台本概要

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タイトル 祓い屋見習いと社畜リーマン
作者名 伊露葉  (@irodorusekai12)
ジャンル その他
演者人数 4人用台本(男2、女2)
時間 30 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 現代ファンタジーコメディ…かな…
エピソードごとに出てくる人が決まっているのでわけてやるのもアリだと思います。

演者の性別は不問です。
上演してくださるとき知らせてくだされば幸いです。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
柚羽 37 錦山柚羽(ニシキヤマユウ) 霊感:強 高校生♀ 超視える。大体の霊は無視してればどこかに行ったから目を合わせないように、視えてないフリをしている。 ボクっ娘。
もも子 61 もも子 幽霊。♀ 七海の周りの空気が好き。 日々やつれていく七海を心配して小さいのは払ってた。 オタク。柚羽のところに通って本を盗み見してる。
中川 58 中川陽慶(ナカガワハルヨシ) 霊感:強 20代前半♂ 拳で除霊ができる。祓い屋見習い 七海の家の隣に引っ越してきた 強面。マヨネーズと甘いものが好き。
七海 40 七海志月(ナナミシヅキ) 霊感:無だけど霊に好かれる 20代後半♂ 常に何かに取り憑かれてる。 社畜。そろそろ尻から血が出そう。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
中川Ꮇ: ずっと一人で生きてきた。信じた人はどうせ裏切ると思っている。だから、ずっと僕は一人でいい。 七海Ꮇ: 幸せな瞬間なんてなかった。自分が消えても悲しむ人なんていないし世界は穏やかに廻っていた。 0: 0:-エピソード1出会い(出演 中川、七海) 0: 中川Ꮇ: 今日からやっと独り暮らしだ…。実家うるさかったからな。すげぇ父さんから隣の人に挨拶するように念押しされたのがウザいけど。とっとと済ませるか。 (ピンポーン) 七海: はーいどちら様ですかー? 中川: こんにちは。隣に引っ越してきた中川です。これ、つまらないものですが…。うわ 中川Ꮇ: なんだこの悪霊の数。取り憑かれ方尋常じゃねぇぞ。むしろなんでこいつ生きてるんだ? 七海: これはこれはどうも。七海です。よろしくね。 中川Ꮇ: すげぇ数の奴がこっち睨んでんなぁ。こっち見んなってか?僕のセリフだわ。あ?攻撃しようとしてくる奴もいんなぁ 七海: …?中川くん?どうしたの? 中川: は?「あいつ弱そう」だと?チッ    もう限界だわ 七海: 中川くん??? 中川: オラァ!!!オラ!オラオラァ!!!(悪霊たちに殴りかかる) 七海: ひぃぃぃぃい!!なになになになにこわいこわい!!! 中川: ふぅ…。いっちょ上がり。 七海: 急に何?!俺なんかした!? 中川: は?何言ってるんだ?悪霊を殴っただけだが? 七海: 悪霊…?君こそ何言ってるんだ? 中川: まさか…視えてないのか?あれだけの数憑けてたくせに? 七海: さっきから何のことを言ってるんだよ!!こわいよ!! 中川: こわいのはこっちだわ!!下手すりゃ死ぬぞ!! 七海: 死ぬ!? 中川: 最近…いや、あの数は最近じゃないか。七海さん常に肩が重いとか体調悪いとか疲れたりとか…死にかけたりとかしてませんか? 七海: してるよ!!社畜舐めんなよ!! 中川: そういうことじゃなくて!!いや、それも一端なのか…? 七海: さっきからなんなんだよ!! 中川: 七海さんはすごい数の悪霊に取り憑かれてます。さっき払ったんで多少は肩の重さとかいいんじゃないですか? 七海: 言われてみれば…?軽い気が…? 中川: ただ、あんたの霊に好かれる体質は尋常じゃない。さっき祓ったばかりなのにまた霊が集まろうとしてる。 七海: えええええええ!? 中川: 本当に今まで生きてたのが不思議なくらいだ。どうにかしないと死ぬぞ 七海: どうにかしてよ!!! 