台本概要

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タイトル 彼女の好きな犬
作者名 うどんマン  (@hello_udon_don)
ジャンル ラブストーリー
演者人数 4人用台本(男2、女2)
時間 10 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 彼女が愛しているのは"僕"ですか?

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
芽樹 151 【いぶき】何かを思い出したい
ハル子 51 大人な女性。犬が好き
咲良 89 【さら】いぶきの幼馴染
中山、他全て兼 - 中山/猿/ライオン/店員
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

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ハル子:…芽樹くん 芽樹:どうしたの、ハル子さん ハル子:そんなに見つめないで。溶けちゃうわ 芽樹:ごめんなさい。つい ハル子:あなた、この前もそうやって私のこと見てたでしょ 芽樹:この前…? ハル子:動物園よ 芽樹:動物園… ハル子:先月行ったでしょ?ああ、…ええっと 芽樹:思い出した思い出した。迫力あったよね、ライオン ハル子:そうよ、ライオン。芽樹くんがあんなに臆病だったなんて思わなかったわ 芽樹:笑わないでよ ハル子:ウフフ 芽樹:…動物園、楽しかった? ハル子:ええ、また行きましょ 芽樹:…意外だな ハル子:どうして…? 芽樹:ハル子さん、大人なイメージだったから ハル子:私、動物好きなの 芽樹:へぇー、そうなんだ ハル子:特に犬がいいわね 芽樹:だったら別に動物園じゃなくても ハル子:なに? 芽樹:あ、いや ハル子:芽樹くん 芽樹:俺は動物よりもハル子さんの方が好きだよ ハル子:ありがとう 芽樹:…うん ハル子:ほら、口開けて? 芽樹:はい ハル子:あーん 0:ハル子、カバンの中の袋から団子を取り出し、芽樹に食べさせる ハル子:よーく噛んでね 芽樹:うん。…あの、ところでさ ハル子:何かしら 芽樹:動物園、何ていうとこだっけ?ほら、難しい名前だったからさ… ハル子:“モンキーパーク”よ 芽樹:そうだった、そうだった。…ありがとう ーーーーーーーーーー 0:モンキーパーク入場口 ーーーーーーーーーー 咲良:うーーわ、きもちわるっ! 芽樹:何だよ 咲良:待ち受け 芽樹:可愛いだろ 咲良:あのさ、どうしてそういう写真なのかな 芽樹:他に持ってなくて 咲良:盗撮したやつだよね?その写真 芽樹:可愛いだろ 咲良:可愛いけど 芽樹:お美しいだろ 咲良:お美しいけど 芽樹:ずっと見ていたいだろ 咲良:…そうだね 芽樹:ずーっと、見ていたいよな 咲良:そ・う・だ・ね!!! 芽樹:なんだよ!おっきい声出すなよ!猿かよ! 咲良:女の子にむかって猿だなんてどういうことかしら! 芽樹:すいません 咲良:一緒に写真撮ったらいいじゃん 芽樹:う、うん 咲良:彼女なんでしょ? 芽樹:うん、そうなんだけど。なんていうか 咲良:… 芽樹:うーん 咲良:…言いたくないならいいよ別に 芽樹:うん 咲良:動物園、ハル子さんと来れば良かったのに 芽樹:先月行ったばかりだよ 咲良:そうなの? 芽樹:たぶん 咲良:なにそれ 芽樹:…俺、忘れっぽいからさ 咲良:じゃあ何?今日私が呼ばれたのって… 芽樹:先月ハル子さんとデートした道を一緒に辿って!お願い! 咲良:嫌よ!あんたの記憶を呼び起こすためのデートなんて! 芽樹:いやデートじゃないよ 咲良:はぁ? 