台本概要

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タイトル 限界突破!!鬼止隊!!~OST活動記録~
作者名 孫我(そが)  (@manndamudamu)
ジャンル コメディ
演者人数 4人用台本(男2、女2)
時間 20 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 これは終わりのない戦いの一部始終である....

鬼止隊=きとめたい

【使用に関して】
・周りが困らない程度のアドリブや語尾の変更OK
・作者への連絡は基本不要ですが、youtubeやアーカイブが残るモノに関しては報告いただけると助かります。(聴きに行きます)

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
御字 51 OST新人隊員。
川俣 39 OST隊長。
マルケス 41 OST隊員。スペイン人。
26 限界化してしまった元人間。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
御字:時は令和。声優やVtuberといった者達の台頭により、声を使ったコンテンツの需要が一気に高まった。 御字:その勢いはもはやとどまることを知らず、中には「推し」の声を聞いて「限界化」する者まで現れてしまった。 御字:国はこうなってしまった者達を「限界鬼(げんかいき)」と名付け、対策本部を設置。彼らは「鬼止隊〜OST〜」と呼ばれ、日夜対応に追われることとなった。 御字:これは、「そーいうのもっと頂戴!」という感情に歯止めが効かなくなった鬼達とそれを取り締まる者たちの終わりの無い闘いの一部始終である。 0: 0:会議室 0: マルケス:隊長!4丁目の交差点付近で「限界鬼」出現の通報です!! 川俣:なんだと!?今何時だと思ってるんだ!! 御字:深夜2時です、隊長! 川俣:ありがとう、御字。全く、やつらめ、昼間だろうが夜だろうが所構わず現れるっ! 御字:隊長、最近のデータでは「限界鬼」の出現は比較的夜の方が多いようです。 川俣:よく勉強しているな御字。偉いぞ。 御字:ありがとうございます! マルケス:隊長!現場付近の防犯カメラ映像にアクセスできました! 川俣:よし、モニターにつなげてくれ! : 0:映像がモニターに映し出される。そこには、限界化した鬼が暴れまわっている姿が映し出されたッ! : 鬼:ああああ!尊い!尊いいいい!!むりいいいい!! 御字:くっ、なんて声量だ!モニター越しなのに耳にキンキン響いてくる! マルケス:なんておぞましい光景なんだ。 川俣:かわいそうに、重度の限界化だ。何をしたらあそこまで・・。 鬼:ああ!やめてえええ!それ以上は!それ以上は!しんじゃううう!!!! 御字:マルケスさん、あの鬼、死んじゃうとか言っていますよ!! マルケス:落ち着け御字。お前はまだ新人だから分からないだろうが、大丈夫だ。やつらはいつもああ言うが実際に死んだためしはない。 御字:そ、そうなんですか。 鬼:ああ!苦しいいいい!はあ、はあ・・・。っ!?ああああ、やばいやばいやばいやばい!!! 御字:ま、マルケスさん、今度はあの鬼、急に苦しみだしました!は、早く助けに行かないと! マルケス:落ち着け御字!やつらは実際苦しんでなどいない!むしろ、快感を得ている真っ最中なんだ!! 御字:ほ、ほんとですか!? マルケス:ああ、やつらは推しの声を摂取して知能指数が低下し、自分でも自分の感情を言語化できず、ああいう感じになってしまうんだ。 御字:くそっ、なんて紛らわしいんだ! 川俣:御字、お前は優しいな。だが、その優しさは現場では命取りになる。ああなってしまった者はもはや人ではない、鬼だ!それを肝に銘じるように。 御字:・・・わかりました。 マルケス:・・・隊長、なんかさっきから御字に甘くないですか? 