中川: 一時的に祓うことはできますけど体質を変えるとかは専門外ですね。そもそも専門家いるか知りませんけど 七海: ただ恐怖を植え付けられただけだった…! 中川: (少し考えて)そうか…。そういうことか…。あんたがいるからか。 七海: 何!? 中川: この街で悪霊の目撃証言がやたら多かったのは七海さんがいるからだなと思って 七海: そんな納得のされ方嫌だよ!? 中川: 僕、この街に悪霊退治の修行に来たんですよ。ここ20年くらいでやたら悪霊が増えてる街に。 七海: そうなんだ…。がんばって。 中川: 七海さんを中心に悪霊がいるなら払いやすいなぁ。よかった 七海: は? 中川: 協力してくださいよ。また来ます (中川出ていく) 七海: なんだったんだ…。    俺が、悪霊に取り憑かれてる…?今までの疲れとか死にたくなることとか悪霊のせい?なわけないだろ。疲れたとか死にたいとかは間違いなく自分の本音だし、今も消えないんだから… 0: 0:-エピソード2幽霊(出演 中川、七海、もも子) 0: もも子M: 自分のことは何もわからない。知る由もない。あるのは好きなものの記憶。守りたいものたち。小さな力しか持っていないけどできることをしたいといつも思っている。 もも子: 今日の漫画も良かったなー!年下攻めは至高だわ!!普通に少女漫画も面白かったー もも子: さて!七海さん今日は大丈夫かなー?大丈夫だったことないけど。あんなに悪霊憑くことあるんだってくらい憑いてるからなー もも子: 七海さーん!やっほー!まぁ、聞こえてないんだけど 中川: オラァ!!オラオラオラァ!! 七海: そんなにいるの…? もも子M: 待って待って待ってどういう状況!? 中川: あ?また新しいのが来やがったか もも子M: 私のこと視えてる!?というかコイツ悪霊に物理攻撃してる!? もも子: 私悪霊じゃないから!!むしろ小さいやつなら追っ払ってたから!!というかあんた誰よ!? 中川: 見ての通り祓い屋だけど? もも子: 七海さんに危害加えようとしてないでしょうね!? 中川: どう見ても逆だろ!?何言ってんだ!!?? 七海: なに!?今度は何なの?! 中川: あー。視えてないんだったな。あんたのこと知ってる幽霊がそこにいる 七海: 幽霊!?また悪霊!?というか会話してるの!? 中川: 幽霊とか悪霊とかにもいろいろいんだよ。大抵の奴は恨みとかにまみれてるから会話とか無しに襲いかかってきたり無言で人を苦しめたりするけどもちろん会話できる奴もいる 七海: そ、そうなんだ…。 もも子: 私は七海さんの周りの空気が好きでよく遊びに来てたんだけどあまりにも変なのが多いからちょくちょく追っ払ってたのよ。 中川: ああ。そういうことか。こいつがこんだけ取り憑かれてても致命傷までいってなかったのはこの幽霊のおかげか もも子: 私だけじゃないけどね。少しは力になりたくて 七海: ???どういうこと? 中川: この幽霊が七海さんの周りの悪霊を追っ払ってたんだと もも子: 私自身の力が弱いから少しだけだけどね。七海さんの周りの空気が一番落ち着くのに悪霊が多すぎるんだもの 中川: えーと、七海さんの周りの空気が好きだから力弱いなりに頑張ったんだと 七海: なにそれ…めちゃくちゃいい子じゃん…! もも子: いい子って言われちゃった… 中川: よかったな。幽霊喜んでんぞ 七海: いつもありがとう幽霊さん…!でも幽霊さんっていうと、いっぱいいるのか。中川くん、名前聞いてよ! もも子: 名前… 中川: 幽霊、お前名前あるのか? もも子: 幽霊になって誰かに呼ばれること無かったし…。名前か… 中川: 生前の記憶とか無いのか? もも子: 自分が誰なのかなんて考えたことなかったわ。自分のことでわかることは…アニメとか漫画が好きってことだけだわ! 中川: 堂々と言うことじゃねぇ!! 七海: 何!?なんて言ってるの!? 中川: 自分のことはオタクってこと以外わからないらしい 七海: そうなんだ… 中川: 適当にもも子でいんじゃね もも子: 適当に!?失礼な!!! 中川: いや、桃色のアクセサリー、ブレスレット?してるから もも子: ブレスレット…?