声劇台本置き場

ポリス：…以上で、講演を終わります。ご清聴ありがとうございました。 0：拍手 0：その中でひときわ大きな拍手をおくる囚人の姿が 囚人：（盛大な拍手）ブラボー！ブラボーですよ、ポリスメ～ン ポリス：あはは、どうも 囚人：いやぁ、感動しましたぁ～！ほら皆さんスタンディングオベーションですよ～！ ポリス：そんな大袈裟な 囚人：やだなぁ、本当ですよ～？ 囚人：ん～、どうも嘘っぽくなってしまうのが私のダメなところですねぇ ポリス：はぁ 囚人：まだお若いのにこんなにも立派な講演ができるなんてあなた、出生街道まっしぐらでは？ジャパンの未来は安泰ですねぇ ポリス：そうなればいいですが。本官はまだまだ新米でありますから 囚人：おやぁ、そんな風には見えませんでしたよ？ご立派ポリスだぁ～ ポリス：（随分癖の強い人だな） 囚人：そこで、優秀なポリスに是非、質問をしておきたいのですが ポリス：はい、何でしょう 囚人：１２枚目のスライド出せます？…そう、それです。ジャパンの法律。難しいですねぇ ポリス：あー、はい 囚人：法律は何のためにあるのか。講演では人の幸福を守るためだとおっしゃいました。ですがね、私はあなたの意見が聞きたいなと思ったのですよ ポリス：本官の…？ 囚人：ええ。法律は何のためにあるのでしょうか ポリス：講演で言った通りですよ 囚人：人の幸福を守るため…？ ポリス：はい 囚人：それがあなたの答えですか…？ ポリス：はい 囚人：ファイナルアンサー？ ポリス：ふざけているならお下がりください 囚人：やだなぁ、軽いジョークじゃないですか～。ほらスマイルスマイル～ ポリス：嘘偽りなく、法律は国民の幸せのためにあります 囚人：では、私の幸福のためにここから出してくださいよぉ～ ポリス：そういうことでしたら、質疑応答の時間は終わりです 囚人：そんなぁ～ ポリス：あなた自身、その発言が自分勝手なものだと分かっているでしょう。少し大人になってください 囚人：いやぁ、私の思った通り。いかにも硬派なポリスだ。ブラボー！ブラボーですよ、ポリスメ～ン ポリス：はぁ 囚人：いいですね。私と似ている ポリス：…？ 囚人：いえ、何でもありませんよポリスメ～ン ポリス：そうですか。では、講演を終わります。ありがとうございました 0：ポリスが退場しようとした時 0：どこかでパチンと音がなる 0：消灯 0：　 0：　 0：　 ポリス：な、なんだ…？ 囚人：あぁあぁ！ ポリス：真っ暗だ！どうなっている！ 囚人：何てことでしょう！停電、停電！怖い～！ ポリス：騒ぐな！誰も動くなよ！ 囚人：囚人ばかりの空間！停電！怖い～！ ポリス：落ち着きなさい！ 囚人：あぁ怖い怖い！怖いなぁ～！ ポリス：だから、静かに…！ 囚人：ポリ～ス、ポリ～ス ポリス：さっきのやつだな…！絶対わざとだろ！少しは大人しくできませんか…！？ 囚人：えぇ？この状況で大人しく…？そんなことぉ…ンフフ、できますよぉ～ 0：どこかでパチンと音がなる 0：明転 0：　 0：　 0：　 囚人：あぁ、ポリス。こんなところにいたぁ 0：ポリスの目の前に、さっきの囚人が笑顔で立っていた ポリス：うわっ 囚人：うわっ、だなんて。やだなぁ ポリス：戻りなさい。あなたの席はあっちでしょ 囚人：えぇ？褒めて下さいよぉ。この停電に乗じて逃げようとせず大人しくしていた私を ポリス：席に戻りなさい 囚人：褒めていただけたら戻ります～ ポリス：（ため息）大人しくなんてしてなかったでしょ 囚人：じー… ポリス：よくできました。はい、戻りなさい 囚人：どの辺りがよくできました～？ ポリス：（ああめんどくせぇな…） 囚人：やだなぁ、めんどくさいなんて。顔に出てますよ？ ポリス：別にそんな顔…！ 0：自分の顔をパンっと叩くポリス 囚人：ンッフフ、本当に面白いポリスだ 囚人：やめてくれませんか？それ以上は危険ですよ 囚人：綺麗なものは汚したくなってしまうから ポリス：どういう意味だ 囚人：ひぃ怖い怖い！大丈夫、ちゃんと戻りますよ 囚人：では 囚人：…ンフフ 0： 0：－－－－－－－－－－ 0：牢屋 0：突然のブザー 0：突然のサイレン 看守A：追えーーー！ 0：遠くの方で叫び声が聞こえる ポリス：…ん、ここは… 0：牢屋 ポリス：俺は、いったい…？ 0：　 囚人：（アナウンス）あっあー、マイクテスト、マイクテスト 囚人：（アナウンス）こんにちは。