川俣:よし、今回の鬼の限界化はかなり深刻だ。みんな、気合を入れて出動するぞ! 御字:はい! マルケス:・・・なに、この感じ。 : 0:現場に到着したOST達 : 鬼:全く、最高かよチクショウ。推しの声だけでも最高なのに、実は前から密かに気になっていたカケルさんとBLコラボだと。 鬼:しかもっ!推しが攻め!!いつもは受け専なのに、なんでタケルさん相手だと攻めちゃうの!?え!?マジやばいんだが!? 鬼:え、なに?なに、なんなの?戦国時代?戦国時代なん?下剋上起きちゃってるんだけど!?もしくは大政奉還?え、新しい日本始まっちゃうんかこれ!?日本の夜明けぜよってか!! 御字:いた、限界鬼だ!! マルケス:すごい早口で何か言ってたな。 川俣:みんな気をつけろ、見たところあいつは、推しの声劇を聞いて気が立っている! 鬼:ぬ!?なんだお前ら。私の邪魔をするというのか! マルケス:我々は限界鬼取り締まり部隊、通称「鬼止隊~OST~」だ! 鬼:きとめたいだあ? マルケス:そうだ、通報を受けてお前を取り締まりに来た。 鬼:お前らがそうか、私たちの界隈では有名だよ。私たちの推し活を邪魔してくる奴らがいるってなあ!! 御字:おい、限界鬼!目を覚ませ!お前の声量と発言に皆困惑しているぞ! マルケス:無駄だ、御字!やつらはそれを承知の上で限界化しているんだ!話し合いでどうにかなる相手じゃない! 御字:で、でもあの鬼、俺たちと普通に会話できています!まだ、なんとかなるかも・・・ マルケス:さっき隊長に言われたことを思い出せ!お前の優しさは命取りになる・・・。ああなってしまった以上、俺たちはあいつを倒すしかないんだ! 御字:し、しかし・・・ マルケス:いいかげんにしろ御字!ここは現場だ!一瞬の判断ミスが更なる悲惨な結果を生むこともある!現場に立つ以上、その甘い考えは捨てろ! 御字:くっ! マルケス:わかったかおんのじ・・・ 川俣:(被せて)いいすぎだマルケス! マルケス:え!? 川俣:いいすぎだと言ったんだマルケス!下がっていろ! マルケス:いや、そんなことないと思いますけど・・・ 川俣:なんだお前、隊長の私に口答えするのか? マルケス:なんでそんなにキレてるんですか!? 鬼:やかましいやつらだ。お前らのせいで、推し達の声劇が聞えぬではないか! 御字:隊長!限界鬼がこっちに向かってきます! 川俣:くっ!いよいよ戦闘だ、二人とも、後れを取るなよ! マルケス:はい! 御字:はい! 鬼:ほお、人間よ。私と戦おうと言うのか?おもしろい。止められるものなら止めてみろ! 御字:うっ。 川俣:どうした御字、怖いのか? 御字:怖くない・・・と言ったら嘘になります。だってあの鬼の目、人間だったのが嘘のように恐ろしい。 川俣:ああ、そうだな。だが、ここであいつを止めなければ、やつは自分の推しを周りに布教し始め、第二第三の限界鬼が生まれかもしれない。私達が、やらなければならないんだ!わかったか御字。 御字:・・・! はい、隊長!! 鬼:ゴチャゴチャと何を喋っている。こっちは課金して投げ銭の用意もできているんだ。そっちが来ないのならこちらから行くぞ!! マルケス:隊長、来ます!! 川俣:マルケス、いつものやつを!! マルケス:了解!! 御字:隊長!いつものやつって!? マルケス:これだ新入り! 御字:それは!? 川俣:麻酔銃だ! 0: 0:川俣、麻酔銃を鬼に向かって放つ。 0:しかし、撃たれた銃弾は鬼には当たらなかった。 0: 鬼:ええええ!? 川俣:ちっ、外したか・・・。 鬼:え、うそうそうそ!?あいつ、普通に銃ぶっ放してきたんだけど!? 川俣:安心しろ、限界鬼、こいつは麻酔銃だ。 鬼:いや、だからって、なんの躊躇いもなく打ちますかね普通!! 川俣:私だって、新人の頃は怖かった・・・。だが、お前たちを猪か何かだと思い込むことによって克服することができた。 