ああ、そうね、してるわね 中川: 今の姿でもしてるってことは大切にしてたものな可能性は高いしもうそれでいいかと 七海: よくわからないけど幽霊ちゃんはブレスレットをしてるんだね…? 中川: ああ。 もも子: じゃあもも子でいいわよ 中川: そうか。幽霊の名前もも子になった 七海: 適当だな!? …あらためて、今までありがとうね、もも子さん。もしよかったらまた遊びに来てね もも子: 言われなくてもまた来るわよ!!気づかれてないときでも声かけちゃうくらい来てたんだから!! 中川: 言われなくても来るってさ もも子: あんた、名前は? 中川: 中川。 もも子: そう。中川!!祓い屋名乗るからには七海さんのこと絶対死なせるんじゃないわよ!!小さいのだったら祓うの手伝うから!! 中川: おうおう、わかった もも子: じゃ、あとは二人でごゆっくりー 私は漫画読みに行くわ!! 中川: じゃーな 七海: 帰ったの!?もも子さん、なんて言ってたの? 中川: 七海さんのこと守れって 七海: よくわからないけど…がんば もも子M: 七海さん…前来たときより明らかに顔色良くなってた。中川のおかげか。 …名前、もらっちゃった。センスはどうかと思うけど。人から呼ばれたのなんて…いつぶり?会話したのいつぶり?また遊びに行っちゃおーっと 0: 0:-エピソード3少女と幽霊(出演 もも子、柚羽) 0: 柚羽Ꮇ: こんな力いらなかった。視て視ぬフリ、気づかないフリ。誰も信じてくれないし理解してくれないし…助けてくれない。自分でどうにかしないといけない。それが当然だと思っていた もも子: 今日はどんな漫画読めるかなー?     最近見つけたあの子、センスいいんだよなー♪    少女漫画に歴史小説、BL作品にラノベまでどれも面白いのばっかり!!楽しみだなー♪ もも子: お?今日は森蘭丸主人公の漫画!?本当にセンスいいな!!!ありがとうございます!!まだ読みはじめじゃんよかったー 柚羽: …(読んでる) もも子: やっぱり蘭丸は最高だな。エピソードがどれも頭いいし何より主君の織田信長には家来がたくさんいたけど蘭丸の世界には信長しかいないっていう関係性がもう堪らんのよね。戦国時代の儚い花よ。享年19歳が実に惜しいわ 柚羽: … もも子: また三男っていうのもいいのよね。長男は敵の深追いで死んで、次男が家継いで。三男の蘭丸、四男の力丸、五男の坊丸で信長に仕えて。本能寺で一緒に死んで。もう伝説よ。そりゃいろんな媒体で美少年化されちゃうわ。戦国時代一のアイドルよ。 柚羽: … もも子: 本当に蘭丸最高すぎるわ。戦国時代一番の推し 柚羽: あのー… もも子: この漫画の蘭丸かわいいな。私の解釈に合う。作者様神だな。 柚羽: あの!!! もも子: …へ? 柚羽: 森蘭丸が好きなのはわかりました!さっきから喋りすぎです!!気が散ります!! もも子: …私のこと、視えてたの? 柚羽: 視えてますしずっと聞こえてます!!大体の霊は無視し続けていればどこか行くのに!!あなた毎日来るじゃないですか!!最初のうちはそのうち来なくなるだろうと思ってたのにもう1ヶ月ですよ!?何しに来てるのかと思えばボクが読書してる時に一緒に読んでるって!?わけわかりません!! もも子: ボクっ娘!!かわいい!! 柚羽: 話を聞いて!!! もも子: すみません!!! 柚羽: 悪さするでもなく本当にただ読んで感想ずっと言うだけだから気が散るんですよ!! もも子: それは本当に申し訳ない!!私のことなんて視えてないもんだろうと思ってたので… 柚羽: あなたが年下攻め最高とか森蘭丸がいいだの源義経マジ神とか言うから!!それ系統の本が増えたじゃないですか!! もも子: 趣味合うなと思ってたけど私の影響だったのか!!ありがとう!! 柚羽: 作品は最高でした!!また増やします!! もも子: ありがとう!!いい子だな!? 柚羽: …とりあえず、ボクはあなたのこと視えてるし会話もできるので一緒に読みましょ?覗き見じゃなくて堂々と もも子: いいの?気が散るんでしょ? 柚羽: …感想とか、言い合ってみたいので もも子: ありがとう!!!