芽樹:お願い!ねぇお願い! 咲良:いーや! 芽樹:こんなこと頼めるのお前しかいないんだよ 咲良:いーーや! 芽樹:お前しかいないんだ 咲良:ハル子さんともう一回来れば良かったじゃん! 芽樹:う、うん 咲良:うん 芽樹:やっぱそうだよね 咲良:…そうだよ、絶対 芽樹:ハル子さんと 咲良:まぁ、今日は来ちゃったし?付き合ってあげるけど 芽樹:いいよ別に 咲良:は? 芽樹:一人で回るよ 咲良:え?は? 芽樹:だから一人で… 咲良:入口まで来てそんなこと言う? 芽樹:嫌なんでしょ? 咲良:…ずるいよ 芽樹:ごめん 咲良:…今日だけだよ ーーーーーーーーーー 0:モンキーパーク園内 ーーーーーーーーーー 中山:皆さんご覧ください。こちらがコモンリスザルです。オマキザル科の中では最も小さい仲間で、とても機敏に… 0:  咲良:ちょっと!芽樹! 芽樹:何? 咲良:お猿さんだよ! 芽樹:興味ない 咲良:せっかくモンキーパークに来たのに 芽樹:観光が目的じゃないから 咲良:あっそ 芽樹:はしゃぎ過ぎだよ 咲良:いいじゃん 芽樹:子供かよ 咲良:あっかんべーーーーだ! 芽樹:子供だ… 咲良:あんたもでしょ 芽樹:犬はどこかな 咲良:聞いてないし 芽樹:犬を見に行かないと 咲良:動物園で犬? 芽樹:うん 咲良:犬だったら家で飼ってるよ。イヴちゃんっていうの!生まれたばかりの可愛いチワワなんだから~!あっ、そうだ!なんなら今度見に来なよ?へぇー、芽樹は犬が好きだったのか~、そうなんだ~。早く言ってくれれば良かったのに~ 咲良:…あれ。いない 猿:ウキーーーー! 咲良:芽樹ーーー! 猿:キ? 咲良:…せっかく来たんだし、ちょっとくらい楽しんでもいいよね。 猿:ウキーーーー! 咲良:かわいーーーー!! ーーーーーーーーーー 0:ライオンのオリの前 ーーーーーーーーーー 芽樹:… ライオン:ガオー!! 芽樹:… ライオン:ガオー!!! 芽樹:…ライオンだ 中山:そのように、無心でライオンを見つめていらっしゃる方は初めてです 芽樹:え? 中山:この子、日本でトップクラスの大きさなんですよ? 芽樹:迫力ありますよね 中山:… 芽樹:うん、大きいです 中山:…お客様、ライオンが怖くないんですか? 芽樹:いえ、怖いです怖いです 中山:… 芽樹:ここに来るまでは怖いと思っていました 中山:というと…? 芽樹:オリが頑丈だから。安心して見れます 中山:そうですか 芽樹:ライオンは空を飛べないから 中山:飛べたとしても、ここから離れようとはしないでしょ 芽樹:え 中山:ああ…、ここにはエサも、世話をしてくれる人もいますから 芽樹:従業員さんは、ライオンは好きですか? 中山:うーん、実はあまり興味がないんです 芽樹:正直ですね 中山:他に夢中になれる人がいるからかな 芽樹:え? 中山:いえ、ただの独り言ですよ 芽樹:そうですか 中山:では芽樹さん、これにて 芽樹:あ、はい 中山:ブービエ・デ・フランダース 芽樹:はい? 中山:当園でしか見られない珍しい犬です。ぜひご覧になってください 芽樹:そうですか ーーーーーーーーーー 0:芽樹の家 ーーーーーーーーーー ハル子:ほら、口開けて? 芽樹:はい ハル子:あーん 0:ハル子、カバンの中の袋から団子を取り出し、芽樹に食べさせる ハル子:よーく噛んでね 芽樹:うん ハル子:芽樹くん、そんなに見つめちゃ嫌よ 芽樹:ごめん、つい。ハル子さんが魅力的な人だから ハル子:あら 芽樹:俺、忘れっぽいからさ。目にしっかり焼き付けておきたくて ハル子:そんなこと言えるようになったのね、芽樹ちゃん 芽樹:からかわないでよ ハル子:フフ、可愛い 芽樹:あれ、ハル子さん待ち受け変えたの? ハル子:そうやって人のケータイのぞき見ないの 芽樹:ごめん、気になっちゃって ハル子:私の一押しのブラックコーヒーよ 芽樹:へぇー。