ：焦らなくていい…！ ナツキ：俺の声だけに集中して、ゆっくりアキヨに近づくんだ！ ハルカ：う…うん！ 0：　 ハルカ：（Ｍ）こうして、私達の死のゲームが始まった ハルカ：銃もナイフも使ったことがない素人同士の殺し合い ハルカ：トウマの怒号を浴びながら見様見真似で銃を乱射するアキヨちゃん ハルカ：ナツキの指示に合わせながら、震える足でアキヨちゃんに近づき、 ハルカ：必死でナイフを振るう私 ハルカ：お互いに当たるわけもなく、 ハルカ：恐怖と焦りが募り、刻一刻と時間だけが過ぎる平行線が続いた ハルカ：モニターの中には不気味に笑うピエロの姿と、 ハルカ：毒ガスまでのカウントダウン ハルカ：このままじゃ時間切れで毒ガスが… ハルカ：そう思って一瞬気が逸れたその時、 ハルカ：彼女の放った銃弾が一発私の腕を掠めた（かすめた） 0：　 アキヨ：やった！やったよトウマ！当たったよ！ ハルカ：ゔぁっ…、いっ…た… ナツキ：ハルカ！大丈夫か！？ ハルカ：う…ん、大丈夫…腕を少し掠っただけだから… ハルカ：ナツキも大丈夫…？ ナツキ：あぁ俺はぜんぜん…あれ？ ハルカ：ナツキ？ ナツキ：ハルカが怪我したのに、なんで俺は無傷なんだ？ ハルカ：え…？ トウマ：ぐわぁぁぁぁっ… アキヨ：トウマ！？ トウマ：腕が抉（えぐ）られる…！ アキヨ：なんで！？ アキヨ：アキ攻撃されてないのに、なんでトウマが怪我してるの！？ ハルカ：なに…？どういうこと…？ ナツキ：…！まさか… ナツキ：ペアが…逆…！？ 0：　 ピエロ：ふふ…あはは… ピエロ：あははははははっ ピエロ：ご名答！！ ピエロ：さすがナツキ！ ピエロ：まさか一発で見破ってしまうとは、 ピエロ：流石の洞察力と頭の回転の速さですね トウマ：どう…いうこと…だ！ ピエロ：ハルカとトウマ、アキヨとナツキが ピエロ：ペアリングされているということですよ ハルカ：え…？ ピエロ：ちなみに、薬の効果で、 ピエロ：痛みの強さは男性陣の方が数倍上です ピエロ：蚊帳の外から殺し合いを見ているだけなんですから、 ピエロ：それくらいなくては不公平でしょう？ アキヨ：ちょっと待って！？わかんないよ！ ナツキ：つまり、ハルカが死ねばトウマが、 ナツキ：アキヨが死ねば俺が死ぬってことだ… ハルカ：え…じゃあどうすればいいの…！？ ナツキ：ペアリングが解除出来ない限り、 ナツキ：俺たち二人が助かる方法はない… ハルカ：そんな…！ アキヨ：トウマ！トウマ！大丈夫！？ アキヨ：腕痛いよね？アキどうしたらいい！？ トウマ：…アキヨ、…お前のせいだ！！ アキヨ：…え？ トウマ：お前の撃った銃弾のせいでこうなったんだ！ トウマ：どう責任取るつもりだよ！？ アキヨ：え…でも、だって…トウマがハルカを撃てって… アキヨ：だから…、アキ怖くても頑張ったのに… トウマ：あぁ！？ トウマ：お前の撃った銃のせいで、俺の腕がダメになったことに変わりねぇだろ！ トウマ：結果的にお前のせいだろうが！口答えするな！ アキヨ：ひっ…ごめんなさい… ピエロ：あはははは…！ ピエロ：責任転嫁も甚だしいですね〜 ピエロ：自分のことを棚に上げて、恋人を一方的に責めるだけですか ピエロ：人間窮地に陥ると本性剥き出しになるとは言いますが、 ピエロ：気持ちいいくらい典型的ですねぇ トウマ：黙ってろ！イカレピエロが！ トウマ：クソが…！ハルカが死んだら俺も死ぬ！？ トウマ：冗談じゃねぇ…！どうすりゃあいい…！？このままじゃ… トウマ：…！おい…アキヨ…！ アキヨ：な…何…？ トウマ：お前自分を撃て アキヨ：え…？ ハルカ：ちょっ…待って…！それ…！ トウマ：うるせぇ！ アキヨ：ト…トウマ…？