そうだ、あなたの名前は? 柚羽: 柚羽です。錦山柚羽。 もも子: ゆうちゃんね!私はもも子。あらためてよろしくね! 柚羽: はい。よろしくお願いします。    まさか幽霊の友だちができるなんて思っていませんでした。幽霊はいつも無視決め込んでたので もも子: そうよね。大抵は害のある奴だし怖いわよね 柚羽: そうですよ!それなのに読んでる本の感想を永遠に言ってる変な幽霊がいるから…初めて声をかけてしまいました もも子: あら。嬉しいわ 柚羽: もも子さんが悪い幽霊じゃないのわかってるので…。    初めてこの力があってよかったと思いましたよ。こんなかたちで友だちが出来るなんて もも子: 苦労してるのね。どうにかできたらいいんだけど…あ 柚羽: どうしました? もも子: もしかしたら少し状況を良くできるかもしれないわ 柚羽: え? もも子: ゆうちゃん、会ってほしい人がいるの! 柚羽Ꮇ: この出会いでボクの人生が変わったのは言うまでもなくて。 解ってくれようとする、助けてくれようとする存在がこんなに心強いものなんだと1人で震えていた自分に教えてあげたい。     さて。今日は何を読もうかなー… 0: 0:-エピソード4社畜の家に集まる(出演 中川、七海、もも子、柚羽) 0: 柚羽: もも子さん!!どこ行くんですか!? もも子: たぶん力になってくれる人のところ!! 柚羽: 力に…? もも子: よしっ着いた。ちょっと中見てくるね! 柚羽: 行っちゃった… 中川: オラオラオラオラオラァ!! 七海: がんばれー もも子: 除霊中だったか。ちょっと中川ー? 中川: オラオラオラオラオラァ!! もも子: 話聞け!!!! 柚羽: もも子さん遅いな…。なんか中騒がしいし…。もしかして何かあったのかな…? ガチャリ(ドアノブに手をかける) 柚羽: 開いてる…!ごめんなさい!おじゃまします! 柚羽: もも子さん!大丈夫ですか!? 中川: オラオラオラオラオラオラオラァ!! もも子: もう終わってからでいいわ。がんばれー 柚羽: え…?!どういうこと!? もも子: ゆうちゃん。ごめんね。待たせて。 柚羽: それはいいんですけど、どういう状況ですか? もも子: 悪霊除霊中。 柚羽: 悪霊に物理攻撃してるように見えるんですけど!? もも子: これがあいつの除霊方法らしいわ。あいつ…中川もゆうちゃんと同じで視える体質だから力になれるかと、思って 柚羽: 悪霊の真ん中にいる人は? もも子: 七海さん。霊にめちゃくちゃ好かれるけどなんにも見えない人。 柚羽: 視えてないの!?あんな量初めて見るのに…! もも子: 七海さんのまわり居座る悪霊がいるから中川が拳で除霊してんのよ 中川: ふぅ。いっちょ上がり 七海: おつかれさまーって誰!? 中川: なんだ?ついにもも子が見えるようになっ…誰だ? 柚羽: えと、はじめまして。もも子さんの紹介で来ました。錦山柚羽です。 七海: もも子さんの紹介? 中川: どういうことだ? もも子: ゆうちゃん、霊感あるんだけど誰も理解者がいないみたいだったから連れてきたわ 柚羽: はい。霊がいるって言っても家族も友だちも信じてくれないし理解はしてもらえませんでした。 もも子: 中川は視えるし多少は理解できるかなって 中川: なるほどな 七海: えっと…?霊が視える女の子ってこと? 柚羽: はい。除霊とかはしたことないんですけど… もも子: 中川が除霊教えてあげれば? 中川: は? 柚羽: え? 七海: 何?何? 柚羽: 除霊って誰でもできるものなんですか? もも子: 知らないけど私がばっちり視えて話せてるし素質はあるでしょ。 もも子:いつも中川がやってるみたいな除霊じゃなくてもっとかっこいい感じの除霊方法ないの? 中川: 拳かっこいいだろうが(怒) もも子: 拳じゃなくて呪文とか御札とか式神とか!かっこいいやつよ! 中川: あーそういういかにも陰陽師みたいなやつ苦手なんだよなー もも子: あんた遠距離攻撃してくる悪霊いたらどうするのよ 中川: そんなの避けながら近づいて殴るに決まってるだろ もも子: 脳筋!!!もっと小細工使って!!! 