苦そう。ハル子さんほんと大人だね ハル子:芽樹くんは子供のままね 芽樹:…今は犬よりコーヒーの方が好きなのかな? ハル子:わんちゃんは大好きよ 芽樹:だよね。待ち受け『ブービエ・デ・フランダース』だったもんね ハル子:あら 芽樹:動物園、楽しかったね。また俺と行こうね ハル子:そうね 芽樹:ハル子さん、これ、プレゼント ハル子:何かしら 芽樹:犬のネックレス ハル子:…は? 芽樹:俺のとお揃いなんだ…!色違い、良かったらつけてくれないかなって… ハル子:ふざけないで!! 芽樹:え。だって犬が好き… ハル子:これを私につけろって!? 芽樹:ごめんなさい… ハル子:…ああ、もう、いいわ 芽樹:ハル子さん…!どうして怒ってるの?悪いことしたなら謝… ハル子:今日は帰るわね 芽樹:ごめん、ハル子さん ハル子:続きは土曜日にしましょ。いつものカフェで待ってるわ 芽樹:いつもの…? ハル子:先週行ったばかりじゃない。…あら、違ったかしら 芽樹:ああ、あそこか。うん、わかった ハル子:じゃ、さよなら ーーーーーーーーーー 0:カフェ ーーーーーーーーーー 咲良:うん、美味しい! 芽樹:はいはい良かったねー 咲良:あんたは梅干しかしら 芽樹:は? 咲良:塩対応。重度な塩対応 芽樹:いつものことだろ 咲良:冷た。あんたは冷凍食品かしら 芽樹:は? 咲良:氷点下よりも冷たいわよ 芽樹:冷凍食品は氷点下だよ 咲良:…。 芽樹:…。 咲良:コーヒー美味しいわーーーー 芽樹:ごまかしたな 咲良:ちょっと苦いけど 芽樹:シロップ足す? 咲良:子ども扱いしないで 芽樹:使わないの? 咲良:使うわよ! 芽樹:めんどくさ 咲良:はぁー? 0:  店員:お客様、店内ではお静かにお願いします 咲良:あ、すみません 芽樹:すいません 店員:いえ。では、ごゆっくり 芽樹:あの、いつものお願いしてもいいですか 店員:いつもの…。ええ、かしこまりました 0:  芽樹:良かった 咲良:芽樹、何頼んだの? 芽樹:ブラックコーヒーだよ 咲良:うわ、苦そう 芽樹:苦くないよ 咲良:よくブラックなんか飲めるよね 芽樹:コーヒー好きだもん 咲良:知ってる 芽樹:… 咲良:私はグイグイ足すわよ~! 芽樹:甘そう 咲良:あ。入れ過ぎた 芽樹:真っ白じゃん。糖尿病お疲れ様です 咲良:やめろ! 芽樹:カルテ出しときますね 咲良:結構です 芽樹:カルテ、出しときますね 咲良:二回言うな…! 芽樹:カルテ、 咲良:結構、結構、コケコッコー! 芽樹:… 咲良:お願い、何か言ってよ 芽樹:静かにしないと怒られるよ 咲良:はい、すみません 0:  店員:お待たせいたしました。タピオカプチーノです 芽樹:ありがとうございます。綺麗な色ですね 店員:それはどうも。では、ごゆっくり 芽樹:あの、すみません 店員:はい、何でしょう 芽樹:これじゃないです 咲良:いいじゃん、美味しいよ 芽樹:これじゃねぇんだって!! 咲良:やめなよ…! 店員:申し訳ございません。“いつもの”と言われましても、お客様はご来店が初めてでいらっしゃいますので、当店人気のものを提供させていただきました 咲良:そ、そうなんですか 芽樹:初めて…じゃねぇよ 咲良:芽樹? 芽樹:俺はここに来た!絶対に来たんだ!! 店員:…お客様、会員カードはお持ちですか 芽樹:ないよ、そんなの 店員:いつもご来店いただいているお客様であれば、お持ちかと 芽樹:ないよ、俺そういうの作らないし 店員:一度きりのお客様ならまだしも、常連様のお顔を忘れるようなことはありません 咲良:断言された 芽樹:忘れることはない?