どういうこと…？ アキヨ：アキ…よくわかんなくて… トウマ：アキヨ、お前の気持ちはちゃんとわかってる トウマ：お前は俺が好きだよな？ トウマ：だから、俺に痛い思いさせるの辛いだろ？ トウマ：お前の苦しみは俺が苦しむことだ トウマ：俺も、アキヨにこれ以上無駄に苦しんで欲しくない トウマ：だからその銃で自分を撃て トウマ：こめかみで、ゼロ距離から引き金引いたら トウマ：痛いって思う前に意識なくなるから、安心しろ アキヨ：え…？え…？ ハルカ：あんた、自分の彼女になんてこと言ってんの！？ ハルカ：自分が助かりたいだけでしょ！？ ハルカ：そんな酷いこと、よく平然と言えるわね！ トウマ：部外者は黙ってろ！ トウマ：アキヨのこと一番わかってんのは俺なんだよ！ トウマ：なぁ？そうだろ？アキヨ アキヨ：トウマの幸せが私の幸せ…？ アキヨ：トウマが痛い思いするのは嫌…？ アキヨ：トウマが痛い思いしないためには、 アキヨ：アキは…自分を…撃つ…？ トウマ：そうだアキヨ、ちゃんとわかってるじゃないか トウマ：いい子だな ハルカ：アキヨちゃん！トウマの言うこと聞いちゃダメよ！ ハルカ：アキヨちゃんを犠牲にして、生きようとしてるだけなんだから…！ トウマ：黙れ！！ トウマ：ハルカ、お前にとっても悪くねぇ話だろうが トウマ：自分の手を汚さず生き残れるんだぜ？ トウマ：あぁ、それともなにか？ トウマ：ナツキが死んで一人ぼっちで寂しいってんなら、俺が付き合ってやろうか？ トウマ：デスゲーム生き残った者同士仲良くやっていけると思うぜ？ トウマ：俺たち ハルカ：ふざけないで！！誰があんたなんかと…！ アキヨ：…トウマ？ アキヨ：…え？トウマあの子と付き合うの？ アキヨ：アキを捨ててハルカのとこに行くの？ アキヨ：なんで…ねぇなんでなんでなんでなんで…！？ トウマ：お…おいアキヨ…？ アキヨ：許さない…ハルカになんかトウマを渡さない…！ アキヨ：トウマはアキだけのものなんだからぁぁ！ ナツキ：ハルカ！危ない！逃げろ！ アキヨ：あぁぁぁぁぁ…！！ ハルカ：きゃあっ！？ 0：　 ナツキ：（Ｍ）激昂し、錯乱したアキヨは喚きながら無闇矢鱈と銃を乱射し、 ナツキ：手当たり次第に、ナイフや爆弾をめちゃくちゃに投げ飛ばし始めた ナツキ：必死に逃げ惑うハルカを見ていることしか出来ず、 ナツキ：無力で弱い自分がどうしようもなく嫌になる ナツキ：どうすればいい…？ ナツキ：…自分の中で答えはとうに出ていた ナツキ：ただ口に出す勇気がなかった ナツキ：毒ガス噴射まであと5分 ナツキ：タイムリミットも迫っている ナツキ：ハルカの顔を見つめ、僕は声を振り絞った 0：　 0：　 ナツキ：ハルカ！アキヨを殺せ！ ハルカ：…っ！何言ってるの！？ ハルカ：そんなことしたら、 ハルカ：彼女とペアリングされてるナツキまで死んじゃう…！ ハルカ：なんとかペアリングを解除する方法を…！ ナツキ：もう時間がない！毒ガス噴射まで5分を切った！ ナツキ：アキヨも正気じゃない…！ ナツキ：このままじゃ流れ弾が、 ナツキ：いつハルカに当たってもおかしくないんだ！ ハルカ：…っ！それでも…私にはそんなことできない！ ナツキ：ハルカ！僕はハルカを死なせたくないんだ！ ハルカ：私だってナツキを死なせたくない！ アキヨ：ハルカぁ…？ アキヨ：アキのトウマのこと奪おうとしてるのに アキヨ：彼氏ともいちゃついてるなんて アキヨ：許さない…許さない… アキヨ：あんたなんかにトウマは渡さない… アキヨ：こいつであんたを蜂の巣にしてやるんだからぁ…！ トウマ：マシンガン！？ トウマ：アキヨ！やめろ！やめるんだ！そんな銃使ったら…！ アキヨ：うわぁぁぁぁぁ！！ 0：　 ハルカ：（Ｍ）アキヨちゃんがマシンガンを連射しながら近づいてくる ハルカ：銃の反動に振り回されてフラつきながらも、 ハルカ：目だけはずっと私を睨みつけている ハルカ：その視線に背筋が凍りつく ハルカ：振り返ってナツキの顔を見た ハルカ：ナツキは苦しくて泣きそうな歪んだ表情で、私を見つめていた ハルカ：心が締め付けられる ハルカ：ナツキのこんな顔見たくない… ハルカ：私は覚悟を決めた ハルカ：ナツキを殺す勇気なんて、私にはない ハルカ：武器が力なく手から滑り落ちる 0：　 ナツキ：…！？武器を拾え！ハルカ！ ハルカ：ナツキ…聞いて？ ハルカ：私ね、ナツキと出会えてよかった ハルカ：もうナツキのいない人生なんて考えられない ナツキ：ハルカ…！？お前何言って…？ ハルカ：聞いて！私いつもナツキに助けられてきた ハルカ：私がどんなに弱音吐いても ハルカ：大丈夫だよって笑って励ましてくれた、側にいてくれた ハルカ：あの笑顔見るとね、なんでもできた ハルカ：そんなナツキに、私はまだ何一つお返しできないの ハルカ：だからね？ ハルカ：最期にナツキのこと助けさせて？ ハルカ：ナツキを死なせたくないの ハルカ：私の精一杯の恩返し ハルカ：なんて…これも結局、ナツキのいない世界で生きていけない、 ハルカ：って言うただの私のわがままなんだけど ナツキ：やめろ！ハルカ！お願いだやめてくれ！！ ナツキ：武器を拾え！逃げろ！もうそこまで来てる！早く…！！ ハルカ：ナツキ…私と出会ってくれてありがとう ハルカ：本当はもっと伝えたいこといっぱいあるけど、上手く出てこないや… ハルカ：ずっと…大好き…だ…よ ナツキ：やめろぉぉぉぉ…！！ 0：　 ハルカ：（Ｍ）最期の言葉を言い終わるか否かの刹那、 ハルカ：ナツキの絶叫と共に、私の身体を無数の銃弾が貫いた ハルカ：命を焼かれる痛みの中、虚ろになっていく視界にナツキの姿が映る ハルカ：ナツキごめんね…泣かないで… ハルカ：そんな顔させたいんじゃないの ハルカ：ここから出られたらどうか笑って…？ ハルカ：私の大好きだったあの笑顔で… 0：　 0： ピエロ：（Ｍ）ゲームは終わった 0：　 0：　 ナツキ：ハルカ！ハルカ！おい！目開けろよ！？ ナツキ：ハルカ…！なんで…なんでこんなこと… ナツキ：お前を犠牲にしてまで、俺は生き残りたくなんかなかった… ナツキ：俺だってお前がいなきゃ生きてる意味なんて… 0：　 アキヨ：きゃははは！ アキヨ：トウマ！やったよアキ、ハルカを殺したの アキヨ：アキを褒めてトウマ！ アキヨ：これでトウマはどこにも行かない… アキヨ：トウマはアキだけのものなんだから… アキヨ：これからも絶対誰にも奪わせないよ… アキヨ：ね？トウマ… 0：　 0：　 ピエロ：（Ｍ）そこには同じように死体を抱きしめながらも、 ピエロ：対照的な2つの存在があった ピエロ：一つは、正気の抜けた虚ろな目で涙を流し、 ピエロ：後悔と愛しみで死体を抱きしめ、 ピエロ：一つは、狂喜の笑い声を響かせながら、 ピエロ：狂わされてしまった愛で死体を抱きしめる 0：　 ピエロ：（Ｍ）これは一つの結末に過ぎない ピエロ：これは私の探していたものだろうか ピエロ：違う…満たされない… ピエロ：恋人、友人、親子、兄弟… ピエロ：人の数だけ違った結末がみれるだろう ピエロ：私はどんな結末を見れたら満足なんだろうか ピエロ：それが見つかるまでゲームは終わらない… ピエロ：さぁ、別の結末を探しに行かなくては ピエロ：参加者はいくらでもいる ピエロ：私が満足する結末を見せてくれるのは… ピエロ：君たちかもしれない…ね？