中川: そんなこと言ったって殴る方が早いんだよ もも子: 私は!!!呪文とか御札とかで華麗に戦うゆうちゃんが見たいのよ!! 中川: それが本音かこのオタク幽霊!! もも子: 本音なんだけど!ゆうちゃん、今まで幽霊を怖がってるだけだったみたいだから何か自衛手段が合ったらいいと思って…! 柚羽: もも子さん…! 中川: ちょっと待ってろ。僕は無理だけど教えられそうな知り合いに連絡してみる 柚羽: ありがとうございます! もも子: 中川ありがとー! 七海: 何!?何の話ししてるの!?なんにもついていけないんだけど!!仲間に入れて!? もも子: こういうとき七海さんと私が喋れないの不便よね 中川: じゃあそれも相談してみるか 七海: それって? 中川: 霊感無くても幽霊と喋れないかどうか 0:続く

中川Ꮇ: ずっと一人で生きてきた。信じた人はどうせ裏切ると思っている。だから、ずっと僕は一人でいい。 七海Ꮇ: 幸せな瞬間なんてなかった。自分が消えても悲しむ人なんていないし世界は穏やかに廻っていた。 0: 0:-エピソード1出会い(出演 中川、七海) 0: 中川Ꮇ: 今日からやっと独り暮らしだ…。実家うるさかったからな。すげぇ父さんから隣の人に挨拶するように念押しされたのがウザいけど。とっとと済ませるか。 (ピンポーン) 七海: はーいどちら様ですかー? 中川: こんにちは。隣に引っ越してきた中川です。これ、つまらないものですが…。うわ 中川Ꮇ: なんだこの悪霊の数。取り憑かれ方尋常じゃねぇぞ。むしろなんでこいつ生きてるんだ? 七海: これはこれはどうも。七海です。よろしくね。 中川Ꮇ: すげぇ数の奴がこっち睨んでんなぁ。こっち見んなってか?僕のセリフだわ。あ?攻撃しようとしてくる奴もいんなぁ 七海: …?中川くん?どうしたの? 中川: は?「あいつ弱そう」だと?チッ    もう限界だわ 七海: 中川くん??? 中川: オラァ!!!オラ!オラオラァ!!!(悪霊たちに殴りかかる) 七海: ひぃぃぃぃい!!なになになになにこわいこわい!!! 中川: ふぅ…。いっちょ上がり。 七海: 急に何?!俺なんかした!? 中川: は?何言ってるんだ?悪霊を殴っただけだが? 七海: 悪霊…?君こそ何言ってるんだ? 中川: まさか…視えてないのか?あれだけの数憑けてたくせに? 七海: さっきから何のことを言ってるんだよ!!こわいよ!! 中川: こわいのはこっちだわ!!下手すりゃ死ぬぞ!! 七海: 死ぬ!? 中川: 最近…いや、あの数は最近じゃないか。七海さん常に肩が重いとか体調悪いとか疲れたりとか…死にかけたりとかしてませんか? 七海: してるよ!!社畜舐めんなよ!! 中川: そういうことじゃなくて!!いや、それも一端なのか…? 七海: さっきからなんなんだよ!! 中川: 七海さんはすごい数の悪霊に取り憑かれてます。さっき払ったんで多少は肩の重さとかいいんじゃないですか? 七海: 言われてみれば…?軽い気が…? 中川: ただ、あんたの霊に好かれる体質は尋常じゃない。さっき祓ったばかりなのにまた霊が集まろうとしてる。 七海: えええええええ!? 中川: 本当に今まで生きてたのが不思議なくらいだ。どうにかしないと死ぬぞ 七海: どうにかしてよ!!! 中川: 一時的に祓うことはできますけど体質を変えるとかは専門外ですね。そもそも専門家いるか知りませんけど 七海: ただ恐怖を植え付けられただけだった…! 中川: (少し考えて)そうか…。そういうことか…。あんたがいるからか。 七海: 何!? 中川: この街で悪霊の目撃証言がやたら多かったのは七海さんがいるからだなと思って 七海: そんな納得のされ方嫌だよ!? 中川: 僕、この街に悪霊退治の修行に来たんですよ。ここ20年くらいでやたら悪霊が増えてる街に。 七海: そうなんだ…。がんばって。 中川: 七海さんを中心に悪霊がいるなら払いやすいなぁ。よかった 七海: は? 中川: 協力してくださいよ。また来ます (中川出ていく) 七海: なんだったんだ…。    俺が、悪霊に取り憑かれてる…?今までの疲れとか死にたくなることとか悪霊のせい?