鬼:くっ、あの女、普通じゃない・・・ 御字:マルケスさん、なんで麻酔銃なんですか。 マルケス:いいか、御字。やつらは声によって限界化している。では、限界化を解くにはどうするか・・・。簡単だ、あいつに推しの声を聞かせなければいい。地方では、推しの声が掻き消えるほど大きな音を出す、というやり方をしているところもあるらしいが、ここは東京、そんなことをしてしまえば訴えられるのは俺たちだ。 御字:それで、麻酔銃、ですか。 マルケス:ああ、そういうことだ。 鬼:なんで国家機関が騒音で叩かれることを恐れてるんだよ!! 川俣:なんだ、鬼よ。こっちの声がしっかり聞こえているじゃないか。限界化も解けてきているのではないか? 鬼:麻酔銃がヤバすぎて、思わず突っ込んでしまうんだよ!! マルケス:何が突っ込みだ、限界鬼のくせに生意気な。大体、お前ももっと騒音に気を使って趣味の範囲で楽しめよ! 鬼:ぐっ!急に正論を! 御字:隊長、今のマルケスさんの口撃(こうげき)が思いの外効いてるみたいです! 川俣:そのようだな。 鬼:・・・私だって、何も好き好んで限界化しているわけではない。限界化、してしまうんだ!! 鬼:推しが尊すぎて、愛おしすぎて、自分を抑えることができないのだ!この感情を抑えてしまったら私は、きっと爆発する。脳が破裂する。 鬼:だから!私は!私達は、鬼になるんだ! 川俣:・・・限界鬼よ。私だって、あんたの気持ち、少しは分かるよ。 川俣:でも、こうやって外で騒いだり、公衆の面前で推し活をするのは違うんじゃないか? 川俣:中には、自分でスタジオを借りたり、防音室を買ったりしてる人もいるらしいじゃないか。お前もそうしたらどうだ?な、今ならまだ間に合う。 川俣:人に迷惑をかけず、自分の趣味の範囲で楽しく推しの声劇をきいたらいいじゃないか。な? 鬼:ぐ。ぐぐぐぐ。 御字:限界鬼・・・。 鬼:・・・うるさい。 御字:え? 鬼:うるさいうるさいうるさーい!!そんなの、経済的に余裕があるからできるんだ!!高卒で手取りの月給十八万円の私がそんなことできるわけないだろう!! 鬼:推しへの投げ銭買うのに精一杯なんだよ!わかったような口を聞くなああああ!! 御字:あ、限界鬼が!このままだと逃げられてしまいます!! 川俣:マルケス!! マルケス:はい、隊長!くらええ!! : 0:マルケス、麻酔銃を撃つ。今度は、鬼の背中に命中する。倒れる鬼。 : 鬼:うっ・・・。 マルケス:・・・ふう。任務完了ですね。 川俣:ああ、本部に連絡しよう。 御字:・・・。 マルケス:ん?どうした?御字? 御字:あ、いえ、なんだか、かわいそうだなあって思っちゃって・・・。 マルケス:・・・最後のあれか? 御字:はい。 マルケス:・・・まあな。でも、どんな理由があれ人に迷惑を掛けてはいけない。子供のころに教わることだ。 マルケス:それをこの子は守れず、あろうことか街中で限界化して鬼になってしまった。こうするしかなかったんだよ。 御字:そう、ですね。 マルケス:・・・まあ、今日はいい経験になったってことで、次からは頼むぜ新入り! 御字:・・・はい! 川俣:ふう・・・。よし、もうすぐ鬼を引き取りに来てくれるそうだ・・・。は!!マルケス!後ろ!! マルケス:え!? 鬼:貰ったああああ!! : 0:マルケスは耳に、鬼がつけていたワイヤレスイヤホンを差し込まれる。 : マルケス:ぐわああああ! 御字:マルケスさああああん!! マルケス:ぐ、ぐぬぬ、なんだこれ、いい声の男二人が、なにか・・・ 川俣:まずい!マルケス!そのイヤホンを早く外せ!! マルケス:た、隊長、大丈夫ですよ・・・。もうちょっと、もうちょっとだけ・・・ 川俣:ダメだ!!今すぐ外せ! マルケス:ああ、ああ、ああ!!(興奮している) 鬼:ふふふ・・・。 川俣:くそっ、貴様マルケスに何をした!! 鬼:何もしていないさ、ただちょっと私の推し達の声劇をお裾分けしてあげただけだよ。 御字:な、なんだって。 鬼:ふふふ、油断したな・・・。