俺だって、忘れたくて忘れてるんじゃねぇよ! 咲良:芽樹、落ち着いて? 芽樹:俺は来たんだ!ハル子さんと一緒に!なのにどうして!俺は!! 店員:ハル子様でしたら、いつもご利用いただいております 芽樹:ハル子さん… 店員:お客様は… 芽樹:もういい。また来させてもらうよ 咲良:ちょっと、芽樹! 0:  咲良:あ、とっても美味しかったです。お会計はこれで! 店員:ありがとうございました 0:  咲良:芽樹!! 芽樹:何だよ! 咲良:馬鹿だなお前! 芽樹:はぁ? 咲良:馬鹿だよ 芽樹:…今日はありがとう。もう帰っていいよ 咲良:帰らない 芽樹:何言ってんだよ 咲良:私もバカなの。大馬鹿者なの。…似てるんだ私たち。だから放っておけない 芽樹:咲良 咲良:やっぱり行ったことなかったんだね。さっきのお店 芽樹:忘れてただけだよ 咲良:マップ見ながら歩いてたし 芽樹:… 咲良:レビュー見てたし 芽樹:… 咲良:扉の開け方わかってなかったし 芽樹:え 咲良:一番人気のタピオカプチーノ、初めて見た顔してたよ 芽樹:お前、人のことよく見てるな 咲良:まだある。私があんたに呼ばれたこと 芽樹:…。ごめん、俺ダメだな 咲良:うん、ダメダメだ 芽樹:そんなはっきり 咲良:大馬鹿者だ。…私と一緒 0:  咲良:芽樹、もう無理しないで? 0:ーーーーーーーーーー ハル子:お待たせ 芽樹:待ってないよ 店員:いらっしゃいませ、ハル子様。ご注文はお決まりですか ハル子:いつもの、お願い 店員:かしこまりました 芽樹:僕も同じやつを 店員:かしこまりました ハル子:あら、強がっちゃって 芽樹:俺だって飲めるよ。ブラックコーヒー ハル子:そうだったかしら 芽樹:そうだよ。ハル子さん、俺、苦いの飲めるんだよ ハル子:調子いいんだから 芽樹:ハル子さん ハル子:どうしたの? 芽樹:(この人は、ずっと誰と話してるんだろう) ハル子:芽樹くん? 芽樹:(二人でいるのに一人でいるみたいだよ。俺といる時くらい、俺と会話してくれてもいいのに) ハル子:ほら、口開けて? 芽樹:…はい ハル子:あーん 0:ハル子、カバンの中の袋から団子を取り出し、芽樹に食べさせる ハル子:よーく噛んでね 芽樹:(M)俺は泣きながら食べていた。ハル子さんが大好きだから 芽樹:(M)美味しい。首にかかっているネックレスが光っている。僕は彼女の好きな犬でしかないんだ

ハル子:…芽樹くん 芽樹:どうしたの、ハル子さん ハル子:そんなに見つめないで。溶けちゃうわ 芽樹:ごめんなさい。つい ハル子:あなた、この前もそうやって私のこと見てたでしょ 芽樹:この前…? ハル子:動物園よ 芽樹:動物園… ハル子:先月行ったでしょ?ああ、…ええっと 芽樹:思い出した思い出した。迫力あったよね、ライオン ハル子:そうよ、ライオン。芽樹くんがあんなに臆病だったなんて思わなかったわ 芽樹:笑わないでよ ハル子:ウフフ 芽樹:…動物園、楽しかった? ハル子:ええ、また行きましょ 芽樹:…意外だな ハル子:どうして…? 芽樹:ハル子さん、大人なイメージだったから ハル子:私、動物好きなの 芽樹:へぇー、そうなんだ ハル子:特に犬がいいわね 芽樹:だったら別に動物園じゃなくても ハル子:なに? 芽樹:あ、いや ハル子:芽樹くん 芽樹:俺は動物よりもハル子さんの方が好きだよ ハル子:ありがとう 芽樹:…うん ハル子:ほら、口開けて? 芽樹:はい ハル子:あーん 0:ハル子、カバンの中の袋から団子を取り出し、芽樹に食べさせる ハル子:よーく噛んでね 芽樹:うん。…あの、ところでさ ハル子:何かしら 芽樹:動物園、何ていうとこだっけ?ほら、難しい名前だったからさ… ハル子:“モンキーパーク”よ 芽樹:そうだった、そうだった。