なわけないだろ。疲れたとか死にたいとかは間違いなく自分の本音だし、今も消えないんだから… 0: 0:-エピソード2幽霊(出演 中川、七海、もも子) 0: もも子M: 自分のことは何もわからない。知る由もない。あるのは好きなものの記憶。守りたいものたち。小さな力しか持っていないけどできることをしたいといつも思っている。 もも子: 今日の漫画も良かったなー!年下攻めは至高だわ!!普通に少女漫画も面白かったー もも子: さて!七海さん今日は大丈夫かなー?大丈夫だったことないけど。あんなに悪霊憑くことあるんだってくらい憑いてるからなー もも子: 七海さーん!やっほー!まぁ、聞こえてないんだけど 中川: オラァ!!オラオラオラァ!! 七海: そんなにいるの…? もも子M: 待って待って待ってどういう状況!? 中川: あ?また新しいのが来やがったか もも子M: 私のこと視えてる!?というかコイツ悪霊に物理攻撃してる!? もも子: 私悪霊じゃないから!!むしろ小さいやつなら追っ払ってたから!!というかあんた誰よ!? 中川: 見ての通り祓い屋だけど? もも子: 七海さんに危害加えようとしてないでしょうね!? 中川: どう見ても逆だろ!?何言ってんだ!!?? 七海: なに!?今度は何なの?! 中川: あー。視えてないんだったな。あんたのこと知ってる幽霊がそこにいる 七海: 幽霊!?また悪霊!?というか会話してるの!? 中川: 幽霊とか悪霊とかにもいろいろいんだよ。大抵の奴は恨みとかにまみれてるから会話とか無しに襲いかかってきたり無言で人を苦しめたりするけどもちろん会話できる奴もいる 七海: そ、そうなんだ…。 もも子: 私は七海さんの周りの空気が好きでよく遊びに来てたんだけどあまりにも変なのが多いからちょくちょく追っ払ってたのよ。 中川: ああ。そういうことか。こいつがこんだけ取り憑かれてても致命傷までいってなかったのはこの幽霊のおかげか もも子: 私だけじゃないけどね。少しは力になりたくて 七海: ???どういうこと? 中川: この幽霊が七海さんの周りの悪霊を追っ払ってたんだと もも子: 私自身の力が弱いから少しだけだけどね。七海さんの周りの空気が一番落ち着くのに悪霊が多すぎるんだもの 中川: えーと、七海さんの周りの空気が好きだから力弱いなりに頑張ったんだと 七海: なにそれ…めちゃくちゃいい子じゃん…! もも子: いい子って言われちゃった… 中川: よかったな。幽霊喜んでんぞ 七海: いつもありがとう幽霊さん…!でも幽霊さんっていうと、いっぱいいるのか。中川くん、名前聞いてよ! もも子: 名前… 中川: 幽霊、お前名前あるのか? もも子: 幽霊になって誰かに呼ばれること無かったし…。名前か… 中川: 生前の記憶とか無いのか? もも子: 自分が誰なのかなんて考えたことなかったわ。自分のことでわかることは…アニメとか漫画が好きってことだけだわ! 中川: 堂々と言うことじゃねぇ!! 七海: 何!?なんて言ってるの!? 中川: 自分のことはオタクってこと以外わからないらしい 七海: そうなんだ… 中川: 適当にもも子でいんじゃね もも子: 適当に!?失礼な!!! 中川: いや、桃色のアクセサリー、ブレスレット?してるから もも子: ブレスレット…?ああ、そうね、してるわね 中川: 今の姿でもしてるってことは大切にしてたものな可能性は高いしもうそれでいいかと 七海: よくわからないけど幽霊ちゃんはブレスレットをしてるんだね…? 中川: ああ。 もも子: じゃあもも子でいいわよ 中川: そうか。幽霊の名前もも子になった 七海: 適当だな!? …あらためて、今までありがとうね、もも子さん。もしよかったらまた遊びに来てね もも子: 言われなくてもまた来るわよ!!気づかれてないときでも声かけちゃうくらい来てたんだから!! 中川: 言われなくても来るってさ もも子: あんた、名前は? 中川: 中川。 もも子: そう。中川!!祓い屋名乗るからには七海さんのこと絶対死なせるんじゃないわよ!!小さいのだったら祓うの手伝うから!! 