これで、この男も、終わりだ・・・。 鬼:この方の声を聞いたが最後、どっぷりと沼にはまり、細胞レベルで限界化してしまうだろう・・・。 鬼:ぬはははは・・・・・がくっ(寝る) 川俣:ちっ、しまった。限界化するのは女性だけじゃないということ失念していた! 御字:マルケスさん!マルケスさん!!しっかりしてください!限界鬼になんかなっちゃだめだ!! マルケス:・・・。 御字:・・・マルケスさん? マルケス:御字ィ・・・。BLはいいぞぉ・・・ 御字:っ!?マルケスさん!! マルケス:ああ、最高な気分だ!!これが限界化かあ!体の底から熱がこみあげてくる!推し達の素敵な絡みでどうにかなってしまいそうだあ! 御字:ひっ!マルケスさんがBL大好き限界鬼になってしまった! 川俣:離れろ御字!! : 0:川俣はマルケスと御字を引きはがし、マルケスを抑える。 : マルケス:ぐっ、放してくれよ隊長!!なあ、俺の今のこの高揚感を体で表現させてくれよ隊長!! 川俣:御字!麻酔銃だ!そいつでこいつを撃て!! 御字:え!? 川俣:今動けるのはお前しかいない!お前がやるしかないんだ!! 御字:でも!!このままだと隊長まで!! 川俣:いいんだ御字!!実は私はな、お前を声採用したんだ・・・。 御字:え? 川俣:お前が面接に来て喋った時、私は衝撃を受けた。お前の声が、あまりにも好みだったんだ。 御字:そう、だったんですね。 川俣:ああ、だからあの面接は少々長引いてしまった。 御字:確かに、2時間経っても終わらないなあとは思っていました。 川俣:だから頼む!こいつを私ごと撃ってくれ!私ももう正直限界なんだ!お前の声をこれ以上聞いていると鬼になってしまう! 御字:隊長・・・。 川俣:な、だから、私のためだと思って、やってくれ。ついでにこいつも楽にしてやってくれ。 御字:隊長・・・。分かりました。 川俣:ありがとう・・・。御字、お前は私の最推しだったよ・・・。 マルケス:いやだあああ!放せええええ! 御字:うわあああああ! : 0:御字、麻酔銃を撃つ。倒れる二人。 : 御字:はあ、はあ・・・。すみません、隊長・・・。あと、ついでにマルケスさん・・・。 御字:俺、もっと強くなって、二人に負けないような鬼止隊になります・・・。 御字:ん?でもまてよ、そういえば麻酔銃って、針みたいな形だよな・・・。この形状だと、貫通はしないはず・・・。 川俣:・・・はあ、はあ、御字ぃ。お前に投げ銭させてくれええ!! 御字:た、隊長!!しっかりしてくださああああい!! 0: 0: 0:終わり

御字:時は令和。声優やVtuberといった者達の台頭により、声を使ったコンテンツの需要が一気に高まった。 御字:その勢いはもはやとどまることを知らず、中には「推し」の声を聞いて「限界化」する者まで現れてしまった。 御字:国はこうなってしまった者達を「限界鬼(げんかいき)」と名付け、対策本部を設置。彼らは「鬼止隊〜OST〜」と呼ばれ、日夜対応に追われることとなった。 御字:これは、「そーいうのもっと頂戴!」という感情に歯止めが効かなくなった鬼達とそれを取り締まる者たちの終わりの無い闘いの一部始終である。 0: 0:会議室 0: マルケス:隊長!4丁目の交差点付近で「限界鬼」出現の通報です!! 川俣:なんだと!?今何時だと思ってるんだ!! 御字:深夜2時です、隊長! 川俣:ありがとう、御字。全く、やつらめ、昼間だろうが夜だろうが所構わず現れるっ! 御字:隊長、最近のデータでは「限界鬼」の出現は比較的夜の方が多いようです。 川俣:よく勉強しているな御字。偉いぞ。 御字:ありがとうございます! マルケス:隊長!現場付近の防犯カメラ映像にアクセスできました! 川俣:よし、モニターにつなげてくれ! : 0:映像がモニターに映し出される。そこには、限界化した鬼が暴れまわっている姿が映し出されたッ! : 鬼:ああああ!尊い!尊いいいい!!むりいいいい!! 