…ありがとう ーーーーーーーーーー 0:モンキーパーク入場口 ーーーーーーーーーー 咲良:うーーわ、きもちわるっ! 芽樹:何だよ 咲良:待ち受け 芽樹:可愛いだろ 咲良:あのさ、どうしてそういう写真なのかな 芽樹:他に持ってなくて 咲良:盗撮したやつだよね?その写真 芽樹:可愛いだろ 咲良:可愛いけど 芽樹:お美しいだろ 咲良:お美しいけど 芽樹:ずっと見ていたいだろ 咲良:…そうだね 芽樹:ずーっと、見ていたいよな 咲良:そ・う・だ・ね!!! 芽樹:なんだよ!おっきい声出すなよ!猿かよ! 咲良:女の子にむかって猿だなんてどういうことかしら! 芽樹:すいません 咲良:一緒に写真撮ったらいいじゃん 芽樹:う、うん 咲良:彼女なんでしょ? 芽樹:うん、そうなんだけど。なんていうか 咲良:… 芽樹:うーん 咲良:…言いたくないならいいよ別に 芽樹:うん 咲良:動物園、ハル子さんと来れば良かったのに 芽樹:先月行ったばかりだよ 咲良:そうなの? 芽樹:たぶん 咲良:なにそれ 芽樹:…俺、忘れっぽいからさ 咲良:じゃあ何?今日私が呼ばれたのって… 芽樹:先月ハル子さんとデートした道を一緒に辿って!お願い! 咲良:嫌よ!あんたの記憶を呼び起こすためのデートなんて! 芽樹:いやデートじゃないよ 咲良:はぁ? 芽樹:お願い!ねぇお願い! 咲良:いーや! 芽樹:こんなこと頼めるのお前しかいないんだよ 咲良:いーーや! 芽樹:お前しかいないんだ 咲良:ハル子さんともう一回来れば良かったじゃん! 芽樹:う、うん 咲良:うん 芽樹:やっぱそうだよね 咲良:…そうだよ、絶対 芽樹:ハル子さんと 咲良:まぁ、今日は来ちゃったし?付き合ってあげるけど 芽樹:いいよ別に 咲良:は? 芽樹:一人で回るよ 咲良:え?は? 芽樹:だから一人で… 咲良:入口まで来てそんなこと言う? 芽樹:嫌なんでしょ? 咲良:…ずるいよ 芽樹:ごめん 咲良:…今日だけだよ ーーーーーーーーーー 0:モンキーパーク園内 ーーーーーーーーーー 中山:皆さんご覧ください。こちらがコモンリスザルです。オマキザル科の中では最も小さい仲間で、とても機敏に… 0:  咲良:ちょっと!芽樹! 芽樹:何? 咲良:お猿さんだよ! 芽樹:興味ない 咲良:せっかくモンキーパークに来たのに 芽樹:観光が目的じゃないから 咲良:あっそ 芽樹:はしゃぎ過ぎだよ 咲良:いいじゃん 芽樹:子供かよ 咲良:あっかんべーーーーだ! 芽樹:子供だ… 咲良:あんたもでしょ 芽樹:犬はどこかな 咲良:聞いてないし 芽樹:犬を見に行かないと 咲良:動物園で犬? 芽樹:うん 咲良:犬だったら家で飼ってるよ。イヴちゃんっていうの!生まれたばかりの可愛いチワワなんだから~!あっ、そうだ!なんなら今度見に来なよ?へぇー、芽樹は犬が好きだったのか~、そうなんだ~。早く言ってくれれば良かったのに~ 咲良:…あれ。いない 猿:ウキーーーー! 咲良:芽樹ーーー! 猿:キ? 咲良:…せっかく来たんだし、ちょっとくらい楽しんでもいいよね。 猿:ウキーーーー! 咲良:かわいーーーー!! ーーーーーーーーーー 0:ライオンのオリの前 ーーーーーーーーーー 芽樹:… ライオン:ガオー!! 芽樹:… ライオン:ガオー!!! 芽樹:…ライオンだ 中山:そのように、無心でライオンを見つめていらっしゃる方は初めてです 芽樹:え? 中山:この子、日本でトップクラスの大きさなんですよ? 芽樹:迫力ありますよね 中山:… 芽樹:うん、大きいです 中山:…お客様、ライオンが怖くないんですか? 芽樹:いえ、怖いです怖いです 中山:… 芽樹:ここに来るまでは怖いと思っていました 中山:というと…? 芽樹:オリが頑丈だから。