中川: おうおう、わかった もも子: じゃ、あとは二人でごゆっくりー 私は漫画読みに行くわ!! 中川: じゃーな 七海: 帰ったの!?もも子さん、なんて言ってたの? 中川: 七海さんのこと守れって 七海: よくわからないけど…がんば もも子M: 七海さん…前来たときより明らかに顔色良くなってた。中川のおかげか。 …名前、もらっちゃった。センスはどうかと思うけど。人から呼ばれたのなんて…いつぶり?会話したのいつぶり?また遊びに行っちゃおーっと 0: 0:-エピソード3少女と幽霊(出演 もも子、柚羽) 0: 柚羽Ꮇ: こんな力いらなかった。視て視ぬフリ、気づかないフリ。誰も信じてくれないし理解してくれないし…助けてくれない。自分でどうにかしないといけない。それが当然だと思っていた もも子: 今日はどんな漫画読めるかなー?     最近見つけたあの子、センスいいんだよなー♪    少女漫画に歴史小説、BL作品にラノベまでどれも面白いのばっかり!!楽しみだなー♪ もも子: お?今日は森蘭丸主人公の漫画!?本当にセンスいいな!!!ありがとうございます!!まだ読みはじめじゃんよかったー 柚羽: …(読んでる) もも子: やっぱり蘭丸は最高だな。エピソードがどれも頭いいし何より主君の織田信長には家来がたくさんいたけど蘭丸の世界には信長しかいないっていう関係性がもう堪らんのよね。戦国時代の儚い花よ。享年19歳が実に惜しいわ 柚羽: … もも子: また三男っていうのもいいのよね。長男は敵の深追いで死んで、次男が家継いで。三男の蘭丸、四男の力丸、五男の坊丸で信長に仕えて。本能寺で一緒に死んで。もう伝説よ。そりゃいろんな媒体で美少年化されちゃうわ。戦国時代一のアイドルよ。 柚羽: … もも子: 本当に蘭丸最高すぎるわ。戦国時代一番の推し 柚羽: あのー… もも子: この漫画の蘭丸かわいいな。私の解釈に合う。作者様神だな。 柚羽: あの!!! もも子: …へ? 柚羽: 森蘭丸が好きなのはわかりました!さっきから喋りすぎです!!気が散ります!! もも子: …私のこと、視えてたの? 柚羽: 視えてますしずっと聞こえてます!!大体の霊は無視し続けていればどこか行くのに!!あなた毎日来るじゃないですか!!最初のうちはそのうち来なくなるだろうと思ってたのにもう1ヶ月ですよ!?何しに来てるのかと思えばボクが読書してる時に一緒に読んでるって!?わけわかりません!! もも子: ボクっ娘!!かわいい!! 柚羽: 話を聞いて!!! もも子: すみません!!! 柚羽: 悪さするでもなく本当にただ読んで感想ずっと言うだけだから気が散るんですよ!! もも子: それは本当に申し訳ない!!私のことなんて視えてないもんだろうと思ってたので… 柚羽: あなたが年下攻め最高とか森蘭丸がいいだの源義経マジ神とか言うから!!それ系統の本が増えたじゃないですか!! もも子: 趣味合うなと思ってたけど私の影響だったのか!!ありがとう!! 柚羽: 作品は最高でした!!また増やします!! もも子: ありがとう!!いい子だな!? 柚羽: …とりあえず、ボクはあなたのこと視えてるし会話もできるので一緒に読みましょ?覗き見じゃなくて堂々と もも子: いいの?気が散るんでしょ? 柚羽: …感想とか、言い合ってみたいので もも子: ありがとう!!!そうだ、あなたの名前は? 柚羽: 柚羽です。錦山柚羽。 もも子: ゆうちゃんね!私はもも子。あらためてよろしくね! 柚羽: はい。よろしくお願いします。    まさか幽霊の友だちができるなんて思っていませんでした。幽霊はいつも無視決め込んでたので もも子: そうよね。大抵は害のある奴だし怖いわよね 柚羽: そうですよ!それなのに読んでる本の感想を永遠に言ってる変な幽霊がいるから…初めて声をかけてしまいました もも子: あら。嬉しいわ 柚羽: もも子さんが悪い幽霊じゃないのわかってるので…。    初めてこの力があってよかったと思いましたよ。こんなかたちで友だちが出来るなんて もも子: 苦労してるのね。