御字:くっ、なんて声量だ!モニター越しなのに耳にキンキン響いてくる! マルケス:なんておぞましい光景なんだ。 川俣:かわいそうに、重度の限界化だ。何をしたらあそこまで・・。 鬼:ああ!やめてえええ!それ以上は!それ以上は!しんじゃううう!!!! 御字:マルケスさん、あの鬼、死んじゃうとか言っていますよ!! マルケス:落ち着け御字。お前はまだ新人だから分からないだろうが、大丈夫だ。やつらはいつもああ言うが実際に死んだためしはない。 御字:そ、そうなんですか。 鬼:ああ!苦しいいいい!はあ、はあ・・・。っ!?ああああ、やばいやばいやばいやばい!!! 御字:ま、マルケスさん、今度はあの鬼、急に苦しみだしました!は、早く助けに行かないと! マルケス:落ち着け御字!やつらは実際苦しんでなどいない!むしろ、快感を得ている真っ最中なんだ!! 御字:ほ、ほんとですか!? マルケス:ああ、やつらは推しの声を摂取して知能指数が低下し、自分でも自分の感情を言語化できず、ああいう感じになってしまうんだ。 御字:くそっ、なんて紛らわしいんだ! 川俣:御字、お前は優しいな。だが、その優しさは現場では命取りになる。ああなってしまった者はもはや人ではない、鬼だ!それを肝に銘じるように。 御字:・・・わかりました。 マルケス:・・・隊長、なんかさっきから御字に甘くないですか? 川俣:よし、今回の鬼の限界化はかなり深刻だ。みんな、気合を入れて出動するぞ! 御字:はい! マルケス:・・・なに、この感じ。 : 0:現場に到着したOST達 : 鬼:全く、最高かよチクショウ。推しの声だけでも最高なのに、実は前から密かに気になっていたカケルさんとBLコラボだと。 鬼:しかもっ!推しが攻め!!いつもは受け専なのに、なんでタケルさん相手だと攻めちゃうの!?え!?マジやばいんだが!? 鬼:え、なに?なに、なんなの?戦国時代?戦国時代なん?下剋上起きちゃってるんだけど!?もしくは大政奉還?え、新しい日本始まっちゃうんかこれ!?日本の夜明けぜよってか!! 御字:いた、限界鬼だ!! マルケス:すごい早口で何か言ってたな。 川俣:みんな気をつけろ、見たところあいつは、推しの声劇を聞いて気が立っている! 鬼:ぬ!?なんだお前ら。私の邪魔をするというのか! マルケス:我々は限界鬼取り締まり部隊、通称「鬼止隊~OST~」だ! 鬼:きとめたいだあ? マルケス:そうだ、通報を受けてお前を取り締まりに来た。 鬼:お前らがそうか、私たちの界隈では有名だよ。私たちの推し活を邪魔してくる奴らがいるってなあ!! 御字:おい、限界鬼!目を覚ませ!お前の声量と発言に皆困惑しているぞ! マルケス:無駄だ、御字!やつらはそれを承知の上で限界化しているんだ!話し合いでどうにかなる相手じゃない! 御字:で、でもあの鬼、俺たちと普通に会話できています!まだ、なんとかなるかも・・・ マルケス:さっき隊長に言われたことを思い出せ!お前の優しさは命取りになる・・・。ああなってしまった以上、俺たちはあいつを倒すしかないんだ! 御字:し、しかし・・・ マルケス:いいかげんにしろ御字!ここは現場だ!一瞬の判断ミスが更なる悲惨な結果を生むこともある!現場に立つ以上、その甘い考えは捨てろ! 御字:くっ! マルケス:わかったかおんのじ・・・ 川俣:(被せて)いいすぎだマルケス! マルケス:え!? 川俣:いいすぎだと言ったんだマルケス!下がっていろ! マルケス:いや、そんなことないと思いますけど・・・ 川俣:なんだお前、隊長の私に口答えするのか? マルケス:なんでそんなにキレてるんですか!? 鬼:やかましいやつらだ。お前らのせいで、推し達の声劇が聞えぬではないか! 御字:隊長!限界鬼がこっちに向かってきます! 川俣:くっ!いよいよ戦闘だ、二人とも、後れを取るなよ! マルケス:はい! 御字:はい! 鬼:ほお、人間よ。私と戦おうと言うのか?おもしろい。