安心して見れます 中山:そうですか 芽樹:ライオンは空を飛べないから 中山:飛べたとしても、ここから離れようとはしないでしょ 芽樹:え 中山:ああ…、ここにはエサも、世話をしてくれる人もいますから 芽樹:従業員さんは、ライオンは好きですか? 中山:うーん、実はあまり興味がないんです 芽樹:正直ですね 中山:他に夢中になれる人がいるからかな 芽樹:え? 中山:いえ、ただの独り言ですよ 芽樹:そうですか 中山:では芽樹さん、これにて 芽樹:あ、はい 中山:ブービエ・デ・フランダース 芽樹:はい? 中山:当園でしか見られない珍しい犬です。ぜひご覧になってください 芽樹:そうですか ーーーーーーーーーー 0:芽樹の家 ーーーーーーーーーー ハル子:ほら、口開けて? 芽樹:はい ハル子:あーん 0:ハル子、カバンの中の袋から団子を取り出し、芽樹に食べさせる ハル子:よーく噛んでね 芽樹:うん ハル子:芽樹くん、そんなに見つめちゃ嫌よ 芽樹:ごめん、つい。ハル子さんが魅力的な人だから ハル子:あら 芽樹:俺、忘れっぽいからさ。目にしっかり焼き付けておきたくて ハル子:そんなこと言えるようになったのね、芽樹ちゃん 芽樹:からかわないでよ ハル子:フフ、可愛い 芽樹:あれ、ハル子さん待ち受け変えたの? ハル子:そうやって人のケータイのぞき見ないの 芽樹:ごめん、気になっちゃって ハル子:私の一押しのブラックコーヒーよ 芽樹:へぇー。苦そう。ハル子さんほんと大人だね ハル子:芽樹くんは子供のままね 芽樹:…今は犬よりコーヒーの方が好きなのかな? ハル子:わんちゃんは大好きよ 芽樹:だよね。待ち受け『ブービエ・デ・フランダース』だったもんね ハル子:あら 芽樹:動物園、楽しかったね。また俺と行こうね ハル子:そうね 芽樹:ハル子さん、これ、プレゼント ハル子:何かしら 芽樹:犬のネックレス ハル子:…は? 芽樹:俺のとお揃いなんだ…!色違い、良かったらつけてくれないかなって… ハル子:ふざけないで!! 芽樹:え。だって犬が好き… ハル子:これを私につけろって!? 芽樹:ごめんなさい… ハル子:…ああ、もう、いいわ 芽樹:ハル子さん…!どうして怒ってるの?悪いことしたなら謝… ハル子:今日は帰るわね 芽樹:ごめん、ハル子さん ハル子:続きは土曜日にしましょ。いつものカフェで待ってるわ 芽樹:いつもの…? ハル子:先週行ったばかりじゃない。…あら、違ったかしら 芽樹:ああ、あそこか。うん、わかった ハル子:じゃ、さよなら ーーーーーーーーーー 0:カフェ ーーーーーーーーーー 咲良:うん、美味しい! 芽樹:はいはい良かったねー 咲良:あんたは梅干しかしら 芽樹:は? 咲良:塩対応。重度な塩対応 芽樹:いつものことだろ 咲良:冷た。あんたは冷凍食品かしら 芽樹:は? 咲良:氷点下よりも冷たいわよ 芽樹:冷凍食品は氷点下だよ 咲良:…。 芽樹:…。 咲良:コーヒー美味しいわーーーー 芽樹:ごまかしたな 咲良:ちょっと苦いけど 芽樹:シロップ足す? 咲良:子ども扱いしないで 芽樹:使わないの? 咲良:使うわよ! 芽樹:めんどくさ 咲良:はぁー? 0:  店員:お客様、店内ではお静かにお願いします 咲良:あ、すみません 芽樹:すいません 店員:いえ。では、ごゆっくり 芽樹:あの、いつものお願いしてもいいですか 店員:いつもの…。ええ、かしこまりました 0:  芽樹:良かった 咲良:芽樹、何頼んだの? 芽樹:ブラックコーヒーだよ 咲良:うわ、苦そう 芽樹:苦くないよ 咲良:よくブラックなんか飲めるよね 芽樹:コーヒー好きだもん 咲良:知ってる 芽樹:… 咲良:私はグイグイ足すわよ~! 芽樹:甘そう 咲良:あ。