いつもお世話になっております。どうも囚人です 囚人：（アナウンス）何だかとんでもないことになっていますが、皆さん落ち着いて。いい大人なんですから 囚人：（アナウンス）んん、うるさい。あちらこちらで悲鳴やら怒鳴り声やらほんと嫌になってしまいますねぇ 囚人：（アナウンス）えいっ！ 0：あちこちでシャッターが閉まる 囚人：（アナウンス）ンッフフフフ、少し大人しくしていてくださいよ。はい、隔離 囚人：（アナウンス）おや、先ほどのセリフは何だか聞き覚えがありますねぇ 0：　 ポリス：なんだ…、何が起こっている！？ ポリス：確か俺は受刑者に講演をしていて、それで… 囚人：（アナウンス）甘い！甘い！甘すぎる！ジャパンのセキュリティはこんなものですか！？ ポリス：この声、どこかで 囚人：（アナウンス）セキュリティは安全に、ですよ？私が皆さんに代わって本当の警備を教えてあげましょう 看守A：や、やめろぉおおお！ 囚人：（アナウンス）えいっ！ 看守A：ぐああああああ 囚人：（アナウンス）守る立場のあなたがそんなことでは、皆が幸せに暮らせないでしょう？ 看守A：だまれ！ 囚人：（アナウンス）言葉の暴力 ポリス：…っ！思い出した！停電直後、突然後ろから殴られて…俺は 囚人：ポリ～ス ポリス：この変なやつに絡まれて… 囚人：んん？変なやつぅ？やめてくださいよ、私とあなたの仲じゃないですか ポリス：でたっ…！ 囚人：でた？まるで私は化け物だ ポリス：お前、放送室にいたんじゃないのか 囚人：いえ、このパソコンから接続して声を通しただけですよ ポリス：そんなこと… 囚人：また褒めて下さるんですか？嬉しいなぁ ポリス：そうじゃなくて 囚人：私は天才ハッカーなんですよ。あぁ、自分で言ってしまいましたぁ ポリス：ハッカー… 囚人：ダメじゃないですか。ハッカーをパソコンに近づけたら… ポリス：はぁ…？ 囚人：あなたのスライドよくできてますねぇ。硬派な性格がしっかり表れている ポリス：俺のパソコン…！ 0：囚人が持つパソコンを奪おうとするが 0：何かにさえぎられて近づけない ポリス：牢…屋…？ 囚人：おや、今お気づきになられました…？そう、あなたは囚われているのです ポリス：いつの間に… 囚人：罪を犯したからですよ。償ってくださいね。凶悪な犯罪者を解放してしまったのですから 囚人：あぁ、怖い！正義のポリスが天才ハッカーを野放しに…！ ポリス：おい、さっきから何を言っている。早く牢に戻りなさい 囚人：おや！おやおや！あなた、牢に戻りなさいだなんて、本気でおっしゃってます？ ポリス：いい加減にしろよ！ 囚人：もう、すぐカッカするんだから。。。 囚人：いいですか？あなたは今、受刑者なのです。ご自分の立場を理解してください ポリス：何が目的だ。…あれか、新米警察がいっちょ前に講演なんかしたから、偉そうに見えたとか 囚人：はぁ、そんなことでこんな大掛かりなことしませんよ ポリス：じゃあ何だ？ 囚人：理由が必要ですか？まぁ、しいていうなら世直し？いや、退屈しのぎでしょうか…？ ポリス：ふざけるな！ 囚人：だから！大きな声を出さないでください ポリス：… 囚人：このままじゃ、皆の幸せが守られませんよ？早く、私を捕まえて下さい ポリス：お前 囚人：あなたなら私を止められると思ったのですが… ポリス：ただの捕まえられたがりか！ 囚人：そうなのでしょうか。私はただ自分の才能が怖いんですよ 囚人：エリートコースまっしぐら。研究を重ねていたら、今まで不可能だと思っていたことが簡単にできてしまって 囚人：気づいた時には遅かった。犯罪に踏み込んでいました。犯罪防止のために研究していたのにね ポリス：俺にはよく分からない 囚人：あなたもエリート大学を出ているじゃないですか ポリス：勝手に見るんじゃない…！ 囚人：ハッカーに「見るな」なんて、ポリスに「捕まえるな」と同じですよ ポリス：ヤベェな…お前！ 囚人：そう、私は自分のヤバさに気づいたんです。それなのに…誰も捕まえてくれない 囚人：何ということでしょう！このままでは国民の幸せが守られません…！！ ポリス：なら… 囚人：自首しました。それなのに…脱獄できてしまう！こんなことでは犯罪は…！ああ嘆かわしい…！！ ポリス：わかった、落ち着け。話は聞いてやるから、もっとくつろげる場所で… 囚人：ストレート。