止められるものなら止めてみろ! 御字:うっ。 川俣:どうした御字、怖いのか? 御字:怖くない・・・と言ったら嘘になります。だってあの鬼の目、人間だったのが嘘のように恐ろしい。 川俣:ああ、そうだな。だが、ここであいつを止めなければ、やつは自分の推しを周りに布教し始め、第二第三の限界鬼が生まれかもしれない。私達が、やらなければならないんだ!わかったか御字。 御字:・・・! はい、隊長!! 鬼:ゴチャゴチャと何を喋っている。こっちは課金して投げ銭の用意もできているんだ。そっちが来ないのならこちらから行くぞ!! マルケス:隊長、来ます!! 川俣:マルケス、いつものやつを!! マルケス:了解!! 御字:隊長!いつものやつって!? マルケス:これだ新入り! 御字:それは!? 川俣:麻酔銃だ! 0: 0:川俣、麻酔銃を鬼に向かって放つ。 0:しかし、撃たれた銃弾は鬼には当たらなかった。 0: 鬼:ええええ!? 川俣:ちっ、外したか・・・。 鬼:え、うそうそうそ!?あいつ、普通に銃ぶっ放してきたんだけど!? 川俣:安心しろ、限界鬼、こいつは麻酔銃だ。 鬼:いや、だからって、なんの躊躇いもなく打ちますかね普通!! 川俣:私だって、新人の頃は怖かった・・・。だが、お前たちを猪か何かだと思い込むことによって克服することができた。 鬼:くっ、あの女、普通じゃない・・・ 御字:マルケスさん、なんで麻酔銃なんですか。 マルケス:いいか、御字。やつらは声によって限界化している。では、限界化を解くにはどうするか・・・。簡単だ、あいつに推しの声を聞かせなければいい。地方では、推しの声が掻き消えるほど大きな音を出す、というやり方をしているところもあるらしいが、ここは東京、そんなことをしてしまえば訴えられるのは俺たちだ。 御字:それで、麻酔銃、ですか。 マルケス:ああ、そういうことだ。 鬼:なんで国家機関が騒音で叩かれることを恐れてるんだよ!! 川俣:なんだ、鬼よ。こっちの声がしっかり聞こえているじゃないか。限界化も解けてきているのではないか? 鬼:麻酔銃がヤバすぎて、思わず突っ込んでしまうんだよ!! マルケス:何が突っ込みだ、限界鬼のくせに生意気な。大体、お前ももっと騒音に気を使って趣味の範囲で楽しめよ! 鬼:ぐっ!急に正論を! 御字:隊長、今のマルケスさんの口撃(こうげき)が思いの外効いてるみたいです! 川俣:そのようだな。 鬼:・・・私だって、何も好き好んで限界化しているわけではない。限界化、してしまうんだ!! 鬼:推しが尊すぎて、愛おしすぎて、自分を抑えることができないのだ!この感情を抑えてしまったら私は、きっと爆発する。脳が破裂する。 鬼:だから!私は!私達は、鬼になるんだ! 川俣:・・・限界鬼よ。私だって、あんたの気持ち、少しは分かるよ。 川俣:でも、こうやって外で騒いだり、公衆の面前で推し活をするのは違うんじゃないか? 川俣:中には、自分でスタジオを借りたり、防音室を買ったりしてる人もいるらしいじゃないか。お前もそうしたらどうだ?な、今ならまだ間に合う。 川俣:人に迷惑をかけず、自分の趣味の範囲で楽しく推しの声劇をきいたらいいじゃないか。な? 鬼:ぐ。ぐぐぐぐ。 御字:限界鬼・・・。 鬼:・・・うるさい。 御字:え? 鬼:うるさいうるさいうるさーい!!そんなの、経済的に余裕があるからできるんだ!!高卒で手取りの月給十八万円の私がそんなことできるわけないだろう!! 鬼:推しへの投げ銭買うのに精一杯なんだよ!わかったような口を聞くなああああ!! 御字:あ、限界鬼が!このままだと逃げられてしまいます!! 川俣:マルケス!! マルケス:はい、隊長!くらええ!! : 0:マルケス、麻酔銃を撃つ。今度は、鬼の背中に命中する。倒れる鬼。 : 鬼:うっ・・・。 マルケス:・・・ふう。任務完了ですね。 川俣:ああ、本部に連絡しよう。 御字:・・・。 マルケス:ん?どうした?御字? 