入れ過ぎた 芽樹:真っ白じゃん。糖尿病お疲れ様です 咲良:やめろ! 芽樹:カルテ出しときますね 咲良:結構です 芽樹:カルテ、出しときますね 咲良:二回言うな…! 芽樹:カルテ、 咲良:結構、結構、コケコッコー! 芽樹:… 咲良:お願い、何か言ってよ 芽樹:静かにしないと怒られるよ 咲良:はい、すみません 0:  店員:お待たせいたしました。タピオカプチーノです 芽樹:ありがとうございます。綺麗な色ですね 店員:それはどうも。では、ごゆっくり 芽樹:あの、すみません 店員:はい、何でしょう 芽樹:これじゃないです 咲良:いいじゃん、美味しいよ 芽樹:これじゃねぇんだって!! 咲良:やめなよ…! 店員:申し訳ございません。“いつもの”と言われましても、お客様はご来店が初めてでいらっしゃいますので、当店人気のものを提供させていただきました 咲良:そ、そうなんですか 芽樹:初めて…じゃねぇよ 咲良:芽樹? 芽樹:俺はここに来た!絶対に来たんだ!! 店員:…お客様、会員カードはお持ちですか 芽樹:ないよ、そんなの 店員:いつもご来店いただいているお客様であれば、お持ちかと 芽樹:ないよ、俺そういうの作らないし 店員:一度きりのお客様ならまだしも、常連様のお顔を忘れるようなことはありません 咲良:断言された 芽樹:忘れることはない?俺だって、忘れたくて忘れてるんじゃねぇよ! 咲良:芽樹、落ち着いて? 芽樹:俺は来たんだ!ハル子さんと一緒に!なのにどうして!俺は!! 店員:ハル子様でしたら、いつもご利用いただいております 芽樹:ハル子さん… 店員:お客様は… 芽樹:もういい。また来させてもらうよ 咲良:ちょっと、芽樹! 0:  咲良:あ、とっても美味しかったです。お会計はこれで! 店員:ありがとうございました 0:  咲良:芽樹!! 芽樹:何だよ! 咲良:馬鹿だなお前! 芽樹:はぁ? 咲良:馬鹿だよ 芽樹:…今日はありがとう。もう帰っていいよ 咲良:帰らない 芽樹:何言ってんだよ 咲良:私もバカなの。大馬鹿者なの。…似てるんだ私たち。だから放っておけない 芽樹:咲良 咲良:やっぱり行ったことなかったんだね。さっきのお店 芽樹:忘れてただけだよ 咲良:マップ見ながら歩いてたし 芽樹:… 咲良:レビュー見てたし 芽樹:… 咲良:扉の開け方わかってなかったし 芽樹:え 咲良:一番人気のタピオカプチーノ、初めて見た顔してたよ 芽樹:お前、人のことよく見てるな 咲良:まだある。私があんたに呼ばれたこと 芽樹:…。ごめん、俺ダメだな 咲良:うん、ダメダメだ 芽樹:そんなはっきり 咲良:大馬鹿者だ。…私と一緒 0:  咲良:芽樹、もう無理しないで? 0:ーーーーーーーーーー ハル子:お待たせ 芽樹:待ってないよ 店員:いらっしゃいませ、ハル子様。ご注文はお決まりですか ハル子:いつもの、お願い 店員:かしこまりました 芽樹:僕も同じやつを 店員:かしこまりました ハル子:あら、強がっちゃって 芽樹:俺だって飲めるよ。ブラックコーヒー ハル子:そうだったかしら 芽樹:そうだよ。ハル子さん、俺、苦いの飲めるんだよ ハル子:調子いいんだから 芽樹:ハル子さん ハル子:どうしたの? 芽樹:(この人は、ずっと誰と話してるんだろう) ハル子:芽樹くん? 芽樹:(二人でいるのに一人でいるみたいだよ。俺といる時くらい、俺と会話してくれてもいいのに) ハル子:ほら、口開けて? 芽樹:…はい ハル子:あーん 0:ハル子、カバンの中の袋から団子を取り出し、芽樹に食べさせる ハル子:よーく噛んでね 芽樹:(M)俺は泣きながら食べていた。ハル子さんが大好きだから 芽樹:(M)美味しい。首にかかっているネックレスが光っている。僕は彼女の好きな犬でしかないんだ