何のひねりも無い「ここから出して下さい」ですね ポリス：…っ！ 囚人：そして、感情がすぐに顔に出る。私は好きですけどね。でも、甘いんです。そんなことでは誰も守れま… 0：バキューン（銃声） 囚人：…っ！ ポリス：甘いのはお前の方だ ポリス：感情をすぐに顔に出すのは相手を油断させるため。あんたは、俺に気を許しすぎた 囚人：拳銃なんてどこから… ポリス：警察をなめるなよ。次は心臓をぶち抜く。命が惜しかったら、早くここから出せ 囚人：うっ…！ 0：その場にうずくまる囚人 ポリス：おい！くそっ… 0：倒れた囚人の服をあさり牢の鍵を見つける ポリス：これで… 0：カチャリ ポリス：…、こいつの言う通り、簡単に脱獄できてしまった ポリス：っ！いかんいかん！こんなやつの言うことなど真に受けては 0：牢をあとにするポリス ポリス：出口、出口は…！ ポリス：…くそ、どこもシャッターで出られないじゃないか ポリス：貴重品もないし ポリス：どうすりゃいいんだ… 囚人：ポリ～ス ポリス：…っ！ 囚人：乱暴なポリスは解釈違いですよぉ ポリス：もう起きたのか…！ 囚人：あなたは綺麗でいてくださいよ～。ですが、先ほどの一撃はとても痺れましたぁ ポリス：っ！殺される…！！ 囚人：痛い、痛いなぁ～ ポリス：くそ、逃げ道はないのか…！ 囚人：ンッフフフフ ポリス：開け！！頼む…！開いてくれ！ 囚人：大きな声。出しちゃダメだって言ったのに ポリス：…開いてくれっ！ 囚人：本官は脱獄するでありま～～す！ ポリス：…っ！ 囚人：ほ～ら、勇敢なポリス、み～つけた…！ 0：　 ポリス：来るなっ！！ 0：拳銃を構えるポリス 囚人：（ため息）あなたには撃てませんよ ポリス：…っ！ ポリス：撃つ！ 囚人：手が震えています。先ほどは気付けませんでしたが、怖い気持ちをグッとこらえよく頑張りましたね。やはり勇気がいりますよね、人を撃つなんて 囚人：実にかっこ良かったです。いやぁ、ブラボー！ブラボーですよ、ポリスメ～ン！ ポリス：来るなと言っている！！ 0：歩みを止めない囚人 ポリス：撃つぞ！！ 囚人：撃つつもりの人が、「撃つぞ」なんて言いませんよ ポリス：…おい 囚人：何でしょう？ ポリス：皆の幸せを守りたいなら、捕まる捕まらないの話じゃないだろ。あんたが守ればいいじゃないか！人任せにしてんじゃねぇよ！ 囚人：ストレートな ポリス：自覚しているのなら尚更。あんたは本当に凄い人なんだろうよ。だったら、その才能を人のために使ってくれよ 囚人：ストレート ポリス：俺は本気で、皆の幸せを守りたい 囚人：ストレート。バッターアウト。ンフフ ポリス：それ以上進んでみろ、俺は職務を全うする！必ずお前をぶち抜く！ 囚人：自分の才能に溺れた私は…、もう手遅れ…、残念なことです 0：囚人は一歩を踏み出す 囚人：バーーーーーーーーーーーン！ 0：銃声 0：倒れる囚人 ポリス：はぁ…はぁ… 囚人：ブラボー…、ブラボーですよ…、ポリスメ…ン。あなたは私を止められた… ポリス：だ、だまれ 囚人：ンフフ…、ですが、それと同時に人殺しをした。自分の才能に溺れた私はその才能で罪を犯し、あなたも自身の立派な拳銃の腕で罪を犯した 囚人：まっすぐな人ほど、おちるのは簡単なのですよ 囚人：あなたと私は似ている 囚人：それは、残念なことです… ポリス：俺は…、 囚人：あなたは、人を殺したのです ポリス：これは、この発砲は…、 囚人：ンフフ、綺麗なものほど汚したくなってしまう、私の職業病ですね。とても残念なことです ポリス：これは…これは… 囚人：正義のポリスメ～ン。私のバグを受け取っていただけましたか…？それでもなお… ポリス：あああああああ！ 0：銃声が響く 0：　 0：ーーーーーーーーーー 0：　 0：囚人の死体と、その横でうなだれる若きポリス 0：解除されたシャッターをくぐりぬけ、1人の看守が近づく 看守B：大丈夫ですか！…っ、そいつは！ 看守B：あなたが止めてくれたんですね！ ポリス：はい 看守B：どうやらそいつが監獄内にウイルスをまいていたようで…。全てのセキュリティが… ポリス：はい 看守B：いやぁ、あなたが、…てくれた…げで、皆の…せが…れた… ポリス：はい 看守B：…の？わた…はなし…こえ…ます？ ポリス：はい 0：　 0：　 ポリス：看守さん。お願いがあります ポリス：本官を、捕まえて下さい