御字:あ、いえ、なんだか、かわいそうだなあって思っちゃって・・・。 マルケス:・・・最後のあれか? 御字:はい。 マルケス:・・・まあな。でも、どんな理由があれ人に迷惑を掛けてはいけない。子供のころに教わることだ。 マルケス:それをこの子は守れず、あろうことか街中で限界化して鬼になってしまった。こうするしかなかったんだよ。 御字:そう、ですね。 マルケス:・・・まあ、今日はいい経験になったってことで、次からは頼むぜ新入り! 御字:・・・はい! 川俣:ふう・・・。よし、もうすぐ鬼を引き取りに来てくれるそうだ・・・。は!!マルケス!後ろ!! マルケス:え!? 鬼:貰ったああああ!! : 0:マルケスは耳に、鬼がつけていたワイヤレスイヤホンを差し込まれる。 : マルケス:ぐわああああ! 御字:マルケスさああああん!! マルケス:ぐ、ぐぬぬ、なんだこれ、いい声の男二人が、なにか・・・ 川俣:まずい!マルケス!そのイヤホンを早く外せ!! マルケス:た、隊長、大丈夫ですよ・・・。もうちょっと、もうちょっとだけ・・・ 川俣:ダメだ!!今すぐ外せ! マルケス:ああ、ああ、ああ!!(興奮している) 鬼:ふふふ・・・。 川俣:くそっ、貴様マルケスに何をした!! 鬼:何もしていないさ、ただちょっと私の推し達の声劇をお裾分けしてあげただけだよ。 御字:な、なんだって。 鬼:ふふふ、油断したな・・・。これで、この男も、終わりだ・・・。 鬼:この方の声を聞いたが最後、どっぷりと沼にはまり、細胞レベルで限界化してしまうだろう・・・。 鬼:ぬはははは・・・・・がくっ(寝る) 川俣:ちっ、しまった。限界化するのは女性だけじゃないということ失念していた! 御字:マルケスさん!マルケスさん!!しっかりしてください!限界鬼になんかなっちゃだめだ!! マルケス:・・・。 御字:・・・マルケスさん? マルケス:御字ィ・・・。BLはいいぞぉ・・・ 御字:っ!?マルケスさん!! マルケス:ああ、最高な気分だ!!これが限界化かあ!体の底から熱がこみあげてくる!推し達の素敵な絡みでどうにかなってしまいそうだあ! 御字:ひっ!マルケスさんがBL大好き限界鬼になってしまった! 川俣:離れろ御字!! : 0:川俣はマルケスと御字を引きはがし、マルケスを抑える。 : マルケス:ぐっ、放してくれよ隊長!!なあ、俺の今のこの高揚感を体で表現させてくれよ隊長!! 川俣:御字!麻酔銃だ!そいつでこいつを撃て!! 御字:え!? 川俣:今動けるのはお前しかいない!お前がやるしかないんだ!! 御字:でも!!このままだと隊長まで!! 川俣:いいんだ御字!!実は私はな、お前を声採用したんだ・・・。 御字:え? 川俣:お前が面接に来て喋った時、私は衝撃を受けた。お前の声が、あまりにも好みだったんだ。 御字:そう、だったんですね。 川俣:ああ、だからあの面接は少々長引いてしまった。 御字:確かに、2時間経っても終わらないなあとは思っていました。 川俣:だから頼む!こいつを私ごと撃ってくれ!私ももう正直限界なんだ!お前の声をこれ以上聞いていると鬼になってしまう! 御字:隊長・・・。 川俣:な、だから、私のためだと思って、やってくれ。ついでにこいつも楽にしてやってくれ。 御字:隊長・・・。分かりました。 川俣:ありがとう・・・。御字、お前は私の最推しだったよ・・・。 マルケス:いやだあああ!放せええええ! 御字:うわあああああ! : 0:御字、麻酔銃を撃つ。倒れる二人。 : 御字:はあ、はあ・・・。すみません、隊長・・・。あと、ついでにマルケスさん・・・。 御字:俺、もっと強くなって、二人に負けないような鬼止隊になります・・・。 御字:ん?でもまてよ、そういえば麻酔銃って、針みたいな形だよな・・・。この形状だと、貫通はしないはず・・・。 川俣:・・・はあ、はあ、御字ぃ。お前に投げ銭させてくれええ!! 御字:た、隊長!!しっかりしてくださああああい!! 0: 0: 0:終わり