どうにかできたらいいんだけど…あ 柚羽: どうしました? もも子: もしかしたら少し状況を良くできるかもしれないわ 柚羽: え? もも子: ゆうちゃん、会ってほしい人がいるの! 柚羽Ꮇ: この出会いでボクの人生が変わったのは言うまでもなくて。 解ってくれようとする、助けてくれようとする存在がこんなに心強いものなんだと1人で震えていた自分に教えてあげたい。     さて。今日は何を読もうかなー… 0: 0:-エピソード4社畜の家に集まる(出演 中川、七海、もも子、柚羽) 0: 柚羽: もも子さん!!どこ行くんですか!? もも子: たぶん力になってくれる人のところ!! 柚羽: 力に…? もも子: よしっ着いた。ちょっと中見てくるね! 柚羽: 行っちゃった… 中川: オラオラオラオラオラァ!! 七海: がんばれー もも子: 除霊中だったか。ちょっと中川ー? 中川: オラオラオラオラオラァ!! もも子: 話聞け!!!! 柚羽: もも子さん遅いな…。なんか中騒がしいし…。もしかして何かあったのかな…? ガチャリ(ドアノブに手をかける) 柚羽: 開いてる…!ごめんなさい!おじゃまします! 柚羽: もも子さん!大丈夫ですか!? 中川: オラオラオラオラオラオラオラァ!! もも子: もう終わってからでいいわ。がんばれー 柚羽: え…?!どういうこと!? もも子: ゆうちゃん。ごめんね。待たせて。 柚羽: それはいいんですけど、どういう状況ですか? もも子: 悪霊除霊中。 柚羽: 悪霊に物理攻撃してるように見えるんですけど!? もも子: これがあいつの除霊方法らしいわ。あいつ…中川もゆうちゃんと同じで視える体質だから力になれるかと、思って 柚羽: 悪霊の真ん中にいる人は? もも子: 七海さん。霊にめちゃくちゃ好かれるけどなんにも見えない人。 柚羽: 視えてないの!?あんな量初めて見るのに…! もも子: 七海さんのまわり居座る悪霊がいるから中川が拳で除霊してんのよ 中川: ふぅ。いっちょ上がり 七海: おつかれさまーって誰!? 中川: なんだ?ついにもも子が見えるようになっ…誰だ? 柚羽: えと、はじめまして。もも子さんの紹介で来ました。錦山柚羽です。 七海: もも子さんの紹介? 中川: どういうことだ? もも子: ゆうちゃん、霊感あるんだけど誰も理解者がいないみたいだったから連れてきたわ 柚羽: はい。霊がいるって言っても家族も友だちも信じてくれないし理解はしてもらえませんでした。 もも子: 中川は視えるし多少は理解できるかなって 中川: なるほどな 七海: えっと…?霊が視える女の子ってこと? 柚羽: はい。除霊とかはしたことないんですけど… もも子: 中川が除霊教えてあげれば? 中川: は? 柚羽: え? 七海: 何?何? 柚羽: 除霊って誰でもできるものなんですか? もも子: 知らないけど私がばっちり視えて話せてるし素質はあるでしょ。 もも子:いつも中川がやってるみたいな除霊じゃなくてもっとかっこいい感じの除霊方法ないの? 中川: 拳かっこいいだろうが(怒) もも子: 拳じゃなくて呪文とか御札とか式神とか!かっこいいやつよ! 中川: あーそういういかにも陰陽師みたいなやつ苦手なんだよなー もも子: あんた遠距離攻撃してくる悪霊いたらどうするのよ 中川: そんなの避けながら近づいて殴るに決まってるだろ もも子: 脳筋!!!もっと小細工使って!!! 中川: そんなこと言ったって殴る方が早いんだよ もも子: 私は!!!呪文とか御札とかで華麗に戦うゆうちゃんが見たいのよ!! 中川: それが本音かこのオタク幽霊!! もも子: 本音なんだけど!ゆうちゃん、今まで幽霊を怖がってるだけだったみたいだから何か自衛手段が合ったらいいと思って…! 柚羽: もも子さん…! 中川: ちょっと待ってろ。僕は無理だけど教えられそうな知り合いに連絡してみる 柚羽: ありがとうございます! もも子: 中川ありがとー! 七海: 何!?何の話ししてるの!?なんにもついていけないんだけど!!仲間に入れて!? もも子: こういうとき七海さんと私が喋れないの不便よね 中川: じゃあそれも相談してみるか 七海: それって? 中川: 霊感無くても幽霊と喋れないかどうか 0:続く